Tips/寄稿
組織課題の見える化を行い、業務改善を目指したシステム導入コンサルティングを実施するフライクが、システム導入の遅れがもたらす企業リスクについて改善する連載企画。前回は、CRM・SFAの導入戦略について解説をしました。
今回は、CRM・SFA利活用のベストプラクティスとして株式会社フライクの事例を徹底解説していきます。
これまでの連載記事
https://be-marke.jp/author/453
フライクでは、35個のITツールを利用しておりますが、それらのITツールはSalesforceを中心としてAPI連携※という技術を使いシステム連携を実装しています。
※APIとは「Application Programming Interface」の略で、異なるITシステムやクラウドツール、アプリケーションがデータや機能を相互に共有・利用できるようにするための仕組みです。APIを通じて、あるアプリケーションが別のアプリケーションにデータを要求したり、機能を実行したりすることが可能になります。
今回は、CRM・SFAの基礎編と応用編について詳しい利活用事例も含めてご説明いたします。
【基礎編】CRM・SFA×情報一元化
1.WEBからの問い合わせを自動反映
2.連絡・活動履歴の一元管理
【応用編】CRM・SFA×業務生産性効率
3.商談受注後の契約管理自動化
4.請求書作成&メール送付と会計ソフトとの連携
WEBからのお問い合わせを自動で受け取り、顧客情報の管理とフォローアップまでを効率化します。
【1】サイトからのお問い合わせ
自社サイトに設置したお問い合わせフォームから、見込み顧客が問い合わせを送信します。
【2】自動返信メールの送信
お問い合わせが届いたことを確認したら、すぐに見込み顧客に自動返信メールが送信されます。これにより、迅速な対応を実現し、顧客の期待に応えます。
【3】問い合わせ内容をCRMに自動登録
見込み顧客の問い合わせ内容が、顧客管理システム(CRM)に自動で転記されます。これにより、手動での入力が不要になり、ミスを防ぎながら情報を一元管理できます。
【4】マーケティングオートメーションで顧客行動を追跡
CRMはマーケティングオートメーションツールと連携しているため、見込み顧客がどのコンテンツを参照したか、どのページを訪問したかなどの行動データを把握できます。この情報に基づいて、見込み顧客に興味・関心に合わせたアプローチが可能になります
自社サイトの問い合わせフォームを通じて届いた情報は、自動でCRMに登録され、問い合わせ履歴として一元管理されます。これにより、手動入力の手間が省かれ、情報の記録ミスや抜け漏れが防げます。営業担当者は、最新の顧客情報を即座に確認できるため、素早い対応が可能です。
CRMとマーケティングオートメーションツールを連携させることで、見込み顧客が自社サイトで閲覧したページやコンテンツを記録します。これにより、顧客がどの製品やサービスに興味を持っているかが分かり、営業活動の参考にできます。
見込み顧客がどの情報に関心を持っているかをもとに、最適なフォローアップが可能になります。例えば、メールやコンテンツの提供を通じて顧客の興味を引き続け、商談に進むための関係構築がしやすくなります
この流れでは、SalesforceやZoom Phone、amptalkを活用して、顧客との連絡履歴が自動で一元管理され、業務の効率が向上します。以下の手順で実現できます。
Salesforceの顧客ページで電話番号をクリックするだけで、Zoom Phoneを経由して自動的に電話が発信されます。営業担当者は携帯電話で顧客電話番号を打つことなく、そのまま架電を開始できるため、時間の節約になります。
通話終了後、営業担当者は電話内容をSalesforceの活動記録に手動で登録します。これにより、どの顧客と何を話したかの基本的な記録がSalesforce上に残ります。
Zoom Phoneでの通話内容は自動的に録音され、録音データがamptalkに転送されます。amptalkではこの録音データが解析され、会話の内容や顧客の反応が把握できるようになります。
amptalkが通話データを解析した結果、通話内容や顧客の反応が自動的にSalesforceの活動履歴に転記されます。さらに、amptalkのAIによる分析結果から得られた次回アクション(フォローアップや予約内容)も記録されるため、担当者が対応を次に進めやすくなります。
Salesforceの活動オブジェクトで、電話やメール、Zoom Phoneを使った通話、Web会議の履歴をすべて一元管理できます。これにより、顧客とのすべてのコミュニケーションが一つの場所に集約されるため、担当者も過去の履歴をすべて記憶する必要はなく、必要なタイミングで情報を読み返すことができます。
各顧客にひもづいた活動内容がすべての営業担当者に共有されるため、担当者が変わっても過去のやり取りをすぐに確認できます。これにより、顧客対応が滞ることなくスムーズに進められ、顧客からも「一貫した対応」として評価されやすくなります。
Zoom Phoneやamptalkとの連携により、通話内容が自動で記録され、Salesforceに活動履歴として自動登録されます。担当者が手動での入力作業を減らせるため、記録漏れやミスがなくなり、他の重要な業務に集中できます。
amptalkのAI解析により、通話内容から得られた次回のアクションやフォローアップ情報が自動でSalesforceに記録されます。これにより、営業担当者が各顧客のニーズに応じた迅速かつ適切な対応が可能になり、商談の成功率も高まります。
この流れでは、Salesforce、Box、DocuSignを連携させることで、商談受注後の契約手続きを自動化し、業務の効率を大幅に向上させます。以下のようなステップで契約の生成から保管、管理までがシームレスに進みます。
