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HubSpot 入門:機能と使い方、活用シーンを初歩から解説

HubSpot 入門:機能と使い方、活用シーンを初歩から解説

機能が豊富で、無料で利用できる範囲も幅広いHubSpot。「使ってみたいけれど、自社の業務にどう生かせるかイメージがつかない」「使いこなせる気がしない」というお悩みもあるのではないでしょうか。

HubSpotには機能が多いため、自社の目的を整理して機能を選ぶことが重要です。目的に合わせて使うことで、機能の多さに惑わされず結果につなげることができるのです。

ここでは、HubSpotの主な機能と活用シーン、最初の基本的な使い方と用語について解説します。使い方を理解し、業務に活用しましょう。

目次

1.HubSpotの機能一覧

HubSpotはCRM(顧客関係管理)を中心として顧客に関わる業務を集約するプラットフォームで、それぞれに多様な機能を備えた5つのソフトウエアに分かれています。マーケティングに役立つMarketing Hub、営業支援に役立つSales Hub、顧客との関係を深めるためのService Hub、CMS(コンテンツマネジメントソフトウエア)であるCMS Hub、業務プロセスを自動化するOperations Hubです。

これら5つのソフトウエアは、一部の機能が無料で使用でき、「無料ツール」としてパッケージ化されています。それ以外の機能は、それぞれのソフトウエアを有料エディションにアップグレードすることで使用可能です。有料エディションにはそれぞれ3つの段階があり、Starter、Professional、Enterpriseと呼ばれます。

以下は主な機能の一覧表です。

ツール 無料ツール Starter Professional Enterprise
Marketing Hub ・Eメールマーケティング
・フォーム
・ランディングページ
・Webチャット
・ブログ
・Facebook、Google、LinkedInの広告管理
・コンタクト管理
・無料ツールの全機能
・マーケティングオートメーション
・リターゲティング広告
・ランディングページのレポート
・複数通貨対応
・HubSpotロゴ削除
・Starterの全機能
・オムニチャネル対応のマーケティングオートメーション
・SEO(検索エンジン最適化)
・ブログ
・ソーシャルメディア
・カスタムレポート
・Professionalの全機能
・ABM(アカウント ベースド マーケティング)
・適応型テスト
・予測リードスコアリング
・マルチタッチ収益アトリビューション
・カスタマー ジャーニー アナリティクス
Sales Hub ・コンタクト管理
・取引パイプライン
・見積もり
・Webチャット
・ミーティング設定
・無料ツールの全機能
・セールスオートメーション
・目標
・セールス コンテンツ アナリティクス
・決済
・タスクキュー
・Starterの全機能
・営業活動とリードの管理
・シーケンス
・フォーキャスト
・カスタムレポートとセールスアナリティクス
・プレイブック
・Professionalの全機能
・カスタムオブジェクト
・予測リードスコアリング
・コミュニケーションインテリジェンス
・経常収益の追跡
・取引ジャーニーアナリティクス
Service Hub ・コンタクト管理
・チケット管理
・Webチャット
・チームの共有アドレス
・クローズされたチケットに関するレポート
・レポート作成ダッシュボード
・共有の受信トレイ
・無料ツールの全機能
・コミュニケーションの自動割り当て
・チケット管理のシンプルな自動化
・複数チケットパイプライン
・複数通貨対応
・電話拡張SDK
・Starterの全機能
・ヘルプ デスク オートメーション
・ナレッジベース
・ログイン済み訪問者の識別
・顧客フィードバックアンケート
・カスタマーポータル
・SLA管理
・Professionalの全機能
・目標
・プレイブック
・シングルサインオン
・ユーザーロール
・チーム管理
・コミュニケーションインテリジェンス
CMS Hub ・Webサイトページ
・ブログ
・ドラッグ&ドロップエディター
・基本的なSEO推奨事項
・マネージド クラウド ホスティング
・CRMデータベース
・カスタムドメインの接続
・Webサイトのトラフィック分析
・無料ツールの全機能
・HubSpotロゴの削除
・追加のWebサイトページ
・追加のブログ記事
・追加のブログ記事パーソナライズトークン
・WebチャットとEメールによるサポート
・Starterの全機能
・スマートコンテンツによるパーソナライズ
・高度なSEO推奨事項
・動的コンテンツ
・コンタクト アトリビューション レポートの作成
・A/Bテスト&レポート
・サイトツリー
・電話によるサポート
・Professionalの全機能
・シングルサインオン(SSO)
・カスタムオブジェクト
・追加のルートドメイン
・パーティション化
・適応型テスト
・ログイン機能によるアクセス制御
・カスタム Web アプリケーション
Operations Hub ・双方向データ同期
・既定のフィールドマッピング
・既存データ同期
・サードパーティー製品とのすべての連携
・無料ツールの全機能
・カスタム フィールド マッピング
・Starterの全機能
・プログラマブルオートメーションとボット
・Webhook
・データ品質管理オートメーション
・Professionalの全機能
・データセット
・レポートでの計算
・Snowflakeベースのデータ共有
・レポート、リスト、ワークフローの利用上限引き上げ

