Tips/寄稿

製造業マーケ実践例:コンテンツの”つくりっぱなし”を防ぐには?

製造業マーケ実践例:コンテンツの”つくりっぱなし”を防ぐには?

前回の記事では、マーケティング施策でつくられるコンテンツ検討の際のポイントや実際の手順について解説いたしました。
今回は連載の最終回として、実際のコンテンツの活用事例を中心にご紹介いたします。

連載記事一覧 https://be-marke.jp/author/448

目次

コンテンツの“つくりっぱなし”を防ぐためには?

製造業に限った話ではないですが、マーケティング施策の一環で予算とリソースを投入して制作したコンテンツを、単発の施策にのみ使ってほかで活用されていないケースを多く見かけます。
典型的な例としては、「展示会ブース用に制作した動画」、「単発で投稿されたブログ記事」など……いわゆる「つくりっぱなし」の状態です。

ここから「しっかりリード・商談を生み出すコンテンツ」として活用するには次のポイントを押さえる必要があります。

1. 明確な目的を設定する

コンテンツを作成する前に、そのコンテンツの目的を明確にしましょう。

単に「情報を提供する」だけでなく、「リード獲得につなげる」「商品の認知度を上げる」など、具体的な目標設定が大切です。また、各コンテンツが「情報収集」「比較検討」などマーケティングフェーズのどの段階で活用されるのかも考慮する必要があります。

2. ターゲット層を絞り込む

誰に向けてコンテンツを作成するのかを明確にしましょう。

製造業の場合、エンジニア向け、経営者向け、調達担当者向けなど、ターゲットによって内容や表現を変える必要があります。それぞれの立場で求める情報や理解度が異なるため、同じ製品情報でも異なるアプローチが必要になります。

3. 配信チャネルを最適化する

作成したコンテンツをどのように配信するかも重要です。

自社サイト、SNS、メールマガジンなど、ターゲット層にあわせて適切なチャネルを選びましょう。特に製造業の場合、専門メディアやオンライン展示会などの業界特化のチャネルも効果的に活用することが重要です。

4. 定期的に効果を測定する

コンテンツの効果を定期的に測定し、改善につなげることが重要です。

アクセス数、滞在時間、コンバージョン率など、目的に応じた指標を設定し、PDCAサイクルを回しましょう。マーケティングオートメーション(MA)を活用することで、より詳細な効果測定が可能になります。

どんなコンテンツをつくるべき?

製造業のマーケティングにおいて効果的なコンテンツには、次のようなものがあります。

  • 技術解説記事:自社の技術や製品の特徴を分かりやすく解説。技術仕様だけでなく、その技術が解決できる課題や市場のニーズとの関連性も含めて説明することが重要です。
  • 事例紹介:導入企業の声や成功事例を紹介。具体的な導入効果や、導入プロセスでの工夫なども含めることで、より説得力のある内容になります。
  • 業界動向レポート:最新の業界トレンドや市場分析を提供。自社製品との関連性を示しながら、業界全体の課題や将来展望について解説します。
  • ハウツーガイド:製品の使用方法や活用のコツを紹介。基本的な操作方法から応用的な使い方まで、段階的に説明することで、顧客の理解を深めます。
  • ホワイトペーパー:専門的な知見や研究結果を詳細に解説。技術的な裏付けや実証データを示すことで、製品の信頼性を高めます。

上記は一般的なコンテンツの例ですが、汎用的かつ、気軽に視聴されやすいことを理由に上記のコンテンツ内容を「動画コンテンツ」として制作される企業が増えています。

記事の後半では動画コンテンツを例に取り上げ、MAを効果的に使い顧客とのタッチポイントを創出する実例をご紹介いたします。

コンテンツ × MA活用でマーケティングの可能性を広げよう!

MAを活用することで、コンテンツマーケティングの効果を最大化できます。実践で生かせるTipsとあわせて、具体的な活用例を紹介しましょう。

1. リードナーチャリング

展示会後のフォローアップとして、業界別の実例動画を送付する際、単なる「ご来場ありがとうございました」のメールではなく、「○○業界の実例動画をお送りします」という件名にすることで開封率を高めることができます。

MAを使って視聴状況を把握し、視聴完了者には「動画をご覧いただき、ありがとうございます。ご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください」といった追加のフォローメールを送ることで、他社との差別化を図ることができます。

ナーチャリングコンテンツとして活用しよう!(Monointive株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

2.顧客行動にあわせたコンテンツ配信

顧客の興味関心や過去の行動履歴にもとづいて、最適なコンテンツを提案できます。 例えば、特定の製品カタログを閲覧した顧客に対して、関連する技術解説動画や事例紹介を自動的に提案することで、顧客エンゲージメントを高めることができます。

ナーチャリングコンテンツとして活用しよう!(Monointive株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

3.カスタマーサクセスの一環として取説動画を活用

コンテンツマーケティングは、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の満足度向上にも大きく貢献します。

製品の使い方や活用事例を紹介するコンテンツを作成することで、顧客の製品理解を深め、さらなる活用を促進できます。特に、導入後一定期間が経過した顧客に対して、より高度な使用方法や新機能の紹介を行うことで、製品の価値を最大限に引き出すサポートができます。

お役立ち情報として「取説動画」を活用!(Monointive株式会社)|BeMARKE(ビーマーケ)

おわりに

8月の連載から約4カ月に渡り、製造業における「マーケティングの課題」「コンテンツづくりで押さえるべき訴求ポイント」「コンテンツづくりの手順や実用例」について4つの記事を寄稿させていただきました。
日々、製造業の企業さまをご支援する中でクリアすべき課題は多くあると感じておりますが、今回の記事が皆様のマーケティング業務に少しでもお役立て・参考になれば大変うれしく思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

斉藤拓真
斉藤拓真 | Monointive株式会社 代表取締役社長

2011年、オリンパス株式会社に入社し、製造業向けの研究開発や品質保証のための解析・測定装置の販売に従事。その後、マーケティング部門へ異動し(同事業は株式会社エビデントへ分社)、BtoBマーケティング機能の立ち上げや各種ツールの導入などを経験。製造業のBtoBマーケの遅れと、分業型の営業・マーケ体制の可能性を感じ、2024年にMonointive株式会社を創業。現在は、「製造業向けのBtoBマーケ・営業支援」と「マーケ・営業関連ベンダー向けのクライアント支援」をおこなっている。

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