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インバウンド営業とは?手法とメリット・デメリット、アウトバウンド営業との違いについて解説

インバウンド営業とは?手法とメリット・デメリット、アウトバウンド営業との違いについて解説

インバウンド営業は、コンテンツを通して顧客にアプローチし、アポ獲得・受注へとつなげます。最近注目されるインバウンド営業ですが「アウトバウンド営業との違いとは」「メリットは何か」「どのような手法があるのか」など疑問に思う方も多いでしょう。

本記事では、インバウンド営業の特徴とアウトバウンド営業との違い、メリット・デメリット、代表的な手法と進め方のコツまで解説します。

目次

1.インバウンド営業とは

インバウンド営業とは、顧客にとって有益な情報を発信し興味を引き出すことで、自社の製品・サービスの購入につながる行動を促す営業手法です。「プル型営業」とも呼ばれる営業スタイルを指します。

インバウンド営業ではブログやホワイトペーパーウェビナーなどのコンテンツを起点に顧客との接点を持つため、顧客ニーズに合ったコンテンツを発信する必要があります。

アウトバウンド営業との違い

アウトバウンド営業は、営業担当から直接顧客へアプローチする手法で、製品・サービスの購入へつなげます。「プッシュ型営業」とも呼ばれる営業スタイルで、テレアポや飛び込み営業、ダイレクトメールなどの営業手法があります。

インバウンド営業とアウトバウンド営業の特徴は、以下の通りです。

インバウンド営業 アウトバウンド営業
目的 情報提供により自社や製品・サービスに興味を持ってもらう 製品・サービスを購入してもらう
アプローチ対象 コンテンツを介した接点がある人 接点のない人
主な手法 オウンドメディア
メールマガジン
ホワイトペーパー
ウェビナー
テレアポ
飛び込み営業
ダイレクトメール
受注までの期間 長期間 短期間

インバウンド営業とアウトバウンド営業の大きな違いは、顧客との最初の起点です。アウトバウンド営業では営業担当が直接顧客と接点を持ち、自社製品・サービスの購入へと働きかけます。一方でインバウンド営業では、コンテンツを起点に顧客にとって有益な情報提供を行い、顧客の興味を引き出し、自社や製品・サービスへ認知を図ります。

インバウンド営業が注目される理由

インバウンド営業が注目される理由は、顧客の購買行動の変化にあります。以前は購買に至るまでの情報の多くは営業担当者から直接情報収集していました。現在はインターネットの普及により、顧客はWeb上で情報収集し、製品・サービスの比較検討を行い、営業担当者に会う時点にはすでに購買プロセスの大半を終えています

Web上での情報収集が当たり前になったため、多くの企業は顧客に興味を持ってもらえるコンテンツを発信し、顧客の関心を集めて問い合わせの促進につなげるインバウンド営業に取り組んでいます。

2.インバウンド営業のメリット

インバウンド営業のメリットを紹介します。

  • アポ獲得率と受注率を上げられる
  • 営業活動を効率化できる
  • 潜在ニーズを発掘できる

アポ獲得率と受注率を上げられる

インバウンド営業は、顧客が問い合わせを行う時点ですでに製品・サービスへの興味を持っている状態のため、アウトバウンド営業と比べてアポを獲得しやすく、受注へとつなげやすい点がメリットです。

コンテンツによって顧客は製品・サービスの特徴の把握や検討を行っているため、これまで営業担当者が行っていた顧客への情報提供をコンテンツが担えます。そのため営業担当のスキルに依存せず、見込み顧客を集め受注率の向上が期待できます。

営業活動を効率化できる

インバウンド営業では、自社製品・サービスに興味関心のある顧客へアプローチできるため、成約につながりやすく営業活動を効率化できます。

アウトバウンド営業ではアポを獲得するために、自社製品・サービスへの認知・興味のない顧客にもアプローチしなければならず、アポ獲得に多くのリソースが必要です。インバウンド営業の場合、コンテンツにより製品・サービスに興味関心を持った顧客の方からアプローチしてくるため、アポ獲得のリソースを減らせ、商談に向けた顧客分析などに時間を使えます。

