基本ノウハウ
営業の案件管理は、エクセルで進めているという企業がまだまだ多い傾向にあります。しかし業務の効率化を図りたい場合は、情報の入力や共有のスピードが速いツールの活用がおすすめです。とはいえ多様な製品があり、「どれが自社に合っているか、よく分からない」という方も多いでしょう。
本記事では営業の案件管理/進捗管理に役立つツールやアプリについて解説します。ツールの選び方や導入手順も、あわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
まずは案件管理ツールとは何か、エクセルを使った管理との違いを踏まえながら解説します。ツールを導入するメリット・デメリットについても、あわせてチェックしていきましょう。
なお案件管理とは、営業活動の進捗を顧客の情報とひも付けながら管理することです。
案件管理ツールとは営業データの入力・共有などを効率化するツールであり、エクセルよりも時間的コストの削減が期待できます。
案件管理での使用頻度が多いエクセルは金銭的なコストが低く、使える人が多いことから導入しやすいメリットがあります。しかし次のようなデメリットによって、案件管理の効率化は難しいツールです。
案件管理ツールはエクセルのデメリットを解決し、営業活動の効率化をサポートします。結果的に営業担当者の生産性も上がるため、売上アップを実現したい企業では積極的に取り入れたいツールの1つといえるでしょう。
案件管理ツールのメリットは、主に次の3つです。
特に受失注の分析は勝ちパターンを抽出し、売上の維持・向上につなげる上で必要です。案件管理ツールではレポーティング機能も付いており、エクセルよりも簡単に受失注の分析ができます。営業活動の効率と成果、どちらも上げたい場合は案件管理ツールの導入が必須といえるでしょう。
案件管理ツールのデメリットは、主に次の2つです。
ただし導入後のサポートを受ければ、操作に慣れるまでの時間を短縮できます。また効率化が成功すれば受注数がアップし、導入・運用費用以上の効果が期待できるでしょう。
いずれのデメリットも導入するツールを入念に比較検討する、トライアルなどを通じて使い勝手を確認することで回避できます。
営業の案件管理に役立つ代表的なツール・アプリは、下図のようにさまざまあります。
ここでは以下の7つをピックアップし、それぞれの特徴や機能について解説します。
クラウドサービスサスケ | |
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導入実績 | 1,000社以上 |
主な機能 | ・商談管理
・日報/週報管理 ・名刺管理 ・タスク通知 ・通話履歴/音声分析 など |
料金プラン | 50,000円/月~※1 |
モバイル対応 | ○ |
無料トライアルの有無 | ○ |
※1アカウント数や顧客登録数によって変動します
クラウドサービスサスケは、株式会社インターパークが提供する案件管理ツールです。継続率は98.9%と、利用している企業の満足度が非常に高くなっています。
最も特徴的なのはアウトバウンド営業に対応しつつ、インサイドセールスにも特化している点です。これにより営業活動に必要な情報を一括管理でき、より効率的に案件を管理できるようになっています。
Sales Force Assistant | |
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導入実績 | 要問い合わせ |
主な機能 | ・名刺管理
・商談管理 ・行動管理 ・日報/週報管理 ・対人サポート など |
料金プラン | ・クラウド型:3,500円/月~
・オンプレミス型:667円/月(5年利用月額換算)※2 |
モバイル対応 | ○ |
無料トライアルの有無 | ○ |
※2サーバー費用は別途かかります
Sales Force Assistantは、株式会社NIコンサルティングが提供する案件管理ツールです。「AI秘書で、営業を改革(DX)」をテーマに、現場の営業担当者が働きやすくなり生産性が向上するようアシスト機能が備わっています。
具体的にはAI秘書が顧客や商談の情報を蓄積・共有し、業務の抜け漏れや提案タイミングを教えてくれるのです。営業マネージャーによるメンバーの管理だけでなく、個々の担当者が効率的に案件管理を進める上で役立つツールといえます。
HubSpot Sales Hub | |
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導入実績 | 15万社以上(世界) |
主な機能 | ・商談管理
・行動管理 ・見積書発行 ・通話履歴/音声分析 ・MA連携 など |
料金プラン | ・Starter:5,400円/月~
