基本ノウハウ
「MAを導入することになったけれど、どう選べば良いのか判断ができない」
「BtoB企業とBtoC企業で選ぶMAも変わるようだけれど、BtoB企業がどんなMAを選べば良いのか分からない」
上記のような悩みを持つ方のために、本記事ではBtoB企業がMAを選定する際のポイントや、おすすめのMAについて解説します。
MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング業務を効率化するツールです。
BtoB企業がMAを利用する場合は、主にリード(見込み顧客)の育成・絞り込みや、リード獲得の効率化を目的として利用されることが多く、一般的にはリードマネジメントのツールと認識されています。
ただし、営業なしに取引が成立する一部の事業を除けば、MAの役割はフィールドセールスへ受注の可能性が高いと判断されたリードを優先的に引き継ぎ、受注につなげることにあります。つまり、MAはマーケティング業務を効率化するツールですが、営業とも切り離せない関係にあるのです。マーケティング領域と営業領域の連携をスムーズに行うために、MA自体に営業活動をサポートする機能が備わっている場合もあります。
自社に適したMAを選定するにあたり、どのような観点から検討を行うべきか、ポイントを5つまとめました。
MAを選ぶ際には、自社が課題と感じている領域についてサポートしてくれるMAかどうかを確認しましょう。
MAはさまざまなベンダーから提供されていますが、搭載されている機能はMAによって違い、得意とする領域も異なります。
【1】Webマーケティング領域を得意とするMA
主に集客・リード獲得を行うための機能が充実しているMAです。ランディングページの制作が簡単にできたり、Webトラッキング機能によってリード別にWebページの表示を変更できるパーソナライズ機能などがあります。
【2】リード育成や商談創出を得意とするMA
見込み顧客の興味・関心を高めるリード育成を行ったり、商談創出を行うための機能が充実しているMAです。メール配信や、見込み顧客のニーズのレベルを推定するためのスコアリング機能などがあります。
【3】営業強化を得意とするMA
マーケティングの専門チームを持たず、営業がマーケティングを兼任しているような企業向けのMAです。SFAの機能を搭載していたり、営業向けのサポートが充実していたりといった特徴があります。
例えば、下記a・bのような異なる課題がある場合、課題改善のために必要な機能が違うため、選ぶべきMAも変わります。
a.自社サイトのPV数はある程度獲得できているけれどCVにつながらずリード獲得数が増えない
b.獲得リードにアポを取っても商談に結びつかずリード育成が進んでいない
aのケースでは【1】Webマーケティングの領域を得意とするMA、bのケースでは【2】リード育成や商談創出を得意とするMAが活用できるでしょう。
自社の課題を把握した上で、その課題を解決できるMAはどれかを検討しましょう。
主要なMA製品の得意領域を知りたい場合はサービスガイドをご覧ください。
MAを選ぶ際には、商談の進捗や顧客情報を管理できるSFA/CRMなどのツールと連携できるMAであることが非常に重要です。
MAとSFA/CRMを連携することで、Webサイト上でのリードの行動履歴や興味関心について情報を引き継ぎ、営業チームの商談活動に活用できます。さらに、マーケティング領域でどのようなルートから流入したリードが商談・受注に至ったかを確認できるため、その流入ルートを強化するなど、今後のマーケティングに生かすことができます。
連携機能がない場合、営業部門のデータとの紐づけに多くの工数を費やすことになります。また、個別にマーケティングを行う「One to Oneマーケティング」の実現が難しくなってしまうのです。
前述のように、SFAの機能を搭載しているMAもあります。MAとSFA両方の導入が難しい場合は、SFA機能つきのMAを検討すると良いでしょう。自社で既にSFA/CRMを活用している場合は、導入済みのSFA/CRMと連携可能なMAであるかを確認しましょう。
MAはサポートの内容や搭載する機能などによって価格が大きく変動します。MAを選ぶ際には、自社が必要としている機能をあらかじめ選定した上で、コストパフォーマンスに優れているかどうかを重視しましょう。
機能を最初から絞り、必要な機能だけを課金して追加するMAもあります。最初から限定的な利用を想定している場合は、そういったMAの方がコストを抑えられるかもしれません。
ただし、基本価格が安いMAであっても、扱うリード数やドメイン数など条件によって料金が上乗せになるケースが多くあります。そうした場合は、元々高機能のMAの方がトータルで見ると低コストで済む可能性があります。
