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BtoB企業の広告運用で押さえておくべき施策の優先順位と広告媒体の選定基準

BtoB企業の広告運用で押さえておくべき施策の優先順位と広告媒体の選定基準

前回は「BtoB企業が運用型広告に取り組む前に意識したい5つのこと」というテーマでした。広告運用を行うにあたってコンバージョンポイントの整備やリード獲得の先までを見据えた体制を整えることは大切ですよね。

さて今回は、いざ広告運用を開始しようと思った際に直面する「何から始めれば良いの?」という疑問にお答えしていきます。
ネット広告の媒体もさまざまなものがありますが、BtoBの商材を扱う場合、どのように施策の優先順位を決め、どの広告媒体を選べば良いのでしょうか?

目次

商材タイプごとに施策の優先順位を理解する

ネット広告を始める前にまずはみなさんが取り扱っている商材のタイプを理解しましょう。商材タイプごとにマッチした施策があり、合わない施策を行ってもなかなか結果を出すことはできません。

BtoBだからといって一括りにするのではなく、商材と施策との相性を見極める上で「カテゴリーキーワードの検索数×ターゲット数」から施策を考えることをおすすめしています。下の図は上下に「カテゴリーキーワードの検索数」、左右に「ターゲット数」を評価軸とし、4区分(4象限)でBtoBサービスをマッピングしています【下図】

4区分(4象限)でBtoBサービスをマッピング(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

カテゴリーキーワードとは、特定の分野や商品カテゴリーを代表するキーワードで、関連する商品やサービス全般を指す言葉のことです。

例)
SaaS型の会計ソフト:「会計ソフト」
・組織課題の解決サービス:「組織コンサルティング」

これらのカテゴリーキーワードの検索数をGoogleのキーワードプランナーで見ると次のような数値が提示されます。

・SaaS型の会計ソフト:「会計ソフト」|月間検索数約12,100件
・組織課題の解決サービス:「組織コンサルティング」月間検索数約170件

※数字は2024年12月23日時点。以下の検索数も同じ

検索ボリューム自体が少なければSEOや検索広告に力を入れてもビジネスにとって十分な成果が得られづらいでしょう。逆に検索エンジンで情報を探している方が多ければ、検索結果での対策の重要性が高いと考えられますよね。

横軸のターゲット数は、どれだけの企業がそのサービスを導入する可能性があるかを示しています。例えば、会計ソフトであれば業種を問わず導入の可能性があります。一方で、医療業界に特化したコンサルティングサービスであれば、導入する可能性がある企業はおのずと限られます。

このように、同じBtoBサービスであっても、どのカテゴリーに属するか、誰をターゲットとしているかで大きく分類が可能です。

続いて分類ごとに特徴や向いている広告手法を紹介していきます。

検索数が多く、ターゲットも多いビジネス

検索数が多く、ターゲットも多いビジネス(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

「検索数も多くてターゲットが広いビジネス」は、例えばどの企業でも導入の可能性がある「会計ソフト」などが当てはまります。

運用型広告は検索中心のポートフォリオに

運用型広告は検索中心のポートフォリオに(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)"

カテゴリーキーワードの検索数が一定以上ある場合、多くのユーザーが商品に関する情報を能動的に探している状態です。そのため、検索広告へ優先的に取り組むのがおすすめです。

また、検索ユーザーは購入意欲が高いため、コンバージョンポイント(以下、CVポイント)としては、無料トライアルや資料請求、お見積もりといった、適度なハードルのある選択肢でも問題ありません。

ただし、検索を中心とした施策は、同業他社も同じ戦略を取るため、競争が激しくなりCPC(クリック単価)が高まる可能性があります。そのため、競争になりやすいキーワードはLP(ランディングページ)でCVR(コンバージョン率)を高める施策もあわせて取り組む必要があります。高いCVRを実現できれば、高いCPCであっても期待した費用対効果が得られやすくなります。

力を入れるべきその他の施策

能動的に検索しているユーザーが多いビジネスでは、検索広告の他にも次のような施策に力を入れるのも有効です。

オウンドメディアの活用

情報収集を目的とした検索を行うユーザーも多いため、オウンドメディアの活用も有効な施策です。ユーザーのニーズや疑問に応えられるコンテンツを提供することで、ターゲットとするユーザーに見つけてもらいやすくなり、検討初期の潜在顧客との接点を持ちやすくなります。

