基本ノウハウ
昨今主にSEO対策の側面で注目を集めているトピッククラスターという手法があります。この手法を取り入れることで、SEO上の評価も高まりコンテンツ管理をしやすくなるほか、ユーザビリティも向上するといわれています。メディア運営をしているならばぜひとも取り入れたいトピッククラスターについて、その意味と、なぜ重要か、また実際に取り組むにはどうすべきか解説します。
トピッククラスターとは、あるテーマの中心となるコンテンツ(ピラーコンテンツ)に対して、関連するコンテンツ(クラスターコンテンツ)をリンクでつなげるコンテンツ制作の手法を意味します。
ピラーコンテンツは、より広い概念、SEO用語でいえば検索ボリュームが大きいビッグワードに対応するよう制作します。一方でピラーコンテンツでは、より具体的な悩み、SEO用語でいえばミドルワードやスモールワードに対応するように制作します。ピラーコンテンツで広く浅く説明をし、クラスターコンテンツで詳細な内容を細かいニーズごとに解説していく方法となります。
例えば、ピラーコンテンツを「メールマガジン」と設定した場合、クラスターコンテンツには、「メルマガの書き方」「メルマガタイトルの付け方」「メルマガ配信に最適な曜日・時刻は?」「メルマガの数値分析の仕方」などが並ぶと考えられます。
トピッククラスターは、Webサイトの運営側にとってたくさんのメリットのある手法です。SEO上のメリット、SEO以外の数値上のメリット、制作上のメリットの3つの側面から解説します。
特定トピックに関するコンテンツがまとまって展開されるので、このトピックについての専門性の高いコンテンツを多数保有していると評価されます。もう少しそのメカニズムを解説すると以下の通りになります。
トピッククラスターは、Webサイトの主要な成果指標の一つであるPV数を向上させる可能性があります。関連コンテンツへの導線が増え、回遊性が向上し結果として1セッションあたりのPV数が向上するという仕組みです。
トピッククラスターは、戦略的にコンテンツ企画や管理が行えるという点でコンテンツ制作にも良い影響を与えます。具体的には以下のような影響があります。
これまでコンテンツ制作側へのメリットを説明してきましたが、実はトピッククラスターは、ユーザーにとっても大きなメリットのある手法です。トピッククラスターは、ユーザーにとって特定トピックに関する情報を体系的にひとまとめにして伝えるという点でメリットがあります。
基本的に人が何か新しいことや難しいことを勉強する際には、関連する情報がまとまっていた方がスムーズに理解ができます。情報が分散していると、探す手間や自分が読むべきか判断する手間が発生します。逆に、「この記事をまず読み、あとはここに貼られている情報さえ目を通せば十分です」と分かれば効率的です。
このような考え方は、ユーザビリティをよく考えれば当たり前のことであり、自然と実践していた企業もいたかもしれません。しかし、トピッククラスターの考え方が浸透してきて、多くの企業やメディアが戦略的に積極的に取り組むような時代になりました。
今回はトピッククラスターについて、コンテンツ提供側にとってのSEO上のメリットを説明した上で、ユーザーにとってもメリットがあるという説明をしましたが、本来は逆です。Googleの検索エンジンは、ユーザビリティの向上につながるコンテンツの提供を評価していこうという姿勢があります。
SEOというとテクニック論が先行してしまいがちですが、ユーザーにとって何が最も好まれるかをよく考え、それを積極的に実践していくことで、SEOも強化できる可能性が高まるでしょう。
ここからはトピッククラスターの実践方法について、すでにコンテンツがありそれをまとめ直す場合と、新しくコンテンツを作る場合の2つのケースで解説します。
すでにコンテンツがある場合は、以下の3STEPで行います。
まずは公開しているコンテンツにどのようなものがあるか見直し、テーマごとに分類します。例えば下の図のようにMAやメールマーケティングに関するコンテンツが展開されていた場合は、MAに関するコンテンツとメールマーケティングに関するコンテンツに分類できます
分類ができたら、トピックの中心となるピラーコンテンツを作成します。その後で、ピラーコンテンツごとにトピックを深堀りしたクラスターコンテンツのリンクを付与します。下の図の例では、「MAとは」と「メルマガの基本」という2つのピラーコンテンツに複数のクラスターコンテンツがリンクで結ばれる構造となりました。加えて、「MAとは」と「メルマガの基本」同士も、「MAとメール配信ツールの違い」というコンテンツを通してつなぐことで、さらに広いクラスターを形成しています。
新しくコンテンツを作成する場合は、以下の5STEPで進めます。
まずは、トピック、すなわちどのようなテーマでコンテンツ群を作成するかを定めます。この部分はメディアの目的やターゲットなどから考えます。
次にピラーコンテンツでの対策キーワードを定めます。ビッグワード〜ミドルワードと呼ばれるような、月間の検索ボリューム数万〜数千程度のキーワードを選択することが一般的です。最初に定めたトピックに関するキーワードをいくつか書き出し、その中でもより抽象的なキーワードを検索ボリュームを見つつ選びます。
ピラーコンテンツで対策するキーワードを定めたら、そこからより具体的なキーワードを書き出し、対策キーワードを定めます。ミドルワード〜スモールワードと呼ばれる、月間の検索ボリュームが数千〜数百のキーワードを選定することが一般的です。ただしBtoB領域のテーマの場合、月間の検索ボリュームが数百に達するキーワードですら珍しいこともあるので、数十程度でも制作する場合があります。
ここまでできたら、コンテンツごとに対策するキーワードがリストアップされるはずですので、対策キーワードの検索ニーズに応えられるコンテンツを制作します。そしてそれらが完成し公開され次第、内部リンクでつないでいきます。
SEOをはじめとしたコンテンツ制作者にとってだけでなく、ユーザーにとってもメリットの多いトピッククラスターについて解説しました。この手法を取り入れると、戦略的かつ着実にコンテンツを制作でき、検索エンジンからも評価されやすいため、これからコンテンツマーケティングに取り組む企業やメディアはぜひ取り入れてみてください。
BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。