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SFAはセールスフォース社の「Sales Cloud」を導入すべき?

SFAはセールスフォース社の「Sales Cloud」を導入すべき?

SFA/CRMを導入する企業は年々増加しています。さまざまなSFA/CRMが販売されていますが、よく検討対象に上がる有名なSFA/CRMの1つが、セールスフォース社の「Sales Cloud」です。

セールスフォース社は、世界のCRM市場でシェアNo.1を獲得しているアメリカの大企業です。セールスフォース社提供の製品は「Salesforce」と総称されますが、SFA/CRM単体の正式な名称は「Sales Cloud」といいます。非常に高機能な「Sales Cloud」は、国内外で多くの企業に利用されています。

「Sales Cloud」は、他のSFA/CRMと比べてどのような特徴を持っているのでしょうか?

本記事では、「Sales Cloud」の特徴や機能、導入メリットについて解説します。

目次

1.セールスフォース社のSFA/CRM「Sales Cloud」とは

セールスフォース社が提供する複数のサービスの中でも、BtoBの営業活動で多く採用されているサービスが「Sales Cloud」です。本章では、「Sales Cloud」の特徴・機能・価格に加えて、導入に向いている企業について解説します。

「Sales Cloud」の特徴

「Sales Cloud」は、営業活動において最善とされる案件進捗管理の設計に大きな特徴を持っています。

「Sales Cloud」には、営業の業務フェーズを細かく分類して可視化し、各フェーズを効率化するための機能が備わっています。個々の営業が自分の思うように行動するとしたら、営業の属人化は避けられません。業務をフェーズごとに管理し、チーム全体で共有すれば、優れた営業の活動について再現性を高められるようになり、総合的な生産性を上げることにつながります。

また、「Sales Cloud」は、セールスフォース社が提供する他の製品とも簡単に連携できます。各製品との連携によって、マーケティング部門・インサイドセールス部門・フィールドセールス部門と一貫した顧客管理や施策立案が可能になります。セールスフォース社が長年にわたって提唱してきた「The Model」(営業プロセスを分解し、分業体制を築き、各部門で連携させる考え方)を実現できるのです。

上記のような新しい営業体制の構築を謳ってきたのがセールスフォース社であり、その思想を反映させ洗練させてきたSFA/CRMが「Sales Cloud」であるといえるでしょう。

「Sales Cloud」の機能

「Sales Cloud」は、主に下記のような機能を持っています。

機能 内容
顧客管理 リード(見込み顧客)情報と既存顧客の情報を分けて管理できます。また、見込み顧客に向けたさまざまな施策(キャンペーン)情報を管理でき、効果を追跡できます。
商談管理 商談情報を管理できます。商談に関するさまざまな情報を記録できるほか、「評価」⇒「要分析」⇒「交渉」⇒「クローズ済み」と現在の進捗が可視化され、商談状況が一目で分かるようになっています。
レポート・グラフ作成 蓄積したデータをドラッグ&ドロップして、簡単にレポートやグラフを生成できます。
売上予測 営業チームの売上を予測できます。予測金額は細かい調整が可能で、より正確な値を算出できます。
ワークフローの設計 ドラッグ & ドロップの簡単な操作で、サービス内のさまざまなアクションを自動化できます。
見積書作成 案件の商品や数量、価格を管理し、顧客情報を反映して見積書をPDFで生成できます。顧客にメール送信も可能です。
モバイル対応 モバイルアプリがあるため、外出先からも常に最新情報にアクセスできます。移動時間やすき間時間にアクセスすることで作業効率を高めることができます。
(モバイルで利用可能な機能)
・スケジュール確認
・経路検索
・電話会議への参加
・通話の記録
・営業活動の記録
・案件情報の更新
・CRMデータへのアクセス
・ダッシュボード確認

「Sales Cloud」の価格

「Sales Cloud」の導入費用は下記のようになっています。

     
Sales Cloudエディション Essentials
※10ユーザーまで
ProfessionalEnterpriseUnlimited
月額費用(※1ユーザーあたり) 3,000円 9,000円 18,000円 36,000円

出典:セールスフォース公式サイト

【他社SFA/CRMの費用の例】※2022年8月時点
サービス名 HubSpot Sales Hub UPWARD
※初期費用もあり
Kairos3 SFA/CRM
※初期費用もあり
プラン名:
月額費用

Starter:
5,400円/2ユーザー

Professional:
54,000円/5ユーザー

Enterprise:
144,000円/10ユーザー

ESSENTIAL:
3,800円/1ユーザー

STANDRD:
7,800円/1ユーザー

ENTERPRIZE:
12,800円/1ユーザー

25,000円/5ユーザー

出典:Hubspot公式サイト,UPWARD公式サイト,Kairos3公式サイト

他社のSFA/CRMの費用と比較すると、Enterprise以上の金額は高価格帯になりますが、その分多くの機能を利用することができます。一番安価なエディションのEssentialsは契約できる人数に制限があるほか、使用できる機能に制限が多いため、契約前に条件を確認してください。

Sales Cloudの導入に向いている企業

「Sales Cloud」の導入は、グローバル企業や大企業が向いています。

「Sales Cloud」は多言語に対応しており、複数の言語を切り替えて使用できます。海外にも拠点を持つ企業や、国籍を問わない雇用を行っている企業で活用できるでしょう。また、多数のリードや顧客情報の管理・分析が可能であるため、毎月何千ものリードを獲得しているような大企業にも向いています。精度の高い分析によって、効果的な営業手法の確立が期待できます。

