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BtoB中小企業におすすめ~はじめてのWebマーケティング5ステップ

BtoB中小企業におすすめ~はじめてのWebマーケティング5ステップ

世の中のオンラインシフトで、従来の足で稼ぐ営業スタイルでは新たな顧客獲得が難しくなってきていますよね。しかし、何をすればWebサイトから問い合わせを獲得できるのか。さまざまな方法論や施策があって、学ぶにも実践するにも混乱してしまう方もいるかと思います。

そこで、本記事では「はじめてWebマーケティングを実践するBtoB中小企業が実施すべき5ステップ」を解説します。

著者が代表を務める株式会社Coneでは、月間100件以上の問い合わせを定常的に獲得できており、実際に私たちが実践した方法を紹介していきます。

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目次

BtoB中小企業がWebマーケティングに取り組む際のポイント

具体的な施策や手順を紹介する前に、BtoB商材を扱う中小企業がWebマーケティングに取り組む際の3つのポイントについて解説します。

  • 中小企業は市場選定が重要。「勝てる場所」を選ぶ
  • 「人」以上に、「コンテンツ」に投資する
  • BtoBマーケティングの取り組む施策の順番を守る

中小企業は市場選定が重要。「勝てる場所」を選ぶ

予算も人員も限られている中小企業にとって「誰向けにサービスを提供するのか」は非常に重要です。大手企業のようにマス層に広告を出す予算もなければ、大規模な営業組織で広範囲に営業活動を実施できません。

予算と人員を投下できる大手企業とターゲットが重なってしまうと、自社の顧客獲得が難しくなってしまいます。そこで、自社のターゲットを絞り込むことが重要です。

つまり、戦う競合の「数」と「質」が小さくなるように自社のターゲット顧客を設定すると、自社が獲得できる顧客数と勝率が上がるということ。

広告代理店カテゴリで戦う場合|BeMARKE(ビーマーケ)

提供できることが同じでも勝てる場所の選択によって結果が大きく変わってきます。

弊社Coneももともと「クリエイティブ制作会社」でしたが、「資料作成代行会社」へと戦う場所(メインターゲット)を変更することで、顧客獲得数と勝率が上がっています。

「人」以上に、「コンテンツ」に投資する

人数が少ない企業は、営業やマーケティングに充てる人手が足りないのに加えて、採用するのも難しい。そこで、資料や記事などの「コンテンツ」に投資します。

たとえば、記事を書いて公開してWeb上に残しておくことで、その記事が営業パーソンの代わりにサービスの説明をしてくれます。事例集などの資料を作成して、見込み顧客に送付することで営業パーソンの架電の代わりに導入事例の紹介をしてくれます。

人以上にコンテンツに投資すること|BeMARKE(ビーマーケ)

つまり、コンテンツとは「人の代わりに働いてくれる」中小企業の味方なのです。少人数・低予算での顧客獲得を実現するなら必須でコンテンツ作成に注力する必要があります。

BtoBマーケティングの取り組む施策の順番を守る

コンテンツを作っているだけでは顧客は来てくれません。問い合わせが獲得できたとしても、数が足りなかったり、受注につながらなかったりと期待以上の効果が出ない可能性があります。

そこで意識したいのが、取り組む施策の「順番」です。まずは「すでに解決策を探している」顕在層。つぎに「ニーズは抱えているが解決策は探していない」潜在層です。

BtoBマーケティングの取り組む施策の順番を守ること|BeMARKE(ビーマーケ)

顕在層にリーチするためにはコンテンツだけではなく、広告も上手に使っていく必要があります。コンテンツだけ作成していると潜在層へのリーチが多くなり、収益が成り立ちません。

【1】顕在層向けの施策→【2】潜在層向けの施策、と「順番」を守ることが、中小企業の継続的な問い合わせの獲得にとって非常に重要です。上記のように文字に起こすと当たり前だと思うかもしれませんが、なかなかこの順番を守れている企業は少ないように思います。

感覚的には理解していても、いざ施策を実行しようとすると「今自社がどの種類の施策を、どの層向けに、行っているのか」が曖昧になってしまって、ただ施策を打っているだけの状態になってしまいます。

