基本ノウハウ
「SEOという言葉は目にするけれど、どういう意味かが分からない」
「漠然と意味は知っているけれど、具体的に何をどうすることなのかは知らない」
上記のような悩みを持っているSEO初心者の方のために、本記事ではSEOの意味、メリット、注意点、具体的な実施内容までを分かりやすく要点を押さえて解説します。
SEOの概要を掴み、企業にとってSEOがいかに重要かを理解するための助けとして、また今後SEOに取り組む際の参考として、本記事を活用してください。
SEOが何を指しているのか、本章では言葉の意味とマーケティングにおけるSEOの重要性について解説します。
SEOは「Search Engine Optimization」(検索エンジン最適化)の略称をいい、GoogleやYahooなどの検索エンジンで、自社のWebサイトをなるべく上位に表示させようとする施策を指します。
検索エンジンに探したい情報のキーワードを打ち込んで検索をかけると、結果が画像のように表示されます。この結果は、検索エンジンが設けた独自の判断基準によって半ば自動的に決められています。つまりSEO施策とは、「ねらったキーワードの検索結果で自社サイトが上位を取れるように、検索エンジン(Google)のシステムに評価されやすいWebコンテンツを作ること」を指しているのです。
Googleのシステムに評価されやすいWebコンテンツであるためには、以下2点を満たしている必要があります。
アイルランド企業が提供するアクセス解析サービスstatcounterによると、検索エンジンではGoogleが世界トップのシェアを誇り、日本でも圧倒的に利用されています。そのため検索エンジン自体は他にも複数あるものの、SEOはGoogleの検索結果の話であることがほとんどです。
自社サイトから問い合わせや見積もりなどのコンバージョンにつなげようとするWebマーケティングでは、コンバージョンを増やすために母数となる訪問者数を増やす必要があるため、SEOが重要です。
例えば特定のキーワードで検索された結果、自社サイトのコンテンツが3ページ目の表示だったとしたら、検索エンジンから多くのユーザーに訪問してもらうことは困難でしょう。訪問者を増やしてコンバージョンにつなげていくためには検索結果で上位を取ることが大切であり、SEOに力を入れる必要があるのです。
SEOの実施によって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。本章では、下記3つのメリットについて解説します。
SEOによって検索結果で上位を獲得できれば、検索者の目に触れやすくなり流入数が増えます。下記の表は、seoClarityが2021年に公開したCTR(検索結果の表示回数に対してクリックされた回数の割合)に関する報告で、Google検索における日本のCTRを示したものです。
表示順位 | CTR |
---|---|
1位 | 13.94% |
2位 | 7.52% |
3位 | 4.68% |
4位 | 3.91% |
5位 | 2.98% |
出典:seoClarity
1位が13.94%なのに対し、2位は7.52%と、1位から2位になるだけでクリックされる率が半分近く減っていることが分かります。全体の調査結果では一部順位通りではない数値もありますが、基本的には検索上位である方がクリックされやすく、訪問者数も多くなる傾向があるのです。
SEOによる上位獲得は、自社の認知度を高め、信頼性の向上につながります。調べ物をしようとするとき、最初に選択されやすい手段がGoogle検索です。Googleの検索結果で自社サイトが上位を獲得できれば、それだけ多くのユーザーから認知を得る機会が増えます。
また、企業の専門分野に関するコンテンツで検索エンジンの評価が高く、ユーザーの目に留まる機会が多ければ、「この企業は◯◯に関してスペシャリストだ」という印象を与えられるため、業界内での信頼性も向上させられるでしょう。
SEOで検索結果の上位を獲得したコンテンツは、制作コストはかかるものの企業の資産として蓄積されるため、検索エンジンからの継続的な集客を可能にします。質の高いSEOコンテンツが数年にわたって上位を獲得し、多くの流入を実現したケースもあります。
検索エンジン経由以外の集客手段であればWeb広告がありますが、Web広告は出稿している間のみの一時的な効果しか見込めません。加えてWeb広告は出稿し続けるとコンテンツ制作以上に費用がかさんでしまうため、短期的な運用に向いています。
集客方法 | SEOコンテンツ | Web広告 |
---|---|---|
向いている運用方法 | 中~長期 | 短期 |
効果が出るまでの時間 | 遅い | 早い |
基本的なコスト | 制作時のみ | 制作~運用時 |
低コストで中長期的な集客を行いたいなら、SEOコンテンツの方が効果的です。基本的にはWeb広告とSEOコンテンツを同時に運用し、最初はWeb広告に比重を置いて短期的な集客を行い、SEOコンテンツで集客が叶うようになったら広告の比重を落とすやり方がおすすめです。