BtoB商材の比較サイトへの掲載

さらに、カテゴリーキーワードの検索数が多いBtoB商材では「◯◯ おすすめ」「◯◯ 比較」といった比較系のキーワードを含んだ検索数も多い傾向があります。これらのキーワードの検索結果にアプローチする方法のひとつに、BtoB商材の比較サイトへの掲載も有効です。

比較サイトを活用することで、効果的にターゲットユーザーにアプローチが期待できます。もちろんこの場合には、比較される他社商品に対して明確な強みを持っているのが望ましいことは押さえておきましょう。

サイト訪問ユーザーへの再アプローチするリターゲティング配信

また、検索広告以外にもSNSやディスプレイ広告でサイトを訪れたユーザーへのリターゲティング配信が有効です。一般的にBtoB商材は検討期間が長く比較もされやすい傾向があります。

そのため、一度サイトを離脱した後にも選択肢に入れてもらったり思い出してもらうために、リターゲティング広告の配信で接触頻度を高めることも検討する余地があります。

検索数が少なく、ターゲットは多いビジネス

検索数が少なく、ターゲットは多いビジネス(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

「検索数が少なく、ターゲットは多いビジネス」には、例えば「組織コンサルティング」が挙げられます。

組織の課題を抱えている経営者や人事担当者が非常に多いと考えられますが、解決する方法を思いついていないケースが多いため検索数は少ない傾向があります。また、新規性が高く市場自体はまだない商材やサービスも同様です。そのような場合には検索広告ではなかなかアプローチが難しいでしょう。

しかしながら「組織コンサルティング」は特定の業界に限定されたサービスではなく、従業員数が数十名以上の企業であれば、ほとんどが対象となる商材です。そのため、検索数は少ないものの、潜在的なターゲットとなる企業の数は非常に多いのが特徴です。

このような場合には、CVポイントを工夫して設計した上でSNSやディスプレイ広告の活用がおすすめです。

CVポイントを複数設けてSNSやディスプレイ広告を活用する

CVポイントを複数設けてSNSやディスプレイ広告を活用する

検索という顕在的な行動に至らずとも、潜在的な需要の多い商材では、Meta広告やX広告、デマンドジェネレーションキャンペーンなどの活用が有効です。

ただし、検索ユーザーと異なり購入意欲が高いわけではないため、CVポイントは低く設定する必要があります。ホワイトペーパーのダウンロードやセミナーへの参加登録などを通じて、まずは関心層のリードを獲得していくことをおすすめします。

なお、「組織コンサルティング」であれば、人事や経営者など利用対象となる職種や肩書が限定されます。このような特徴的な情報を利用した広告のターゲティング手法として「Meta広告の類似オーディエンス」は成果につながりやすい傾向があります。また、FacebookやLinkedInなどのビジネス領域でも活用されやすいSNS、Microsoft広告をはじめとしたビジネス向き媒体の広告利用もBtoBに特化したターゲティングが用意されているため有効です。

プル(待つ)のではなくプッシュするのが大切

検索行動に至らないカテゴリーの商材では、検索をするのを待つ検索広告のようなプル型の施策ではなく、こちらから課題を提示したり問題に気づいてもらうようなプッシュ型の施策が大切です。

例えば次のような施策が挙げられます。

  • 広報活動
  • SNS運用

まだ市場でカテゴリーとしての認知がされていない段階である場合、積極的な広報活動が非常に重要です。新しいジャンルであればあるほど、知見を持つ人が少ないため、業界のトレンドや関連情報をSNSやプレスリリースを通じて発信することを強くおすすめします。

また、プッシュ型の施策としてXやInstagram、YouTubeチャンネルなどSNS運用も重要です。サービスに関連する役立つ情報や興味を引くコンテンツを継続的に発信し、関心のある潜在顧客へ届けるのに有効ですね。

継続的に情報を発信していくことで、業界内での認知度を高め「真っ先に思い浮かぶ存在」として認識されやすくなり、市場のリーダー的存在として位置付けられることも期待できます。まだ市場がない場合にも、カテゴリーリーダーとして第一想起を獲得しやすくなるでしょう。

検索数が多く、ターゲットは少ないビジネス

検索数が多く、ターゲットは少ないビジネス(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

「検索数が多く、ターゲットは少ないビジネス」にはどのようなサービスが挙げられるでしょうか。例えば「ERP(※)」などが当てはまるでしょう。

※ERPとは、Enterprise Resources Planning の略であり、企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切に分配し有効活用する計画=考え方を意味し現在では、「基幹系情報システム」を指すことが多い。

