インタビュー

専門家に聞く「Cookieレス時代で成果を出すためのWeb戦略とGA4活用」

専門家に聞く「Cookieレス時代で成果を出すためのWeb戦略とGA4活用」

BtoBマーケティング課題の解決策やノウハウを専門家に語っていただく企画シリーズ。今回は「Cookieレス時代で成果を出すためのWeb戦略とGA4活用」をテーマに、関連セミナーで定評のある株式会社ゴンドラのブランドマーケティング室シニアコンサルタント・藤原洋平氏と事業戦略室室長・俵翼氏に話を伺いました。

Googleアナリティクス4(以下、GA4)が正式にリリースされて1年以上が経ち、BtoBマーケ界隈では、対策についてさまざまな情報発信が行われています。GA4を利用できていない企業や、使い始めたもののうまく活用できていない企業の担当者に向けて、GA4のおさえておくべきポイントや、Cookieレス時代の加速により求められるWeb戦略、Cookieに依存しないデータ活用について語っていただきました。

目次

「GA4」で何が変わるのか

1日でも早いGA4への移行を推奨

写真:左が俵翼氏、右が藤原洋平氏(株式会社ゴンドラ)
【写真:左が俵翼氏、右が藤原洋平氏】

藤原洋平氏(以下、藤原氏):2020年にGA4がリリースされました。従来型のユニバーサルアナリティクス(以下、UA)は、2023年7月1日にはGA4へ完全移行されることが発表されており、この期日以降は、新規の計測ができなくなります。

「まだUAを活用している」という企業担当者は、1日でも早くGA4でのデータ蓄積をスタートさせるべきでしょう。UAとGA4の計測タグが両方入っていても、二重計測などのエラーは起きません。UAのサポート終了後も、過去のレポートは数カ月間見られるそうですが、GA4にデータが引き継がれるわけではないので、早めにデータを貯め始めておかないと、データをさかのぼりたくてもできない状況になってしまいます。

図:UAからGoogle Analytics4への移行スケジュール

GA4では評価基準が「ユーザーベース・イベントベース」に改変

藤原氏:GA4のアップデートによって起きたUAの大きな変化を2つ挙げます。「セッションベースの評価からユーザーベースの評価に軸が変わったこと」と、「ページビューベースからイベントベースに評価が変わったこと」です。

UAではラストクリックコンバージョン、つまりユーザーが最後にクリックしたチャンネルを評価する分析方法がメインでした。この評価が「ユーザー軸」に変わることで、コンバージョンの経路全体を評価でき、さらに効果的なマーケティング戦略を立てることが可能になりました。

また、GA4ではページビューベースからイベントベースの評価へと変更され、ページ内でのアクションが対象に。ページ内でのクリックやファイルのダウンロード、スクロールなどの特定のアクションが発生したときに追跡することができる「イベントトラッキング」の機能がデフォルトで組み込まれています。

図:UAとGoogle Analytics4の計測方法の比較

藤原氏:例えば、企業のリクルートサイトに設置されている動画ページを閲覧した求職者が、そのページに掲載されている動画を5分視聴して離脱したとします。UAの場合はこれを「直帰」と認識し、直帰率が高いページ=ネガティブな評価とされていました。UAでも設定次第では評価に組み込むことはできましたが、GA4では動画視聴を「1つのイベント」として評価することができるので、動画視聴を5分している求職者は「モチベーションが高い」と認識。同時に、閲覧ページと動画の評価も高いと判断することができるようになりました。

このように、ユーザーの行動を詳細に追跡し、サイトのパフォーマンスをより正確に測定することが可能になっているのです。

図:「UAの直帰率」と「Google Analytics4の直帰率」の違い

【補足】GA4でも「直帰率」は使用できる。

「探索機能」が幅広い分析に貢献

藤原氏:さらにGA4 では探索機能が追加され、より多くの情報を収集してデータの急激な変化や新たな傾向を、インサイトとして詳細に得られるようになりました。データのビジュアライズ化や、自動的にトレンドやパターンを抽出して推測することも可能になります。

