基本ノウハウ
マーケティングの方法にはさまざまな種類がありますが、近年ではインターネットを使った施策は当たり前のものとなっています。しかしこれまでインターネットを事業にあまり活用せずにいた企業の場合、「具体的にどうすれば良いのか」などよく分かっていない方もいるのではないでしょうか。
本記事ではインターネットマーケティングとは何か、その概要や重要性を解説します。代表的な手法8選や始め方、メリット・注意点もあわせて紹介しています。インターネットマーケティングへの挑戦を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
インターネットマーケティングは、インターネットを利用したマーケティングを指し、次のような別名が使われることもあります。
本章では、インターネットマーケティングの基礎知識として、その概要や目的を解説します。
インターネットマーケティングとは、製品・サービスの売上が増えるような仕組みづくりをインターネットを利用して行うことです。
インターネットマーケティングの取り組みによって、企業は認知度やユーザーの購買意欲を高め、ユーザーが購入・契約に至るような道筋を作ります。
1.自社を知ってもらう | インターネット上で、自社や、自社製品・サービスの認知を高めるための取り組みを行います。 |
2.興味を持ったユーザーを集める | 自社が保有しているWebサイトに、多くのユーザーを集めるための取り組みを行います。 |
3.ユーザーの興味関心度を強める | Webサイトにあるさまざまな記事や動画などのコンテンツをユーザーに見てもらい、ユーザーの製品・サービスへの関心や購買意欲を高めます。 |
4.購入や契約につなげる | ユーザーが購入や契約に至るように、営業が商談を進めたり、購入サイトへ誘導したりします。 |
5.他のサービス・製品も宣伝する | 購入・契約を行ったユーザーに、追加の宣伝を行います。 |
例えばユーザーに自社を知ってもらったり、自社サイトに訪れてもらったりするためには、Web広告やSNSなどの活用で認知度を上げる方法があります。そもそも認知されていなければ、ユーザーが「◯◯の課題を解決する製品が欲しい」と考えたとしても、購入や利用を検討する際の選択肢に入りません。そのため、「まず認知されること」が大切です。
しかし「◯◯の課題解決のために今すぐに商品を購入しよう」と考えるユーザー数は限られ、多くの競合他社との取り合いになります。このような中で自社が生き残るためには、課題解決の必要性もまだ感じていないユーザーとあらかじめ関係を築き、自社が選ばれやすくなるようにする必要があります。その具体的な施策が、ユーザーにとって役に立つ記事や動画、メールマガジンなどのコンテンツです。
また契約後も、ユーザーとの関係性を維持し、継続的な取引関係を続けたいところです。長期的に良好な関係が続けば、他製品の追加購入やリピート購入によってさらなる売上拡大が期待できます。
このようにインターネットマーケティングとは、ユーザーが購入に至るまでの流れを設計し、さまざまな段階にあるユーザーにインターネットを利用して最適なアプローチを行い、効率的に成果を生み出そうとする取り組みなのです。
デジタルマーケティングと混同される場合もありますが、インターネットマーケティング(Webマーケティング)はデジタルマーケティングの一部です。デジタルマーケティングとは、Webサイトやアプリ、デジタルサイネージなど、オンライン・オフラインを問わず収集したデジタルデータを活用するマーケティング手法の総称となっています。
デジタルマーケティングとインターネットマーケティング(Webマーケティング)の違いなどについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
関連記事:「Webマーケティングとは?進め方のコツから役立つ本・資格まで徹底解説【未経験・初心者マーケター必見】」
インターネットマーケティングの重要性が増している理由は、製品の購入やサービスの利用に至るまでの道のりが変わったためです。
ショッピングサイトなどの発達により、消費者は思いついたときに商品をすぐに購入できます。企業も営業に話をする前にインターネットで情報収集をしており、導入する製品・サービスに目星をつけてしまっている状態です。
つまり現代のマーケティングでは、「この製品・サービスが必要かもしれない」と購入する側が考える前から、自社を知ってもらう施策が必要になります。そこで鍵になるのが、多くの方が当たり前に利用しているインターネットです。
直近ではAIの台頭なども注目を集めていますが、今後もWebを活用したマーケティングは事業目標を達成する上での柱になるでしょう。
インターネットマーケティングを実施するメリットは、次のようなものが挙げられます。
インターネットマーケティングは、性別・年代・エリア問わず幅広いユーザーへアプローチできます。新聞や雑誌といったオフライン広告への出稿や、実店舗での販促は接点を持てるユーザーが限られますが、インターネットであれば多くの方が利用している上、国内全域はもちろん国外にまで発信ができ、幅広いユーザーへリーチできます。
インターネットマーケティングは、設定次第でユーザーの絞り込みによる効率的な運用を実現できます。Web広告などでは、インターネットの利用者の属性や行動情報のデータに基づき、より購入や利用へつながりやすそうなユーザーに優先的に広告を表示できます。こうした設定はオフライン施策よりも臨機応変に対応でき、無駄なコストを削減する、より注力すべき施策へ予算を投じる、といった工夫が可能になるのです。
インターネットマーケティングは、効果測定・改善がスピーディに行えます。インターネットマーケティングでは計測・分析ツールを利用できるため、自社サイトへの訪問者数や成約数など、さまざまな指標に基づいた効果測定を進めやすくなっています。その分課題の早期発見にもつながり、スピーディに改善策を実行可能です。