そこで、次の章から「正しい順番」でのマーケティング施策を5つ紹介していきます。

BtoB中小企業向け「はじめてのマーケティング施策」5ステップ

BtoB商材を扱う中小企業がはじめてWebマーケティングを実践していただきたい施策は5つ。ステップ(正しい順)は次の通りです。

  1. サービスサイトの整備
  2. リスティング広告の出稿
  3. 導入事例の追加・充実
  4. 広告媒体の拡張
  5. オウンドメディアの運用

1:サービスサイトの整備

まずサービスサイトが整備されていない場合は、コンテンツを充実させる必要があります。サービスサイトは問い合わせを獲得する上で「営業パーソンの代わりに顧客にサービスを説明する」という重要な役割を担います。

サービスサイトを充実させる上で重視したいのは以下4つの項目です。

  • 1-1:キャッチコピー(ファーストビュー)
  • 1-2:導入事例
  • 1-3:できること(依頼できる業務・機能)
  • 1-4:CTA

1-1:キャッチコピー(ファーストビュー)

見込み顧客がサービスサイトに訪れた際に、最も気になっていることは「このサービスは自社の何を解決してくれるサービスなのか」です。

よくある失敗が「〇〇社会の実現へ」などの抽象的なメッセージになっているケースです。「自分に関係ないな」と思われてしまうとファーストビューで離脱してしまうことも。

そこで以下の点に留意してファーストビュー・キャッチコピーを設定します。

  • サービスのイメージが湧く画像を設定しているか
  • キャッチコピーは「ターゲット」「提供できる価値」が明確か
  • 実績が一目でわかるか
資料作成代行サービスc-slideのファーストビュー|BeMARKE(ビーマーケ)
引用:資料作成代行サービスc-slideのファーストビュー

弊社サービスサイトも、

  • 資料の画像:資料作成代行サービスのイメージを
  • 成果・最速というコピー:提供できる価値を
  • 導入事例企業ロゴ&800社導入:実績がすぐわかる

と上記3点を押さえたファーストビューとです。

1-2:導入事例

2点目は「導入事例」が充実しているかどうかです。再度確認しておきたいのが、見込み顧客がサービスサイトに訪れた際に、最も気になっていることは「このサービスは自社の何を解決してくれるサービスなのか」でした。

導入事例はその見込み顧客が気になっている「他の顧客も同じように課題を解決したよ」ということを伝える最適なコンテンツです。

導入事例インタビューを実施し、クライアントの画像をアイキャッチに、具体的な支援事例を個別記事で紹介します。

支援事例|資料作成代行サービスc-slide|BeMARKE(ビーマーケ)
引用:支援事例|資料作成代行サービスc-slide

この導入事例は最初、用意できないかもしれません。その場合は、クライアント名を隠して支援内容やお客様の声を記載します。クライアント名なしで意味があるのか、と不安になるかもしれませんが少なからず効果はあるので実践しましょう。

ポイントは「自社と同じような企業が同じような課題を解決できているのか」なので「企業規模(従業員数)」「業界・業種」「抱えていた課題」「効果」を記載するようにします。

1-3:CTA

最後に、結局は「見込み顧客からの問い合わせ獲得」がゴールなので、CTAを準備します。

  • 資料ダウンロード
  • 問い合わせ
  • 無料相談
  • 無料トライアル
  • 無料デモ体験
  • 無料会員登録

などがCTAに該当します。

CTAの例|BeMARKE(ビーマーケ)

「問い合わせ」でも構いませんが、サービスサイトでの顧客心理を考慮に入れて「無料で相談する」などコピーを調整し、見込み顧客の行動ハードルを下げるようなCTAを複数設置しましょう。

設置する位置は最低限4つほど、

  • ヘッダー
  • ファーストビュー内
  • 「事例」「料金」の近く
  • 最下部

には設置しておきましょう。

2:リスティング広告の出稿

サービスサイトのコンテンツを整備できたら、顧客獲得のための広告を出稿します。ここで注意したいのは「まずはリスティング広告から」ということ。

リスティング広告とは「検索連動型広告」とも呼ばれ、ユーザーが検索したキーワードの検索画面の上部に表示できる広告のこと。

リスティング広告の出稿|BeMARKE(ビーマーケ)

