基本ノウハウ
コーポレートサイトは企業の顔ともいうべき存在であり、掲載情報やデザインに対するユーザーの違和感は、企業ブランディングを左右し、リードの獲得や売上にも影響しかねません。しかしいざ改善に取り組もうとしても、「何から手を付ければ良いか、分からない」という方も多いでしょう。
本記事ではコーポレートサイトにおけるリニューアルのメリットや進め方を解説します。着手・公開に最適な時期や予算の考え方もあわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
まずはコーポレートサイトのリニューアルで得られるメリットを3つ押さえておきましょう。
コーポレートサイトは企業の顔であり、名刺代わりともいうべき存在であるため、リニューアルによってサイトの信頼性が向上すれば企業のブランド力を高められます。例えば次のような状態のコーポレートサイトは、ユーザーに不安や疑問を抱かせるでしょう。
「この会社は大丈夫?」「本当にまだ稼働しているのか」と思わせてしまうサイトでは、顧客の獲得や求人応募者の確保は難しくなります。コーポレートサイトの定期的なリニューアルがユーザーの信頼へとつながり、結果として企業ブランディングに好影響を与えるのです。
操作のしやすさやサイト回遊の効率の良さといった「ユーザビリティ」の向上は、コーポレートサイトリニューアルにおける重要なメリットの1つです。
分かりにくい・使いにくいコーポレートサイトは、ユーザーが目標を達成できず、次回の来訪も見込めません。場合によっては不満を潜在的に蓄積させ、企業イメージにも悪影響を及ぼしかねません。そのため、次のような課題は、サイトリニューアルの実施を検討するきっかけとして考えることをおすすめします。
ユーザーニーズを満たすためにも、特にUI/UX面の課題がある場合は積極的にリニューアルやサイト改善を検討しましょう。
UI/UXの改善について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:UI/UXの改善方法とは?成功させるポイントから役立つ思考法まで解説
上記2つのメリットによりユーザーニーズが満たされることで、次のような好循環が生まれ、リード獲得数の増加を見込めます。
さらに、コーポレートサイトがサービスサイトを兼ねる場合には売上アップ、採用サイトを兼ねる場合には応募者数の増加といった目標の達成が期待できます。
コーポレートサイトリニューアルのメリットを享受し、成功に導くためのコツを3つ解説します。関連記事ではサイトリニューアルの失敗事例とその対策も解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
関連記事:サイトリニューアル失敗の原因7選!失敗を防ぐ5つの対策を解説
現状のコーポレートサイトで成果が出ているのであれば、リニューアルする必要はありません。極端な例ですが、仮にレイアウトが崩れていても、ユーザビリティが悪くても、求める成果が達成されていればそのままのコーポレートサイトで問題ありません。
つまり、リニューアルを検討すべきタイミングは「お問い合わせが少ない」「自社のMMVに合致させたい」というように、コーポレートサイトの成果に課題を抱えているときです。
リニューアルの着手が決まれば、次に気になるのが公開のタイミングです。下記のグラフではリニューアルサイトの公開が4月に最も集中しやすく、次点が10月であることが分かります。年度替わりや下半期スタートのタイミングに集中しやすいといえるでしょう。
公開希望時期があらかじめ決まっている場合は、次章で紹介するステップを参考に綿密なスケジュール管理を行いましょう。特に4月や10月に公開を希望する場合、制作会社のリソースを確保するためにも余裕のある納期設定を心がけましょう。
多くのユーザーにコーポレートサイトを閲覧してもらうためには、スマホ表示の対応は必須といえます。総務省の発表した令和4年通信利用動向調査報告書(世帯編)によれば、令和4年のインターネット利用機器は「スマートフォン」(90.2%)が「パソコン」(73.9%)を16.3ポイント上回っています。
近年ではGoogleが「モバイルフレンドリー」を強く推奨しており、検索順位を左右する評価指標の1つになっています。※3 現行サイトが対応していない場合には、リニューアルを機に順応させることがユーザビリティの向上になり、結果的にSEO対策にもつながります。
※3出典:Google Developers|モバイルサイトとモバイルファーストインデックスに関するおすすめの方法
コーポレートサイトのリニューアル後も継続的な効果測定と解析を行うため、アクセス解析ツールを導入しましょう。アクセス解析ツールはユーザーのサイト閲覧状況やCVRが一目で確認できるため、リニューアルのタイミングで導入するのが効果的です。
リニューアルはゴールではなく、目的を達成するための手段です。目的を達成できるまでは成果を確認し、つど改善を図っていく必要があります。
アクセス解析で分かることや進め方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【初心者向け】アクセス解析で分かることとは?進め方からコツまで解説
