基本ノウハウ

パーソナライズマーケティングとは?7つの事例とメリット、実施の注意点を解説

パーソナライズマーケティングとは?7つの事例とメリット、実施の注意点を解説

「パーソナライズマーケティングにはどのような方法がある?」

「どのように実施するのが効果的?」

「BtoBマーケティングにおけるパーソナライズとは?」

個々に合わせたアプローチの重要性が強調される中で、この記事ではどのようにパーソナライズマーケティングを実行できるのか、どういった手法があるのか、実施する際の注意点も紹介します。パーソナライズマーケティングを取り入れたいがやり方が分からない、という担当者の方はぜひご覧ください。

目次

1.パーソナライズマーケティングとは

パーソナライズマーケティングとは、個人に適応した情報やサービス、商品を提供するマーケティング手法のことです。パーソナライズドマーケティングと呼ばれる場合もあります。

似た言葉の「カスタマイズ」は与えられた選択肢の中からユーザーが自ら選択するのに対し、パーソナライズはその個人の属性や嗜好(しこう)に応じて企業側から提案し、発信する形です。

2.パーソナライズマーケティングの7つの事例とメリット

パーソナライズマーケティングの事例と、それぞれのメリットを紹介します。

【1】パーソナライズ広告

過去の検索・閲覧履歴、購入履歴などから、年齢・性別・職業・属性などを絞り込み、興味を引きそうな広告のみ表示する方法です。追跡型広告、追尾型広告、ターゲティング広告などと呼ばれる場合もあります。

ユーザーにとっては有益な情報が得られ、自身に合う商品やサービスを探す手間が省けるメリットがあり、ユーザーエクスペリエンス向上につながります。企業側にとっては購入などの成果につながりやすくなり、コンバージョン率や成約率のアップが望めます。

Web広告やターゲティングについては以下の関連記事もご覧ください。

関連記事:「Web広告の7種類を解説 基礎知識や選定ポイントも紹介

関連記事:『事業の成功を左右する「ターゲティング」とは?−データとテクノロジーの力で顧客を再定義する−【セミナーレポート】

【2】メールマガジンのパーソナライズ

登録しているユーザー全員に一律配信する従来のメールマガジンではなく、パーソナライズする方法もあります。事前に興味のある分野をチェックしてもらい、それに関連する商品やサービスの情報のみを配信することや、顧客の性別・年代・仕事・家族構成・過去の購入商品などの属性によって内容を変えることで顧客の興味にアプローチできます。

またメールの内容だけではなく、顧客の属性に応じてメールを送る曜日や時間帯を変えることも重要です。属性や勤務時間によって、メルマガに目を通しやすい時間帯や反応を見込める時間帯は異なります。属性を見極め、開封率などから時間を微調整する手法や、ABテストなどにより最適な配信時間を導き出す方法があります。

メールマガジンは開封されずに捨てられてしまう場合も多いのですが、パーソナライズして顧客にとって役立つ情報を送ることで、目に留まりやすく有益な情報も得られ、双方にメリットがあります。

メールマガジンをはじめとするメールマーケティングの活用方法など、詳しくは以下の関連記事もご覧ください。

関連記事:「メールの活用で成果を出す営業・マーケティング手法ガイド

関連記事:「BtoBのメールマーケティングのコツ5選!KPIの目安や目的別の配信例も解説

【3】SNSのパーソナライズ

SNSでは、過去の投稿や閲覧履歴、投稿へのいいね!やコメント、シェア、保存などのアクションから興味関心のありそうな投稿が表示されたり、関連性のあるユーザーを表示したりする機能があります。

投稿の表示順序についても、時系列ではなく関心の高そうな順序で表示されています。知り合いかもしれない人を表示する機能や近隣で開催されるイベントのお知らせなどもパーソナライズ機能によるものです。

BtoBマーケティングにおけるSNSの活用方法や、Facebook広告については以下の関連記事もご覧ください。

関連記事:「BtoB企業こそSNS活用を!顧客のLTV向上を実現するSNSマーケティング戦略とは【セミナーレポート】

関連記事:「Facebook広告とは?出稿するメリットや成功させるポイントも解説

【4】ECサイトのパーソナライズ

ECサイトでは、過去の検索・閲覧・購入履歴に基づいたおすすめ商品の表示や、頻繁に購入する商品やその関連商品を表示するなどのパーソナライズが行われています。それにより購買意欲を高めたり、購入に至らなかったものの記憶を呼び起こして購入につなげたりでき、ただやみくもに広告を並べるよりも成果を出しやすいといえます。

分かりやすいのはAmazonや楽天市場などのさまざまなジャンルの商品を扱うECサイトです。例えば楽天市場では閲覧履歴から、『最近チェックした商品』の表示や、『お気に入り』商品にマークをつけられる機能があります。

最近チェックした商品例
最近チェックした商品例

さらに注文履歴からの『もう一度購入』、閲覧履歴と関連のある商品を表示する、『あなたにおすすめの商品』、『あなたにおすすめのクーポン』など、さまざまな手法でパーソナライズ機能が働いています。

おすすめ商品例
おすすめ商品例

こうした個人個人に応じた商品表示は、ユーザーにとっても探したいものを時短で見つけられたり、自分で探すよりもお得に見つけられたりできるというメリットがあります。

コンバージョン率改善についてはこちらの記事『コンバージョンとは?種類や設定手順、低い原因と対策方法まで徹底解説』もご覧ください。

【5】ネットメディアでのパーソナライズ

ネットメディアでもパーソナライズ機能が働いています。過去の閲覧履歴に基づき、興味のありそうな記事を上位に表示させ関連記事を掲載することにより読者の興味を引きます。例えば、日ごろ自分の仕事に影響のあるニュースを閲覧しているとホーム画面に関連記事が表示されるので必要な情報を簡単に見つけられます。

