インタビュー
日本市場では「DX」が広くさけばれ、企業における業務内容や組織が大きく変わろうとしています。それにともない、顧客の「購買」行動やプロセスも変化しています。営業組織も、時代のトレンドに合わせて見直していく必要があります。ヒントは「バイヤーイネーブルメント」です。
デジタルセールスルーム「DSR」の専門家である株式会社openpage代表取締役の藤島誓也氏に、DX時代に求められる営業の変化について詳しくお聞きしました。
株式会社openpage 代表取締役
株式会社ビズリーチにて当時日本で一早くカスタマーサクセスチームの立ち上げを経験し、2018年株式会社openpageを設立。顧客取引のDXソリューション「openpage」を提供、米国流のカスタマーサクセスやセールステックについて最先端の情報を国内で広く啓蒙。著書に「実践カスタマーサクセス BtoBサービス企業を舞台にした体験ストーリー」(日経BP、2023年)。ITmedia ビジネスオンライン「新時代セールスの教科書」にて連載中。
――営業DX推進の機運の高まりによって、営業活動はどのように変わるのでしょうか。
DXとは企業における業務や事業のデジタル化のことを指します。多くの企業でDXが進んだ理由のひとつにはコロナ禍の「リモートワークの普及」があると思います。
事業自体をDXするのはまだまだ難易度が高いのですが、業務のDXはリモート環境の整備によってスピーディーに浸透しました。Microsoft Teams、Slack、ZoomといったWebミーティングやコラボレーションのためのITツール導入が進み、リモートでの打ち合わせも当たり前になりました。
顧客の購買プロセスにおいてもオンライン上での検討機会が増えています。営業担当者としては非対面で交渉していく必要があり、会えない分、テキストドキュメンテーションの重要性が飛躍的に高まっています。
――リモートワークの普及によって、顧客の購買行動・プロセスは具体的にどのような変化が見られますか。
オンライン上でのミーティングや情報収集が増えたことで、購買の意思決定においては社内政治や勢いではなく、ロジックや段取りを重要視する傾向が強まっています。
顧客の企業内での対面コミュニケーションの機会が減りオンラインに移行した分、“非同期の仕事”が増えていきます。同期的というのは、社員同士でずっと顔を合わせて仕事をするイメージなのですが、その頻度が明らかに減っているのです。
非同期の仕事が増えた顧客の心を動かし、新たなアクションにつなげるためにも、テキストでしっかり整理された企画書を用意する必要があります。
――リモートワークによる業務内容や意識の変化は、業界や職種によって差があるのでしょうか。
そうですね。業界や職種に加えて、私が着目しているのは世代間のギャップです。