解決策を探すために入力するキーワードで自社サイトを表示できれば、問い合わせ獲得の可能性が高くなります。たとえば、資料作成代行サービスを運営する弊社の場合だと「資料作成 外注」や「資料作成 代行 会社」などがそれに該当します。

資料作成代行 キーワードの検索画面結果|BeMARKE(ビーマーケ)
引用:引用:資料作成代行 キーワードの検索画面結果

リスティング広告はキーワードの選定やサービスサイトの充実度によって成果が変わってきますが、Googleのサポートを受けながら自社で調整していくことである程度のリード獲得数(問い合わせ数)は期待できます。

3:導入事例の拡充

次は、問い合わせ獲得数(率)を向上させるために導入事例の拡充を行います。

導入事例数・種類が多く、かつ詳細に記載されていることで見込み顧客の中で信頼度が上がり、発注イメージが湧くため、問い合わせ獲得数(率)が向上します。

この導入事例に力を入れていない企業が意外と多いため、注力できると非常に差がつくポイントとなります。

導入事例を拡充していくポイントは以下のとおりです。

  • 3-1:知名度の高い顧客事例を追加
  • 3-2:獲得したい層の顧客事例を追加
  • 3-3:最も成果が出ている顧客事例を“詳細版”で追加

3-1:知名度の高い顧客事例を追加

まずは、だれもが知っている知名度の高い大手企業が自社顧客にいれば、そちらを追加します。有名な企業が事例にあるだけで、問い合わせ数が増加します。

実際弊社の導入事例に大手企業を追加した際も「あの企業が導入しているなら信頼できるから問い合わせてみよう」という理由での問い合わせが増えました。

3-2:獲得したい層の顧客事例を追加

次に、自社が獲得したい顧客層の事例を追加します。たとえばマーケティング部の問い合わせを増やしたいのであれば、マーケティング部の課題を解決した事例を追加するといった具合です。

追加できたらサービスサイトの事例部分の最初に表示しておきます。

弊社では獲得したい層が変わるたびにサービスサイトの最初に表示する事例を変更しています。

獲得したい層の顧客事例を追加|BeMARKE(ビーマーケ)

現在は、ホワイトペーパーの制作代行の依頼増加を図って、その類似事例を最初に表示していますが、実際にホワイトペーパーの依頼が増えています(依頼が増えるというよりは受注率が向上しているというイメージです)。

3-3:最も成果が出ている顧客事例を“詳細版”で追加

最後に、最も成果がでている顧客事例を「かなり詳しく」記事コンテンツにするというもの。見込み顧客に、依頼してから成果が出るまでのロードマップを共有するように記事コンテンツを執筆します。

具体的な支援の流れを示すことで、この支援事例と同じように支援してほしい、というイメージを見込み顧客の頭の中に作ることができます。発注・契約の不安を払拭し、受注率向上に寄与するコンテンツになります。

弊社では「資料作成代行の使い方」というコンテンツを用意し、成果が出るまでの道筋を示しています。

引用:c-slideの「資料作成代行の使い方」ページ|BeMARKE(ビーマーケ)
引用:c-slideの「資料作成代行の使い方」ページ

上記3つの事例が拡充できてきたと感じても、引き続きより多くの数・種類の事例を追加していきましょう。あればあるだけ良いです(目安は最低20程度)。

また、導入事例インタビュー打診のタイミングとしては、受注してすぐのミーティングなどで許可を取っておくことをおすすめします。

4:媒体選定の幅を広げる

リスティング広告は「今解決策を探している顕在層ユーザーにリーチできる広告」でした。リスティング広告である程度結果が出はじめ、導入事例が拡充できてきたら、より多くの見込み顧客へリーチするために利用する媒体の幅を広げていきます。ざっくりとしたターゲット別の広告一覧は以下のとおりです。

顕在層・淳顕在層・潜在層別の広告一覧|BeMARKE(ビーマーケ)

上記の施策の中でも中小企業にとって武器となる広告は以下2つです。

  • 4-1:Facebook広告
  • 4-2:記事広告

4-1:Facebook広告

Facebookは日本国内ではコミュニケーションツールとしてビジネス利用されているため、BtoB企業にとっては非常に有効なチャネルです。Facebook広告はターゲティング精度が非常に高く、自社のターゲット顧客がFacebookを閲覧している際に、自社サービスを露出させることができます。

