基本ノウハウ
SEOは自社サイトの流入数を伸ばすために不可欠な施策ですが、1回で効果が出るものではなく、定期的に改善を重ねる必要があります。しかしWeb担当者の中には、「具体的な手順や方法が分からない」と悩む方もいるでしょう。
本記事ではSEOの基礎知識や最新動向を踏まえながら、改善のやり方や具体策を解説します。専門会社へ改善を依頼するメリット・デメリットや、費用相場もあわせて紹介しています。ぜひ参考にしてください。
SEOとは検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)の略であり、自社サイトやコンテンツを上位表示させる施策を指します。上位表示によって訪問者数を増やし、成約数の増加や売上の拡大を実現するためには、状況に合わせてSEOを改善することが大切です。
まずはSEOを改善する上で必要となる基礎知識として、以下の3つを解説します。
SEOとは何か、概要や基本的な施策について振り返りたい方はこちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「SEOとは?用語の基礎知識を初心者にも分かりやすく解説」
Googleをはじめとした検索エンジンは、以下の3つから上位表示するサイトを決定しています。SEOを改善する際も、各ステップに対応した施策の実施が必要です。
クローラーはインターネット上に存在するサイトの情報を読み込んでデータベース化し、検索順位を決めます。逆に言えば、クローリングされなければ作成したサイトやコンテンツは検索結果に載りません。
SEO改善では、各段階において現状の対策で成果が出ていない理由はどこにあるのか、自社コンテンツのボトルネックを探す必要があります。例えばクローリングに課題があるにもかかわらず、順位付けの対策に注力しても大きな成果は期待できません。
SEO改善を検討する際は、まずクローリング対策に問題がないかを確認するところから始めましょう。
SEO改善は実行後すぐに効果が出るものではないため、定期的に改善し続けることが大切です。
たとえ検索上位を取れたとしても、競合サイトの台頭や評価基準の変化などによって順位が落ちてしまうケースも少なくありません。効果測定を継続的に行い、その時々で改善策を講じることで初めて上位表示および順位のキープが狙えるようになります。
なおSEOの評価が定まるのは、早くても半年前後といわれています。最低でも半年に1回は改善すべき点がないか、サイト全体をチェックすると良いでしょう。
SEO関連の動向によっては、従来の方向性では効果的な改善が難しいケースも出てきます。例えば近年の最新動向として留意したいのは、以下の3つです。
SGE(Search Generative Experience)はGoogleの生成AIによる新たな検索体験を指し、ChatGPTのような回答が検索画面上部に表示される機能です。2023年8月から日本版も試験運用されており、テスト期間が終わる2024年2月以後に正式公開される可能性が高いといわれています。
いずれにも共通して大切なのが、E-E-A-Tを意識した質の高いコンテンツです。独自性や信頼性の点でより付加価値の高い情報を提示できれば、新しい検索体験が広がっても自社サイトへの流入が期待できるでしょう。
E-E-A-Tとは何か、基礎知識や高めるコツなどを知りたい方はこちらの記事もぜひ参考にしてください。
関連記事:「【SEO対策に重要】E-E-A-T(E-A-T)とは?Googleに評価されるポイントを解説」
SEO改善の手順は、以下の通りです。
まずは改善すべき点はどこにあるか、ツールを活用しながら現状の把握に努めましょう。サイトの状況を知るためによく使われているツールは、主に以下の3つです。
チェックしたい項目の例は、以下の通りです。
無料で使えるGoogleのツールは最低限導入し、各指標の推移を継続的に確認しましょう。SEO分析で必要な情報や具体的なやり方を知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「SEOの分析とは?目的達成の手がかりを得る分析手法4ステップ」
ツールによってサイトの現状が把握できたら、表示回数やコンバージョン数などの目標値と比較し、差が大きいところの原因を追究します。
