基本ノウハウ
SEOには、ユーザー向けのコンテンツSEOと検索エンジン向けのテクニカルSEOの2種類があります。どちらも検索結果の上位表示をねらうために行うものですが、施策の内容や向いているサイトの傾向などが異なります。効果的なSEOを実施するためにも、コンテンツSEOとテクニカルSEOの特徴を正しく押さえておくべきです。この記事では、コンテンツSEOとテクニカルSEOの違いや優先すべき施策、それぞれの施策の具体例について解説します。
検索結果での上位表示を目指すためのSEOには、ユーザー向けの施策である「コンテンツSEO」と検索エンジン向けの施策である「テクニカルSEO」の2種類があります。それぞれの特徴を表にまとめると、下記のようになります。
分類 | コンテンツSEO | テクニカルSEO |
---|---|---|
特徴 | ・ユーザーがターゲット ・コンテンツの質を高めて、ユーザーや検索エンジンからの評価を得る施策 ・情報の網羅性や専門性が問われる ・明確な評価基準は公開されていない |
・検索エンジンがターゲット ・サイトの内部構造を整えて、検索エンジンがクロール・インデックスしやすくするための施策 ・プログラミング記述の的確さが問われる ・Googleのガイドラインを参考にできる |
本章では、コンテンツSEOとテクニカルSEOの違いに加え、優先すべき施策はどちらかについて詳しく解説します。
コンテンツSEOは、ユーザーのニーズに沿った良質なコンテンツを制作し、Googleなどの検索エンジンから高評価を得て、検索結果の上位表示をねらう施策を指します。ユーザーにとって価値のある情報を提供することで、検索エンジンからの流入数の増加を目指します。
ユーザーにとって価値のある良質なコンテンツとは、悩みや課題を解決する情報であったり、疑問に対して的確な回答が得られるものであったりと、ユーザーが読むことで価値を感じ満足感を得られるコンテンツです。そのため、読みやすく分かりやすい原稿のライティングや、情報を視認しやすいデザイン、情報の網羅性や専門性を検討・判断するディレクションが重要になります。
検索エンジンは「価値ある情報にユーザーをアクセスさせる」という使命で作られているため、価値ある良質なコンテンツの作成はSEOにとって欠かせません。近年はコンテンツの質が優先的に評価されるアルゴリズムとなっているため、コンテンツSEOの重要性も高まっています。
特に、コンテンツを軸としたオウンドメディアなどテキスト系サイトでは注力して取り組むべき施策といえるでしょう。コンテンツSEOの詳しい解説は「コンテンツSEOとは?概要・メリット・作り方の手順を徹底解説」の記事を参考にしてください。
テクニカルSEOは、検索エンジンが自社サイトやコンテンツの情報を正しく収集・インデックス(データベースへの登録)できるように、サイトの内部構造を最適化する施策です。代表的な施策には、内部リンクの最適化やURL構造の整理、重複コンテンツの制御、画像の最適化、ページの高速化などがあります。
検索エンジンはインターネット上にあるサイトをクローリング(巡回)し、その情報をデータベースに登録した上で、検索結果にコンテンツを表示させます。テクニカルSEOの施策は、サイトの内容を検索エンジンに的確に伝えて、クローリング・インデックスしやすくするという目的があるのです。いずれの施策もプログラミングやサイト設計が重要になります。
また、Googleの「検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド」に記載されている情報は、テクニカルSEOを実施する上で役立つでしょう。
テクニカルSEOは、特にECサイトや求人サイト、マッチングサイトをはじめとするデータベース系サイトで注力すべきといえます。テクニカルSEOの詳しい解説は「テクニカルSEO」の記事を参照してください。
一般的には、オウンドメディアなどコンテンツを軸にしたテキスト系サイトはコンテンツSEO、ECサイトや求人サイトといったデータベース系サイトはテクニカルSEOを優先して取り組むと良いと考えられています。
コンテンツの内容が評価の重要な要素となるテキスト系サイトは、ユーザーの検索意図を満たす良質なコンテンツ制作がより重要です。一方、データベース系サイトはユーザーの操作に応じて動的にコンテンツを量産するシステムであるため、数十万、数百万といった規模でページが生成されます。各コンテンツの質に対する評価よりも、サイト全体の構造をクローラーに認識してもらう方の優先度が高いと考えられるのです。このように、サイトの属性によって重要度が変わるため、どちらの方がより重要だとは一概にいえません。
ただし、SEOを実行する際に意識すべきなのは「マイナスを±0にする施策を優先する」ことです。「良いものをさらに良くする」施策も大切ではありますが、SEO上のマイナスが存在する状態では大きな効果を発揮できません。テクニカルSEOなら不正なリダイレクトの削除、コンテンツSEOなら重複コンテンツの削除といったように、マイナスの影響を減らす施策から対応すべきでしょう。特に「マイナスを±0にする施策」はテクニカルSEOに多く存在するので、これらの施策を優先的に実行するという考え方もあります。
コンテンツSEOとテクニカルSEOのどちらかだけに対応するのではなく、優先的な施策を実施した後は、どちらもバランスよく対応するようにしましょう。
ユーザーに対してアプローチするコンテンツSEO施策の代表例を紹介します。