潜在ニーズを発掘できる

インバウンド営業は長期的なアプローチにより顧客データが蓄積でき、顧客情報の分析により把握できていなかった潜在ニーズの発掘につながります。

潜在ニーズが把握できると、商談の際に顧客のニーズに合わせた情報提供やアプローチが可能となり、成約率の向上も期待できるでしょう。

3.インバウンド営業のデメリット

インバウンド営業には以下のデメリットもあります。

  • 成果が出るまでに時間がかかる
  • コンテンツ制作にコストがかかる
  • マーケティングスキルが必要になる

成果が出るまでに時間がかかる

インバウンド営業は、アウトバウンド営業に比べ顧客からの問い合わせからアポ獲得・成約までは早い傾向ですが、顧客が問い合わせに至るまでに時間がかかります。

顧客の興味関心を引き出すためには、コンテンツによる情報発信を長期的に行うことが必要です。成果が出るまでにある程度時間がかかることを事前に理解した上で取り組みましょう。

コンテンツ制作にコストがかかる

インバウンド営業では、顧客へ情報提供するためのコンテンツの制作が必要ですが、コンテンツ制作にはコストと時間、人的リソースがかかります。長期的に取り組む営業スタイルのため、事前に必要なリソースを確保しましょう。

またコンテンツ制作には、ユーザーが求める情報を仮説立てコンテンツに反映していく必要があるため、マーケティングスキルが欠かせません。社内に知見がない場合は、マーケティング経験者の採用や外部のコンサルを依頼すると良いでしょう。

4.インバウンド営業の6つの手法

インバウンド営業の6つの手法について紹介します。

  • 【1】メルマガ
  • 【2】ウェビナー
  • 【3】お役立ち資料(ホワイトペーパー)
  • 【4】Web広告
  • 【5】オウンドメディア
  • 【6】SNS

【1】メルマガ

メルマガは、自社で持っている見込み顧客リストに対して行う、メールを用いた定期的な情報発信です。製品・サービスの直接的な宣伝ではなく、ノウハウや調査データなど顧客にとって役に立つ情報を発信し、顧客の興味関心を引き出します。

メルマガは顧客リストとメールを配信するツールがあれば、すぐに始められる点が特徴です。メール配信ツールを利用すると配信管理の効率化だけでなく、メルマガの開封率やクリック率などを計測できるため、効果検証に役立ちます。

関連記事:「メルマガ配信とは?開封率の高いメールマガジンの作り方やテンプレートまで徹底解説

【2】ウェビナー

ウェビナーは、製品・サービスの活用事例やノウハウなどの紹介をオンライン会議ツールを利用して実施するセミナーです。参加者は申し込みの際には製品・サービスについてある程度の興味を持っているため、アポや受注につながりやすい特徴があります。

資料の準備と講師を押さえれば実施可能なため、会場を押さえる必要のある対面のセミナーより実施コストが少なくすみます。ただし自社の認知度が低いと集客がむずかしいため、その場合は他社との共催セミナーから始めると良いでしょう。

関連記事:「【集客数UPが狙える!】ウェビナーとは?メリットや活用事例も解説

【3】お役立ち資料(ホワイトペーパー)

お役立ち資料はホワイトペーパーとも呼ばれ、ノウハウや調査データをまとめたPDF形式で配布される資料です。販売促進を目的に自社の製品・サービス内容をまとめた営業資料とは異なり、ホワイトペーパーは顧客の課題解決に役立つ情報をまとめます。

Webサイトで公開し、ダウンロードする際に顧客の氏名、会社名、メールアドレスなどの情報を提供してもらうことで、新規顧客獲得につながります。見込み顧客がダウンロードしたホワイトペーパーの内容から顧客の興味関心度合いを推測でき、それをもとに効果的なアプローチ手法を検討できます。

関連記事:「ホワイトペーパーとは?活用方法・構成・作り方まで解説

【4】Web広告

Web広告はWebサイトや検索エンジンを使用した広告でリスティング広告、ディスプレイ広告、リターゲティング広告などです。広告の種類によって、ニーズが顕在化している顧客であったり、顕在化していない顧客を含めた広い対象であったりと、アプローチするターゲット層を選択できます。

低予算から始められ、出稿した広告の効果測定ができる点が特徴です。効果的に運用するには、ターゲットの検索行動を予測・分析し、ターゲットの興味関心に合わせた広告を選びましょう。