例えば検索上位であるにもかかわらず想定よりも表示回数が少なければ、タイトルやディスクリプションがユーザーのニーズをとらえきれていない可能性があります。また直帰率が高い場合は、ページの表示速度が遅い、コンテンツ内容がユーザーの想定と異なるといった状況も考えられるでしょう。
数字が芳しくないところには必ず理由があるため、自社の課題として特定して次に取るべきアクションを定めてください。
課題を発見できたら改善に必要な施策を検討し、優先度の高いものから実行していきましょう。例えばページの表示速度が遅いゆえに直帰率が高い場合は、ファイル容量の圧縮などが改善策として挙げられます。
いくらコンテンツの中身を充実させたとしても、表示速度が変わらないままでは直帰率を改善させられません。検索上位を目指す上では今まさに課題となっている点への施策を最優先し、スピーディーな改善が必要になります。
改善策を実行したあとは、取り組みが正しいものだったかをチェックする意味でも効果測定することが大切です。成果が出るまで試行錯誤を繰り返し、サイト全体のブラッシュアップを進めましょう。
ここでは、SEO改善の具体策として以下の9つを解説します。
分類 | 改善方法 |
---|---|
クローリング対策3選 | ・内部リンクを整える ・画像を最適化する ・タグを正しく設定する |
インデックス対策2選 | ・モバイルフレンドリー対応を行う ・XMLサイトマップを送信する |
順位付け対策4選 | ・キーワード選定の方法を見直す ・質の高いコンテンツを増やす ・SEOライティングの基本事項7個を守る ・課題に応じて既存のコンテンツをリライトする |
SEO対策で失敗する原因や予防策は、こちらの記事でも紹介しています。より幅広い知見を得たい方は、あわせてチェックしてみてください。
関連記事:「SEO対策で失敗する11の原因|上位表示させるために必要な対策も解説」
クローリング対策とは、検索エンジンのクローラーが自社サイトの情報を収集しやすくするための取り組みです。実施しやすい改善策の例として、以下の3つを解説します。
関連性の高いページ同士をリンクでつなげると、クローラーがサイト内を巡回しやすくなります。コンテンツの関連性も高められる分、テーマ性や専門性も強調されて検索エンジンの評価が上がりやすくなる点もメリットです。テキストリンク以外にも、以下のような機能を設けるとサイト内の構造把握が容易になります。
上記はクローラーだけではなく、ユーザーの利便性を高める上でも重要です。関連コンテンツのリンクが整っていると回遊を促し、セッション継続時間や満足度の向上が期待できます。
内部リンクのメリットや設置のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
関連記事:SEOに効果的?内部リンクがもたらすメリットを徹底解説
以下に挙げる画像の最適化も、クローリング対策として有効です。
画像の容量が大きいとページの表示速度が遅くなり、ユーザーはストレスを感じて直帰してしまいます。Googleの評価基準でも重要視されている(※1)ため、画質を維持したまま容量圧縮できるWebPなどを活用しましょう。
またaltタグやファイル名は、画像そのものを認識できないクローラーが「何について描かれているか」を判断する際に用いられます。エラーなどで画像が表示されなかった場合にaltタグの情報がテキストとして表示されるため、ユーザーにとっても有益です。
クローリング対策とともにユーザーの利便性を高めるためにも、画像の最適化を進めましょう。
クローリング対策では、タグを設定してコンテンツの内容や階層構造を示すことも大切です。特にタイトルタグや見出しタグはユーザーの目を引き、クリック率向上につなげられます。それぞれのコツは、下表の通りです。
設定箇所 | コツ |
---|---|
タイトルタグ | ・メインキーワードを前半に含める ・30~35文字以内で簡潔にまとめる ・「最新」「〇選」など目を引く文言にする |
見出しタグ |
・<h2><h3><h4>で階層構造を明示する ・メインキーワードや関連キーワードを自然に含める |