まず、進めている商談・提案が内諾されたら、顧客との契約に必要な発注書がSalesforceで自動生成されます。この発注書はBoxに保管されるため、セキュリティを確保しつつ、社内外で簡単に共有が可能です。
Boxに保管された発注書は、DocuSignと連携し電子契約書として顧客に送信されます。担当者はワンクリックで発注書をDocuSignに連携できるため、契約書の郵送やPDF添付といった手間を省き、迅速に契約プロセスを開始できます。
顧客がDocuSign上で電子契約書に署名を完了すると、締結済みの契約書が自動的に指定されたBoxのフォルダに保管されます。これにより、契約書の保管場所が明確になり、社内の関係者がすぐにアクセスできる状態が整います。
顧客の押印が完了した電子契約書は、Boxに保管されると同時に、Salesforceにもその情報が自動的に連携されます。このプロセスにより、Salesforce上に契約のレコードが自動で生成され、担当者が手動で情報を入力する手間が省けます。契約ステータスが一元管理され、最新情報を常に把握できるため、後のフォローや更新の際にも便利です。
商談が内諾すると、Salesforceから自動的に発注書が生成され、Boxに保管されます。手動で契約書を作成する手間がなくなり、契約手続きがシームレスに開始できます。この仕組みで、営業担当者は迅速に次のステップに移行でき、業務のスピードと正確性が向上します。
DocuSignでの署名プロセスやBoxへの契約書保管はすべて自動で行われるため、営業チームは契約の進捗をSalesforce上でリアルタイムに追跡できます。これにより、契約完了までの状況を常に把握でき、次に必要なステップを見逃すことがありません。契約手続きがスムーズに進むため、営業担当者も顧客も安心してプロセスを進められます。
契約が締結されると、Boxに保管された契約情報がSalesforceに自動で連携され、契約レコードが生成されます。このリアルタイムの記録により、担当者や管理者は契約の進行状況を常に確認できるため、フォローアップのタイミングや次に取るべきアクションが明確になります。
契約データや進行状況がSalesforceとBoxで一元管理されることで、契約関連の情報を社内で簡単に共有・確認できます。契約書はすべてBoxに安全に保管されているため、必要なときにいつでも参照可能で、業務のスピードと透明性が向上します
Salesforce、Box、freee会計を連携させることで、請求書作成から送付、会計処理までがワンクリックで完結し、業務がスムーズに進行します。以下の手順で、一元管理が実現できます。
月末になったら、Salesforceにその月の請求対象となる取引一覧を表示します。
担当者は請求対象の一覧を確認した後、Salesforce上のボタンをクリックするだけで、すべての請求データが自動生成されます。この作業がワンクリックで完了するため、手間がかからずミスも防止できます。
Salesforceで作成された請求データをもとにPDFとして自動的に請求書がBoxに保管さます。担当者が請求書PDFに簡単にアクセスできるよう、Boxのダウンロード用URLがSalesforceに返却されます。これにより、請求書の保存場所が明確に一元管理され、担当者が手間をかけずに最新の請求書へアクセスできるようになります。
Salesforceに返却されたURLをもとに、担当者は再びボタン一つで請求書メールを顧客に送信します。
顧客はこのメール内のリンクから、Box上の請求書をダウンロードできます。メールの作成や請求書の添付といった手間が省かれ、顧客もシンプルな操作で請求書を確認できるため、双方向の利便性が向上します。
顧客にメールが送信されると同時に、freee会計に請求データが「売掛金」として自動的に仕訳登録されます。これにより、請求情報が会計システムにも一貫して記録され、経理担当者が手動で入力する必要がなくなります。売上や請求データがリアルタイムで正確に記録されるため、経理作業の効率化と信頼性が向上します。
請求書PDFは自動で作成されてBoxに保管され、社内担当者はボタン一つで請求書メールを送付が可能です。これにより、手作業での添付漏れや送信ミスがなくなり、確実に請求業務を行うことができます。業務の正確さが向上し、請求漏れや遅延が防げるため、キャッシュフローの安定にもつながります。
請求書の送信と同時に、freee会計に売掛金として自動的に仕訳が登録されます。これにより、経理担当者が手作業でデータ入力をする必要がなくなり、入力漏れや入力ミスが防止されます。財務管理が一貫してスムーズに進むため、経理作業の効率が大幅に向上し、経理部門の負担が軽減されます。
請求書の作成から送付、保管、会計処理までの一連の業務がSalesforceとfreee会計で一元管理されるため、営業担当者はシンプルな操作で請求処理を完了できます。これにより、営業チームは細かい請求業務に追われることなく、商談や顧客フォローなどの営業活動に専念でき、業務効率と売上の向上が期待できます。
Boxを通じてクラウド上に請求書を安全に保管することで、社内外からいつでも迅速にアクセスできるようになります。さらに、Salesforce上でリンク管理がされているため、請求書を探す手間が省け、社内チームでの情報共有が簡単になります。これにより、社内のどの担当者も顧客対応に必要な請求情報をすぐに確認でき、顧客対応のスピードと正確さが向上します。
いかがでしたでしょうか? CRM・SFAの導入により得られるメリットや、業務に合わせた機能追加によって、さらに便利で実用的なシステムになるイメージを持っていただけたかと思います。ぜひ、CRM・SFAを活用し、効率的な業務改善を実現してみてください。