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【具体例付き】LPOとは?基本的な流れや便利ツール、対策まで解説

【具体例付き】LPOとは?基本的な流れや便利ツール、対策まで解説

LPOは、Webマーケティングの効果を最大限にするために必要な施策の1つです。しかし、マーケティング担当者の中には「LPOとは、そもそも何?」「よく聞くSEOやEFOとは何が違うのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。

本記事ではLPOとは何か、SEOやEFOとの違いを踏まえながら解説します。LPO対策の基本的な流れや便利なツール、押さえておきたいポイントなどもあわせて紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

目次

1.LPOとは?

まずはLPOとは何か、どのような目的で実施するのか見ていきましょう。混同しやすいSEOやEFOとの違いも、あわせて解説します。

LPを改善し成約率を高めるマーケティング手法

LPOはランディングページ(LP)最適化、つまりLPの文言やデザインなどを改善することで成約率を高めるマーケティング手法です。正式名称は、Landing Page Optimization(ランディングページオプティマイゼーション)となります。

そもそもLPとは、広義ではサイトにアクセスした際、最初に見るページです。狭義では、購入や資料請求などの行動(コンバージョン:CV)を促すことに特化した縦長のページを指します。通常、WebマーケティングでLPを指すのはCVを目的とした縦長のページです。

LPOやLPO対策と呼ばれる施策は、訪問者が持つ興味の強さに合わせて専用のページを作り、直帰率を下げたり成約率を高めたりすることが目的となります。LPOはCVの改善にもつながる施策のため、効果的なマーケティングを進める上では欠かせない要素の1つです。

SEOやEFOとの違い

LPOと混同しやすいのが、SEOやEFOです。それぞれの違いは、下表のようになります。


                                                                     
正式名称目的具体的な施策の例
LPO Landing Page Optimization
(ランディングページ最適化)
・直帰率の低下
・成約率の向上
・ユーザーのニーズや興味の強さに合わせたページを準備する
SEO Search Engine Optimization
(検索エンジン最適化)
・上位表示による検索流入の増加
・成約率の向上
・ユーザーに有益な情報を与えられるコンテンツを作る
EFO Search Entry Form Optimization
(エントリーフォーム最適化)
・フォーム入力中の離脱防止
・成約率の向上
・入力項目を最低限のものに絞って減らす

表を見ると分かる通り、LPOやSEO、EFOはいずれも最終的には成約率の向上を目指す施策です。しかし、成約率向上に至るまでの具体的な手法は、それぞれ異なります。簡単にまとめるとSEOで集客し、LPOで購買意欲を盛り上げ、EFOでCVへ確実につなげるということです。

Webマーケティングを進める際はどれか1つに特化して対策するのではなく、3つすべてに配慮し適宜改善を加えることが大切になります。

2.【5STEP】LPOの流れ

LPOは効果的なマーケティングを進める上で、大切な施策の1つです。特にLPを設置しているにもかかわらず、CVポイントへ至る前にユーザーが離脱してしまう場合などはLPO対策が必要になります。ここではLPOの進め方について、5つのステップに分けて見ていきましょう。

  • 【1】現状分析
  • 【2】仮説検証
  • 【3】KPIの設定
  • 【4】改善策の実行と効果測定
  • 【5】改善策の再検討と実施

それぞれ詳しく見ていきます。

【1】現状分析

まずはLPのどこに問題があるか、現状を分析し課題を抽出します。このとき参考になるのが、ユーザーがどこからどのように来ているか、Google Analytics(GA)などを活用した分析です。

LPOはユーザーが持つ興味の強さによって、表示するLPを変える必要があります。例えば、自社製品の名前を知って単に調べたいだけか、購入を見据えてスペックや料金プランを知りたいのかでは、アプローチする方向性やCVポイントが異なってくるでしょう。

このように、ユーザーが持つ興味の強さはLPの内容を再検討する際に役立つ重要な情報です。GAでは、下表のように7つの来訪元を分析できます。来訪が多い流入経路を特定し、そこを重点的にLPOを施すとCV率の向上が期待できるでしょう。