よくホワイトペーパーのダウンロードさせるFacebook広告が流れてきますが、中小企業にとってそれはおすすめできません。

「〇〇のコツとは?」というようなホワイトペーパーをダウンロードした見込み顧客に商談打診をしても商談化することはほぼありません。中小企業にその労力をかける余裕はないので、基本的にはサービスサイトにジャンプさせて、コンバージョンを起こすためにFacebook広告を活用しましょう。

以下のように認知・CV別にさまざまなパターンを作成し、「一年中流しっぱなし」にすることで、潜在層に覚えてもらい、ニーズが発生したタイミングで一番に思い出してもらうようにします。

c-slideのFacebook広告|BeMARKE(ビーマーケ)

4-2:記事広告

記事広告とは、アクセスが集まっているメディアに有料で記事を出稿する手段のことです。メディアによって、読者の層が異なるため、自社のターゲット層がいるメディアに出稿することを意識しましょう。

  • リスティング広告ではリーチできない層に対してアプローチができる
  • 被リンクを獲得できる
  • Web上に記事コンテンツとして残り続ける
  • 指名検索数が増える

と、インバウンド施策として非常に優秀な施策です。

内容は、メディア側と相談して決めていくのですが、基本的にはクライアントの成功事例がおすすめです。自社サービスカテゴリの利用を検討している層に向けて書くのが最も売上に近くなるからです。

また、メディアとクライアントと自社の3社で進めていく形になるので、満足のいく内容や広告成果になれば、再度発注であったり解約を防ぐ副次的なメリットも得られます。

参考までに下記は、弊社がChatworkストレージテクノロジーズ株式会社さんとLIGブログさんに掲載した記事広告です。

150社以上が活用!低コスト・短納期・多用途の資料が作れる「c-slide」とは? | 株式会社LIG(リグ)|DX支援・システム開発・Web制作

5:オウンドメディアの運用

最後に、広告に頼らない手段としてオウンドメディアの運用(SEO記事)に取り掛かります。

リスティング広告では「解決策を探すために入力するキーワード」で自社サイトを表示していました。その考え方と同じように「解決策を探すため・知りたいことを知るために入力するキーワード」で自社ブログ記事を表示させ、内容を読んでもらい、記事の途中や最後に自社サービスを紹介することで問い合わせを獲得する手法です。

自社メンバーで記事を執筆・更新し、自社記事が上位表示されることで、広告依存の顧客獲得体制から脱却できます。実際、弊社は「広告:40%、自然検索:60%」の顧客獲得となっており、広告費の削減を実現できています。

以下は弊社オウンドメディアで「営業資料 作り方」で検索した際に出てくる記事で、この記事から問い合わせを獲得しています。参考までに一度見てみてください。

営業資料の作り方と必須4ページ。構成やデザインも解説(テンプレート付)|シースラ|BeMARKE(ビーマーケ)
引用: 営業資料の作り方と必須4ページ。構成やデザインも解説(テンプレート付)|シースラ

オウンドメディアの立ち上げ方と、記事の書き方についてはそれぞれ弊社メディア記事で紹介していますのでこちらをご覧ください。

  • オウンドメディアの立ち上げ方→こちらから
  • SEO記事の書き方→こちらから

最後に

BtoB中小企業のマーケティング施策の実施5ステップは以上です。市場選定と正しい順番を守ってコンテンツに投資しましょう。

※本記事は、「BtoB中小企業のWebマーケティング戦略。最低限の5ステップ実践方法 | ConeTent(コーンテント)」をBeMARKE読者向けに内容を一部編集したものです。

BeMARKE編集部より

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この記事を書いた人

佐藤立樹
佐藤立樹 | 株式会社Cone 代表取締役

 立命館大学卒業後、2019年株式会社Coneを設立。資料作成代行サービス「c-slide」, 記事作成代行サービス「c-blog」などのBPO事業を展開し、BPOサービス比較サイト「b-pos」をリリース。BPO事業は累計支援企業900社超、比較サイトは累計掲載200社超の経験から、コンテンツマーケティング、コンテンツセールスについての情報を発信。(X:https://x.com/rk310117)  

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