基本ノウハウ
「マーケティングのためにメールを強化することになったけど、メール配信にどのようなツールを使えば良いのか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
日々のビジネスメールやメールマガジンなど、メールはマーケティングや営業において極めて重要な手法です。メール配信をミスなく、大量に、効率的に行うためのツールとして、「メール配信システム」があります。「メール配信システム」をうまく利用することが、メールマーケティングの土台を作る第一歩といっても良いでしょう。
本記事では、メール配信システムの基本の解説から、無料でずっと使える8つのサービスとトライアルで使える15のサービスをご紹介します。無料プランで使える8つのサービスについては特に詳しく解説していますので、低コストでメール配信システムを試したい方はぜひ参考にしてみてください。
メール配信システムは、メール配信に便利な機能をそなえ、メール業務の効率化や効果アップを図ることができるツールです。メール配信システムは一体どのようなツールなのか、その役割や機能について解説します。
メール配信システムの導入によって、企業はミスのない安定した配信はもちろん、メールを利用したマーケティングを行いやすくなり、メールをよりビジネスに活用できるようになります。
ビジネスでは、ときに何百、何千もの顧客に対して、送信先を都度選び直しながらメールを配信する必要があります。メールの内容は、製品の売り込み、メールマガジン、申し込みの返信、規約改定のお知らせなどさまざまな例が挙げられるでしょう。しかし、普段利用しているメールソフトでは、膨大な数のアドレスに対して配信能力がなかったり、必要な宛先のみを絞り込む作業に工数がかかったりと、やれることに限度があります。
メール配信システムは、膨大な顧客リストから属性・行動履歴を指定して対象を絞り込み、適切なタイミングで配信する機能がそなわっています。また、メールの作成や配信を補助する機能、メールの効果測定ができる機能など、メール配信の業務を強化・効率化する機能が豊富にそろっているのです。
メール配信を効率化するツールとしては、他にMAがあります。MAはマーケティング業務全般の効率化を図るツールである一方、メール配信システムはメール配信に特化しており、MAよりもシンプルで安価なケースが多いという違いがあります。両者の違いを詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
メール配信システムが持つ代表的な機能には、次のようなものがあります。
機能名 | 内容 |
---|---|
一斉配信 | 多数のメールを指定したアドレスに一度に配信する。 |
予約配信 | 指定した日時に配信する。 |
マルチパート配信 | 配信先の設定によってhtmlとテキストの表示を切り替える。 |
ステップメール | ユーザーの行動を起点にして、指定したスケジュールでメールを配信する。 |
セグメンテーション | 顧客情報をセグメント(細分化)して配信先を指定する。 |
メルマガの登録・解除 | 登録フォーム作成など、ユーザーの行動を起点に簡単にメルマガの登録・解除を行える機能がある。 |
効果測定 | メールの到達率・開封率・URLクリック率などを確認する。 |
迷惑メール対策 | 迷惑メールに振り分けられにくいシステムがある。 |
テンプレート | テンプレートを利用してメールを作成する。 |
HTMLエディタ | コードを書かず画像やテキストを配置して表示通りのhtmlメールを作成する。 |
A/Bテスト | 内容を変えた複数のメール配信を試して、効果の高いメールを検証する。 |
メール配信システムを導入する基準として、費用はもちろん大切ですが、それ以上に考慮すべきポイントがあります。選定に失敗しないために、下記2点をあらかじめ押さえておきましょう。
メール配信システムの運用目的によって、選定の条件は変わります。運用目的を明確にし、目的に沿った機能が充実しているかどうかをチェックして、適切なサービスを選びましょう。
運用目的の例 | 重視したいポイント |
---|---|
デザイン性のあるメールを配信したい | ・テンプレート ・HTMLエディタ |
メ―ルマガジンを運用したい | ・一斉配信 ・登録アドレス数 ・月間メール配信可能数 ・メルマガの登録・解除 |
メールを安定的に配信したい | ・マルチパート配信 ・配信到達の可視化 ・迷惑メール対策 |
日々のメール業務を効率化したい | ・予約配信
・ステップメール ・セグメンテーション |
メールの効果を測定し改善したい | ・効果測定 ・A/Bテスト |
仮に「デザイン性の高いメールマガジンを手軽に配信したい」という運用目的であれば、下記の要素が重要といえます。
反対に、メールマガジンの運用に関係がないステップメールの機能は、今後利用の予定がない限りは優先度が低くなるでしょう。自社の運用目的が明確であれば、必要な機能・不要な機能を整理できるのです。
