基本ノウハウ
トップ営業は、新卒含め多くの担当者が憧れる営業人材です。しかし自分も同じようになりたいと努力しても、「なかなかなれない」「何が足りないのか」と悩む方も多いでしょう。
本記事ではトップ営業に共通する特徴を、商談前・商談中・商談後といったシーン別に解説します。なるために必要な行動も、あわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
トップ営業とは成約件数やリピート率などが高く、事業の売上に一番貢献している担当者を指します。社長が自ら行う営業活動をトップ営業やトップセールスと表現する場合もありますが、本記事で扱うのは前者の意味合いです。
トップ営業はスキルが高いのはもちろん、自社内外からの信頼が厚く、良好な人間関係を構築・維持できる人材でもあります。特に安定した成績を長期的に残し、LTV(生涯顧客価値)の向上を実現できるのが真のトップ営業です。
逆に成約数が多くても、解約数も増えている場合は本当の意味でのトップ営業とは言えません。トップ営業になるためには一時的な成功ではなく、将来を見越した中長期的な視点をあわせ持つ必要があります。
営業社員が意識すべきLTVの基礎知識を振り返りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「LTVの意味とは?計算方法やLTV向上につながる施策を紹介」
トップ営業に共通する特徴を、以下に挙げる3つのシーンに分けて解説します。
なおトップ営業の特徴については、下記の記事でも紹介しています。「自分なりに頑張ってはいるけど、なかなか成果が出ない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「圧倒的成果を出し続けるトップ5%セールスの習慣とは?」
商談前のマインドや行動に着目した、トップ営業と普通の営業における違いは下表の通りです。
項目 | トップ営業 | 普通の営業 |
---|---|---|
成功し続けるための学びを獲得する | 機能・メリットなど詳細を深く理解し、競合他社との違いなどを踏まえながら最適な提案ができる | 特徴や強みをある程度は理解しているが、提案に反映できていない |
訪問先の選定 | 売上や実績の面から優先的に訪問すべきターゲットを選定している | 訪問しやすいターゲットを選定している |
アポイント | 買い替えや決算時期などを把握した上で顧客が「欲しい」と考えるだろうタイミングで連絡する | 時期を意識しない |
商談の準備 | 顧客の業界動向についても情報収集しながら顧客ニーズを深掘りし、仮説を立てる | 企業の基本的な情報のみ確認している |
普通の営業も基本は押さえていますが、視野が狭く視座も低い傾向にあります。対してトップ営業は、自社と顧客の双方が持つ情報や立場を深く理解し、行動に反映している点が特徴的といえるでしょう。
商談中のマインドや行動に着目した、トップ営業と普通の営業における違いは下表の通りです。
項目 | トップ営業 | 普通の営業 |
---|---|---|
商談の進め方 | 顧客の話を良く聞き、合意を取りながら進める | 自社や製品・サービスの説明を一方的に話す |
相手の呼び方 | 社名だけでなく、名前も呼ぶ | 社名のみ、あるいはお客様と呼ぶ |
説明 | メリット・ベネフィットはもちろん、デメリットも伝える | メリットだけを伝える |
事例紹介 | 顧客の企業規模や課題が似ている事例を紹介する | 大きな成功を収めた事例を紹介する |
質問への対応 | あらかじめ質問内容を想定し、迅速に答えられるようにしておく | 自社へ持ち帰る |
オンライン商談 | Webカメラを見て、相手と視線を合わせる | 相手の映像を見ながら話す |
決裁者との接触 | 最低でも1回は面会する | 面会を断られると、その後積極的に打診できない |
普通の営業は、目の前にある商談をなんとか成功させたい一心で行動しがちです。顧客側からすると一方的な印象が強く、心理的距離も縮まりません。
対してトップ営業は商談前にさまざまな仮説や状況を想定しているため、顧客の発言や行動に合わせて臨機応変な対応ができます。自社都合ではなく顧客を第一に考えた提案・説明もできるため、信頼感を得やすいといえるでしょう。
