基本ノウハウ

LTVの意味とは? 売上を伸ばすLTV向上の施策と計算方法も紹介

LTVの意味とは? 売上を伸ばすLTV向上の施策と計算方法も紹介

LTVとは顧客が生涯にわたり企業にもたらす利益を表す指標です。BtoBでもマーケティング施策の立案や売上予測の安定化に貢献できるとして重視されるようになりました。

この記事では、LTVの概要や注目されるようになった背景、代表的な計算方法、LTV向上につながる施策を解説します。LTVを最大化し、売上の向上につなげるためにも、ぜひ参考にしてください。

目次

1.LTV(顧客生涯価値)とは

LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)の頭文字をとった言葉で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。企業と顧客の関係性を測る指標の1つで、顧客が特定の企業やブランドと取引を開始してから終了するまでの「顧客ライフサイクル」の中で、自社にどれだけの利益をもたらしてくれたかを表す数値です。

LTVでは1回の取引で得られる利益だけではなく、取引が終了するまで継続的にもたらされた利益に着目するのが特徴です。ロイヤルティの高い顧客ほどLTVが高く、自社にもたらす利益が多くなる傾向があり、顧客との関係性や信頼構築の度合いを把握する上でも重要な指標となります。

LTVを算出すれば、優良顧客の傾向や利益を出すサービスの傾向を分析したり、新規顧客の獲得コストと既存顧客の維持コストの目標数値を算出したりすることが可能となります。データを元に商品・サービスの企画やマーケティング、営業活動などを実践できるため、効率的かつ効果的に利益を伸ばすことにもつながるでしょう。

2.LTVが重要視される理由

BtoBにおいてLTVが重要視されるようになった理由は以下の4つが挙げられます。

  • 新規顧客の獲得がより困難に
  • サブスクリプションサービスの流行
  • 顧客が求めるサービスの多様化
  • LTVが売上予測の安定化に貢献

新規顧客の獲得がより困難に

人口減少にともなう潜在顧客の減少と市場の飽和により、どの業界も新規顧客の獲得は困難を極めています。かつて、企業はシェアを獲得して売上を上げるために、広告費をかけて新規顧客の獲得に努めていました。現代はどの業界も市場が成熟しており、限られたパイの中での顧客の奪い合いが発生しています。「1:5の法則」で新規顧客の獲得には既存顧客の維持よりも約5倍のコストがかかるといわれている上に、物価高騰や働き手の不足による人件費の上昇など、顧客獲得にかかるコストはさらに増えているのです。

新規顧客の獲得が困難になっている社会の流れに合わせて、企業は既存顧客の維持に注力し始めています。LTVはまさしく既存顧客の維持と離反防止に役立つ指標です。そのため企業戦略やマーケティング施策において重要視され、積極的に取り入れられるようになりました。

サブスクリプションサービスの流行

SaaS企業をはじめ、BtoBにおけるサブスクリプションサービスを提供する企業は増えています。先述した新規顧客の獲得が困難になっている状況もサービスが広まった理由の1つです。サブスクリプションサービスは顧客にできる限り長く契約してもらうことで利益を上げるビジネススタイルであるため、顧客の解約につながらないようフォローしたり、課題を改善したりして継続率を上げる必要があります。

そこで役立つのがLTVです。LTVが高い顧客のニーズや行動傾向を分析することで、適切なフォローや改善が必要な課題の見極めが可能になります。

顧客が求めるサービスの多様化

AIの活用や働き方改革など、技術の進歩や市場の変化によって顧客が求めるサービスは多様化しています。多様化するニーズに対応するため、近年、個々の顧客に合わせた施策を行うOne to Oneマーケティングが注目されており、それぞれの顧客との関係を深めてロイヤルティ(=サービスへの信用、愛着)を高めることが求められているのです。そのため、顧客の長期的な価値を示すLTVの活用が重要になっています。

また、オンラインやオフラインなど多様なタッチポイントが存在する現在、LTVを高めるためにはCRM(顧客関係管理)などのツールを活用したデータ収集や分析が不可欠です。ツールが普及して、技術的にLTVを算出しやすくなったこともLTVが注目されるようになった理由の1つといえます。

このような社会の変化の中で、LTVが持つ継続性という特徴が、企業の売上予測の安定化において重宝されるようになりました。

LTVが売上予測の安定化に貢献

顧客獲得競争の激化や新たなサービスの台頭など、変化が目まぐるしい社会の中でも、LTVを活用すれば売上予測の安定化が期待できます。LTVは顧客と取引を始めてから終了するまでの継続的な利益を測る指標です。データを分析することで、長期的な視点で売上を予測するため、結果として予測の安定化につながります。技術の進歩や変化が激しい社会で、既存顧客を深耕し、安定した予測を立てることは、今後の売上向上には不可欠です。