                                                                                                                                         
来訪元ユーザーの属性興味の強さ
ダイレクト
(Direct)
・ブラウザのブックマーク
・URLの直接入力
・メールに記載されたリンク
・既存顧客
・リピーター
・関係者
リファラル
(Referral)
・他Webサイト(ニュースサイトやグループ関連会社のサイトなど)・潜在顧客
【グループ関連会社のサイトからなら】
・既存顧客
・リピーター
・関係者
弱~強
ブランドペイドサーチ
(Branded Paid Search)
・指名系のリスティング広告(自社名や自社サービス名を検索したときに表示される)・見込み顧客
・既存顧客
中~強(製品・サービス名の組み合わせなら強い)
ジェネリックペイドサーチ
(Generic Paid Search)
・リスティング広告(自社名や自社サービス名以外で検索したときに表示される)・見込み顧客者
ディスプレイ
(Display)
・GoogleやYahoo!JAPANの広告・潜在顧客
・見込み顧客
・既存顧客
弱~強(リターゲティング広告経由※なら強い)
オーガニックサーチ
(Organic Search)
・検索結果(広告以外の自然な検索結果)・潜在顧客
・見込み顧客
弱~中
ソーシャル
(Social)
・SNS(Twitter、Instagramなど)
・集合知サイト(はてなブックマークなど)
・ブログ系サイト(Amebaなど)
・潜在顧客

※:購入経験のある既存顧客向けの広告

また、LPのどこで離脱されやすいかは、ヒートマップや各種LPOツールの活用で分析できます。GAと他のツールを組み合わせると、より精度の高い現状分析が可能となるでしょう。

【2】仮説検証

次に、現状分析で抽出された課題の原因について仮説を立てます。LPOにおける課題と仮説の例は、次の通りです。


                                                                                          
課題 原因の仮説(例)改善策(例)
直帰率が高い ①ページの表示速度が遅い
②広告とリンク先のファーストビューとの間に印象の違いがある
①表示速度が上がるようページを設計し直す
②広告とファーストビューのデザインやキャッチコピーをそろえる
特定箇所での離脱率が高い ①欲しい情報が載っていない
②CVへの導線が整っていない
①ユーザーのニーズや興味の強さに合わせたページに設計し直す
②料金プラン表などのコンテンツやボタンの配置を換える
滞在時間が短い ユーザーのニーズや興味の強さと、コンテンツの内容にズレやギャップがあるGAやヒートマップなどの分析をもとにコンテンツの内容を見直す
CTA※のクリック率が低い ①CTAの内容や位置が分かりにくい
②心理的ハードルが高く、クリックに至らない
③CTAに至る前に離脱する
①CTAのデザインや文言を工夫して目立たせる
②CTAまでにユーザーの不安を払拭する/「1分で完了」など具体的な数値を提示する/CVポイントを変更する(購入→資料ダウンロードなど)
③ファーストビューやコンテンツの途中など、CTAの設置数を増やす
CV率が低い ①流入元とリンク先のコンテンツ内容にズレやギャップがある
②フォーム入力中に離脱する
①流入元に合わせたLPを複数用意する
②EFOもあわせて検討する

※CTA:Call To Action=購買や登録など具体的な行動を促す要素(ボタンなど)

課題の内容や数によっては、単一の施策だけではLPOを改善できない可能性があります。後ほど紹介する効果測定をもとにPDCAを繰り返しながら、少しずつ改善させていきましょう。

【3】KPIの設定

仮説検証によって改善策の方向性が決まったら、KPIを設定します。KPIとは計測可能な中間目標であり、PV数やCV率など具体的な数値を用いて設定することが一般的です。

例えば、仮説検証で「ページの表示速度が遅く、直帰率が高い」と導き出された場合、設定されるKPIは次のようなものが挙げられるでしょう。

  • ページの表示速度〇%向上
  • 直帰率〇%減
  • CV率〇%向上 など

KPIを設定する際は1か月や3か月など期間を決め、その間の結果をもとに改善策をブラッシュアップしたり、必要に応じて方向性を変えたりしていくことが大切です。

【4】改善策の実行と効果測定

明確なKPIを設定した後は仮説に基づいた改善策を実行し、その効果を測定します。効果測定として有効なのは、次の2つです。

  • ABテスト
  • 多変量テスト

ABテスト

ABテストとはコンテンツの内容や配列などを変えた複数のLPをランダムに表示し、より効果の高いLPを判別するテストです。ABテストはGoogle OptimizeやKAIZEN UXなど低予算でツールを導入・実行できるため、LPO対策で最低限取り入れたい効果測定の方法といえます。