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MA導入に必要な費用が分かる!価格決定の要因と選定ポイントを解説
MAを選ぶ際には、使いこなせるMAであることが重要です。どれほど高機能のMAを導入しても、その機能を活用できなければ意味がありません。担当者のスキルに見合わない高機能のMAで挫折することがないように、初めての導入の場合はシンプルなMAを検討した方が良いでしょう。
また、担当者にとって使いやすいUIであるかどうか、分かりやすい日本語で書かれているかなど、操作性も含めて考える必要があります。
MAを選ぶ際には、ベンダーサポートが充実しているかどうかも重要です。
ベンダーによっては顧客同士が活用について話し合えるユーザーコミュニティを提供していたり、戦略設計からベンダーが関わったりと、企業がMAを活用できるようにさまざまな取り組みを行っています。
企業の規模によっては高機能のMAを扱わざるを得ず、しかし活用できるかどうか不安に感じているというケースもあるでしょう。そうした場合には、充実したサポート体制を取っているベンダーのMAを選ぶことで、安心してMAを活用できるはずです。
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各ベンダーのカスタマーサポートに関するインタビュー記事
前章で解説した観点から、BtoB企業に特におすすめのMAを条件別に選定しました。自社に合ったMAを探している方は、参考にしてみてください。
SATORI株式会社の提供する「SATORI」は、匿名リードに積極的に働きかけるしくみによりリード獲得に強みを持つMAです。
まだリード情報を取得できていないリードについて、「匿名リード」として行動履歴を管理できる機能を搭載しています。「SATORI」は匿名リードのセグメントが非常に豊富で、履歴に基づいて匿名リードを分け、特定のセグメントの匿名リードにのみアプローチすることができます。ランディングページ制作、フォーム制作、ポップアップ機能など、リード獲得に役立つさまざまな機能も標準搭載されています。
サービスガイド|SATORIの情報を見る
HubSpot Japan株式会社が提供する「HubSpot Marketing Hub」は、Webサイトを強化し、良質なコンテンツを提供することによりユーザーからのCVを待つリード獲得に強みを持つMAです。
HubSpotはランディングページ制作、CTA制作、ABテスト、チャットボットの設置などの機能に加え、SEOを分析する機能も実装されています。Webサイトの検索順位を上げるためにどの箇所に課題があるかを分析し、PDCAを回しながら改善することができるため、リード獲得やその前段階の集客に力を発揮するでしょう。
サービスガイド|HubSpot Marketing Hubの情報を見る
株式会社シャノンの提供する「SHANON MARKETING PLATFORM」は、複数のチャネルを横断し、スコアリングや豊富な項目からのセグメンテーションによるリード育成・絞り込みに強みを持つMAです。
イベントマーケティングのシステムを導入すればオンライン・オフラインを問わずイベントの一元管理が可能で、展示会であれば会期前から終了後のフォローまでを一貫して行うことができます。
他にもユーザーの動画の視聴時間などを分析する機能でユーザーニーズを測ったり、セミナー運用を効果的に行うための機能が充実していたりと、さまざまな施策について分析・効率化が可能なMAです。
サービスガイド|SHANON MARKETEING PLATFORMの情報を見る
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ユーザーの課題に即時対応できるカスタマーサポートが強み。専任コンサルによるマーケ施策全体のサポートも【SHANON MARKETING PLATFORM】
出典:https://www.synergy-marketing.co.jp/cloud/synergylead/
シナジーマーケティング株式会社が提供する「Synergy!LEAD」は、必要な機能に応じて課金するシステムを採用しているシンプルなMAです。
Salesforceとの連携が前提にはなりますが、メール配信、フォーム作成、Webトラッキング(※メールorフォーム契約時に追加可能)などの機能について、必要なものだけを実装することができます。多機能すぎてMAを使いこなせずにいるケースを考えると、必要な機能のみを搭載したシンプルなMAの方が使い勝手が良く、特に初心者のマーケターにとっては成果を上げやすいかもしれません。