3.LTVの計算方法

LTVの計算方法はいくつかありますが、ここでは代表的な以下の3つを紹介します。

  • 購買単価×購買頻度×継続期間
  • 平均購買単価×平均購買回数
  • (売上-原価)÷購買者数

これらの式に自社の状況を当てはめて計算していけば、例えば「もっと購買単価を上げよう」「購買回数を増やさなければならない」「原価を下げる必要がある」など、課題を発見するのも容易になるでしょう。

4.LTVを向上させる3つのポイント

ここからは、3章の計算式に含まれている構成要素のうち「購買単価」「購買頻度」「継続期間」の3つに注目し、LTVを向上させる施策を紹介します。

  • 購買単価を上げる
  • 購買頻度を増やす
  • 継続期間をのばす

購買単価を上げる

1社が一度に製品やサービスを購入する「購買単価」を上げる方法です。主な施策として「サービス単価の値上げ」「アップセルクロスセルの実施」が考えられます。アップセルは既存顧客や購入を検討している顧客に対し、より高額な上位モデルを購入してもらう手法です。クロスセルは顧客が購入したものに関連する商品・サービスを提案することで、同時購入をしてもらう手法をいいます。

サービス単価の値上げを行う場合、ただ値上げしただけでは顧客が離れる可能性があるため、製品の希少性を伝えるなどして顧客に値段以外の付加価値を感じてもらわなくてはいけません。値上げの際は顧客に納得してもらうことが重要です。

アップセル・クロスセルの場合、顧客は製品・サービスに興味を持っているはずなので、上位モデルや関連製品のメリットを伝えることで乗り換えや追加購入を促せます。ECサイトなどで「この商品を購入した人は他にもこんな商品を買っています」と表示するのはクロスセルの手法です。

アップセル・クロスセルについて詳しくは「アップセル・クロスセルとは?違いや注目される背景、活用事例を学ぼう」で解説していますのでぜひご覧ください。

購買頻度を増やす

1社がサービスや製品を購入する機会を増やし、「購買頻度」を上げる方法です。主な施策として「メルマガの配信」「既存顧客への新サービス紹介」が考えられます。

メルマガの配信は、購買意欲の刺激、新規顧客の獲得、アップセルのきっかけづくりなどLTV向上にさまざまな方面からアプローチできる手法です。すぐに効果が出なくとも、有益な情報を届けることで購入を検討するタイミングで候補に入れてもらうことも期待できます。しかし、興味のないメルマガが頻繁に届くとロイヤルティを下げてしまう可能性もあるため、送り先、内容、タイミングの見極めが必要です。

既存顧客への新サービス紹介は、既存顧客への営業や、日々のやり取りの中で、定期的に新サービスを案内する手法です。すでに契約をした関係性があるため、他社よりも一歩リードした状態で自社サービスをアピールできます。

継続期間をのばす

1社の顧客にできるだけ長く購入し続けてもらい、「継続期間をのばす」方法です。主な施策として「カスタマーサクセスの導入」「サービスのサブスクリプション化」が考えられます。

カスタマーサクセスとは、成約後の顧客を能動的にサポートすることで、契約の継続や購買金額の向上を図る取り組みです。よく耳にする「カスタマーサポート」は顧客の問い合わせに対して真摯に対応するのに対し、「カスタマーサクセス」は顧客の課題解決を提案します。カスタマーサクセスの領域は広く、先回りした提案はもちろん、顧客の声を吸い上げてサービスの品質向上を図ることも含まれます。売って終わりではなく、売ってからが始まりと考え、能動的に顧客をサポートするのです。

サービスのサブスクリプション化は、記事の前半「サブスクリプションサービスの流行」でも触れた通り、定額制での契約により継続的に利益を得るビジネススタイルです。カスタマーサクセスと組み合わせることで、単発の購入よりも契約の継続期間をのばすことが期待できます。

5.まとめ

LTVの概要と、重要視される理由、またLTV向上のためのポイントと具体的な施策について解説しました。ユーザーニーズが多様化し、現代では新規顧客の獲得が難しくなっています。既存の顧客のニーズを分析し、1つひとつ応えていくことでLTVを向上させ、売上につなげていくことは売上の安定化において重要です。本記事を参考に、改めて自社のLTVを把握し、向上のための施策を検討してみてはいかがでしょうか。


この記事に関連するお役立ち資料

この記事を書いた人

BeMARKE編集部
BeMARKE編集部

BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。

SNS:XYouTube

著者の最新記事

もっと読む >

あわせて読みたい