多変量テスト

多変量テストはLPのさまざまな構成要素を抽出・組み合わせて表示することで、より効果の高いLPを判別するテストです。組み合わせる構成要素は、次のようなものが挙げられます。

  • メインコピー
  • ボディコピー
  • テキスト
  • 画像
  • 動画 など

組み合わせのパターンは数十~数百万通りにもおよび、人の手だけで効果測定することは不可能です。効率的かつ効果的な多変量テストを実施したい場合は、LPOツールを積極的に活用していきましょう。

【5】改善策の再検討と実施

効果測定の結果が出た後は、仮説の正否を確認します。効果が出始めていれば改善策をブラッシュアップし、方向性が間違っていれば現状分析と仮説検証に立ち返り、改善策を再検討・実施します。

その後は【1】~【5】を定期的に繰り返し、より良いLPを目指してLPO改善を図っていきましょう。

3.代表的なLPOツールを比較

LPO対策では、人の手だけでは対応しきれない工程もあります。そのようなとき、積極的に活用したいのがLPOツールです。ここでは代表的な3つのLPOツールについて、特徴や導入コストなどを解説します。

  • DLPO
  • LPOエビス
  • Google Optimize

DLPO

DLPOは2022年8月時点で800以上の企業で導入され、約7万件ものテストを実施した国内実績No.1のLPOツールです。主な機能は、次のようになっています。

  • ABテスト
  • 多変量テスト
  • 設定した条件ごとに配信・結果分析するパーソナライズ配信
  • 行動データを学習したAIによるAIパーソナライズ機能
  • 他ツールとの連携(ヒートマップなど)

初期費用は無料ですが、詳細な料金プランは非公開となっているため問い合わせが必要です。なお同社では、LPOコンサルティングも実施しています。より効果的なLPO施策を実施したい方や、効果測定などの工程を代行してほしい方はLPOコンサルティングに相談してみてはいかがでしょうか。

AD EBiS

AD EBiS(アドエビス)はリアルタイムな情報を自動で取得・共有し、効率的なLPO施策をサポートするツールです。BtoB企業の導入事例も多く、リード獲得に向けた戦略の立案や受注に至りやすい施策の分析もできます。主な機能は次の通りです。

  • KPIと現状の差分が確認できるダッシュボード
  • 全Web施策のカテゴリ分析
  • 優先すべき施策が分かるABCD分析
  • 勝ち筋が可視化されるコンバージョンフロー
  • 予算の増減対象が分かるコストアロケーション分析 など

なおDLPOと同様に初期費用は無料ですが、詳細な料金プランは要問い合わせとなっています。広告予算を最適化しながら、効率的にLPOを改善したい方はぜひ問い合わせてみてください。

Google Optimize

Google Optimizeは、A/Bテストや多変量テストなどの効果測定ができるLPOツールです。GAと連動させることで、より精度の高い分析が可能となります。料金プランは、次の2つです。


                                           
料金実行可能なテスト数
Google Optimize 無料最大5個
Google Optimize360 有料(要問い合わせ)最大101個

無料版は実行可能なテスト数が少ないものの、初めてLPOツールを使う方や簡易的なテストで使いたい方にとっては導入しやすいでしょう。操作に慣れてきた頃合いや、より複雑な効果測定を行いたい場合に有料版に切り替えるのも1つの方法です。

4.BtoCのLPO対策で大切な3つのポイント

BtoCとBtoBとでは顧客が行動に至る判断基準や決裁者が違うため、LPOで押さえたいポイントも異なってきます。ここでは、BtoCのLPO対策で大切なポイントを3つ解説します。

  • スマホで読みやすいデザインにする
  • 興味の度合いに合わせたページを複数用意する
  • 動画や漫画を積極的に取り入れる

それぞれ詳しく見ていきます。

スマホで読みやすいデザインにする

BtoCのLPO対策で最も大切なのが、スマホで読みやすいデザインにすることです。BtoCの顧客は個人(一般ユーザー)であり、そのほとんどはスマホでLPを閲覧します。PCサイズのままで読みにくいテキスト、スクロールしたとき目に留まりにくいCTAのデザインなどでは、直帰や離脱の原因になりかねません。

