基本ノウハウ
マーケティング活動を行おうとするとき、ノウハウのない企業が一から取り組みを始めるのは難しいため、マーケティングに精通した会社へサポートを依頼するのも1つの方法です。しかし、マーケティング支援会社が実際にどのような支援を行ってくれるのか、また支援会社といっても具体的にどのような会社に依頼すれば良いのか分からないという方も多いでしょう。
本記事ではマーケティング支援会社で受けられるサポート内容と、支援会社の種類、依頼する際の注意点や選定基準を紹介しています。マーケティング支援会社への依頼を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
マーケティング支援会社とは、企業のマーケティング活動を支援するビジネスを行っている会社を指します。企業はマーケティングの実施によって「認知拡大」や「見込み顧客の獲得」といった自社のさまざまな課題解決を目指しており、マーケティング支援会社はこうした企業の課題解決・目標達成をサポートするのです。
マーケティング支援を行う会社は数多く、得意とする領域や支援内容は会社によって異なります。主な支援内容としては下記が挙げられます。
分類 | 支援内容 |
---|---|
サイト制作 | Webサイト(コーポレートサイト、サービスサイト、オウンドメディアなど)の制作・リニューアルの支援 |
コンテンツ制作 | Webサイトに掲載するコンテンツ(記事、動画、ホワイトペーパーなど)の制作の支援 |
アクセス解析 | Webサイトのアクセス解析レポートの提出、改善策の提案などの支援 |
SEO | WebサイトのSEO対策全般の支援 |
SNS運用 | SNSの管理・運用代行などの支援 |
ツール選定 | マーケティングに活用するツール(MA、SFA、CRMなど)の導入・定着・運用代行などの支援 |
広告運用 | 広告の企画、制作、分析、運用代行などの支援 |
プロジェクトマネジメント | マーケティングの戦略設計から体制整備、個々の計画立案など上流工程の支援 |
DX | デジタルツール導入、データの収集・分析体制の確立、営業体制の刷新などの支援 |
本章ではマーケティング支援を行う会社の種類について解説します。
ただし、マーケティング支援会社のすべてが後述する内容のようにきれいに分類できるわけではなく、実際には複数の要素を兼ねている会社も多い点にはご注意ください。
広告代理店(広告会社)は、顧客のさまざまなメディアへの広告出稿を代理で行い、サポートする会社です。顧客と広告媒体の仲介を行い、その報酬や手数料をもらうビジネスモデルです。広告代理店の中でも、下記の3つに分類できます。
総合広告代理店は、すべての広告媒体を扱い、マーケティング活動を総合的に支援する広告代理店です。広告の企画から制作まで一貫した依頼が可能で、TVCMや新聞広告などのマス広告からWeb広告に至るまで、さまざまなメディアに対して同時に出稿できます。オンライン・オフライン問わず、広範囲の大々的なプロモーションを予定している大企業などが顧客に該当するでしょう。
【代表的な会社】
専門広告代理店は、特定の広告媒体を扱う広告代理店です。代理店によってメインの広告媒体が異なります。中小企業から大企業まで、代理店によって扱う顧客層の範囲も幅広いのが特徴です。出稿する広告媒体があらかじめ決まっている企業や、より専門性の高い支援を受けたい企業が顧客に該当するでしょう。
【代表的な会社】
ハウスエージェンシーは、特定の事業会社を専門にして広告を扱う広告代理店です。大企業が広告事業のために子会社として持っているケースが多く、親会社の広告業務や、保有する広告媒体を取り扱います。ハウスエージェンシーといいつつも、総合広告代理店のような業務を行う場合もあります。
【代表的な会社】
マーケティング活動に対するコンサルティングが業務の中心である会社を紹介します。会社によってSEO、オウンドメディアなど得意領域が異なるため、支援を依頼する場合には自社の課題感に合わせた選択が重要になります。
市場調査(またはマーケティングリサーチ)に強みを持つ会社です。戦略設計に必要な情報である「顧客ニーズ」の調査はもちろん、顧客起点の施策を実施するためのさまざまな情報収集・分析をサポートします。戦略設計にあたって大規模な市場調査を行いたい大企業などが顧客に該当するでしょう。
【代表的な会社】
市場調査については下記の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:「【2023年最新】市場調査のやり方10ステップ~種類や計画方法まで徹底解説」
市場調査から経営方針の設定・戦略設計など、上流設計の支援に強みを持つ会社です。専門家として顧客の相談を受ける一方、制作・運用までは行わないケースが多くなっています。組織が大きくビジネスモデルが複雑な大企業や、戦略の抜本的な改革を必要とする大企業などが顧客に該当するでしょう。
【代表的な会社】
コンテンツマーケティングの戦略設計から制作に至るまで、総合的な支援に強みを持つ会社です。コンテンツマーケティングを成功させるには中長期的な目線での計画が必要で、ノウハウのない会社が一から実践するのは難しいため、支援会社への依頼によって一貫性のあるコンテンツマーケティングの実現を目指します。継続的に高品質のコンテンツ制作を行う必要があるため、コンテンツの制作自体を代行する会社もあります。
【代表的な会社】
コンテンツマーケティングについては下記の記事で詳しく解説しています。
関連記事:「コンテンツマーケティングとは?基本・実施の手順・成功事例まで分かりやすく解説」