カテゴリーキーワードである「ERP」はGoogleキーワードプランナーで調べてみるとおよそ3.3万件の月間検索数があります。一方で、ERPを導入するのは従業員数が数百名以上のエンタープライズ系の企業が多くなります。したがってターゲットになる企業も一定数に限られると考えられますね。

検索面を強化しつつもホワイトペーパーやセミナーを挟み集客する

検索数が多いので検索面を中心に強化をしていきましょう。ただ、ターゲットが少なく、特にERPなどエンタープライズ向けのサービスでは検討期間も長くなります。組織が大きければ大きいほどその傾向が顕著です。そのため、すぐにお問い合わせや商談を生み出すことが難しいジャンルです。

そのため、ホワイトペーパーやセミナーなどを活用し接点を持ち、長期的にコミュニケーションを取っていく必要があります。
例えば、BtoBセールスやマーケティングを支援するSaaSを提供しているある企業では、セミナーを頻繁に実施し、リード獲得をしています。セミナーの中でサービスの魅力を伝えて商談に引き上げているようです。

商材の良さが伝わりにくい場合、セミナーを開催し情報提供の中に商品の魅力を伝えるコンテンツを挟み、セールスにつなげるのは鉄板の施策のひとつです。

また、サービス導入の意思決定者あるいは深く関わる方と、「ERP」などで検索を行っている担当者は別であるケースがほとんどではないでしょうか。そのため、セミナーなどで獲得したリードを入り口に、組織の意思決定のフローを把握するのもこのカテゴリーの商材では大切です。

SNS広告もホワイトペーパーやセミナーをCVポイントとして活用

SNS広告もホワイトペーパーやセミナーをCVポイントとして活用(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)"

CVポイントがセミナーやホワイトペーパーが中心となるため、「検索数が少なくターゲットが狭いビジネス」と同様にMeta広告やX広告などのSNS広告も有効です。また、LinkedIn広告も企業属性や役職を区切ってターゲティングが可能なためうまくCV数増につながることが多いです。

LinkedInはビジネスに特化したSNSであるため他のSNS広告と比べてユーザー数が少なく、競争度も高いためコンバージョン単価が高めになりやすい傾向があります。ただし、基本はビジネス利用であるため、商談に比較的つながりやすく、受注への高い貢献度が期待できます。

オウンドメディアやSNS運用など情報発信は不可欠

カテゴリーキーワードの検索数も多いため、対象キーワードで検索結果の上位掲載を狙うことは重要です。そのため、オウンドメディアや自社サイトのSEO対策は必須になるでしょう。

また、近年ではXなどのSNSで情報収集するビジネスマンも増えています。ターゲットがSNSで情報収集するようなビジネスの場合、SNS運用の優先度を上げて取り組むのも一つの手だと考えます。

オフライン施策も組み合わせる

エンタープライズ向けのビジネスでは、オフライン施策との組み合わせも重要です。例えば、展示会への出展や手紙を送ってアポイントを取得する方法が効果的です。

特に上場企業をターゲットにする場合、企業の公式サイトなどから役員の名前や関連情報を入手しやすいため、ターゲットとなる相手に向けた手紙を活用する企業も増えています。

検索数が少なく、ターゲットも少ないビジネス

検索数が少なく、ターゲットも少ないビジネス(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

「検索数が少なく、ターゲットも少ないビジネス」は難易度がいっそう高くなりますよね。エンタープライズ向けかつ、バーティカルなプロダクトの多くが当てはまります。

例えば「船舶管理システム」などのキーワードのGoogleキーワードプランナーで調べた月間検索数は約30件しかありません。海運業に特化したSaaSであり、海運業を営んでいる会社は限られるため当然ですよね。

このようなジャンルのプロダクトだと、ターゲットの人々もインターネットで情報を収集することも少ない可能性があります。そのため無理にネット広告を活用するのはおすすめできません。その代わり展示会に出展したり、企業の役職者向けの手紙施策(CXOレター)やFAX、テレアポ、顧問紹介サービスを通じたアプローチなど、人脈を駆使して意思決定者とつながり、提案の機会を獲得できる施策の優先度が上がります。

BtoBでの広告媒体の選定基準は?

