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アップセル・クロスセルとは?違いや注目される背景、活用事例を学ぼう

アップセル・クロスセルとは?違いや注目される背景、活用事例を学ぼう

アップセルクロスセルを行うことで、顧客単価および営業効率の向上を図れます。一方、事前に把握すべきデメリットも存在するため、実施時には注意が必要です。今回はそんなアップセル・クロスセルの意味や違い、メリット・デメリットなどについて解説します。BtoB企業の活用事例も紹介しますので、営業戦略を見直す機会にしましょう。

目次

1.アップセルとクロスセルとは?

最初にアップセルとクロスセルの概要および両者の違いを整理しておきましょう。

アップセルとは

アップセルとは、いつも購入している商品もしくは現在購入を検討している商品よりも、上位の商品を購入してもらうように提案を行う営業手法です。例えば、月額10万円で業務改善ツールを利用してもらっている顧客へ、月額15万円のプランを提案する手法がアップセルにあたります。アップセルを実施することで、新規顧客の開拓をせずとも、売上を伸ばすことが可能です。

クロスセルとは

クロスセルとは、いわゆる「セット販売」のことで、現在購入している商品の関連商品・サービスを提案する営業手法です。例えば、業務改善ツールを利用している顧客へ、オプションサービスを提案する手法がクロスセルに該当します。クロスセルは、一度の営業機会で複数の商材を提案でき、効率的に顧客単価を引き上げることができます。

アップセルとクロスセルの違い

アップセルとクロスセルはともに、顧客単価の引き上げを目的とする営業手法です。一方、目的を同じくするアップセルとクロスセルですが、顧客単価を向上させる「アプローチ方法」に違いがあります。

  • アップセル:より高価な商品・プランを購入してもらう
  • クロスセル:関連商品・サービスを購入してもらう

上記の通り目的を達成するためのアプローチ方法が異なるため、それに紐づくセールストークの内容も効果的な提案タイミングなども異なります。

セールストークのポイント効果的な提案タイミング
アップセル上位の商品の方が成果を出せたり、コストパフォーマンスが優れていたりすることを伝える商品の購入を決断する直前
クロスセル関連商品を購入した方がより便利で成果を出せることを伝える商品の購入を決断した直後

2.アップセルやクロスセルが注目されている背景

以下2つの背景から、BtoB企業においてアップセルとクロスセルは注目されています。

  • BtoC企業と比べて顧客数が少ないため、顧客単価の向上が重要
  • 新規顧客の獲得より既存顧客の維持の方が低コスト

一般的にBtoB企業はBtoC企業と比べて、顧客数が限られています。そのため、BtoB企業において売上を効率的に上げるためには、アップセルとクロスセルが目的とする「顧客単価の向上」が焦点になるのです。

また「新規顧客を獲得するよりも、既存顧客を維持するコストの方が低い」という理由から、主に既存顧客を対象とするアップセル・クロスセルは注目されています。新規顧客獲得コストは、既存顧客維持コストの5倍掛かるといわれており、これを「1:5の法則」と呼びます。この1:5の法則に従えば、アップセル・クロスセルを既存顧客へ用いれば、低コストで売上を伸ばせるのです。

3.アップセル・クロスセルのメリット

アップセルとクロスセルの以下2つのメリットを解説します。

  • 顧客単価の向上を図れる
  • 営業効率を向上させられる

顧客単価の向上を図れる

アップセルおよびクロスセルを成功させることで、顧客単価が向上します。例えば、アップセルにより、顧客が月額1万円のプランから月額2万円のプランへ変更した場合、顧客単価は年間12万円UPします。

売上は「顧客数×顧客単価」で算出され、顧客数が変わらなくとも、顧客単価を上げることで売上を伸ばせます。また顧客単価を引き上げられれば、ある程度の顧客数の減少もカバーできるでしょう。なお、顧客単価の向上は、企業がもたらした価値の合計である「LTV(顧客生涯価値)」の向上にも寄与します。

関連記事:LTVの意味とは?計算方法やLTV向上につながる施策を紹介

営業効率を向上させられる

主に既存顧客へアプローチするアップセル・クロスセルは、営業効率の向上も実現できます。

新規顧客の獲得は、既存顧客への営業と比べて、アポイントの獲得や名刺交換、商談・交渉などのプロセスが必要なため、多くのコスト・労力が掛かります。そのため、新規顧客への営業は効率が良いとは言えません。

一方、既存顧客の場合は、すでに担当者と関係ができており、ある程度サービス内容も把握してもらっています。そのため、主にアップセル・クロスセルが対象とする既存顧客に対しては、営業メールやキャンペーン告知など少ない労力で成果を上げられる可能性があります。