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MAを使いこなせるよう、必要な機能だけを提供し、専門部隊によるサポートを【Synergy!LEAD】
アイセールス株式会社が提供する「i:Sales」は、営業担当者向けに特化したMAです。
マーケターのためのMAとは異なり、「営業パーソンのために作られたデジタル営業システム」であるため、営業にとって使いやすい機能をそろえたMAとなっています。
営業資料をアップロードして管理したり、Web名刺を作成したり、見込み顧客の打ち合わせ記録などをデータ管理できるSFA機能も搭載しています。また、MAの使い方が分からず使いこなせないという状況を防ぐために、併走コンサルタントを実施しています。
サービスガイド|i:Salesの情報を見る
出典:https://www.salesforce.com/jp/
株式会社セールスフォース・ジャパンの提供する「Marketing Cloud Account Engagement」は、高度な分析を可能にするMAです。
プランにもよりますが大量のリードやPVに対応でき、蓄積した情報をAIによって解析します。送信メールに関する分析はもちろん、同社が提供するSFA/CRM「Sales Cloud」と連携することにより、どの施策によってどれだけ売上を出せたかなどの投資対効果の分析や、マーケティング領域から営業領域まで一貫した顧客管理を実現し、効率化を図ることができます。
サービスガイド|Marketing Cloud Account Engagementの情報を見る
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MA導入から効果創出に至る「ジャーニー」を提示しサポート。ユーザーコミュニティ活用でマーケ施策を加速【Account Engagement】
クラウドサーカス株式会社の提供する「BowNow」は、とにかく低コストでMAを使い始められるMAです。スタートは無料から可能で、Webトラッキング機能やメール配信機能など基本的なMAの機能をある程度利用でき、条件に応じてプランを変更していく形式を採用しています。
予算がない中小企業や、マーケティング初心者にとっても導入しやすいMAです。
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最短で成果につなげる「クイックウィン」の取り組みで、ユーザーのMA活用を促進【BowNow】
出典:https://www.kairosmarketing.net/marketing-automation
カイロスマーケティング株式会社が提供する「Kairos3 MA」は、必要な機能は十分備えつつ低価格で、コストパフォーマンスに優れたMAです。
最低契約期間を1年と定めているMAが多いなか、「Kairos3 MA」では半年間としています。また、料金は月間のPVやリード数、メール送信数などに応じた従量課金制で、支払い価格は月ごとに変動するため無駄がありません。
導入してからのサポートも充実しているため、マーケティング初心者や、マーケティングを兼務することになった営業担当者には特におすすめできるツールです。
サービスガイド|Kairos3 MAの情報を見る
アドビ株式会社が提供する「Adobe Marketo Engage」は、MAの中では高機能・高価格帯製品です。カスタマーサクセスが充実しており、導入前の検討段階からのサポート、さらに導入後の支援についても優れたMAです。
導入前には、コンサルタントチームが各企業の課題に寄り添った提案を行います。導入後には、操作方法をマスターするためのトレーニングの機会が設けられ、豊富なオンライン学習のコンテンツが用意されています。ユーザーが自走できるようになるまで、手厚い支援を受けられるMAです。
サービスガイド|Adobe Marketo Engageの情報を見る
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ユーザーコミュニティの活性化とコンサルの徹底したサポートにより、ユーザーのMA活用を実現【Adobe Marketo Engage】
本記事でご紹介した9社を含む合計25社の「MA機能比較表」をお配りしています。今回解説した機能面だけでなく、ご質問の多い初期費用、月額目安やプラン内容なども比較しています。ぜひお役立てください。
MAをどういう観点から選ぶか、選び方についてお伝えしました。BtoB企業向けにさまざまなMAが提供されていますが、自社の課題を解決できるMAを選ぶことが、成果を上げる近道です。自社にとって必要な機能が何かを洗い出し、MAを選定してください。