SEOを実施する際に「こんなはずじゃなかった」と後悔するような事態に陥らないよう、押さえておきたい点が3つあります。本章では、下記の注意点3つを解説します。
SEOを重視したコンテンツ制作や改善施策を行っても、検索エンジンに反映されるまでには時間がかかる点に留意しましょう。特に新規サービスの場合は、効果が出始めるまでに数カ月~半年以上かかるといわれています。SEOは中長期的な目線で取り組む必要があり、すぐさま成果を出したい場合には向いていません。即座に結果を出したい場合はWeb広告を利用し、SEOで効果が出るまでの期間を補うといった手段を取る必要があります。
Googleが禁止している行為をSEOのつもりで行ってしまうと、Googleからの評価を落としてしまいます。その結果、検索順位を大きく落とす、そもそも表示されなくなるといった状況に陥る可能性があるのです。ペナルティの対象となる行為をあらかじめ知っておき、誤った対策を行わないことが大切です。
Googleが禁止事項に挙げている行為の例として、下記を挙げています。ここで示しているのはほんの一部です。詳細はGoogleで公開されているため、一度は目を通しておきましょう。
▼検索結果の順位を操作する目的で行われた場合に禁止となる行為
Googleがサイトを評価する基準は定期的に更新されているため、例え過去に評価の対象となっていたコンテンツであっても、アップデートによって評価されなくなる可能性がある点は念頭に置きましょう。Googleの評価基準が更新された例として、モバイル端末を使った検索ではモバイル対応ページが優先的に評価されるようになった2015年のアップデートや、医療や健康の情報を発信するサイトは信頼の置ける発信元であるかがより重視されるようになった2017年のアップデートなどがあります。
「アップデートで評価が変わってしまうなら、今やっているSEO対策も意味がないのでは?」と不安に思われるかもしれませんが、Googleは「ユーザーにとって本当にためになるコンテンツであるか」を重視したアップデートを続けており、その方針は今後も続くと考えられます。ユーザーのためのコンテンツを提供できているかに重きを置いたSEOを進めていくことが大切です。
SEOの重要性を理解できたら、SEO実施にあたって具体的に何をすれば良いかを確認しましょう。本章では、Googleがサイトを評価する仕組みと、その仕組みに基づいた対策について解説します。
Googleが独自の基準に基づいてサイト評価を行っていることは先に述べましたが、その過程は下記のようになっています。
a.クロール(収集) | GoogleのロボットがWeb上を巡回して、発見したWebサイト・更新されたWebサイトの情報を収集する。 |
b.インデックス(登録) | 収集した情報を整理して、データベースに登録する。 |
c.評価・反映 | ユーザーが打ち込んだ検索キーワードに対し、関連性が高いと判断したコンテンツをデータベースから取り出し、独自の基準で順位付けして表示する。 |
Google検索を行うと膨大な結果が表示されるのは、以上a~cの手順が毎日繰り返され、大量の情報がデータベースに登録されているからです。公開したばかりでデータベースに登録されていない情報は、検索をかけても表示されません。
自社のWebコンテンツを上位に押し上げたいなら、このa~cの各段階に対応したコンテンツを作る必要があります。Googleにクロール・インデックスされやすいようにさまざまなテクニックを駆使した上で、Googleに評価される質の高いコンテンツを制作するのです。a~cに対応する施策をまとめてSEOと呼びますが、その中でも施策内容によって主に下記のように分類されています。
対策の分類 | 内部対策 | 外部対策 | ||
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関連記事 | 内部対策の記事 | 外部対策の記事 | ||
種類 | コンテンツSEO | テクニカルSEO | - | |
内容 | 質の高いコンテンツでGoogleの高評価をねらう。 | Webサイトの構造を整えることで、ロボットのサイト巡回、情報の収集、整理、登録がされやすいようにする。 | 外部サイトから多く紹介リンクを貼られることで、サイト評価が高まる。 | |
影響範囲 | c.評価・反映 | a.クロール・b.インデックス | c.評価・反映 |
関連記事:SEOで自社サイトを上位表示させるには?すぐできる施策を解説
SEOに取り組む場合には、必ず戦略を持って行います。SEOで成果を出すには、ユーザーが真に必要としているコンテンツを計画的に作成し、ユーザー・検索エンジンの双方に良質なサイトであると認められなければなりません。そのためにはユーザーのニーズがどこにあるのかをよく調査し、限られた資源で何を実行するのか施策に優先順位を設定する必要があります。あらかじめ戦略を立てておくことで、これらの一連の動きを無駄なく効率的に行えるのです。
関連記事:SEO戦略はなぜ重要なのか?戦略設計の6ステップを解説