テクニカルSEO・コンテンツSEOなど、総合的なSEO対策に強みを持つ会社です。特に顧客層が検索を積極的に行う業界の場合は、検索上位を取れるかどうかによってサイトの流入数・問い合わせ数に大きな差が出ます。SEO領域についてノウハウがある会社に依頼することで、効果測定からの改善や内製化も含めた支援を期待できます。
【代表的な会社】
SEOについては下記の記事で詳しく解説しています。
関連記事:「SEOとは?用語の基礎知識を初心者にも分かりやすく解説」
BtoB企業のマーケティングの支援に強みを持つ会社です。BtoBマーケティングはBtoCマーケティングと多くの点で違いがあり、BtoBマーケティングで成果を上げたい場合には専用の支援会社への依頼がおすすめです。
【代表的な会社】
関連記事:「BtoBマーケティング支援会社おすすめ13選|サポート内容から選び方まで解説」
前述した2タイプに含まれないマーケティング支援会社を解説します。
Webサイト制作や動画制作など、特定の分野に強みを持つクリエイティブの会社が、制作のみではなく一部コンサル的な業務も請け負っているパターンです。企画・制作から成果を出すための運用のサポートも行ってくれますがマーケティング戦略の全体的な設計までは依頼が難しく、あくまで制作分野の範囲内のサポートに留まります。
Webサービスの提供を行うベンダーが、導入・運用のサポートの過程で一部コンサル的な業務も請け負っているパターンです。マーケティングに利用されるMAやSFA、CRMなどのツールの中には多機能で使いこなすのが難しいツールもあり、「導入したが使われなかった」という事態を避けるためにベンダーが定着のための勉強会やセミナーを実施したり、一部運用の代行を行ったりといった支援を行います。
マーケティング支援会社を選ぶ際のチェックポイントは、主に次の4つです。
自社の課題を解決できそうか、マーケティング支援会社が得意とする手法や対応範囲について確認することが大切です。たとえ範囲外のものがあっても、外部サービスや会社の利用を設計・提案できるところだと良いでしょう。
上記について見極めるためには、自社の課題をあらかじめ洗い出す必要があります。何が課題か分からない場合は、そこから丁寧にヒアリング・提案してくれる会社を選ぶのも1つの方法です。
効率や成果を重視するならマーケティング支援会社の事例紹介ページを確認し、自社に近い業種の事例をチェックしましょう。似たような支援実績があると活用できるノウハウが多く、戦略や施策の立案がよりスムーズに進むためです。
支援会社によっては事例集のダウンロードページを別途設置しているため、複数社のものを取り寄せて比較すると良いでしょう。またお問い合わせフォームから直接尋ねると、公式サイトに載せていない事例も紹介してくれます。
自社でも有効活用できそうか、利用イメージを膨らませるためにも積極的に情報収集してみてください。
マーケティング支援会社を選ぶにあたって、「誰に担当してもらえるか」も重要です。マーケティングの実績がある企業でも、「大きな案件は優秀な担当者が一人で行っていた」など、スキルや知識が属人化してしまっているケースがあります。支援会社の中にはサイトで担当者の名前を出して事例を掲載している場合もあるため、自社が希望する担当者についてもらえるのかなど、契約前に確認するようにしましょう。
担当者のコミュニケーションについても、マーケティング支援会社を選ぶ際の重要なチェックポイントになります。企業成長を意識した支援には自社理解が必須であり、定期的かつ丁寧なコミュニケーションが土台となるためです。
逆に自社理解が乏しい担当者だと効果が出にくい、あるいは予算に見合わない提案をされるケースも少なくありません。確実に成果を上げつつ費用対効果の向上を図るためにも、会社の実績だけでなく担当者の質にも目を向けましょう。
最後にマーケティング支援会社へ依頼する際の注意点を、3つに分けて解説します。
戦略設計などから委託する場合でも丸投げするのではなく、目的やゴールについて社内外であらかじめ検討・共有しておくことが大切です。認識のズレがあると取るべき施策や方向性がぶれ、思っていたような成果を得られなくなります。
例えば見込み顧客の獲得1つを取っても、場合によってマーケティング施策は大きく異なります。
手戻りによる機会損失を減らせるよう、目的やゴールはあらかじめ明確化し社内外で共通認識を持って業務にあたりましょう。
マーケティング支援会社へ依頼する際は、自社で担当する部分と委託する部分を明確に分けることも大切です。そのためには、業務フローを可視化しておく必要があります。
例えばテレアポの代行を依頼する場合、架電リストの作成は自社、実際に架電・レポート作成する部分は支援会社などに分けます。この部分があいまいだと、次のような事態が生じかねません。
数か月から1年という長い契約期間で不満がくすぶると、信頼関係にヒビが入り良い成果は望みにくくなります。互いにストレスフリーで最大限のパフォーマンスを発揮するためにも、業務分担ははっきり決めておくことをおすすめします。
マーケティング支援会社が本領を発揮できるよう、次に挙げるような情報は求められたときにすぐ提示できるようにしておきましょう。
上記から自社や顧客、市場への深い理解が進み、結果としてより効果的な戦略・施策の立案が可能となります。ただしセキュリティ対策についてもあわせて確認し、顧客情報などが漏えいしないよう十分注意してください。
マーケティング支援会社からは多様なサポートを受けられますが、企業によって得意とする手法は異なります。依頼先を選ぶ際は実績や担当者の質を確認し、社内であらかじめ課題を洗い出しておくことも大切です。丸投げしてしまうと自社に合わない提案によって成果が上がらないばかりか、想定外のコストが発生する事態にもなります。
売上目標の達成に向けて外部の力も借りたい場合は自社理解が深く、伴走してくれるマーケティング支援会社を選んでいきましょう。