ここではコーポレートサイトの進め方を、5つのステップに分けて解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まずはアクセス解析や競合調査などから現状把握・分析し、課題を洗い出します。課題はロジックツリーで「Why?(なぜ)」を考え、最終的にコーポレートサイトの目的と照らし合わせて優先順位を決めましょう。例えばサービスサイトを兼ねたコーポレートサイトの場合、下図のようなロジックツリーが作成できます。
課題を洗い出したあとは、リニューアルとサイト改善のどちらを取るか検討します。抜本的かつ全体的な改善が必要な場合は、リニューアルを選ぶと良いでしょう。また課題が部分的で、かつ変化が多いところの場合はサイト改善でも対応できる可能性があります。
具体的な解決方法は【1】と同様に、ロジックツリーで「How?(どのように)」を深掘りすると方向性を定めやすいでしょう。
リニューアルが決定したら、次のような内容を踏まえて基本方針の策定を進めます。
コーポレートサイトのリニューアルでよくある失敗は、スケジューリングが甘く公開期日に間に合わないケースです。また公開日に間に合わせようと急ぐあまり、クオリティが下がる失敗事例もあります。
このような事態を避けるためには、入念な準備が必要です。具体的には、次のような工夫が大切になります。
※2:開発やバックオフィス、運用スタッフなど
またコーポレートサイトのリニューアルを外部へ依頼する場合は、Web制作会社の選定も必要です。対応範囲やコストなどの比較や、RFP(提案依頼書)の提出といった作業も追加されます。
要件定義の流れや項目について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「Webサイトの要件定義書に必要な9項目|進め方からテンプレートまで解説」
またRFPに盛り込む内容や作成時のポイントは、下記の記事で解説しています。リニューアルの外部委託を検討中の方は、あわせてチェックしてみてください。
関連記事:「RFPとは?メリット・デメリット、作成時のポイントについて解説」
方針が固まり要件定義書あるいはRFPが完成したあとは、実際の制作と動作検証に移ります。具体的な作業内容は、主に次の5つです。
リニューアルの規模が大きい場合は下図のようにチームごとで動き、Web担当者は橋渡し役を担います。
制作後は動きやデザインなどに問題はないか、見やすさ・使いやすさを中心にチェックします。Webサイトの基本的な制作手順や内容について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「【5STEP】Webサイト制作の流れと期間|各フェーズごとに徹底解説」
動作検証で問題がなければ、晴れてコーポレートサイトの公開です。リニューアルした旨を、プレスリリースやメルマガなどでユーザーに広く知らせます。このときキャンペーンと連動できれば、さらに大きな流入が期待できるでしょう。
またコーポレートサイトの公開後は、定期的な効果測定と更新で成果を評価し随時改善することも大切です。小さな改善が積み重なれば従業員に成功体験が蓄積し、コーポレートサイトの運用へ積極的に取り組むきっかけにもなります。
継続的かつ安定的な成果を上げるためにも、各部署と協力しながらコーポレートサイトをブラッシュアップしていきましょう。
コーポレートサイトのリニューアル費用は、次のような条件によって変動します。
あくまで目安の費用ですが、50ページまでの小規模なリニューアルであれば50〜100万円が相場です。50〜100ページの中規模リニューアルでは100〜300万円、100ページ以上といった大規模サイトだと300万円以上になることもあります。
ここで重要なのは、ページ数よりもリニューアルの目的です。例えば、お問い合わせ数を10件増やしたい場合と、お問い合わせ数を100件増やしたい場合とでは改修すべきページ数や期間、プロジェクトの支援範囲もまったく異なります。予算を算出する段階で、自社の目的達成のためにどこまで支援してもらいたいのかを整理しておきましょう。そのためには、要件定義を自社内できちんと固めておくことが大切です。
低価格でも依頼できるサイト制作とは異なり、リニューアルは介入する範囲が大きい分相応の予算が必要です。場合によっては、IT導入補助金や事業再構築補助金などの制度で、委託費用を確保していきましょう。
コーポレートサイトのリニューアルは公開後の課題を解決するだけでなく、ユーザーとの良好な信頼関係の中で成果を上げるためにも必要な作業です。掲載情報やデザインが古く、使い勝手も悪いと感じる場合は着手のタイミングといえます。
実際にコーポレートサイトのリニューアルを進める際は、はじめに現状分析し課題を洗い出すことが大切です。そこから要件定義や制作を進め、動作検証後に公開となります。外部へ委託する場合は最低でも50万円以上の費用がかかるため、時にはIT導入補助金などの制度で予算を確保する必要もあります。
コーポレートサイトを抜本的に改善したい方は、関係各所と協力しながらリニューアルを進めていきましょう。