SEOは取り組んだ結果どの程度の変化があったのかを分析し、さらに改善を重ねていく必要があります。SEO対策は1回行えば必ず効果が表れるとは限らず、何度か改善が必要になるケースがほとんどです。また前述したように1度上位を獲得できたとしても効果は永続的ではないため、分析は常に必要です。SEOの効果測定ができるツールを導入して、分析・改善を積極的に行っていきましょう。
関連記事:SEOの分析とは?目的達成の手がかりを得る分析手法4ステップ
関連記事:成果に乏しいSEOを改善する手順とは?実施しやすい施策7つを解説
コンテンツSEOは内部対策の1部で、Googleに評価されるような高品質なコンテンツの制作によって検索結果の上位に順位付けされることをねらう施策です。
関連記事:コンテンツSEOとは?概要・メリット・作り方の手順を徹底解説
後述するテクニカルSEOとの違いは下記記事で詳細に解説しています。
関連記事:コンテンツSEOとテクニカルSEOの違いとは?各手法の例も解説
コンテンツSEOの実施する際の大まかな手順として、下記3つの流れを解説します。
コンテンツSEOを実施する際には、最初にキーワード選定を行います。「どのようなキーワードで検索するユーザーを集めたいのか」「どのようなキーワードで上位を獲得したいのか」「競合が上位を取っているキーワードは何か」を整理することは、コンテンツSEOの方針を決める上で重要です。
キーワードは需要がなければ検索されず、需要が高すぎても競合の多さで上位を獲得しづらくなるため、ある程度のニーズがありかつ勝てるキーワードを探す必要があります。具体的には、月間の検索数が数百~数千くらいのキーワードをねらってみましょう。キーワードの検索数はSEOツールを利用して調べられます。
BtoBにおいては自社の顧客になりえないユーザーを集めても売上につながらないため、あくまで自社の製品・サービスに関連したキーワードを選び、自社のターゲット層を集められるようにしてください。
関連記事:簡単SEOキーワード選定方法!5つの手順とおすすめツール5選
選定したキーワードに沿って、ユーザーが読みたいと思うコンテンツ、ユーザーにとって利益になるコンテンツを制作します。Googleはニーズがあり質の高いコンテンツを高く評価します。特にGoogleはE-A-Tを評価基準として重視しているため、E-A-Tにのっとったサイトづくり、コンテンツづくりが重要です。
Expertise:専門性 | 専門的な課題を解決できる、一貫した専門性が高いテーマを扱っている、新情報がある。 |
Authoritativeness:権威性 | 外部から高く評価されている。 |
Trustworthiness:信頼性 | 独自性が高く模倣されていない、安全なサイトである、身元が明らかである。 |
関連記事:SEOライティングとは?初心者必見!プロも使う11のコツ
公開したコンテンツのランキングやアクセス数を調査し、上位に入らなければリライト対象として検討します。Webコンテンツは1度制作すれば必ず成果が出るわけではなく、公開しても伸び悩むケースがよくあります。100件以上のコンテンツが公開済みになり、Googleからメディアが評価されて一定以上の流入が取れる段階になったら、タイトルやリード文からリライトを行ってみましょう。
関連記事:SEOに効果的なリライトとは?リライトすべき記事の選定方法と手順を解説
競合やキーワード調査の機能、制作自体を効率化する機能を持ったコンテンツSEOに役立つツールが複数の企業から提供されているため、コンテンツSEOを本格化させるのであれば導入を検討してみましょう。
コンテンツSEOはコンテンツ制作の継続によって成果が出るため、中長期的な目線で制作に取り組まなければならず、工数の削減も重要になります。ツールの利用によって工数を削減し、自社が強化すべきポイントを把握した上で適したツールを導入してみましょう。
関連記事:コンテンツSEOを強化できるツール15選を無料&有料あわせて解説
テクニカルSEOは、検索エンジンのロボットからクロールされやすいよう、またユーザーにとっても使いやすいように、サイトの構成やタグ、内部リンクについて改善を行う施策です。一部の例として下記の施策を解説します。
関連記事:テクニカルSEOとは?Googleから評価を得るための技術的な10の施策
ロボットはWebサイト上を巡回して情報収集を行っているため、関連した内容のページ同士でリンクがつながっていたり、サイトの構造を見通せるような分かりやすい形でリンクが設定されていたりすると、情報が収集しやすくなると考えられます。
関連記事:SEOに効果的?内部リンクがもたらすメリットを徹底解説
「パンくずリスト」と呼ばれる、ユーザーが現在いる階層を示すリンク表示がありますが、この設定もロボットの巡回を助けます。
HTML<title>タグや<h2>~<h6>の見出しタグなど、コンテンツに正確にタグを設定することで、ロボットにコンテンツの文章構造や内容を正しく伝えられます。ロボットに正しい構造が伝われば、収集された情報のインデックスが正しく行われるようになります。
関連記事:タグって何?意味や種類、使い方について分かりやすく解説!