・Professional:54,000円/月~ ・Enterprise:144,000円/月~ |
モバイル対応 | 要問い合わせ |
無料トライアルの有無 | ○ |
HubSpot Sales Hubは、HubSpot社が提供する案件管理ツールです。世界的なシェアを誇り、日本国内でもDeNAやマネーフォワードなどの有名企業が活用しています。
MAやCRMの機能も集約されているため、営業に必要な情報を一目で確認可能です。データを一元管理したい場合や、他部門との情報共有をよりスムーズに進めたい企業におすすめのツールとなっています。
ネクストSFA | |
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導入実績 | 要問い合わせ |
主な機能 | ・商談管理
・行動管理 ・見積書発行 ・日報/週報管理 ・ツール連携(MA、財務会計、名刺管理) など |
料金プラン | ・基本料金:50,000円/月
・MA機能利用料(任意):30,000円/月 |
モバイル対応 | ○ |
無料トライアルの有無 | ○ |
ネクストSFAは、株式会社ジオコードが提供する案件管理ツールです。見やすさや使いやすさを徹底的に追求し、誰でも簡単に操作できるUIになっています。
最も特徴的なのは、ツールが定着するまで充実したサポートを受けられる点です。設定やデータ移行はもちろん、マニュアル作成も支援してくれます。そのため案件管理のツールを導入するのは初めてだという企業も、安心して利用できるでしょう。
kintone | |
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導入実績 | 2万社以上 |
主な機能 | ・商談管理
・行動管理 ・見積書発行 ・日報/週報管理 ・承認プロセス など |
料金プラン | ・ライトコース:780円/月
・スタンダードコース:1,500円/月 |
モバイル対応 | ○ |
無料トライアルの有無 | ○ |
kintoneは、サイボウズ株式会社が提供する案件管理ツールです。業種や部門に合わせてカスタマイズできるため非常に使いやすく、営業データの入力や共有がよりスムーズになります。
また料金プランを確認できるページでは、費用対効果シミュレーターの利用が可能です。実際にどれくらいのコストや時間を削減できるか、予測を立てた上で導入の可否を検討したい企業にもおすすめのツールといえます。
Zoho CRM | |
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導入実績 | 25万社以上(世界) |
主な機能 | ・商談管理
・行動管理 ・タスク通知 ・AI予測 ・ツール連携(MA、BI、名刺管理) など |
料金プラン | ・スタンダード:1,680円/月
・プロフェッショナル:2,760円/月 ・エンタープライズ:4,800円/月 ・アルティメット:6,240円/月 |
モバイル対応 | ○ |
無料トライアルの有無 | ○ |
Zoho CRMは、ゾーホージャパン株式会社が提供する案件管理ツールです。CRMとSFAが一体化している上、MAをはじめとした複数のツールと連携できるため、Zoho CRM1つでさまざまな機能を使えます。
またZoho CRMでは営業プロセスや営業フローの設計・見える化もでき、PDCAの効率化に最適です。営業では業務を効率化し生産性を向上させるためには、PDCAサイクルを定期的に回す必要があります。営業におけるPDCAの重要性や効果的な回し方について知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
Microsoft Dynamics 365 | |
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導入実績 | 要問い合わせ |
主な機能 | ・商談管理
・タスク通知 ・見積書発行 ・AI予測 ・通話履歴/音声分析 など |
料金プラン | ・Sales Professional:7,070円/月
・Sales Enterprise:10,330円/月 ・Sales Premium:14,680円/月 ・Microsoft Relationship Sales:17,516円/月 ・Microsoft Viva Sales:4,350円/月 |
モバイル対応 | ○ |
無料トライアルの有無 | ○ |
Microsoft Dynamics 365は、日本マイクロソフト株式会社が提供する案件管理ツールです。同社の委託調査では「3年間の利用で費用対効果が215%」という結果が出るほど、コスト削減と売上アップに貢献しています。