ここまで商材タイプごとに大まかの施策の方向性を記載してきました。次に商材タイプを理解した上で運用型広告に落とし込んでいきます。広告媒体ごとの優先順位が存在しますので紹介していきます。

顕在層から取り組む

顕在層から取り組む(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

BtoB企業向けの運用型広告では基本的には上記のように顕在層にアプローチできる検索広告が優先度の高い媒体です。

BtoBで検索広告が重要な3つの理由(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ))"

BtoBマーケティングにおいて検索広告は重要なチャネルの一つです。その3つの理由を順番に紹介します。

利用率が高い

利用率が高い(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

Googleの調査によれば約90%のBtoB企業が情報収集に活用しているチャネルだと言われています。みなさんもビジネスでの情報収集で必ず「検索」という行動をするのではないでしょうか?利用率が高いチャネルは広告配信先としては押えておきたいところですね。

The Changing Face of B2B Marketing

顕在層にアプローチできるから結果が出やすい

顕在層にアプローチできるから結果が出やすい(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

検索広告は、顕在層に直接アプローチできる効果的なチャネルです。

例えば、CRMツールを提供する企業のマーケティング担当者として、検索広告を活用する場面を考えてみましょう。「CRM導入」や「CRMおすすめ」といったキーワードで検索するユーザーに広告を表示すれば、CRMツールを探している人にピンポイントでリーチできます。このようなユーザーはすでにCRMツールの導入に関心を持っているため、リードを獲得しやすいといえます。

商談や受注につながりやすい

商談や受注につながりやすい(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)"

商材などにもよりますが検索広告経由のCVは商談や受注につながりやすい傾向にあります。
検索広告は検索をして情報収集しているユーザーに広告を閲覧させることができます。自ら検索をしてまで情報収集をしているのでユーザーの意欲が高い状態だと想定できます。

一方でディスプレイやSNS広告は移動中であったり業務の休み時間など暇つぶしや、なんとなくで見ていることが多いかと思います。そのため、検索広告のユーザーほど、意欲が高い状態ではないのですぐに商談や受注につながる状態ではないことが多いです。検索広告の方が商談化率や受注率が高い傾向にあります。

これまで数多くのBtoB企業の広告運用を支援してきましたが、ほとんどのビジネスで検索広告の方が商談化率や受注率が高い傾向にありました。もちろん、指名キーワード(ブランド名での広告)での配信からの流入は商談化率や受注率が高いのは当たり前ですが、CRM導入などの一般キーワードからの流入も高くなるのが大半です。

一方で検索広告は検索されないと広告を出すことができないチャネルであり、ディスプレイやSNS広告ほど柔軟にターゲティングができないという特性もあります。検索数が少ないサービスであれば最低限の検索広告を実施し、ディスプレイやSNS広告の優先度が高くなるケースもあります。検索広告の優先度も上げつつも商材タイプに合わせて取り組んでいきましょう。

Meta広告も優先的に取り組む

BtoBでMeta広告をおすすめする3つの理由(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ))"

検索広告の次に優先順位が高いのはMeta広告です。Meta広告はFacebookを中心に実名制を基本とした正確なデータベースによるターゲティング精度が高く、また以下のように法人向けの興味関心、他にも社員数や業界などのターゲティングも多く存在します。

BtoBターゲティングも豊富な詳細ターゲット(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)"

さらにターゲティング精度が高いため、クリエイティブさえ用意できれば検索広告よりも運用は比較的シンプルです。そのため、これからネット広告を始めるという方でも取り組みやすい広告媒体でもあります。

▼検索数が少なく、ターゲットは多いビジネス

検索数が少なく、ターゲットは多いビジネス(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

ご紹介した「検索数が少なく、ターゲットは多いビジネス」商材タイプでは、検索広告よりもMeta広告の優先度が高くなる傾向にあります。

3つの軸で広告媒体の優先度をつける

このように検索広告とMeta広告から優先的に取り組むことをおすすめしています。一方で

検索広告やMeta広告以外にも広告媒体は存在し、他の媒体について気になる方や他の媒体も取り組んでいきたいと考えている方向けに、広告媒体を選定する優先順位を3つの軸で紹介していきます。

【1】BtoBターゲティングが可能か?

BtoBターゲティングの例(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

BtoBはBtoCと比べて対象顧客が少ないのでピンポイントのターゲティングが求められます。そのため、BtoBターゲティングができる媒体を優先的に選んで取り組んでいくのが良いでしょう。

例えば、Meta広告であれば以下のように管理画面で人事と検索しただけでもさまざまな法人向けのターゲティングが存在します

BtoBターゲティングも豊富な詳細ターゲット(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)"

他にもLinkedIn広告であれば部署や業種や規模など細かなBtoBターゲティングが可能です。このようなBtoBターゲティングができる媒体の優先度を上げて対応していきましょう。