インターネットマーケティングは、新聞やテレビといったオフライン施策よりもコストを抑えられます。上記により集客や契約にかかるコストを削減しつつ、効率的に売上を拡大することも可能です。つまりマーケティングにおける、費用対効果の改善も期待できます。
インターネットマーケティングを実施する際には、次の2つが必要です。
インターネットマーケティングは施策の運用だけでなく、戦略の立案や効果測定に関するノウハウが必要です。この点が不十分だと、そもそも成果が上がらない上、誤った方向に進み続けて投じた費用が無駄になる可能性があります。
また運用や分析は作業量が多く、通常業務のかたわらで正確かつ効率的に行うのは難しい工程です。特に他部門の業務を兼務する、あるいは1人しか担当者がいない場合は従業員の負担が大きくなります。
そのため場合によっては専門会社へアウトソースしながら、リソース問題を解決しつつ、ノウハウを蓄積する必要があります。インターネットマーケティングに取り組む前に、社内体制を見直し、継続的な取り組みが行えるよう準備しましょう。
インターネットマーケティングの代表的な手法は、次の8つです。
各施策が向いている主なフェーズも一覧化しているため、それぞれ詳しく見ていきましょう。
主な役割 | 認知度の拡大 | 集客 | 興味関心度の向上 | 購入や契約 | 他製品の宣伝 |
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該当 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Webサイトは製品・サービスの情報を継続的かつ定期的に発信し、集客や契約などを促す施策です。
最低限作っておきたいのは、企業の顔となるコーポレートサイトです。また自社製品などを紹介するサービスサイトや、オンライン決済ができるECサイトなども主な種類として挙げられます。
近年ではユーザーに有益な情報を提供するオウンドメディアの運営で、自社を知ってもらう・ファンになってもらうよう注力している企業も少なくありません。Webサイト運営の仕事内容や必要なスキルを知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「Webサイト運営とは?業務内容や求められるスキル・成果を出すための注意点までプロが解説!」
主な役割 | 認知度の拡大 | 集客 | 興味関心度の向上 | 購入や契約 | 他製品の宣伝 |
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該当 | ◯ | ◯ | --- | --- | --- |
SEO(検索エンジン最適化)とは、インターネットで検索したときに出てくる結果画面で、自社サイトをより上位に表示させる手法です。上位表示されれば、自社サイトのリンクがクリックされやすくなり、より多くのユーザーの集客が可能です。
具体的にはユーザーにとって有益なコンテンツを定期的に作成・更新しつつ、記事同士をリンクでつなげて回遊を促すなどの方法があります。SEOの基礎知識や基本的なやり方を知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「SEOとは?用語の基礎知識を初心者にも分かりやすく解説」
主な役割 | 認知度の拡大 | 集客 | 興味関心度の向上 | 購入や契約 | 他製品の宣伝 |
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該当 | ◯ | ◯ | ◯ | --- | ◯ |
Web広告とはインターネット上で配信・視聴される広告であり、自社サイトなどあらかじめ設定した移動先へユーザーを誘導します。一口にWeb広告と言っても、下記のようにさまざまな種類があります。
特にリスティング広告は「〇〇(製品名) 料金」などで検索するような、すでにある程度ニーズが固まっている方がクリックするため、成約につながりやすい傾向にあります。
各Web広告の特徴やターゲットなどについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「Web広告の7種類を解説 基礎知識や選定ポイントも紹介」
主な役割 | 認知度の拡大 | 集客 | 興味関心度の向上 | 購入や契約 | 他製品の宣伝 |
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該当 | ◯ | ◯ | ◯ | --- | --- |
SNSは自社や製品・サービスなどを紹介する投稿を通じて、ユーザーとコミュニケーションを取り関係性を深める手法です。SNSは利用者の多さや拡散力の強さなどから、自社を知らないユーザーにも情報を届けやすい手法となっています。
活用のためには、各SNSの特徴を踏まえた投稿内容の工夫が必要になります。例えばX(旧名:Twitter)は比較的フランクで、「中の人」を感じさせる投稿内容が人気です。一方Facebookはビジネスシーンで利用する方が多く、フォーマルな文体を好む傾向にあります。
またSNSはユーザーの投稿をリポストし、コミュニケーションを活性化させるのにも有効です。XやInstagramの運用方法や活用事例を知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「UGCとは?TwitterやInstagramでの活用事例・運用方法から7つの成功ポイントまで徹底解説」
主な役割 | 認知度の拡大 | 集客 | 興味関心度の向上 | 購入や契約 | 他製品の宣伝 |
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該当 | --- | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