代表的なコンテンツSEOの施策としては、以下のようなものが挙げられます。
キーワードはコンテンツの軸を担う重要な役割を果たします。自社製品・サービスのターゲットが検索するであろうキーワードを洗い出し、優先順位をつけてコンテンツ化しましょう。
キーワード選定では、自社が提供できる価値にマッチした語句を選ぶことが重要になります。専門性の高いコンテンツを制作・蓄積によって検索エンジンからの評価が獲得できるだけでなく、ユーザーからも「このサイトに訪れると〇〇について詳しくなれる」と認知してもらえるからです。
また、検索ボリュームも考慮に入れましょう。検索ボリュームの多いキーワードは、膨大なアクセスにつながる可能性がありますが、競合サイトが多く上位表示を狙うのが難しくなっています。検索ボリュームが少ないキーワードは上位表示しやすいもののアクセスは伸びにくいものです。適切なキーワードを選定して、自社の強みを発揮できるコンテンツにつなげましょう。
良質なコンテンツとは、キーワードから導かれるユーザーの検索意図を正確にとらえ、彼らが抱える課題を解決する情報が提供できているコンテンツのことです。
例えばキーワードとはあまり関係のない内容が長々と書かれていたり、知りたいと思っていた答えが書かれていなかったりといった質の低いコンテンツでは、ユーザーを満足させられず、Googleからの評価を得ることも難しくなります。ユーザー目線を意識し、ユーザーのニーズに応えるコンテンツ作成を目指しましょう。
また、一度作成したコンテンツが一年後も正しい情報を届けられているとは限らないため、定期的に精査して情報をアップデートすることが大切です。
ユーザーが抱える課題を解決するというコンテンツとしての質の高さだけでなく、ページの見やすさやデザイン性といったページそのものの質を高めることも、コンテンツSEO施策の1つといえます。
例えばサイトのデザインやUIを最適化したり、文章のトンマナを統一して読みやすくしたりすれば、ページの見やすさが向上し、よりユーザーを満足させられるようになるでしょう。また適宜画像を挿入したり、文章の強調部分にマーカーをひいたりして、リズムを付けてあげるのも有効です。
自分が読者になった時、どういったページであればストレスなく読み進められるかを意識して、ページ品質の向上を目指してみてください。
検索エンジンに対してアプローチするテクニカルSEO施策の一例を紹介します。
代表的なテクニカルSEOの施策としては、以下のようなものが挙げられます。
内部リンクとは、同じサイト内の別ページにリンクを貼ることです。
内部リンクの設定は、単にユーザーがサイト内を回遊しやすくなるだけでなく、検索エンジンがクローリングしやすくなる効果も期待できます。
検索順位は大きく分けて「クローリング」「インデックス」「順位付け」という流れで決定されるため、インデックスまで到達しなければ、作成したコンテンツが検索結果に表示されることはありません。そのため、いかに早く検索エンジンにインデックスしてもらうかがSEOにとっては非常に重要であり、クローリング・インデックスされやすくする内部リンクの設定は、有効なSEO施策といえます。
内部リンクについては「SEOに効果的?内部リンクがもたらすメリットを徹底解説」の記事で詳しく解説しています。
画像のファイル名を正しく設定することも、SEOに有効です。
各サイトをクローリングするクローラー(検索エンジンのロボット)は、画像をそのまま認識できず、ファイル名からその画像の中身を推定します。そのため、画像のファイル名が不規則な文字列のままであった場合、クローラーがコンテンツの内容を理解し検索結果に反映するのに時間が掛かります。
インデックスまでの速度を上げるためにも、どのような画像なのかを英語表記で正しく記載し、クローラーがその内容を理解しやすくなるようにしてください。
モバイル対応とは、スマートフォンやタブレットのようなモバイル端末の画面サイズに合わせてデザインやレイアウトを調整する対策のことです。
近年、サイト訪問者の多くはモバイル端末利用者となっており、モバイル端末で見やすい画面設計になっているかどうかを検索エンジンも重視するようになっています。PCで見ればデザイン性に優れているサイトでも、スマートフォンで見た際に表示崩れや操作性の悪さが生じるようでは、検索エンジンからの高評価は得られません。
サイトは必ずモバイル対応し、PCとスマートフォンのどちらでも快適に閲覧できる状態にしておきましょう。
ページの表示速度を上げるのも、テクニカルSEO施策の一つです。
検索エンジンはページの表示速度を点数化しているため、数値が低ければ全体の評価が下がり、検索上位を目指すことが難しくなります。また表示速度の遅いページではユーザーの離脱率も高まってしまうため、その点でも評価が下がる可能性があります。
コンテンツ内の画像や動画のサイズを圧縮したり、スクロールに応じて画像を読み込む仕様にしたりなど、ページを開く際の負荷を軽くし、表示速度が上がるようにしましょう。
コンテンツSEOとテクニカルSEOの概要について紹介しました。コンテンツSEOとテクニカルSEOは、メインとなるターゲットが異なるSEOではありますが、整理された正しい情報を届けるというその本質に大きな違いはなく、またどちらか一方だけを優先して行えば良いというものでもありません。今回の記事を参考にしつつ、ユーザーにとっても検索エンジンにとっても価値のあるサイト作りを目指してみてください。