ネットメディアの運営サイト側にとっては、回遊率を上げたり記事の閲覧数や滞在時間を伸ばしたりできるメリットがあります。

【6】検索や移動履歴によるパーソナライズ

GoogleやYahoo!の検索結果画面では、検索や移動履歴と連動したパーソナライズ機能が働いています。

例えば、Googleで『カフェ』とだけ検索した場合には、過去の検索履歴や検索時点の位置情報により、Google Mapsと連動した最寄りのカフェが数件表示されます。

Mapsと連動した最寄りのカフェ表示例
Mapsと連動した最寄りのカフェ表示例

また、検索結果に表示される内容も『○○市のカフェ』『○○(県)のカフェランキング』『○○市のおすすめカフェ』など、地域に特化した情報が続きます。こうした移動履歴や位置情報と連動したパーソナライズ機能により、欲しい情報により早くたどり着けたり、現在地からより近い店舗の情報を瞬時に得られたりするメリットがあります。

【7】商品提供場面でのパーソナライズ

最後に商品自体を顧客に合わせてパーソナライズする手法も考えてみましょう。飲食業の場合、アレルギーの他、宗教や信条により食べられない食品への対応や、好き嫌いのある方や子ども向け用に食事の香辛料を抜くなど、個々に応じた対応を求められる場面が多々あります。個々の商品のパーソナライズ化は、これまでほぼ人的な対応に頼り手間や負担が大きいものでしたが、AIやデータ分析技術の向上により、手間を減らして手厚い対応が実現しやすくなっています。

顧客それぞれの趣味や嗜好、背景に応じた対応により、顧客を取りこぼさず信頼関係を築き、継続的な利益にも繋がります。

3.BtoB,BtoCでのパーソナライズマーケティングの違い

個々に合わせた対応は重要ですが、BtoBの場面ではこれまでに取り上げたBtoCの事例とは異なる場面もあります。ビジネスモデルの違いにより、パーソナライズの考え方は異なります。BtoBでは企業の属性や背景を理解してその企業に合った内容を提案することが重要です。

BtoCの場合BtoBの場合
顧客個人法人、団体、企業など
使用者閲覧者本人や家族、友人など近しい人である場合が多い実際に使用する人と決裁者は異なる場合が多い
決裁者閲覧者本人や家族である場合が多い閲覧者には決裁権がない場合や複数の人の了承が必要な場合もある
購入までの期間比較的短い場合が多い検討開始から決定まで長くかかる場合が多い
判断基準感情や感覚、口コミによる共感などの要素も重要合理的な説明や裏付けが必要

BtoBの場合は個人の購買意欲を高めるような感情的・イメージ的施策とは異なる部分があります。実際に導入した他社の事例や他社との比較など導入後のイメージを抱きやすくする工夫や、明確な根拠を示すことが必要不可欠です。検討開始から実際の成約や導入までにかかる期間が比較的長いことから、段階ごとにステップを踏むアプローチやデータに基づく詳細な裏付けなどを提示して説得力を持たせ、不確定的な要素を減らすことが大切です。

関連記事:「BtoBマーケティングって何するの?注目される背景や基本の流れを解説

関連記事:「取るべき施策が分かるBtoBマーケティング8パターンの戦略

4.パーソナライズマーケティングを実施する上での注意点

情報があふれている現代で重要度がさらに増すと予想されるパーソナライズマーケティングですが、注意点もあります。

パーソナライズマーケティングがすべてではない

パーソナライズマーケティングはあくまでもユーザーの過去のデータを活用し、ニーズを予測しているため、そのときどきにユーザーが求めているものと完全にマッチしているとは限りません。ニーズは常に変化する上、状況も変わるでしょう。

また、過去のデータとして活用されているCookie情報などはユーザー側で意図的にオフにすることも可能です。どの程度までパーソナライズできているか、完全に把握はできません。

やり過ぎは逆効果になる恐れも

また、既視感のある広告やすでに知っている、もしくは試したことのある商品に関していつまでも案内が届くとネガティブな印象をもったり、面倒に感じられたりしてしまう場合もあります。また、パーソナライズしすぎた内容では情報に偏りが生じ、有益な情報や必要な情報がユーザーに届かなくなってしまう可能性もあります。

パーソナライズの手法に頼りきりにならず、他のマーケティング手法も生かしながら顧客に合わせた対応を試行錯誤していくことが大切です。

5.まとめ

パーソナライズマーケティングが導入されている具体的な事例やメリット、BtoBにおける違いや実施の注意点などを解説しました。ターゲットや場面に応じたパーソナライズマーケティングを展開し、顧客のユーザーエクスペリエンスの向上や成約率アップにつなげましょう。

BtoBにおいては、必要に応じたツールの活用も効率化に役立ちます。以下の関連記事も合わせてご覧ください。

関連記事:「MAとSFA/CRMの違いとは?各ツールの役割と活用場面を解説

関連記事:「BtoBマーケティングにおけるMAの効果的な使い方とは?


この記事に関連するお役立ち資料

この記事を書いた人

BeMARKE編集部
BeMARKE編集部

BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。

SNS:XYouTube

著者の最新記事

もっと読む >

あわせて読みたい