BtoBのシグナルが少ない媒体(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

一方でまだまだ、BtoBターゲティングのシグナルが少ない媒体もあるのも事実です。例えばLINE広告であれば、Meta広告ほどのターゲティングの精度がまだなく、BtoBターゲティングが豊富にある媒体ではありません。

TikTokは普段見ている動画の傾向に合わせて広告のターゲティングを行う媒体です。近年、YouTubeではPIVOTなどビジネス系の動画メディアが出てきたことで「YouTubeでビジネス情報を調べたり、学んだりする人も増えている」と感じています。

一方でTiktokではまだまだビジネス系の動画が少ないためターゲティング元となるデータが足りない印象です。そのため、他のBtoBターゲティングが豊富な広告媒体と比べると現時点では少し優先度を下げるのがよいでしょう。

【2】クリエイティブの情報量

クリエイティブの情報量(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)"

BtoB企業は、情報量の多いクリエイティブを掲載できる広告媒体は優先的に取り組むのをおすすめします。

なぜなら法人向けのサービスは、商品画像を1枚だけみても機能や仕組みが理解できない場合が多いため、十分な理解を促すにはクリエイティブで一定以上の情報を伝える必要があります。

「キャンペーンのパフォーマンスをさらに高めるカルーセル広告

キャンペーンのパフォーマンスをさらに高めるカルーセル広告 | Meta for Business」より引用 

そのため、複数の画像や動画を横並びに表示できるMeta広告の「カルーセル」や比較的長い動画の視聴に向いているYouTubeの「動画広告」は魅力的な広告媒体です。

【3】媒体を利用するユーザー数から優先度を把握する

主要SNS|月間アクティブユーザー数「株式会社ガイアックス「人気ソーシャルメディアのユーザー数まとめ」より引用

株式会社ガイアックス「人気ソーシャルメディアのユーザー数まとめ」より引用 

ユーザー数が多いということはその分だけ多くの人にリーチができます。そのためなるべくユーザー数が多い広告媒体は優先度を上げていきたいですよね。

ユーザー数から優先度を把握する

総務省が発表している、「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」ではインターネット関連のメディアの利用状況がよくまとまっています。

【1】【2】に加えて、ビジネスの対象となるユーザーはどの媒体を多く利用しているかも踏まえて媒体の優先度を考えてみるのがおすすめです。

取り組む広告媒体の優先度まとめ

BtoB向け運用型広告媒体の優先度(アナグラム株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

これまで挙げた要素を広告媒体ごとに評価したのがこちらの一覧です。

BtoBであれば検索とMeta広告を中心に運用するケースが多いです。CVポイントのハードルを下げてリードの数を取るのであればデマンドジェネレーション広告やX広告、LinkedInやYouTubeまで広げていきます。

LINE、ネイティブやDSP、Tik tokなどは各媒体でもしっかりとやりきり、それでも広げていくフェーズの企業であればチャレンジしても良いでしょう。あくまでもBtoB企業を一括りにした上で、著者の知見をもとにした推奨です。ぜひ自社のビジネスで重要なポイントを整理して、取り組むべき広告媒体を選定してみてください。

まとめ

BtoBに限りませんが、なんとなく広告運用を始めてしまうと商材タイプにあっていない広告手法に時間や費用を割いてしまい、うまくいかない可能性が高まってしまいます。
まずは「カテゴリーキーワードの検索数」と「ターゲット数」で自社の商材タイプを見極めた上で、基本的には検索広告とMeta広告から取り組んでいくことをおすすめしています。

さらに取り組む広告媒体を広げていく場合には、「BtoBターゲティングの有無」や「クリエイティブの情報量」、「媒体を利用するユーザー数」という3つの観点で優先順位をつけてみてください。

次回は広告費を無駄にしないためにこれだけは押さえたい、Web広告のクリエイティブ・LPの基本といったテーマでBtoB向けの広告クリエイティブにおける重要なポイントを紹介していきます。

BeMARKE編集部より

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この記事を書いた人

二平燎平
二平燎平 | アナグラム株式会社 広告運用部マネージャー

BtoB中心に数十社以上の広告運用を経験。前職での中小企業向けERPのセールスやCS、マーケティングなどTheModelの全工程に従事した経験と運用型広告の知見を合わせた売上を伸ばすBtoBマーケティングコンサルティングに定評があり、アナグラム株式会社は主にBtoB向けの支援や情報発信を担当。2024年3月に『BtoBマーケティング“打ち手”大全 広告運用で受注を勝ち取る 最強の戦略 88 (できるMarketing Bible)』を出版。
X:https://x.com/btob_hachiware

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