BtoCのLPを作成・改善する際はスマホだとどのように表示されるか、表示速度は遅くなっていないかなどを確認しましょう。

興味の度合いに合わせたページを複数用意する

BtoCのLPO対策では、BtoBよりもさらに興味の度合いに合わせたページを複数用意することが大切になります。BtoCの購入者は個人であり意志決定に要する時間が短い反面、自分に合わないと感じるとLPからの離脱も早いためです。

例えば、BtoCのLPを訪問する顧客は次のような方が考えられます。

  • すでに購入を検討・商品比較している方
  • 興味はあるけど購入意欲はまだ高まっていない方
  • 自分の中にある興味や必要性にまだ気づいていない方 など

LPが各ユーザーの心に刺さりCVにつながるように、興味の度合いによって訴求ポイントや論理展開を変えていきましょう。

動画や漫画を積極的に取り入れる

BtoCのLPO対策としては、動画や漫画を積極的に取り入れるのも1つの方法です。動画や漫画をLP内に挿入することで製品やサービスの特徴やメリットなどが、さらに分かりやすく伝えられます。

また実物を見てみたい・使ってみたいと思ってもらえるようにする上でも、動画や漫画は効果的です。テキストばかりで分かりにくいLPの場合は動画や漫画を挿入し、滞在時間の延長やCV率の向上を狙っていきましょう。

5.BtoBのLPO対策で大切な3つのポイント

最後に、BtoBのLPO対策で大切なポイントを3つ解説します。BtoCとの違いをよく理解し、より効果的なLPO対策の検討に生かしていきましょう。

  • 判断材料となる情報を提供する
  • CVポイントに合わせてページ設計を変える
  • PDCAを繰り返してチャンピオンページを作る

以下、それぞれ解説していきます。

判断材料となる情報を提供する

BtoBのLPO対策で最も大切なのは、購入や登録を判断する上で材料となる情報を提供することです。BtoBでは、LPを閲覧した方が必ずしも意志決定者(決裁者)ではありません。また行動を決定する要因は、経済合理性や信頼性です。

そのためBtoBのLPにはスペックや料金プランなど、決裁者が最終的な判断を下す上で必要な情報を網羅的に掲載しましょう。

CVポイントに合わせてページ設計を変える

BtoBのLPO対策では、CVポイントに合わせてページ設計を変えることも大切です。例えば、CVポイントを問い合わせとするか、資料請求とするかでも提供する情報の種類や内容も変わってきます。

特にBtoBはBtoCよりも1回あたりの購入額が大きく、意志決定まで長い時間が必要です。このため単一のCVポイントを設定するのではなく、資料のダウンロードやセミナー参加、問い合わせなど段階的に設定すると良いでしょう。

PDCAを繰り返してチャンピオンページを作る

BtoBのLPO対策では仮説検証と効果測定を繰り返して成約率が高いLP、つまりチャンピオンページを導き出すことも大切です。BtoCよりも検証できるユーザー数が少なくなる分、LPOツールを活用した精度の高い分析が必要になります。

ただし一度できたチャンピオンページが、永続的に効果を発揮するわけではありません。チャンピオンページが導き出せたとしても、定期的な効果測定と施策の再検討は引き続き行っていきましょう。

6.まとめ

LPOとは、LPのデザインやコンテンツの内容などを改善して成約率向上を目指す手法です。SEOやEFOとは具体的に行う施策は異なるものの、成約率向上という目的は共通しています。

LPO対策の基本的な流れは、現状分析や仮説検証などPDCAにのっとります。とはいえ、効果測定などは人の手だけでは対応しきれないため、LPOツールの活用がおすすめです。

また一口にLPO対策と言っても、BtoCとBtoBではLPで重視すべきポイントが異なります。自社のターゲットは誰か、どこがCVポイントとなるかをあらかじめ明確にした上でLPO対策を進めていきましょう。


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この記事を書いた人

BeMARKE編集部
BeMARKE編集部

BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。

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