2.HubSpotの主な機能と活用シーン

それぞれのソフトウエアで何ができ、ビジネスシーンでどのように活用できるのか、具体的に解説します。

【基本機能】無料ツールでできること

無料ツールでは、各ソフトウエアの最も基本的な機能が使用できます。主なものは以下です。

  • 商談情報、会社情報、取引情報の管理
  • 顧客情報のインポート
  • Eメール
  • Webページの作成
  • 広告管理

商談情報、会社情報、取引情報の管理

HubSpot内では、顧客情報は「コンタクト」と呼ばれます。HubSpotのCRMデータベース上で、顧客情報を会社情報や商談情報、取引情報とひも付けて管理できます。「アクティビティーフィード」と呼ばれるタイムラインで、それぞれの顧客の行動ややり取り、打ち合わせの履歴を確認できます。

顧客情報のインポート

既存の顧客情報をHubSpotに引き継ぎたい場合、エクセルからインポートすることができます。

Eメール

GmailやOutlookとの連携により、HubSpotから直接メールを送信できます。また、この機能を利用すると返信の追跡ができ、顧客情報のタイムラインにデータが表示されます。

Webページの作成

CMS機能が利用でき、標準搭載のエディターを利用するとドラッグ&ドロップなどの直感的な操作でページの作成が可能です。トラフィック分析や、Webサイトにおける登録されている顧客の行動履歴も記録できます。

広告管理

サポートしている広告ネットワークのアカウントをHubSpotアカウントと連携できます。HubSpotのデータベースからオーディエンスを作成したり、顧客獲得に役立っている広告を特定したりすることも可能です。

Marketing Hub

Webサイトを利用したインバウンドマーケティングを主な目的とするソフトウエアです。

主な機能

Marketing Hubの主な機能には次のようなものがあります。

  • コンテンツ作成:ブログ作成、SNS発信、SEO、広告管理など
  • 見込み顧客への転換:Eメールマーケティング、Webチャットなど
  • 分析:レポート作成、Webサイトのトラフィック分析など

コンテンツの発信による興味の喚起から見込み顧客を獲得して顧客とするまで、マーケティング業務を一元化して行うことができます。

活用シーン

Marketing Hubは、主に見込み顧客の獲得までの工程に課題があるときに活用できます。

  • Webサイトの訪問者が少ないとき
  • WebサイトのCVが低いとき
  • 広告の効果が不明確なとき

Marketing Hubの機能で、知識がなくても、テンプレートを利用したり直観的な操作が可能なエディタを使用したりしてランディングページを作成できます。SEOに関する推奨事項についてアドバイスを確認しながら作成できるほか、訪問者が登録済みの顧客の場合、ランディングページを訪問者の情報に基づいてパーソナライズし、フォームに回答済みの質問を表示しないなどの調整も可能です。これらの機能により、検索流入による訪問者を増やし、離脱率を減らしてCVの向上につなげられます。また、レポート機能や広告管理機能を利用して、効果の高いWebページや広告を選んで使用することも可能になります。

Sales Hub

営業を行うチーム内の連携の支援を主な目的とするソフトウエアです。

主な機能

Sales Hubの主な機能には次のようなものがあります。

  • 営業情報の共有:ドキュメント管理、通話内容の記録など
  • 顧客関係強化:ミーティング設定、Webチャットなど
  • 顧客段階の管理:見積作成、営業活動に関わるデータの一元化など

営業に関するデータや進捗を管理・共有し、各担当者のパフォーマンスを可視化したり、取引の予測をしたりできます。

活用シーン

Sales Hubは、主に営業担当者と顧客の間のやり取りを可視化し、改善したいときに活用できます。

  • 顧客とのやり取りを管理したいとき
  • 顧客との関係を強化したいとき
  • 案件の進捗を可視化・管理したいとき

Sales Hubの機能で、営業に使用するドキュメントや顧客との通話内容を管理・記録でき、チーム内での情報共有がスムーズになります。日程調整ツールでミーティングを設定できるため、顧客とも何度もメールをして調整する手間を省いてコミュニケーションが取れます。また、「パイプライン」と呼ばれる機能により、営業プロセスを一覧として可視化し、管理できます。顧客を取引の段階ごとに整理できるため、案件の進捗もひと目で分かります。現在のデータから収益を予測し、営業の計画に役立てることも可能です。

