基本ノウハウ
自社サイトのコンテンツを検索結果に上位表示させるためには、SEOの分析を重ねて改善していくことが大切です。しかし、具体的にどうやってSEOを分析すればよいかが分からず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、SEOを分析することで実現できることや、基本的な分析方法について詳しく解説します。自社サイトの質を高め、集客を増やしたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
SEOの分析とは、競合となる企業サイトや自社サイト、ユーザーの現状に関するさまざまなデータを集め、自社サイトの改善すべき課題を見つけ出すことです。課題を改善してユーザーニーズを満たし、自社サイトのコンテンツを検索結果に上位表示させ、流入するユーザーを増やすことを目的に行われます。
しかし、やみくもにデータを集めるだけでは適切な分析はできません。分析の前に課題に対する仮説を立て、その証明に必要なデータを収集するようにしましょう。
以下に、SEOの分析をする上で主に必要となるデータをまとめました。
分類 | 分析対象となるデータ |
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競合となる企業サイト | ・検索順位 ・検索上位のコンテンツ ・インデックス数 ・アクセス数 ・流入経路 ・流入キーワード ・被リンク数 ・サイトの専門性 など |
自社サイト | ・検索順位 ・インデックス数 ・アクセス数 ・流入経路 ・流入キーワード ・被リンク数 ・エンゲージメント率 ・回遊率 ・コンバージョン率 ・閲覧時間 ・技術的なSEO実施状況 など |
ユーザー | ・キーワードの検索ボリューム ・年齢 ・居住地域 ・行動履歴 ・利用デバイス など |
上表のデータを収集・分析することで、自社サイトが抱えるさまざまな課題が可視化されます。特に、以下のような課題は自社サイトの運用に大きく関わってくるため、注目すべきです。
分析によって浮き彫りになった課題に対し適切な施策を行うことで、コンテンツの上位表示やコンバージョン率の上昇などが期待できます。
SEO分析を行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。本章では、SEO分析によって実現できることを4つ紹介します。
ユーザーに関するデータを集めると、ユーザーの検索意図が明確になるため、SEOの分析を通してユーザーに対する理解を深められます。
検索キーワードや共起語を分析すると、ユーザーがどのような目的で検索しているのかが分かります。例えば、「特定の商品名 評判」という検索キーワードであれば、その商品を購入するかどうかを検討している可能性が高いと考えられるのです。また、自社サイト内でのユーザーの行動に関するデータを分析すれば、特にアクセス数が多いコンテンツを把握できるため、ユーザーが解決したいと考えている課題を推測しやすくなります。
こうしたデータに基づきユーザーニーズに沿ったコンテンツを充実させていけば、「困りごとがあったとき参考にできる有益なサイト」であると認識され、サイト全体の信頼性が高まり、回遊率・リピート率の向上にもつながるでしょう。
競合サイトのコンテンツや流入経路などを分析すれば、競合サイトがどのような戦略でサイト設計しているかを把握できます。例えば、どのようなキーワードでコンテンツを作成しているか、検索以外の流入経路は何かが分かるのです。検索上位を獲得するためには競合サイトよりも自社サイトが評価される必要があるため、競合サイトの戦略を知ることで、差別化のためのSEO施策を考えられるようになります。
自社のプランだけで上位表示を狙うのは、膨大な時間と手間がかかります。競合サイトのデータを集めて他社の戦略を分析し、ユーザーに選ばれるサイトはどうあるべきかの方針を立て、効率的なマーケティング戦略設計を実現しましょう。
同じキーワードで上位表示を狙うコンテンツ同士を比較すれば、自社の不足箇所を見つけられます。検索上位にある競合サイトのコンテンツと自社サイトのコンテンツを比較し、自社サイトで不足している情報をリライトして補うことで、SEO的な評価の向上につなげるのです。
競合サイトを分析して自社サイトと比較すると、自社サイトに足りていないものが何かが具体的になります。競合サイトが既に押さえていて、自社サイトではまだコンテンツを作成していないキーワードが見つかれば、その部分を補えば良いのです。
また、競合サイトと比較することで、自社サイトの不足コンテンツだけでなく強みも明確になります。自社サイトの弱点と強みがはっきりすれば、SEO施策に優先順位をつけやすくなるでしょう。
Google Analytics 4(GA4)やGoogle Search Consoleなどのツールを利用した分析によって、行った施策の効果を検証できます。
GA4ではページごとのユーザー数やコンバージョン数などのさまざまなログ(数値)を、Google Search Consoleではユーザーがどのキーワードで検索した結果サイトに流入したのかを取得できます。 これらのデータを施策の前後で測定し、課題解決に近づけたかを検証するのです。
SEOは実施してすぐに効果が表れるものではありません。定期的にSEOの分析を行って施策の効果を確認し、改善を加えながら少しずつ評価の向上を目指す必要があります。施策に関するログを検証し、効果的な施策の継続と反応が良くない施策の改善をくり返していけば、より集客やコンバージョンにつなげられます。評価基準やユーザーニーズなどの変化によって、以前は効果があった施策でも今は有効ではない可能性があるため、先入観のない検証が重要です。