メール配信システムを選ぶ際には、自社が運用しやすいサービスであるかどうかが重要です。機能のみならず、サポート体制や日本語のマニュアルの有無、操作性など、安心して使いこなせる条件がそろっているかを必ず確認しましょう。
メール配信は顧客との直接の接点となる大切な業務であるため、万が一にもミスがないよう、さらに、ミスやトラブルがあった場合にはすぐにリカバリーできるような体制づくりが重要です。せっかく導入したメール配信システムが使いづらく、業務の効率化をかえって妨げてしまうようでは意味がありません。また、利用していて使いづらいと感じるサービスは、不用意なミスを誘発しかねません。そのため、緊急時にスムーズにサポートへ連絡できることや、必要な情報をすぐに引き出せるマニュアルの存在など、自社が運用しやすいサービスであることが必須なのです。
メール配信業務にある程度知見がある企業や、グローバル企業であれば、日本語のマニュアルがない海外産のサービスであっても安価に利用できるケースもあるでしょう。自社の状況に応じて、適切なサービスの検討をおすすめします。
メール配信システムの中には、無料で利用できるサービスが複数あります。ただし、無料プランは利用できる機能・登録アドレス数・配信数などに制限があるほか、サービスの企業名やロゴがメールに表示される条件付きであることがほとんどです。そのため、無料プランで運用を試し、本格的な運用に際しては有料プランに移行する形が一般的です。
しかし、配信数・登録アドレス数がそれほど必要ではない中小企業や、限定的な事業における運用であれば、無料プランの範囲内でも十分にメール配信システムを利用できる場合があります。メール配信システムを導入したいもののコストの面でどうしても難しいという企業は、無料プランを試してみてください。
本章では、無料プランのあるメール配信システム8つをご紹介します。
出典:HubSpot 公式サイト 提供:HubSpot Japan株式会社
【おすすめポイント】
「HubSpot」の無料ツールは、メールマーケティングを低コストで行いたい企業にとってはうってつけのサービスです。無料でデザイン性の高いEメールやメールマガジンを作成でき、容量無制限で、配信数も十分にあります。
「Marketing Hub」や「Sales Hub」などHubSpot提供サービスの一部の機能を無料で利用できるほか、Gmail、Outlook、MicrosoftExchangeなどの有名サービスとの連携も可能です。無料ツールとCRMを連携させ、顧客の行動履歴などの情報から送信先を絞り込むこともできます。
無料プランでは、サポートがコミュニティ(英語)の利用のみである点は注意が必要です。それ以上のサポートは、有料プランで利用できます。
出典:Zoho Campaigns 公式サイト 提供:ゾーホージャパン株式会社
【おすすめポイント】
「Zoho Campaigns」は、大量のメールの配信を検討している企業であれば検討したいサービスです。月間のメール配信可能数が無料版でも最大6,000通、有料版では無制限と圧倒的です。メールマガジン作成に役立つ機能も多く、分析機能もそなえています。
また、Zohoが提供する豊富な関連ツールや、その他多数のサービスと無料で連携が可能です。特にZoho CRM、Google Workspace、Eventbrite、SurveyMonkeyなどのサービスとの連携により、顧客情報のインポートを容易に行うことができます。
日本語のFAQコンテンツも充実していますが、無料プランはテクニカルサポートが英語のメールのみである点には注意が必要です。
出典:める配くん 公式サイト 提供:株式会社ディライトフル
【おすすめポイント】
「める配くん」は、コストをかけず、言語の面でも不自由な思いをしたくない企業は真っ先に検討したいサービスです。無料で期限を設けずに利用できる希少な国産サービスで、「める配フリー」という無料プランを提供しています。
有料プランで利用できる多くの機能を無料プランでも利用可能です。自動返信メールやステップメールなど、他社サービスでは有料プラン限定の場合が多い機能も使用できる点が優れています。
注意点として、無料プランでは登録アドレスが120まで、月間配信数が500までと制限されている点が挙げられます。長期的に運用する場合いずれも不足する可能性が高く、有料版への移行を前提に導入を検討した方が良いでしょう。
出典:acmailer 公式サイト 提供:エクストライノベーション株式会社
【おすすめポイント】
「acmailer」は、PCにインストールし、自らサーバーに設置して利用するCGIのサービスです。サーバー設定の知識があり、メールを制限なく自由に配信したい企業であれば検討したいサービスです。
「acmailer」はメールマガジンに特化したさまざまな機能をそろえており、テスト配信や配信履歴の確認、バックナンバーの公開などができます。また、配信数やアドレス登録数に制限がありません。