タイトルは長すぎるとGoogleによって自動で書き換えられてしまうため、簡潔かつインパクトのある文言でまとめましょう。
SEO改善におけるインデックス対策とは、検索エンジンにサイトの情報を登録してもらうための取り組みです。改善策の例として、以下の2つを解説します。
インデックス対策の1つが、スマートフォンからでも見やすいWebサイトにするモバイルフレンドリー対応です。スマホの利用率が高まったことから、Googleはモバイル向けサイトの評価を主軸にインデックスやランキングを行う「モバイルファーストインデックス(MFI)」を実施しています。
MFIではモバイルサイトとPCサイトで掲載されている情報に差がある場合や、モバイルサイトがなくPCサイトしか持っていない場合にインデックスやランキングに悪影響を与えるがある可能性があります。PC向け・モバイル向けで同一の内容が閲覧できるよう対応しましょう。
デバイスごとの最適化やリダイレクト設定について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「サイトリニューアルがSEOに与える影響とは?検索順位が下がるのを防ぐ11の注意点」
XMLサイトマップの送信も、インデックス対策として欠かせません。XMLサイトマップとは、Webサイトやコンテンツの情報を伝えるためのXML形式ファイルです。
XMLサイトマップは、sitemap.xml Editorなどのツールで自動作成できます。作成したマップはGoogleサーチコンソールの「サイトマップ」から送信し、インデックスを促しましょう。
SEO改善における順位付け対策とは、良質なコンテンツを提供して検索エンジンからの評価を上げるための取り組みです。改善策の例として、以下の4つを解説します。
まずはキーワードの選定方法を見直し、ユーザー心理に合わせた適切なキーワードを選定できているかについて確認しましょう。検索ニーズの高いキーワードは検索回数が多い一方で、競合サイトも多く検索結果で埋もれてしまう可能性が高くなります。
逆に競合サイトは少ないものの、あまりにもニッチなキーワードであれば、そもそも検索回数が少なくサイトへの流入が見込めません。そのため一定数の検索ボリュームがあり、競合サイトもあまり多くないキーワードを狙うことが大切です。
また2種類以上の単語を組み合わせた、ロングテールキーワードの活用もおすすめです。検索意図とコンテンツの内容が合致しやすい分、ユーザー満足度が上がり上位表示の可能性も高まります。
Googleキーワードプランナーなどのツールで検索ボリュームを調査しつつ、ユーザーニーズに即したキーワードを選定しましょう。
質の高いコンテンツもSEO評価とユーザー満足度を上げ、結果として上位表示につながります。良質なコンテンツの定義として以下の例が挙げられます。
なおGoogleはコンテンツの評価基準として、E-A-Tを推奨していました。
現在は上記に「Experience(経験)」が加わり、E-E-A-Tと呼ばれています。専門性は特に重要で、単に競合サイトを真似した内容や、自社サイト内の焼き増しコンテンツは評価されません。
また企業情報や著者のプロフィールなどを掲載することで、自社サイトの信頼性を高められます。ユーザーから自社への信頼を醸成できればその後の商談や受注にもつなげやすくなるため、信頼性の担保につながる情報は積極的に盛り込みましょう。
ユーザーと検索エンジンの双方に配慮したSEOライティングができれば、おのずと質の高いコンテンツへ仕上がります。最低限押さえておきたい基本事項は、以下の7つです。
それぞれ詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
関連記事:「SEOライティングとは?初心者必見!プロも使う11のコツ」
SEO改善では、課題に応じてリライトすることも大切です。例えば技術的なSEO対策を実施しているにもかかわらず、コンテンツの公開から半年以上経ってもアクセスが伸びない場合、改善ポイントが以下に潜んでいる可能性があります。
重要なキーワードを盛り込んでいるか、表現は分かりやすいかをチェックし、課題があるところは1つずつリライトしましょう。