メールは比較的古くからあるマーケティング手法ですが、SNSが発達した現代でもビジネスにおけるコミュニケーションツールとして活躍しています。名刺交換やホワイトペーパーなどの施策を通じて取得したメールアドレスへメールを配信し、製品・サービスの紹介や課題解決の提案を行います。メルマガはユーザーにとって役立つ情報を定期的に配信することで、ユーザーに自社に対する関心を維持する手段として利用可能です。
段階的な配信でユーザーの関心を高めて成約につなげるステップメールなども有効です。メールマーケティングの種類や進め方について知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「メールマーケティングとは?5つの手法や進め方などこれから始める方へ必須知識を解説」
主な役割 | 認知度の拡大 | 集客 | 興味関心度の向上 | 購入や契約 | 他製品の宣伝 |
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該当 | ◯ | ◯ | ◯ | --- | ◯ |
セミナーのWeb開催バージョンであるウェビナーは対面開催と異なり、移動時間や移動費がかからず参加しやすい傾向にあります。また開催側も会場の予約や、資料の印刷といった時間的・金銭的コストを削減できる点も大きなメリットです。
需要のあるテーマを設定する、あるいは共同開催などの形で有名な登壇者を招き関心を持ってもらえれば、多くのユーザーの集客が可能です。メールなどの他の施策と併用しつつ複数回にわたり実施すれば、徐々にユーザーの興味や関心度を強められます。
ウェビナー運営のコツや進め方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「ウェビナー運営は何をする?うまくいく運営のコツ7つ解説!【188名集客成功事例配布中】」
主な役割 | 認知度の拡大 | 集客 | 興味関心度の向上 | 購入や契約 | 他製品の宣伝 |
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該当 | --- | --- | ◯ | ◯ | ◯ |
ホワイトペーパーとは、ユーザーにとって有益な情報をまとめた資料です。Webサイトで公開する、あるいはメールへ添付するケースが多いものの、営業資料として商談にも役立てられます。
ユーザーには企業や担当者情報を入力した上でダウンロードしてもらう形を取るため、ユーザーの情報収集にも役立つ手法です。テーマの例としては、次のようなものが挙げられます。
比較的低コストで作成しやすく、さまざまな場面で活用できるため、インターネットマーケティングを開始するにあたっては積極的に取り入れたい施策の1つといえます。ホワイトペーパーの作り方や活用方法を知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「ホワイトペーパーとは?目的・テーマ・制作手順を解説」
主な役割 | 認知度の拡大 | 集客 | 興味関心度の向上 | 購入や契約 | 他製品の宣伝 |
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該当 | ◯ | ◯ | ◯ | --- | --- |
動画は視覚・聴覚への訴求力が高く、幅広い年代のユーザーへアプローチできる手法として近年注目を集めています。例えば次のような動画コンテンツを作成し、自社の認知拡大や集客に役立てている企業も少なくありません。
YouTubeはもちろん、Instagramのストーリー・リールやTikTokなどのショート動画も有効です。気軽に見られる分視聴者が増え、より多くのユーザーと接点を持つ機会になります。動画をはじめとしたコンテンツの基礎知識について振り返りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「コンテンツとは?意味・種類・関連用語を分かりやすく解説」
インターネットマーケティングを始める際は、次に挙げる3つのステップを意識しましょう。
1.現状の把握と分析 | 自社や競合の状況を把握し、ユーザー像やニーズの理解を深める |
2.課題の抽出と計画の作成 | ゴール(売上拡大など)に必要な課題を抽出かつ優先度を決め、クリアするために必要な施策を決める |
3.施策の実行と効果測定 | きちんと効果が出ているか定期的に調査し、必要に応じて改善策を検討・実行する |
現状把握ではユーザーの心に刺さり、かつ競合に負けない自社の強みを探します。それらをもとにインターネットマーケティングの計画を立て、実行に移しながら適宜改善を加えることが大切です。
いずれの工程も「やりっぱなし」あるいは「やって満足」という状態にならないよう、PDCAサイクルを回すことを意識してみてください。
なおインターネットマーケティングのスタートラインである現状把握では、3C分析を活用するケースが多くなっています。3C分析の項目や進め方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「【具体例付き】3C分析とは?目的・やり方を分かりやすく解説」
インターネットマーケティングは、ネットを活用して自社製品・サービスの売上拡大を図る方法です。近年では消費者側が自ら調べ、購入したいと考える製品に目星をつけています。選択肢の1つとして自社を検討してもらうためには、認知度を上げる施策から取り組むことが必要です。
実際にはWebサイトやSNSなど、さまざまな手法を組み合わせながら集客や契約につなげます。ただし施策ありきではなく、はじめに自社内外の現状把握に努め、計画的に実行することが大切です。
事業目標を達成したい企業は、インターネットマーケティングを取り入れていきましょう。