サーバーの設定などを社内で行う必要があるため、ある程度知識がある人でなければ設置・運用に手間がかかる点は注意が必要です。
出典:Mailchimp 公式サイト 提供:Rocket Science Group
【おすすめポイント】
「Mailchimp」は、メールマーケティングを行いたい企業であれば検討したい海外産のサービスです。メールマーケティングに必要な機能をそろえ、国内外で広く利用されています。
直感的な操作性が特徴で、簡単にクオリティの高いメールを作成できます。また、外部の多数のサービスと連携可能で、SNSの投稿や広告、ランディングページを一箇所で管理するマーケティングプラットフォームとしても機能します。
注意点としては、プラットフォームが日本語対応しておらず、サポートも英語のみ(最初の30日間)である点が挙げられます。
出典:Sendinblue 公式サイト 提供:Sendinblue
【おすすめポイント】
「Sendinblue」は、質の高い美しいメールを作成したい企業であれば検討したい海外産のサービスです。直感的に操作できるUIで、無料プランでも美しいデザインテンプレートを多数使用できます。
機能も充実しており、顧客の行動を追跡して、最適なタイミングでメールを送信できます。また、無料プランであってもワークフローを利用でき、条件を設定してメールを自動配信できます。ステップメールの配信も容易です。
ただし、1日の上限数が300であるため、1日の配信数が300を超えるような企業は利用が難しいかもしれません。また、サービスやサポートが日本語対応していない点も注意しましょう。
出典:Twilio SendGrid 公式サイト 提供:SendGrid 構造計画研究所(運営代行)
【おすすめポイント】
「SendGrid」は、安定して大量のメールを配信したい企業であれば検討したいサービスです。無料プランで2,000件までのアドレス登録、月12,000通のメール配信と利用可能数が多く、機能も豊富です。
堅実なメール配信が行えるよう、SPF/DKIM、独自ドメイン設定など、さまざまなセキュリティ・運用対策が充実しています。日本語のチュートリアルを利用できるほか、代理店経由にはなりますがWebフォームから日本語のサポートを受けられる点も魅力です。
注意点としては、メールマガジン向けの機能も充実しているものの、メールマガジンの登録フォームが単体で作成できない点が挙げられます。
出典:Benchmark Email 公式サイト 提供:株式会社ベンチマークジャパン
【おすすめポイント】
「Benchimark Email」は、厳密には無料トライアル版になりますが、期限が設けられていないため無料プランと同様の利用が可能です。無料で多機能なツールを試してみたい企業であれば検討したいサービスです。
500種類以上のデザインテンプレートが利用でき、おしゃれなメールが簡単に作成できます。レポート機能も充実しており、リアルタイムレポート以外にも、多くクリックされた箇所が分かるクリックマップや、開封時間のレポートが無料で利用できます。海外産サービスですが日本語サポートに対応しているため、安心して利用できるでしょう。
無料版の場合は登録フォームを介して登録可能なアドレス数は75件/日、配信予約可能なメールは1日10本までと機能的な制限がある点には注意が必要です。
下記は、有料プランが前提であるものの、無料トライアルも提供しているサービスの一覧です。導入を検討している場合は、無料トライアルで使用感を確認しましょう。
製品名 | 無料トライアル期間 |
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オレンジメール | 半年(無料版)・30日間(有料版) |
配配メールBridge | - |
ブラストメール | 7日間 |
アララ メッセージング ソリューション | 14日間 |
WiLL Mail | 14日間 |
ワイメール | 14日間 |
メール商人 | 30日間 |
アクセスメール | 7日間 |
Synergy! メールAPI | 申し込み月の翌月末日 |
Cuenote FC | - |
kreisel | 14日間 |
さぶみっと!メール配信 | 14日間 |
kMailer | 30日間 |
ナウゲッタメール | 10日間 |
HyperMail | 7日間 |
メール配信システムとはどういったツールか、また、無料プラン・トライアルを提供している23のメール配信システムについて紹介しました。
メール配信システムは、ビジネス上のメール配信業務を効率化するだけではなく、魅力的なデザインの作成や、効果測定による内容のブラッシュアップに役立ちます。メール配信システムをうまく使いこなせれば、メールマーケティングの実績向上にもつなげられるでしょう。自社が実現したい運用体制に適したメール配信システムを検討し、まずは無料のプランから試してみてはいかがでしょうか。