基本ノウハウ
「MAを導入して新規顧客を獲得したいが、活用方法が分からない」「MAの効果的な活用方法を知りたい」と悩んでいませんか?
見込み顧客を獲得するためにMAの導入を検討している方は多いでしょう。しかし、機能や概要について理解はできても、活用方法が分からなければ、見込み顧客を育成して受注につなげるのは難しくなります。
本記事では、BtoBマーケティングにMAが有効な理由から、MAの活用法についてまでを詳しく解説します。
BtoBマーケティングにおいてMAの活用が有効である理由は、「情報収集の前段階から顧客をフォローできること」「中長期的に見込み顧客を育成できること」が挙げられます。それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
インターネットが発達した現代において、BtoBにおける顧客の購買活動は大きく変容しました。付き合いのある営業担当者から製品の情報を集めていた顧客が、事前に製品情報を収集してから購買の意思決定を行うようになりました。営業担当者の介在する範囲が狭くなったのです。
そのため、自社の製品・サービスを顧客に選んでもらうためには、顧客が製品・サービスの検討を行うための情報収集の段階で、自社を想起してもらう必要が出てきました。
自社を想起してもらうためには、情報収集が始まる前の段階から、顧客との接点を作っておかなければなりません。
MAは、「◯◯の業務課題があることが分かったから、解消できる製品を探したい」といったニーズが顧客に芽生え、情報収集を始めるより前の段階から、見込み顧客と接点を作っておくための機能を多くそろえています。また、見込み顧客にニーズが生じたときに、素早く察知し働きかけるための機能も備えています。顧客の購買活動の変化に対応したさまざまな施策が、MAによって効率化できるのです。
BtoB企業の購買プロセスは複雑かつ長期です。実務担当者と決裁権者が異なるため、実務担当者が良いと判断し購買に前向きであっても、決裁権者が頷かなければ購買に至りません。購買の意思決定のためには、稟議を通し、社内で複数回の会議を経るのが一般的です。決定までに1〜2年以上がかかるケースも珍しくありません。
また、BtoBの潜在顧客規模はBtoCに比べて小さく、その分1件の取引単価が高額になる傾向があります。つまり、BtoB事業においては、見込み顧客の長期にわたる検討期間をフォローし続ける仕組みづくりや、見込み顧客の興味・関心を引き上げる施策を行って購買客へと育てあげ、1件1件の取引のチャンスを取りこぼさないようにする必要があるのです。しかし、見込み顧客を数年にわたってフォローし、状況伺いの電話をかけ続けるのは困難です。
MAを使えば、見込み顧客のWebコンテンツの閲覧状況を可視化できます。コンテンツの閲覧状況から、見込み顧客が検討を再開したタイミングを推測し、適切なタイミングでフォローすることができます。また、メールマガジンやセミナーなどで役に立つ情報を提供し続け、商品への理解や関心を深めてもらったりと、MAを長期的な顧客育成に活用することができます。
BtoBマーケティングにおいて、MAが有効であることや具体的な機能についてはすでに把握している方もいるかもしれません。とはいえ、具体的にどのように活用すれば良いのか分からない方は多いのではないでしょうか。そこで、MAの活用法について、段階に合わせて解説します。
BtoBマーケティングによって自社製品・サービスの売上を伸ばすためには、リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)によって十分な数の見込み顧客の情報を集める必要があります。リードジェネレーションを行う際にMAを活用する方法を、下記の3つにまとめました。
多くのMAにはフォーム作成機能があります。フォームを作成することで、いつでも顧客からの問い合わせに対応したり、ホワイトペーパーのダウンロードを促したりできます。
また、顧客がフォーム経由で問い合わせや資料のダウンロードをする際に入手したメールアドレスや企業名などの情報は、自動でMA内の顧客リストに登録されます。手作業で登録する必要がありません。
ホワイトペーパーとは、製品の機能を分かりやすくまとめた資料や、製品の導入事例集、課題を解決するノウハウ集など、ユーザーにとって有益な情報をPDFなどにまとめた資料のことです。Webサイトに設置し、フォーム入力と引き換えに提供することでリードジェネレーションの手段として用いるのが一般的です。
MAを利用すれば、設置したホワイトペーパーのダウンロード状況などを可視化し、どのホワイトペーパーにニーズがあるかを把握できます。見込み顧客の獲得数を伸ばすために、ニーズがあるホワイトペーパーを優先して制作するなどの施策が可能になります。
また、特定の見込み顧客がどのホワイトペーパーをダウンロードしたかを紐づけて管理できるため、顧客の関心の高いジャンルや抱えているだろう課題を推測し、後述のリードナーチャリングにも活用することができます。
MAにはランディングページ制作機能を持つものもあります。ランディングページとは、特定のCV(ホワイトペーパーダウンロード、セミナー参加、資料請求など)を目的として制作する、単独で完結するWebページのことです。
MAを活用すれば、ランディングページを手軽に制作できます。目的としているCVに応じた内容のページを複数制作し、CVポイントを増やすことで、見込み顧客の獲得数を伸ばす試みが可能です。
MAには見込み顧客を管理する機能があります。MAを使えば、獲得した見込み顧客の情報を一元管理できます。