SSL(Secure Sockets Layer)は、Webサイトを暗号化してセキュリティを向上させる技術です。常時SSL対応になっているかどうかが、2014年からGoogleの評価基準の1つに加わっています。SSL対応になっていないWebサイトにアクセスすると、ブラウザによっては「保護されていない通信」という警告が表示されるようになっているため、ユーザーが安心してサイトアクセスできるようにする観点でもSSL対応は必須といえるでしょう。
関連記事:SSL化とは?必要な理由・かかる費用・しないとどうなるのか解説
外部対策は、よく引用されるような質の高いコンテンツ制作や、SNS・広告を利用した露出により、「被リンク獲得」をねらう施策です。
被リンク獲得とは、外部Webサイトからリンクされることを指します。
被リンク獲得はGoogleの評価基準の1つです。それもただ多くのサイトからリンクされれば良いというわけではなく、Googleが良質としているサイトからの被リンクであることが重要です。Googleから低品質・悪質と見なされているサイトからリンクがあると、関連付けて判断され、かえって自社サイトの評価を落とす恐れがあります。そうした良くないサイトからの一方的なリンクの場合は、リンクを否認する仕組みも用意されています。
関連記事:被リンクとは?調べ方からSEOに重要な良質な増やし方・対策まで徹底解説11選
外部SEOは上位獲得のために大切な施策ではあるものの、自社から働きかけられる内容には限度があり、被リンクの売買も禁止されています。そのため、基本的には外部サイトが自主的にリンクを貼ってくれるのを待つしかありません。SEOにおいては内部対策(コンテンツSEOとテクニカルSEO)に優先的に取り組み、外部対策はその後に、多くの人にリンクをもらえるようなコンテンツづくりという観点で進めると良いでしょう。
SEOを実施する上で、キーワードを選定したり、SEOの効果を検証したりするための補助となるツールは必須といえます。SEO対策に取り組みたい人が、導入を検討すべきツールを4点解説します。
Googleキーワードプランナーは元々Google広告の利用者向けのサービスで、キーワードの選定のために必要な「キーワードの検索ボリューム(月間の検索数)」や「競合の数」といった情報を取得できます。無料でも利用できますが、無料版では検索結果の数が幅を取った曖昧な数値でしか表示されないため、正確な結果を知りたい場合はGoogle広告に登録して有料版を利用しましょう。
Googleアナリティクスは、ユーザーのアクセス状況やアクセス経路を可視化できるアクセス解析ツールです。「ユーザーがどのように流入したのか」「ユーザーがよく見ているページはどこか」といったユーザーの行動に関するさまざまな情報を取得・蓄積し、複数の情報を参考にして改善すべき箇所の調査・発見に役立てられます。基本的に無料で利用が可能です。
Googleサーチコンソールは、サイト内部にエラーやセキュリティに関する問題がないかの分析や、GoogleアナリティクスではカバーしていないGoogleの掲載順位などのデータ取得を可能にするツールです。自社サイトの状態を把握し、SEO上の課題や改善箇所を見つけるために役立ちます。自社サイトに追加したページについてGoogleに情報提供し、巡回を促すことも可能です。
関連記事:Googleサーチコンソールとは?機能や使い方をご紹介
SEO・キーワード調査ツールは、SEO施策についてサポートしてくれるツールです。キーワード調査、ユーザーニーズ調査、コンバージョン分析、ヒートマップ分析など、製品によってさまざまな機能があります。詳細は下記のページを参照してください。
SEOとは、ねらったキーワードの検索結果で自社サイトが上位に表示されるように、Googleに評価されるための施策です。上位に順位付けされることによってユーザーからの認知度向上が見込め、継続的な流入数の増加が期待できるため、WebマーケティングにおいてSEOは重要な施策といえます。
Googleの評価の基準は定期的にアップデートされます。Googleが禁止している項目をすべて把握しておき、知識不足でペナルティを受けないように注意しつつ、ユーザーファーストのコンテンツ制作を続けることがSEOで結果を出す近道です。SEOの概要を掴めたら、まずは自社サイトの現状を把握し、実行できるSEO施策から徐々に取り組んでみてください。