またコンテンツの情報が古くなっていたり、競合サイトに比べて内容の充実度や分かりやすさが低かったりすると、検索評価の低下につながりかねません。効果測定や競合分析の結果を参考にしながら、既存コンテンツをアップデートしましょう。
リライトのやり方やコツを知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「SEOに効果的なリライトとは?リライトすべき記事の選定方法と手順を解説」
「SEO改善を進めたいが、自分でできるか不安」という方は、SEO対策のサポートや代行を行うマーケティング支援会社への依頼も検討しましょう。
依頼する際に知っておきたい下記の情報を解説します。
SEO改善を外注するメリット・デメリットは、下表の通りです。
メリット | ・リソース不足を解消できる ・Googleのアップデートなど最新の動向に対してスピーディーな対応ができる ・客観的な分析に基づいた運用管理が可能になる |
デメリット | ・ノウハウが蓄積しにくい ・依頼先によって得意な領域や保有ノウハウが異なる/td> |
SEO対策に関するノウハウや実績が豊富なマーケティング支援会社に依頼できれば、知見が少ない社内で対応するよりも成果向上が期待できます。ただし自社が属する業界と支援会社の得意領域が合致しないと、思うように成果が上がらない可能性もあります。
依頼先を選定する際は複数社の見積もりを取り、提案内容も慎重に比較・検討しましょう。
SEO改善を専門会社へ依頼する場合、業務範囲によって費用相場は異なります。
業務範囲 | 主な依頼内容 | 費用相場 | 主な料金体系 |
---|---|---|---|
SEOコンサルティング | SEO改善に向けた総合的な支援 | 数十万円 | 月額固定型 |
Webサイト設計 | SEOの観点を踏まえたWebサイトの設計・改善 | 十~数十万円 | 一括支払型 |
内部SEO | SEOの観点を踏まえたサイト内設計の見直し | 数十万円 | 一括支払型 |
外部SEO | 外部リンクのマネジメント |
十~数十万円 | ・月額固定型 ・成果報酬型 |
コンテンツSEO | SEOを意識したコンテンツ制作 |
数十万円 | ・月額固定型 ・一括支払型 |
料金体系は以下の3つであり、それぞれ一長一短があります。
月額固定型はキーワードの数や組み合わせ方における自由度が高い一方で、成果が出ていない状況でも毎月支払う点がデメリットです。一括支払型はスポット的に入ってもらうときに適用できる料金体系であり、長期的な固定費が発生しないメリットがあります。一方でSEO対策は長期に及ぶため、契約が終了したあとに社内で対応できるような体制づくりを進めておく必要があります。
成果報酬型は成果が出ない限りは費用が発生しませんが、上位表示の数が多い・期間が長いと固定報酬型よりも多くの費用が必要です。また以前は成果報酬型が主流でしたが、「過度な被リンク対策でペナルティリスクがある」「施策実行の有無にかかわらず、顧客サイトの検索順位が上がれば報酬が発生する」といった問題が散見されました。
その結果、成果報酬型は近年あまり見られない料金体系となっています。逆に言うと、成果報酬型を掲げて施策の詳細を伝えない支援会社は悪質なSEO対策で順位上昇や報酬獲得を狙う可能性があるため、避けた方が良いでしょう。
SEOに強いマーケティング支援会社を選ぶ際に留意したいのは、以下の3つです。
社内にSEOのノウハウを蓄積して将来的に内製化したい場合は、SEO会社と連携しながら施策を進め、徐々に社内対応の範囲を広げるのも1つの方法です。契約したのに成果が出ないといった事態を避けるためにも、依頼先に丸投げせず担当者自身もSEOの知識を深めると良いでしょう。
SEOを改善するためには、第一歩として検索エンジンの仕組みや最新動向への理解を深める必要があります。その上でさまざまなツールを活用し、定期的に効果測定しながら課題抽出・改善策の実行を進めることが大切です。
社内での対応が難しい場合は、SEO改善に精通した専門会社へ依頼する方法もあります。ただし成果を出すためには依頼先を慎重に選定し、委託中も二人三脚で施策に取り組む姿勢が重要です。
自社サイトの流入数を伸ばしたい方は、SEO改善に向けて今できることから着手しましょう。