Service Hub

効率的で迅速なカスタマーサポートにより、顧客満足度を向上させるソフトウエアです。

主な機能

Service Hubの主な機能には次のようなものがあります。

  • 顧客関係強化:カスタマーポータル、ナレッジベースなど
  • 業務効率化:ヘルプデスク、顧客情報の分析、チーム管理など

顧客の情報や問い合わせを管理し、チーム全体で効率的に対応する体制を構築できます。

活用シーン

Service Hubは、主に顧客の問い合わせ対応など、サポートを強化したいときに活用できます。

  • 問い合わせ対応を効率的に行いたいとき
  • カスタマーサポートの属人化を防ぎたいとき

Service Hubの機能で、顧客からの問い合わせを「チケット」として一元管理でき、例えば担当者の手が空いていないときでも優先順位に従って対応することが可能になります。また、「ナレッジベース」では顧客自身が自力で解決できるようヘルプを作成でき、問い合わせ数の減少が図れます。さらに、顧客情報や問い合わせなどのデータを一元管理していることによって、カスタマーサポートを属人化せず、チームで運用していくことができます。

CMS Hub

特別な技術を持っていなくてもWebページなどを作成できるCMSツールです。

主な機能

CMS Hubの主な機能には次のようなものがあります。

  • 直感的にWebコンテンツを作成できるエディター
  • Webサイトのテンプレート
  • コンテンツのアクセスやCVなど、効果の分析

マーケティング担当者が直接Webコンテンツを作成するなどの対応ができるほか、Marketing Hubの項目でも紹介したように、訪問者の情報に基づいて内容を変更するなどの設定も可能です。

活用シーン

CMS Hubは、社内に技術者が不足しているときや、マーケティング担当者がWebページの柔軟な運用を希望しているときに活用できます。

  • マーケティングにWebコンテンツを活用したいとき
  • 顧客に合わせたページ表示をしたいとき

CMS Hubの機能で技術力がなくても簡単にWebページを作成でき、最適化のためのテストや効果の分析をしながら運用することが可能です。また、HubSpot内の顧客情報と連携できるため、登録されている顧客情報に基づいて表示を変化させたり、Webページ上での顧客の行動を個別に追跡したりもできます。

 Operations Hub

Operations Hubは、データの同期などを行って情報の一元管理を支援するソフトウエアです。

主な機能

Operations Hubの主な機能には次のようなものがあります。

  • 外部ツールとの連携
  • データの同期

情報を一元管理することで、顧客情報の管理や共有がスムーズに行えます。

活用シーン

Operations Hubは、データの一元管理やプロセスの自動化に役立ちます。

  • 部署間でデータに整合性が取れていないとき
  • 他のツールからデータを移行したいとき

データの違いや管理の複雑さに起因する困りごとを解消できます。

料金表

それぞれのエディションの料金は以下のようになっています(2023年12月現在)。

StarterProfessionalEnterprise
Marketing Hub2,160/月~96,000/月~432,000/月~
Sales Hub2,160/月~54,000/月~180,000/月~
Service Hub2,160/月~54,000/月~144,000/月~
CMS Hub2,700/月~43,200/月~144,000/月~
Operations Hub2,160/月~86,400/月~240,000/月~

3.HubSpotの使い方

実際にHubSpotを導入して使うための具体的な操作方法を解説します。また、初めてHubSpotを使うときには、特有の用語に戸惑い、自分の使いたい機能がどこから使えるのか迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。画面上の用語を理解するために、用語の一覧表も紹介します。

