基本ノウハウ
リスティング広告は、自社サイトへの流入を増やす施策の1つです。導入企業が続々と増えているなか、「自社でも取り入れたいが、そもそもどのような広告か分からない」という方も多いでしょう。
本記事ではリスティング広告とは何か、概要や仕組みを解説します。メリット・デメリットや向いている企業・商材のほか、具体的なやり方もあわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
まずはリスティング広告とは何か、概要を簡単に解説します。混同しやすいディスプレイ広告や、SEOとの違いもあわせてチェックしていきましょう。
リスティング広告とは、検索窓に入力した言葉に連動して関連性の高い内容を掲載するテキスト広告です。
別名として、次のような名称も使われています。
リスティング広告の出稿媒体としては、主にGoogle広告やYahoo!広告の2種類があります。掲載フォーマットは、おおよそ以下の3つです。
掲載できる文字数や表現などは制限があるため、リスティング広告を始める際は各媒体のルールをあらかじめ確認しましょう。
参考:Googleヘルプ|Google広告のポリシー / Yahoo!広告|広告掲載基準
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリなどに設けられた枠に表示される広告です。リスティング広告との違いは、下表のようにターゲットや掲載フォーマットなどにあります。
リスティング広告 | ディスプレイ広告 | |
---|---|---|
主なターゲット | 顕在層 | 潜在層 |
掲載場所 | 検索結果画面の最上部や最下部 | Webサイトやアプリなどの広告枠 |
掲載フォーマット | テキスト | 画像や動画 |
ディスプレイ広告は画像や動画などが表示される分、視覚的な訴求力の高さが最大のメリットです。ユーザーの目に留まりやすいことから、認知拡大向けの広告といえます。リスティング広告とはターゲットも異なるため、予算に応じて併用する、あるいは使い分けると良いでしょう。
ディスプレイ広告を初めとしたWeb広告の種類は、こちらの記事でも解説しています。各媒体の特徴や選定ポイントを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「Web広告の7種類を解説 基礎知識や選定ポイントも紹介」
SEOとは、検索結果画面で自社サイトを上位表示させる施策です。リスティング広告との違いは、下表のように上位表示の確度や流入の継続性などにあります。
特徴 | リスティング広告 | SEO |
---|---|---|
掲載場所 | 検索結果画面の広告枠(最上部や最下部) | 検索結果画面の広告枠以外 |
上位表示 | ○ 即効性があり、予算を投じるほど上位表示の可能性が上がる |
△ 数か月かかり、かつ必ずしも上位表示されるとは限らない |
自社サイトへの流入 | △ 出稿停止とともになくなる |
○ 上位表示される限り続く |
施策の柔軟性 | ◎ 効果測定の結果を踏まえ、予算やキーワードなどを臨機応変に変更できる |
△ 加筆修正はできるが、大幅な変更はSEO評価に影響があるため難しい |
費用対効果 | △ 配信中は運用コストがかかり続け、出稿を停止すると効果がなくなる |
◎ 上位表示されれば中長期的な効果が期待できる |
クリック率を上げ、自社サイトへの流入増加が目的の1つである点はリスティング広告・SEOともに共通しています。互いのメリットを強め、デメリットも補完できるよう、2つの施策は併用するのがおすすめです。
例えばSEOで中長期的な集客基盤を作り、リスティング広告で特定期間のプロモーションを強化すると集客力アップが期待できます。SEOの基礎知識について振り返りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「SEOとは?用語の基礎知識を初心者にも分かりやすく解説」
リスティング広告は「1クリック〇円」といった、クリック課金制です。1回のクリックにかかった費用はCPCと呼ばれ、以下の要素によって相場は異なります。
予算は1日あたりと、ひと月あたりの費用を自由に設定が可能です。初めて取り組む際は、30万円ほどを投じるケースが多い傾向にあります。
なおリスティング広告は、広告ランクが高い順に表示されます。広告ランクの算出方法と掲載順位の例は、下記の通りです。
広告ランク = 入札単価(上限CPC) × 品質スコア
▼広告ランクと掲載順位の例
広告主 | 入札単価(上限CPC) | 品質スコア | 広告ランク | 実際のCPC | 掲載順位 |
---|---|---|---|---|---|
A社 | 100円 | 10 | 1000 | 61円 | 1位 |
B社 | 120円 | 5 | 600 | 91円 | 2位 |
C社 | 150円 | 3 | 450 | 134円 | 3位 |
D社 | --- | --- | 400 | --- | 4位 |