2.Sales Cloudならではの4つの導入メリット

「Sales Cloud」を導入するとどのようなメリットを得られるのでしょうか。4つのメリットを解説します。

  • Salesforce内連携で営業活動を強化できる
  • 使い方に合わせて柔軟にカスタマイズできる
  • セキュリティ機能が豊富でリスクを抑えられる
  • ユーザーコミュニティで活用方法を相談できる

Salesforce内連携で営業活動を強化できる

「Sales Cloud」は、セールスフォース製品と連携させることでリードの行動を分析し、成約につながりやすい施策を可視化できます。

「Sales Cloud」は、他のセールスフォース製品と簡単に連携でき、マーケティング領域・営業領域を同プラットフォームで一元管理できます。連携によってリードの受け渡しを効率化できるほか、リード獲得から成約に至るまでの流れを分析し、成果の出やすい施策に注力することで営業活動の強化を図ることができます。

使い方に合わせて柔軟にカスタマイズできる

「Sales Cloud」は、カスタマイズできる項目が豊富にあり、事業内容に合わせて柔軟なカスタマイズが可能です。

データを保管できるオブジェクトを自由に増やしたり、管理する項目を増やしたりできます。また、プログラミングスキルがなくとも、特定の行動をトリガーにして指定した画面が自動的に表示されるようなフローの作成が可能であり、作業の効率化のために細かく設定できます。

機能拡張のためのソフトウェアが豊富にあるほか、複数のAPIが公開されているため、多くの他社サービスと連携が可能で、外部ツールを利用して機能を強化できる点も強みです。

セキュリティ機能が豊富でリスクを抑えられる

「Sales Cloud」は、セキュリティ機能が充実しているツールです。

豊富なユーザー認証方法があり、企業のルールに合わせて設定が可能です。誰にアクセス権を付与するか、アクセスできる範囲はどこか、アクセスできる時間帯はいつかなどを細かく制御でき、不正アクセスを防止します。

SFA/CRMは取引先企業の個人情報、受注金額など、運用のために重要な情報を多く記録することになります。万が一にも流出の危険がないように、リスクは最低限に抑える必要があります。セールスフォース社は専用のデータセンターを設けており、官公庁からも利用されているため、セキュリティの信頼性は高いといえるでしょう。

ユーザーコミュニティで活用方法を相談できる

「Sales Cloud」の使い方に行き詰まったとき、もっと活用方法を知りたいときなど、セールスフォース社のユーザーコミュニティに参加し意見を仰ぐことができます。

ユーザーコミュニティではデジタルマーケティングの推進に積極的なトレイルブレイザーと呼ばれるユーザーがおり、情報交換が活発に行われています。定期的に開催される大規模なイベントでは、ユーザーの成功事例が発表されたり、ノウハウが共有されたりと、「Sales Cloud」活用のヒントを得ることができます。

セールスフォース社のユーザーコミュニティを含めたサポート体制については、「MA導入から効果創出に至る「ジャーニー」を提示しサポート。ユーザーコミュニティ活用でマーケ施策を加速【Account Engagement】」の記事をご覧ください。

3.Sales Cloudを導入する際の3つの注意点

「Sales Cloud」は優れたツールですが、導入にあたっていくつか注意すべき点もあります。導入を検討する前に、3つの注意点を確認してください。

  • 高機能で使いこなすのが難しい
  • サービスを連携させると運用費が高い
  • 海外産ツールのため英語の資料が多い

高機能で使いこなすのが難しい

「Sales Cloud」は極めて高機能ですが、その分すべての機能を使いこなそうとすると操作が煩雑になりがちです。また、カスタマイズ性は非常に高いものの、運用ニーズに合わせて細かく適宜カスタマイズする場合、SFAに関するある程度の知識や経験がなければ難しいでしょう。

サービスを連携させると運用費が高い

「Sales Cloud」は、セールスフォース社の他製品と同じプラットフォームでスムーズに連携できることが強みです。しかし、連携のためには当然ながら他のセールスフォース製品も導入しなければならず、追加費用を要します。

また、「Sales Cloud」単体も、先述の通り他社のSFA/CRMと比較して安価ではありません。予算に余裕がない場合は注意が必要です。

【導入イメージ例】※「Sales Cloud」を20ユーザーで契約時
SFA/CRM:Sales Cloud
【エディション:Professional】
180,000円~/月額*20ユーザー
(9,000円~/月額*1ユーザー)
MA:Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)
【エディション:GROWTH】
150,000円~/月額
20ユーザーで契約した場合の合計費用 330,000円~/月額

海外産ツールのため英語の資料が多い

「Sales Cloud」は外国産ツールのため、資料は英語で記述されているものが多くなっています。日本語対応の資料や、機械翻訳で読み取れる資料もありますが、純国産のツールと比較すると、マニュアルや教材の分かりやすさという点では劣る可能性があります。

また、英語でしか公開されていない動画があったり、最新情報は英語から公開されたりと、サービスに関する詳細な情報の取得には英語が必要になるケースがあります。英語の利用について不安が大きい場合は、国産のSFAも検討してみましょう。

4.まとめ

セールスフォース社のSFA/CRM「Sales Cloud」についてまとめました。

「Sales Cloud」は非常に高機能で優れたツールですが、企業によっては予算の関係で導入が難しかったり、使いこなすことが困難に感じたりするかもしれません。自社がSFA/CRMの導入によって実現したいことは何かを確認した上で、適したSFA/CRMを選定してください。


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この記事を書いた人

BeMARKE編集部
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