このような成果が出ている要因は、AI予測によってインサイトを発掘しながら組織営業を推進できる点にあります。そのため営業部門の組織力を強化し、チーム全体の売上向上を目指したい企業におすすめのツールです。
案件管理ツールを選ぶ際に留意したい点は、3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
案件管理ツールは製品によって使える機能が変わるため、まずは自社が求める使い方ができるか確認することが大切です。
中にはMAやCRMの機能が備わったものもあり、ツールの導入状況によって適した製品も変わってきます。例えば営業活動に関連したツールを初めて導入する場合は、MAやCRMも備わっている製品を選ぶと一石二鳥です。一方すでにMAなどがある場合は、バッティングしないようなツールを選ぶか、切り替えを検討しましょう。
また業務効率化を考える上では、名刺管理や財務管理など他のツールと連携できる機能も役立ちます。利用するツールの数が多く管理も煩雑になっている場合は、一元化できる製品に思い切って切り替えるのも1つの方法です。
案件管理ツールは無料トライアルや説明会などを通じて、見やすさや使いやすさをあらかじめ確認しましょう。導入後に使い勝手の悪さが発覚し有効活用できなければ、費用が無駄になるためです。
実際営業部門の管理者は、約6割が案件管理ツールの現場活用に課題を感じています。※3
※3出典:SFA導入経験がある従業員300名以上の管理職、約6割が「営業現場での活用に課題あり」より
課題として挙げられているのは、主に次の5つです。
上記からも使い勝手の悪さが、ツールの定着を阻害していることが分かります。このような事態を避けるためにも、導入するツールの選定は実際に使用する従業員が確認した上で決めるようにしましょう。
案件管理ツールはスマホ操作の可否も、重要な選定基準になります。前述したツールの現場活用における課題の中で、最も多いのが「入力の作業負担が大きい」という意見です。そのため外回りの多い営業担当者が入力しやすいように、スマホからでの簡単に操作できる案件管理ツールの導入が理想的だといえます。
モバイル対応であれば商談前に顧客や案件の情報を確認する、あるいは商談後に進捗状況を更新することも可能です。営業データをリアルタイムで共有できれば、その分各部門・担当者が取るべきアクションも早期に実行できます。
案件管理ツールを定着させ、営業全般の効率化を進めるためにも、スマホ操作の可否については必ず確認しておきましょう。
最後に案件管理ツールの導入手順を、3ステップに分けて解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まずは案件管理ツールを導入する目的の明確化が大切になります。前述のおすすめツール・アプリでも解説したように、目的によって適したツールが異なるためです。導入目的としてよく挙げられるのは、次の5つがあります。
上長や現場の担当者が案件管理ツールの導入について納得し積極的に使用するよう、導入の検討に至った経緯や課題、見込まれる効果などもあわせて明確にしておきましょう。
無料トライアルでは、下記を中心に操作感などを確認します。
注意したいのが、意志決定者だけで無料トライアルを受けないということです。意志決定者が良い感触を持っても、現場の従業員からは使い勝手が悪いなど意見の相違が生じる可能性があります。このとき優先したいのは、実際に活用していくことになる現場の意見です。
案件管理ツールを定着させて費用対効果を上げるためにも、必ず現場の従業員がトライアルを受けて有効活用できそうか意見を交換しましょう。
導入する案件管理ツールが決まったあとは、提供元のサポートを受けながら少しずつ導入・運用を進めます。「ツールの連携ができない」「操作が難しい」などの理由で活用を断念することのないよう、サポートは有償であっても積極的に利用すると良いでしょう。
また担当者が変わってもとどこおりなく案件を管理するためには、マニュアルを作成しておくことも大切です。案件管理の量や質を維持できるよう、いつでも誰でも使える環境を整えましょう。
案件管理ツールは、営業データの入力・共有を効率化する便利なものです。エクセル管理よりも導入のハードルは高まりますが、対応漏れの減少や受失注の分析などを通じて売上の増大が期待できます。
案件管理ツールを選ぶ際は機能性だけでなく、使いやすさやモバイル対応についても確認することが大切です。現場の担当者が好印象を持ったツールであれば、スムーズに定着し、業務効率化を早期に実現できる可能性が高まります。
営業活動の生産性を向上させるためにも、自社に合った案件管理ツールを選んでいきましょう。
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