関連記事:【営業効率を上げよう】営業分析の4つの手法を解説 メリットや分析ツールも紹介

4.アップセル・クロスセルのデメリット

アップセルおよびクロスセルを実施する上でのデメリットは「顧客が離れるリスクがあること」です。

アップセル・クロスセルともに、顧客単価の向上を目指す営業手法ですが、これは顧客からすると、「コストを増やす提案されている」ことを意味します。そのため、営業側としては、「コストが増えたとしても、それ以上のメリットがある」と顧客に感じてもらわなけれななりません。

しかし、ニーズとズレた商品を提案し続けたり、一方的に自分の考えを伝えたりしてしまうと、顧客から「営業成績を上げたいだけ」「私たちのことを理解していない」と思われ、信用を失うリスクがあります。すると、他社への乗り換えも発生しかねません。

したがって、アップセル・クロスセルを実行する際には、ニーズに沿った商品を提案することが大切です。

5.BtoB企業がアップセル・クロスセルを実施する際のポイント

BtoB商材の場合、BtoC商材と異なり、複数の担当者が合理的な判断で購買の有無を決定するため、アップセル・クロスセルを実行する際には、「顧客ニーズの理解に基づいた営業」が重要です。

その上で、アップセルを成功させるためには、上位商品に興味を持ってもらい、さらにお得感を感じてもらう必要があります。そのためには、例えば「無料お試し期間を設ける」や「上位商品限定の割引キャンペーンを実施する」などの施策が効果的です。

一方、クロスセルをうまくいかせるためには、「一緒に購入した方がより成果を出せそう」「ついでに買うとお得だ」と思ってもらわなければなりません。そのために、顧客の課題を踏まえたセールストークを行った上で、例えば「お得なセット割引キャンペーンの実施」も有効です。

その他、ロイヤルティ(愛着・忠誠)の高い顧客へ、集中的にアップセル・クロスセルを行うことで、より効率的に顧客単価の向上ひいては売上UPにつなげられます。営業効率を重視したい企業は、まずはロイヤルティの観点から顧客の分類・分析を始めても良いでしょう。

6.アップセル・クロスセルの活用事例

最後にアップセル・クロスセルを活用しているBtoB企業の事例を3つ紹介します。

株式会社カオナビ

株式会社カオナビは、人材情報の一元管理および可視化を実現するタレントマネジメントシステムを提供しているBtoB企業です。同社は2021年4月にアップセル商品「ワークフロー」の提供を開始しました。同商品は発売した当初は売れ行きも好調でしたが、伸びは鈍化しています。こうした現状より、同社では、アップセル商品の拡充の他、商品を売る仕組み作りも重要だと認識し、仕組み作りの取り組みを進めています。なお、同社は「部分的な導入に留まる顧客の利用拡大」や「追加オプションの利用拡大」といったアップセルを推進し、2025年3月期までに1ユーザーあたりの売上を伸ばす計画です。

参考:2023年3月期 第1四半期 決算説明資料|株式会社カオナビ

ユミルリンク株式会社

ユミルリンク株式会社は、メッセージングソリューションを提供するBtoB企業です。同社は、2022年12月期第2四半期において、アップセルも背景にあるサービスの契約当たりの平均利用額を前年同期比7.1%増加させました。また2021年12月時点において、クロスセルを実施したことで、エンドユーザーあたりの平均契約額を押し上げた実績もあります。

参考:個人投資家さま向け会社説明資料|ユミルリンク株式会社

参考:事業計画及び成長可能性に関する事項|ユミルリンク株式会社

高千穂交易株式会社

高千穂交易株式会社は、エレクトロニクスをコアとする技術商社です。同社では、事業の垣根を超え、1社あたりの売上を伸ばす戦略「ロイヤルカスタマー戦略」に注力しています。2022年3月期の1社あたりの年間売上平均額1,078万円から、2025年3月期には1,200万円にまで増加させる計画です。同社は、このロイヤルカスタマー戦略において、事業部間や子会社との顧客紹介を推進し、クロスセルの増加を狙う取り組みをしています。

参考:2023年3月期第1四半期決算説明資料|高千穂交易株式会社

7.まとめ

一般的にBtoC企業と比べて顧客数が少ないBtoB企業にとって、アップセル・クロスセルは売上向上の有効な手法です。特にロイヤルティの高い顧客へアプローチすることで、効率的に売上UPを見込めます。

一方、顧客ニーズと離れた商品ばかりを頻繁に提案してしまうと、顧客が離れてしまうリスクがあるため注意が必要です。顧客の課題を見極めて提案することに注意しながら、アップセル・クロスセルの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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BeMARKE編集部
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