品質スコアはユーザーが検索した意図と広告内容との合致具合や、遷移先のページにおける使い勝手などによって判定されます。上位表示の仕組みや費用対効果の改善方法などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「【具体例付き】CPCの計算方法|相場や改善方法も解説」
ここでは、リスティング広告のメリット・デメリットを解説します。
リスティング広告のメリットは、主に以下の3つです。
リスティング広告は設定さえ済めば、即日配信も可能です。またリスティング広告では、以下のような数値をリアルタイムでチェックできます。
簡単に効果測定できる分、改善策の検討・実行を臨機応変に進められます。短期間で費用対効果を最大化しやすい点が、リスティング広告における大きなメリットといえるでしょう。
リスティング広告のデメリットは、主に以下の2つです。
出稿中は継続的に費用がかかるなか、クリック単価が高騰するとコストもさらに増大します。想定よりも成果を上げられていない場合は一度出稿を停止し、戦略の練り直しが必要です。
また潜在層や広告を避けるユーザーには届きにくい点も、リスティング広告の欠点になります。このようなデメリットを補完するためにも、前述したディスプレイ広告やSEOとの併用を検討しましょう。
前述のメリット・デメリットなどを踏まえ、向いている・向いていない企業や商材を見ていきましょう。
リスティング広告が向いている企業や商材は、下表の通りです。
企業の特徴 | 商材の例 |
---|---|
客単価が高い商材を扱っている | 不動産、リフォーム、高級車など |
客単価は低いものの、リピート率が高い商材を扱っている | 化粧品、健康食品、エステ、フィットネスクラブ |
特定期間にニーズが高まる商材を扱っている | お中元、おせち、引っ越し業者など |
悩みの解決に直結する商材を扱っている | デジタル教材、育毛剤、カードローン、水回りのトラブル解決、弁護士など |
競合他社の商材よりも明らかに優位性が高い(安い、認知度が高いなど) | --- |
上記のような企業・商材であれば、リスティング広告の費用対効果を高められる可能性があります。ただし競合が多い・強い場合は、クリック単価の高騰で予想外にコストが膨れ上がるケースも少なくありません。
リスティング広告を展開する商材は競合が少ないなど、勝ち目のありそうな空白地帯を狙うようにしましょう。
リスティング広告が向いていない企業や商材は、下表の通りです。
企業の特徴 | 商材の例 |
---|---|
客単価やリピート率が低い商材を扱っている | 日用品、食料品、衣料品など |
Web上での操作が売上に直結しない | 店舗誘導や電話予約が必要なもの(レストランなど) |
広告以外からでも容易に入手できる商材を扱っている | 本、CD、DVDなど |
商材ニッチすぎて検索回数が極端に少ない | --- |
向いている商材か判断が付きにくい場合は、関連性の高いキーワードで実際に検索してみましょう。リスティング広告が表示されない場合は、出稿しても効果はあまり期待できません。
ただし出稿の設定や内容、他の施策との連動といった戦略によっては、ある程度の成果が期待できる場合もあります。出稿可否について迷う場合は、広告代理店などへ相談するのも1つの方法です。
最後にリスティング広告のやり方を、3つのステップに分けて解説します。
初めてリスティング広告に取り組むなら、検索エンジンの約8割を占めるGoogleの広告がおすすめです。ここではGoogle広告を例に、始め方や運用方法について見ていきましょう。
アカウント開設の手順は、以下の通りです。
最後に「アカウントを確認」をクリックすると、開設完了になります。
広告の出稿手順は、以下の通りです。
詳細設定では、以下のような項目について入力します。
審査を経る必要はありますが、早くて5分、遅くとも1営業日内にリスティング広告の出稿が可能です。広告文の土台となるキーワードの選定手順について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「【簡単5ステップ】リスティング広告のキーワード選定手順|注意点からツールまで解説」
リスティング広告の出稿後は、PDCAサイクルを回しながら適宜改善します。表示回数やクリック数などの数値から広告の効果を測定しつつ、必要に応じて広告文や入札単価などを変えます。
広告運用は自分でやるのはもちろん、広告代理店や広告運用自動化ツールなどを利用するのもおすすめです。後者は費用がかかるものの、より確実に成果を上げたい場合は検討の価値は十分あります。予算や人的リソースなど、自社の実情を踏まえて運用体制の構築を進めましょう。
リスティング広告は、導入企業が増えているWeb広告の1つです。顕在層へ直接アプローチできるため、より確度の高いユーザーの流入や成約の増加が期待できます。
ただしデメリットも少なからずあるため、ディスプレイ広告やSEOといった他の施策との併用がおすすめです。「運用人員が足りない」「社内に十分なノウハウがない」といった課題がある場合は、広告代理店などの利用も視野に入れると良いでしょう。
リスティング広告を取り入れたい方は、アカウントの開設から早速始めてみてください。