アカウント登録

HubSpotを使い始めるときは、まず公式サイトのTOPページからアカウントを登録する必要があります。

1.「無料で試してみる」をクリックします。

2.「無料アカウントを作成」の画面で、Eメールアドレスを入力します。

GoogleやMicrosoftのアカウントを使用する場合は、該当するボタンをクリックします。

アカウント作成画面

3.【Eメールアドレスを登録した場合】「Eメールを確認」がオレンジ色になったら、クリックします。

4.【Eメールアドレスを登録した場合】Eメールアドレスに確認コードが届いたのを確認し、入力します。

確認コード入力画面

5.【Eメールアドレスを登録した場合】「次へ」がオレンジ色になったら、クリックします。

6.【Eメールアドレスを登録した場合】パスワードを作成します。

パスワード作成画面

7.画面の指示に従って情報を入力します。業種・職種・会社の詳細(会社名・Webサイトなど)が求められます。目的に応じて設定しましょう。

初期設定

HubSpotの利用を開始すると、最初に「使い始めるために必要なこと」としてタスクが表示されます。

初期設定画面

コンタクト(顧客情報)の作成やチームメンバーの招待、データのインポートなどが提示されますので、表示に従って進めることで初期設定が完了します。

設定を後回しにしてすぐに使いたい場合は、「今は省略」をクリックして一旦スキップすることもできます。

顧客情報のインポート

顧客情報がある場合は、CSVやエクセルなどのファイルからインポート、または既存のツールなどと同期して取り込むことができます。

1.画面上部のメニューから「コンタクト」を選択し、ドロップダウンメニューの「コンタクト」をクリックします。

メニュー

2.画面右上の「インポート」をクリックします。

コンタクトのインポート

3.操作手順に不安がある場合は、「支援が必要」をクリックすることでガイドに沿って作業できます。

「支援が必要」の選択画面

4.インポートが完了すると、「コンタクト」の画面に顧客情報の一覧が表示されます。

画面用語一覧

メニューの用語や、よく使われる用語について紹介します。

メニュー(無料版) 項目 概要
コンタクト コンタクト 顧客情報です。一覧で表示されます。
会社 顧客となる会社の情報です。一覧で表示されます。
コール 電話の履歴です。
アクティビティーフィード 顧客の行動履歴を表示します。Eメールの開封やクリックなど、最近の履歴です。
コミュニケーション 受信トレイ HubSpotで受け取ったメールの受信トレイです。
チャットフロー WebサイトまたはFacebookページで訪問者とコミュニケーションを取るチャットを設置できます。自動化されたボットと、リアルタイムで遣り取りをするライブチャットがあります。
スニペット よく使う文章を定型文として登録できるものです。登録したテキストを情報の登録やメール、メモの記録などに流用でき、何度も同じことを入力する手間が省けます。
テンプレート Eメールのテンプレートです。作成しておくと送信するメールに流用できます。受信者に合わせて個別にカスタマイズすることも可能です。
マーケティング 広告 広告アカウントと連携し、広告の効果測定ができます。
Eメール マーケティングのためのメール送信ができます。
ランディングページ 訪問客を見込み顧客にするためのページを作成できます。
ウェブサイト Webサイトやブログを作成できます。
フォーム 見込み顧客獲得のためのフォームを作成できます。
セールス 営業活動管理 営業活動の履歴やタスク、スケジュールの管理ができます。
取引 取引情報の管理ができます。一覧で表示されます。
ドキュメント 営業活動に使用するコンテンツをアップロードしてチーム内で共有し、コンテンツごとに顧客の反応を計測できます。
ミーティング 個人の予定を反映したスケジュール共有リンクを作成し、顧客に共有することでミーティングの設定ができます。
製品 自分の販売する商品やサービスを登録し、管理できます。
見積もり 見積書の作成ができます。
サービス チケット 顧客からの問い合わせ情報です。登録することで、各担当者が受けた問い合わせを一元管理できます。
レポート ダッシュボード 複数のレポートを一箇所に集めて確認できます。テンプレートを利用することも、手動で確認したい項目をカスタマイズすることもできます。
その他の用語 パイプライン ステージごとに項目を管理する方法のことを言います。顧客のステージを可視化する取引パイプラインと、問い合わせの対応状況を可視化するチケットパイプラインがあります。
フォーキャスト 取引パイプラインを使用して、成約の可能性や価格を踏まえて将来の予測収益額を表示します。
ナレッジベース 顧客が問い合わせの前に確認することで問い合わせを減らせる、ガイドやトラブルシューティングなどのライブラリです。

※ここでは初心者向けに無料で利用できるメニューを基本として解説しています。有料版を契約すると、機能の追加に応じてさらに多くのメニューが表示されます。

4.まとめ

ここでは、HubSpotの主な機能や基本的な使い方を紹介しました。HubSpotは非常に多機能なツールであり、さらに随時機能が拡張されています。機能が多い分、実現できることが多い反面、機能に振り回されて目的を見失ってしまうおそれもあります。HubSpotの導入を検討する際は、自社の目的に応じて、導入によって実現したいことを整理し、機能を選ぶことが重要です。

また、使い方が分からずに生産性を下げるメンバーが出ないよう、操作方法や活用法、運用ルールを明確にして周知する必要があります。導入前にデモを利用するなどして、不明点がないようにしておきましょう。


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