基本ノウハウ
コーポレートサイトの掲載情報やデザインが古くなると、ユーザーからの印象が悪くなり成果が上がりにくくなります。しかしいざ改善に取り組もうとしても、「何から手を付ければ良いか、分からない」という方も多いでしょう。
本記事ではコーポレートサイトにおけるリニューアルの目的や進め方を解説します。着手・公開に最適な時期やかかる費用も、あわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
コーポレートサイトをリニューアルする目的は、主に次の3つです。
コーポレートサイトをリニューアルする目的の1つが、ユーザーからの信頼を失わないためです。例えば次のような状態のサイトを見たとき、ユーザーは不安や疑問を抱きかねません。
コーポレートサイトは企業の顔であり、名刺代わりともいうべき存在です。「この会社は大丈夫?」「本当にまだ稼働しているのか」と思わせてしまうサイトでは、顧客の獲得や求人応募者の確保は難しくなります。
ユーザーの信頼を得て企業ブランディングにも好影響を与えられるよう、コーポレートサイトは定期的にリニューアルすることが大切です。
リニューアルの目的は、公開後に発生した課題を解決するためでもあります。例えば次のような課題がある場合は、リニューアルの可否を検討した方が良いでしょう。
特に分かりにくい・使いにくいコーポレートサイトは、次回の来訪が見込めなくなります。場合によっては潜在的に不満を蓄積させ、企業イメージに悪影響を及ぼしかねません。
ユーザーニーズを満たすためにも、特にUI/UX面の課題がある場合は積極的にリニューアルやサイト改善を検討しましょう。
コーポレートサイトをリニューアルする最終的な目的は、運営目標の達成により成果を上げるためです。ユーザーの信頼を獲得し公開後の課題も解決できれば、次のような目標をクリアしやすくなります。
リリース時に設定した目標をなかなか達成できない場合は、リニューアルで抜本的な解決を図ることも1つの方法です。
コーポレートサイトのリニューアルに最適なタイミングを、着手・公開という2つのフェーズに分けて解説します。
コーポレートサイトのリニューアルに着手する最適なタイミングは、リリースあるいは前回の大規模なリニューアルから6年以上経過した時点です。
Web業界のトレンドは移り変わりが激しく、流行するデザインも2〜3年で変わります。新製品・サービスの誕生スパンが長いBtoBでも、6年以上の空白期間がある場合はさまざまな箇所でアップデートが必要になります。
また下記に挙げるように、コーポレートサイト自体はもちろん運用体制も古く非効率と感じるなら、リニューアル着手のタイミングです。
特にアクセス解析ツールは、Webサイトの現状把握や分析に必須です。アクセス解析で分かることや進め方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「【初心者向け】アクセス解析で分かることとは?進め方からコツまで解説」
コーポレートサイトの公開に最適なタイミングは制作を社内で進めるか、外部へ委託するかによって異なります。社内制作であれば基本的に、スケジュールの許すタイミングで問題ありません。
一方外部へ委託する場合は、他企業の動きを把握することが大切です。多くの場合3月決算でリニューアルが決定し半年〜1年かけて制作するため、10月〜翌年4月に公開時期が集中しやすい傾向にあります。実際下記のグラフでは、全体の20%前後を占めているのは4月であり、次点は10月です。
外部の制作会社もリソースが確保できなければ、相応のクオリティは担保できません。リニューアルによってコーポレートサイトの品質を最大限高めたい場合は、5月〜9月の公開を目標にスケジュールを組むと良いでしょう。
ここではコーポレートサイトの進め方を、5つのステップに分けて解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まずはアクセス解析や競合調査などから現状把握・分析し、課題を洗い出します。課題はロジックツリーで「Why?(なぜ)」を考え、最終的にコーポレートサイトの目的と照らし合わせて優先順位を決めましょう。例えばサービスサイトを兼ねたコーポレートサイトの場合、下図のようなロジックツリーが作成できます。
課題を洗い出したあとは、リニューアルとサイト改善のどちらを取るか検討します。抜本的かつ全体的な改善が必要な場合は、リニューアルを選ぶと良いでしょう。また課題が部分的で、かつ変化が多いところの場合はサイト改善でも対応できる可能性があります。
具体的な解決方法は【1】と同様に、ロジックツリーで「How?(どのように)」を深掘りすると方向性を定めやすいでしょう。
リニューアルが決定したら、次のような内容を踏まえて基本方針の策定を進めます。
コーポレートサイトのリニューアルでよくある失敗は、スケジューリングが甘く公開期日に間に合わないケースです。また公開日に間に合わせようと急ぐあまり、クオリティが下がる失敗事例もあります。
このような事態を避けるためには、入念な準備が必要です。具体的には、次のような工夫が大切になります。
※2:開発やバックオフィス、運用スタッフなど
またコーポレートサイトのリニューアルを外部へ依頼する場合は、Web制作会社の選定も必要です。対応範囲やコストなどの比較や、RFP(提案依頼書)の提出といった作業も追加されます。
要件定義の流れや項目について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「Webサイトの要件定義書に必要な9項目|進め方からテンプレートまで解説」
またRFPに盛り込む内容や作成時のポイントは、下記の記事で解説しています。リニューアルの外部委託を検討中の方は、あわせてチェックしてみてください。
関連記事:「RFPとは?メリット・デメリット、作成時のポイントについて解説」
方針が固まり要件定義書あるいはRFPが完成したあとは、実際の制作と動作検証に移ります。具体的な作業内容は、主に次の5つです。
リニューアルの規模が大きい場合は下図のようにチームごとで動き、Web担当者は橋渡し役を担います。
制作後は動きやデザインなどに問題はないか、見やすさ・使いやすさを中心にチェックします。Webサイトの基本的な制作手順や内容について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「【5STEP】Webサイト制作の流れと期間|各フェーズごとに徹底解説」
動作検証で問題がなければ、晴れてコーポレートサイトの公開です。リニューアルした旨を、プレスリリースやメルマガなどでユーザーに広く知らせます。このときキャンペーンと連動できれば、さらに大きな流入が期待できるでしょう。
またコーポレートサイトの公開後は、定期的な効果測定と更新で成果を評価し随時改善することも大切です。小さな改善が積み重なれば従業員に成功体験が蓄積し、コーポレートサイトの運用へ積極的に取り組むきっかけにもなります。
継続的かつ安定的な成果を上げるためにも、各部署と協力しながらコーポレートサイトをブラッシュアップしていきましょう。
コーポレートサイトのリニューアル費用は、次のような条件によって異なります。
50ページまでの小規模なリニューアルであれば、50〜100万円が費用の目安です。50〜100ページの中規模リニューアルでは100〜300万円、100ページ以上といった大規模サイトだと300万円以上にもなります。
低価格でも依頼できるサイト制作とは異なり、リニューアルは介入する範囲が大きい分相応の予算が必要です。場合によっては、IT導入補助金や事業再構築補助金などの制度で、委託費用を確保していきましょう。
コーポレートサイトのリニューアルは公開後の課題を解決するだけでなく、ユーザーとの良好な信頼関係の中で成果を上げるためにも必要な作業です。掲載情報やデザインが古く、使い勝手も悪いと感じる場合は着手のタイミングといえます。
実際にコーポレートサイトのリニューアルを進める際は、はじめに現状分析し課題を洗い出すことが大切です。そこから要件定義や制作を進め、動作検証後に公開となります。外部へ委託する場合は最低でも50万円以上の費用がかかるため、時にはIT導入補助金などの制度で予算を確保する必要もあります。
コーポレートサイトを抜本的に改善したい方は、関係各所と協力しながらリニューアルを進めていきましょう。