関連記事:「Web広告の7種類を解説 基礎知識や選定ポイントも紹介

【5】オウンドメディア

オウンドメディアは自社で保有するメディアのことで、定期的に情報発信を行い、顧客との信頼関係を築きます。オウンドメディアでは、顧客の興味関心のあるトピックの記事でPVを集め、お問い合わせやホワイトペーパーなどでリード獲得へつなげます。

メディアへの集客を増やしPVを集めるには、顧客のニーズに合った質の高いコンテンツを継続的に発信する必要があります。中長期的な取り組みとなるため、事前にオウンドメディア運用の目的を明確にすること、十分なリソースを確保することが必要です。

関連記事:「オウンドメディアの意味とは?運用事例や成功のポイントまで解説

【6】SNS

Facebook、X、InstagramなどのSNSで情報発信を行い、認知を獲得します。SNSでは顧客への有益な情報提供も重要ですが、共感や親しみを得てユーザーの指示を集めて、自社のファンを増やすことに有効です。

フォロワーが増えると、ユーザーがコンテンツを拡散してくれる可能性があり、認知拡大が期待できます。アカウントを作成するだけですぐに始められますが、効果を得るには長期的な投稿の継続が必要です。

5.インバウンド営業の進め方のコツ

インバウンド営業を効果的に進めるためのコツを紹介します。

  • 顧客のニーズをつかむ
  • 顧客の導線を設計する
  • コンテンツ制作・営業体制を整える

顧客のニーズをつかむ

インバウンド営業で成果を出すには、顧客の持つニーズに合ったコンテンツの制作が大切です。そのためには、顧客データの分析やヒアリングなどにより、顧客が課題を解決するための行動を推測します。

顧客ニーズの把握は、顧客に寄り添ったコンテンツ制作だけでなく、その後の営業活動にも重要な役割を果たします。ニーズを正しく把握するには、自社のターゲットを明確にしておくことも必要です。ターゲットの明確化とニーズの設定は、効果的な手法を選定する上でも欠かせません。

コンテンツの導線を設計する

インバウンド営業では、コンテンツを起点に顧客が能動的に購入につながる行動へと移すための導線設計が必要です。インバウンド営業の目的はあくまでもアポを獲得し、受注へとつなげることです。コンテンツが顧客に届いても、顧客が次のステップへと行動を起こさなければインバウンド営業の成果にはつながりません。

顧客の能動的な行動は、ウェビナーへの申し込みやホワイトペーパーのダウンロード、問い合わせなどです。これらの行動により顧客情報が獲得でき、見込み顧客をメルマガなどでさらに興味関心を引き上げ、アポ獲得・受注へとつなげます。

コンテンツ制作・営業体制を整える

継続的にコンテンツを制作するには、社内の体制を作る必要があります。コンテンツ制作には時間と労力がかかります。内製か外注か、予算はどの程度なのか、事前に決めて計画的に取り組みましょう。

また見込み顧客から問い合わせなどのアクションがあった際に、すぐに対応できるよう営業体制を整えておく必要もあります。見込み顧客の興味関心が高まったタイミングを逃さないよう、問い合わせの窓口を決めておき、スムーズに次のステップへとつなげられるよう社内の体制を整備しましょう。リソースに余裕がある場合、マーケティング部門と営業部門の分業体制の構築や、反響型のインサイドセールスの導入も効果的です。

6.まとめ

インバウンド営業は、コンテンツを通して顧客の興味関心を引き出してから問い合わせにつなげるため、アポ獲得とその後の受注率が従来の営業手法より高い傾向にあります。

一方で継続的なコンテンツの発信が必要となり、成果が出るまで時間がかかり、そのための社内体制の整備が必要です。コンテンツ制作のための準備は、その後の営業活動を効果的に進めるためにも大事な工程のため、しっかりと準備をして受注率アップへつなげましょう。


この記事を書いた人

縫村 優
縫村 優 | ライター

サイエンス分野から一転、BtoBマーケティングの世界へ。BeMARKE編集部でコンテンツ制作を担当。読者が実践的な知識を得られるコンテンツを提供するため、BtoBマーケティングに携わる人たちの声に耳を傾けている。

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