ここでは、基本的なSEOの分析方法を4つのステップにわけて解説します。特に重要となる改善方法については、さらに細分化して説明します。
自社サイトの現状を示すデータを集め、そこから読み取れる課題を把握します。前回の分析時と比べて、以下のような結果になった場合を仮定して説明します。
それぞれの結果を招いた要因を見つけ出すため、課題がどこにあるのか仮説を立てながら調査を行っていきます。1であれば検索順位の低下や検索上位のコンテンツ数の減少、2であればユーザーニーズとのミスマッチやサイトに対する信頼性の低下、3であればサイトの利便性の低さや行動喚起の不徹底といったことが考えられます。
仮説の立証に必要なデータを集めて検証し、自社サイトの改善すべき課題が明確になったところで次の段階へ進みます。
競合サイトに対する分析を行って自社サイトと比較しましょう。そうすることで、自社サイトに不足しているコンテンツが見つかり、行うべき対策が明確になります。
具体的には、競合サイトがどのようなコンテンツを掲載しているか、上位表示されているキーワードは何か、検索順位に関わるドメインパワーはどのくらいあるのかなど、成果に結びつきやすい内容を比較します。比較した結果、自社サイトではまだ扱っていないキーワードや、コンテンツ内で不足している情報などが見つかった場合、新たなコンテンツの制作やリライトなどの対処が必要です。
SEOの分析結果を踏まえた上で、適切な改善策を選びます。課題や不足コンテンツが複数見つかった場合は、どれから改善していくか優先順位をつけて対応することが重要です。
ここでは代表的な改善策を3つ紹介しますが、他にも改善策はあるため、内容に合ったものを選ぶようにしましょう。
SEO分析の結果、自社サイトへのアクセス数の減少が見られた場合には、自社に合ったキーワードを選定して、新たなコンテンツを展開する施策がおすすめです。
キーワードは、自社サイトのターゲットに合っており、競合が少ないものを選ぶようにしましょう。的確なキーワードを選べれば、コンテンツの上位表示を狙いやすくなります。
また、サイトのSEO評価を上げるには、ある程度の記事本数が必要です。そのため、軸となるキーワードを決めたら複合キーワードまで広げてコンテンツの数を増やしていきましょう。
複合キーワードとは、「SEO分析 ツール」「SEO分析 無料」のように2語以上の単語で構成されるキーワードです。キーワードによっては大量の複合キーワードが抽出されることもあります。そのような場合は、ツールを使ってそれぞれの検索ボリュームを調べ、検索される可能性の高いものに絞りましょう。
検索順位の下落によるアクセス数の減少や、コンテンツの質に対する信頼性の低さなどが課題であった場合は、コンテンツのリライトを実施すべきです。
記事の公開当初は検索上位を取れていたとしても、情報の鮮度やトレンドの変化などの影響で評価が徐々に下がる場合があります。そのため、情報を最新の内容に更新したり、トレンドに合った内容に修正したりといったメンテナンスを定期的に行うことが重要です。
検索でなかなか上位表示されないコンテンツは、内容が検索クエリに合致していない、専門性に欠けているといった問題がある可能性があります。競合サイトのコンテンツが検索上位にある場合は、競合コンテンツがどのようにユーザーニーズをとらえているのかを分析し、自社コンテンツに不足している情報を追記していきましょう。
サイト内でのエンゲージメント率が低いという分析結果が出た場合は、サイト内の導線を見直しましょう。訪れたユーザーがすぐにサイトから離れてしまう要因は複数考えられますが、「サイトの使いにくさ」「コンバージョンポイントへの行きにくさ」という設計自体の問題である可能性があります。
例えば、トップページが見づらくリンクボタンが設置されていなかったり、問い合わせフォームの場所が分かりにくかったりすれば、多くのユーザーはサイトの見づらさや使いにくさから離脱してしまうでしょう。
初めてサイトを訪問したユーザーでもひと目で使い方が分かるよう、ユーザー目線でサイトの導線を改善し、サイトの利便性を高めて訪問者の直帰を減らす工夫を行う必要があります。
SEOの分析は一度行って終わりではありません。分析結果に基づいた改善施策が検索エンジンの評価に結びつくまでにはある程度の時間がかかるため、定期的な効果測定と見直しが必要です。
効果測定の期間の目安は、4カ月から1年ほどです。ただ、期間が過ぎてから施策の効果が表れるパターンもあるため、あくまでも目安としてとらえておきましょう。
効果測定の結果、施策による課題の改善が見られた場合はそのまま継続し、反応がなければ別の施策に切り替えるという流れをくり返すことで、徐々に評価を高めていきましょう。
SEO分析をする際、分析したい内容ごとにツールを使い分けると効率的にデータを集められます。
先述したGA4やGoogle Search Sonsoleに加え、競合サイトの分析にはSEMrushやSimilarWeb、キーワード選定にはGoogle キーワードプランナーやラッコキーワードなどが役立ちます。
その他、ユーザーがサイト内でどのような行動を取ったかを色で可視化できるヒートマップツールを導入すると、より詳細な分析ができるでしょう。機能や料金などはツールによって異なるため、自社サイトの環境や予算に合わせて選ぶ必要があります。
SEOの分析には、ユーザーに対する理解が深まる、競合サイトの傾向を把握できる、自社サイトの不足コンテンツが明確になる、現在行っている施策の効果を確認できるといったメリットがあります。しかし、正しい手順で行い、適切な改善策を選ばなければ十分な効果は得られません。
この記事で解説した分析方法を参考にして、SEO分析の基本を押さえましょう。専用のツールを使えばより効率的な分析ができるため、自社に合ったツールの導入をおすすめします。
適切なSEO分析を行って自社サイトの評価を高め、自社の目標達成を目指しましょう。