見込み顧客を獲得しても、Excelなどを利用した従来の管理方法では、1つずつ会社名や連絡先などの顧客情報を手作業で入力するのに手間がかかります。また、膨大なファイルの中から指定の顧客情報を探すのにも多くの時間を取られかねません。
しかし、MAであればフォームに入力された情報がそのまま登録されるため、入力の手間を省くことができます。さらに、ツールによっては名寄せの機能もあるため、重複データを防いで常に有効な顧客リストを確保できます。検索性も高く、膨大な情報の中でもすぐに指定の顧客データの絞り込みが可能です。
また、営業部門で用いるSFAなどのツールと連携すれば、他の部署とも顧客情報を共有できるため、効率的な営業活動を行うことができます。
MAの中には、IPアドレスを解析し、自社のWebサイトを訪問した企業やどのページを閲覧したかを確認できる機能を搭載したものもあります。Webサイトから実際にお問い合わせや資料請求をされていなくても、自社の製品やサービス内容に少なからず興味を持っている会社に対してDMやセミナーなどの案内を送ることが可能です。メーリングリストを作成してDMを送るよりも、見込み顧客を獲得できる可能性が高いといえます。
リードジェネレーションの後は、リードナーチャリング(見込み顧客育成)を行い、ニーズが顕在化したときに見込み顧客に自社製品を想起してもらえるように接触を絶やさない取り組みや、購買意欲を高めるための取り組みが必要です。MAを活用したリードナーチャリングとしては、「メールマガジン配信」「顧客の行動履歴管理」などが挙げられます。
MAには、メールマガジンの配信を行う機能があります。メールマガジンの配信は、見込み顧客との接触ポイントを維持し、自社製品・サービスを記憶にとどめてもらおうとするリードナーチャリングにおいて有効です。
過去に自社製品・サービスについて問い合わせなどを行ったことがある見込み顧客が、数年後、購買の可能性が浮上した際に同様に自社を検討してくれるとは限りません。ニーズはいつ生まれるか分からないため、ニーズが芽生えた瞬間に自社の存在を思い起こしてもらうための取り組みが必要です。定期的なメールの配信は、メールの送信者である企業の名前や、どのような製品・サービスを扱っているかの情報を顧客に継続的に認識してもらうことができます。
MAを利用した定期的なメールの配信は、見込み顧客のニーズが顕在化した瞬間を逃さないようにするためにも重要です。 MAは、送信したメールの開封率、どの程度内容が読まれているか、またメール内URLのクリック率などを分析することができます。今まではメールを開封してもアクションに乏しかった見込み顧客が、ある時期を境に特定の話題のメールについてURLをクリックするようになり、情報を収集している様子が伺えたら、その顧客にニーズの芽生えがあったと推測できます。ニーズの芽生えを感知したら、その顧客の関心が高いであろう話題に関して「困りごとはありませんか」と架電でヒアリングを行ったり、該当のジャンルを扱うセミナーへ誘導したりといった次の施策を取ることができます。
MAには、見込み顧客のWebサイト上での行動履歴を確認できるWebトラッキング機能があります。
上記のような情報を参照できるため、顧客がどのような悩みや課題を抱えているのか、どのような施策が効果的だったのかなどを把握できます。また、行動内容によって見込み顧客のニーズのレベルも推測できるため、「この見込み顧客は◯◯の課題について関心が高そう」といった個別の判断をもとに、適切なタイミングで見込み顧客にアプローチすることができます。
見込み顧客を獲得し育成したとしても、そのすべてが受注に至るわけではありません。したがって、受注確度の高い顧客に絞ってアプローチするリードクオリフィケーション(見込み顧客の絞り込み)を行う必要があります。
MAには、見込み顧客の属性や行動に応じて点数をつけ、受注確度を判断するスコアリングの機能があります。リードクオリフィケーションは、スコアリングを用いて行うのが一般的です。
スコアリングを利用する際は、点数が付与される条件をMAであらかじめ設定しておきます。下記のような条件において点数が加算されていき、一定の点数になると受注確度が高いと見なし、通知されるといった仕組みです。
【80点以上で見込み度合いが高いと判定する場合】
(属性の点数づけの例)
決裁権者に近い(課長・部長以上の役職)⇒30点
自社のターゲット業種⇒30点
(行動の点数づけの例)
特定のセミナーに参加した⇒10点
メルマガを開封し、URLをクリックした⇒5点
資料請求があった⇒20点
ターゲット業種の部長(60点)+セミナー参加(10点)+資料請求(20点)=90点到達⇒通知
見込み顧客の受注確度が高まったと判断した場合は、営業へと引き継ぐことになります。ただし、競合企業が調査のために何度も自社サイトを閲覧しており点数が高くなるケースなど、必ずしも数値が高ければ受注確度が高いとはいえない場合があります。そのため、リードクオリフィケーションにおいては、見込み顧客の定性的な情報(問い合わせ履歴があるか、セミナー参加後のアンケートが好感触だったか、直近に接触があったかなど)も含めて判断する必要があります。
BtoBマーケティングで購買を促すためには、見込み顧客を獲得するだけでなく、獲得後に育成や絞り込みを行わなければなりません。しかし、MAを使えば、見込み顧客の獲得から絞り込みまでを大幅に効率化できます。BtoBマーケティングでより成果を出したい方は、MAの導入を検討してみてはいかがでしょうか。