商談後のマインドや行動に着目した、トップ営業と普通の営業における違いは下表の通りです。
項目 | トップ営業 | 普通の営業 |
---|---|---|
顧客との約束 | 必ず守り、やむをえず延期するものは速やかに顧客へ連絡する | 守ろうとするものの通常業務に追われ、延期する際などの連絡が予定日ギリギリになってしまう |
ネクストアクション | 適宜営業フローに立ち返り、トラブルがあったときの対応案も含めて次の行動が常に明確になっている | 結果が出てから次の行動を考えている |
失敗体験 | 失敗の原因を分析する | 失敗したことに落ち込む |
普通の営業は商談の成功・失敗に一喜一憂し、心が揺さぶられている間に必要な対応が遅れがちになります。対してトップ営業は、たとえ失敗しても成功につなげるために必要な行動を起こします。場合によっては周囲の力も素直に借り、チームで契約を取りに行く姿勢も特徴的といえるでしょう。
トップ営業になるために必要な行動は、主に以下の4つです。
アプローチの方向性やタイミングなどを考える上では、顧客分析しながらターゲットの理解を深めることが不可欠です。特にBtoBビジネスはBtoCビジネスと意思決定の流れが異なるため、相手企業の担当者だけではなく、以下についても把握する必要があります。
また近年では購買行動のステップも変化しており、納得感を与えられるような営業ができないと成約につながりません。提案された商材を購入することで、顧客に「自分たちは確実にベネフィットを獲得できる」と強く感じさせることが大切です。
相手が抱えている課題の解決はもちろん、相手がより嬉しいと感じる部分、価値を感じる部分を見極めて提案するためにも、商談前から顧客理解を深めましょう。顧客理解の手法や実務に生かす手順について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「マーケティングに欠かせない顧客理解 重要性や方法を徹底解説」
営業担当者が自社の商材について良く理解し、好きになっていなければ魅力的な紹介はできません。以下のような段階を踏んで初めて、トップ営業のような顧客を引きつけるトークが可能となります。
最初から商材のすべてを把握するのは難しいとはいえ、下記は営業として最低限押さえておきたい情報です。
上記はノートやドキュメントなどに自分の言葉でまとめ、商談前に振り返る癖を付けると良いでしょう。
トップ営業になるには自分の現状について把握して足りない部分を補いつつ、強みも伸ばす必要もあります。自己分析すべき項目の例は、以下の通りです。
特にスケジュールはムダな時間はないか、時間がかかりすぎている部分はないかをチェックすると有効活用できる時間の創出につながります。
なお自己分析する際は、朝がおすすめです。業務時間中はタスクに追われ集中できず、勤務後は疲労感から自己否定に陥り適切な分析ができない場合があります。
また「トップ営業になりたい」と考えている時点で、すでに意欲が高く努力もしている状態の人が多いでしょう。努力を成果につなげるためにも行動の選択肢やテクニックを増やし、臨機応変にムダなく動けるように頑張り方を変えていきましょう。
営業成績を上げるためには、実際にトップ営業の行動・言動を間近で見てテクニックや考え方を吸収するのも1つの方法です。書籍やセミナーなどで得た知識を、実践的なレベルにまで引き上げる上でも有効といえます。
また近年ではオンライン商談が増え、トップ営業への同行はもちろん、録画した商談内容の振り返りもしやすくなりました。オンライン商談ツールなどを活用し、チーム全体でスキルアップとノウハウの標準化を図ると良いでしょう。
トップ営業とは事業の売上に一番貢献している担当者を指し、社内外からの信頼が厚い人材でもあります。長期的に安定したトップ成績を残すことから、新卒含め多くの営業担当者にとって憧れの的です。
トップ営業になるには現状のマインドや行動を変える必要があるものの、一朝一夕には実現できません。時間をかけて顧客や商材に対する理解を深め、自己分析から判明した弱みを補完しつつ、強みも伸ばす努力が大切になります。
トップ営業になりたい方は、今回紹介した方法を1つずつ実践していきましょう。