特に便利なのが、セッションなどのイベントを起点に行動を追跡できる「データ経路探索」です。コンバージョンまでの経路を可視化することによって、「ボトルネックになっているのはどのページなのか」がわかりやすくなりました。この機能により、コンバージョンに寄与しているページにトラフィックを集めてCVR改善につなげることができます。

Cookieレス時代に求められるWeb戦略とは

ターゲティングがクリエイティブに回帰する可能性も

藤原氏:Web戦略においても、これまでと違った視点で考えていかなければいけません。Cookieレス時代が加速していく中で、今までアドテクが担っていた「誰に」のターゲティングができなくなっていくからです。この「誰に」のターゲティングは、ほんの十数年前まではクリエイティブの役割でした。

例えば、幅広い世代が見るテレビCMで青汁を60代のモデルさんがグビグビと飲んでいれば、60代の方は「自分に向けられた広告だ」と認知し、20代の方は無意識に「自分に向けられた広告ではない」と情報をシャットアウトしていたはずです。Cookieレス時代では、この「誰に」の部分が再びクリエイティブに回帰するのではないかと考えています。

また、今後はリスティング広告に回帰する企業が増えてくると予想しています。
リスティング広告はユーザーが検索したキーワードに紐づいて広告が表示されるため、リターゲティング広告のようにしつこいimpをすることがなく、顕在層に対してリーチできます。

「ライトなCV地点」に切り替えることでリードの獲得効率を維持する

藤原氏:リターゲティング広告に限らず、Web広告の効果が落ちてきていると感じるマーケ担当者の方には、施策の一つとして、よりライトなCV地点に切り替えてCV数を確保しつつ、CRMを強化することをおすすめします。今まで「資料請求」や「お問い合わせ」をCV地点としていたのであれば、「ホワイトペーパーダウンロード」や「ウェビナー参加」などにすることで、効率を落とさずにリード数を確保することができるはずです。

ただし、リードの質もライトになるため、必ずセットでCRMの再設計をしなければいけません。獲得チャネルやメール閲覧、接触頻度などから購買モチベーションをスコアリングし、適切なタイミングで接触を行うことで、ニーズが発生した段階での第一想起を狙う必要があると思います。

GA4への切り替えができていない担当者へのアドバイス

藤原氏:新しい機能は、触れてみないことには習得できません。GA4に変わり、身構えている方も多い印象ですが、UAと比較しても指標や項目は大きく変わっていません。少し定義が変わったくらいです。その定義を頭に入れてから始めるよりも、まずは触ってみることの方が大事だと考えています。毎日触れて操作に慣れ、見たい指標を見られるようにしておくことが最良です。

ただし、GA4とUAでは計測の数字にズレが生じるため、社内でコンセンサスをとっておいた方が良いと思います。その場合、CV数の乖離幅がより少ない方を選択することをおすすめします。

また、GA4では「ビュー」という概念がなくなったので、ディレクトリ単位でビューを作っていた場合は注意が必要です。ライブラリ機能で置き換えていくという方法もありますが、その設定を取る際のルールについて決める必要があると考えています。

ゴンドラの考える「カスタマーエンゲージメント」とは

写真:左が俵翼氏、右が藤原洋平氏(株式会社ゴンドラ)

俵翼氏:当社では「カスタマーエンゲージメント」をビジョンに掲げ、広告やWebソリューションなどの事業を展開しています。私たちが考えるカスタマーエンゲージメントとは、BtoBに留まらず、「クライアントとユーザー間のエンゲージメント」も含んでいます。エンゲージメント向上のためには、「タイミング」と「コミュニケーション手段」が重要です。「このタイミングでメールを配信しよう」、「このユーザーはLINEで接触したほうが良いだろう」など、適切なタイミングで最適な手段を用いてコミュニケーションを取ることが、企業の好感度アップにつながります。

ユーザーから、「良い会社だね」「この企業の商品を使いたい」と思ってもらい、良い関係値を築いていくため、私たちは、コミュニケーションの設計段階から、お客様に寄り添える会社でありたいと考えています。今後も、知見を蓄えた社内のスペシャリストが、お客様のカスタマーエンゲージメントの悩みを解消するために努めていきたいと思います。

※記載の内容は2023年1月時点の情報です。

まとめ

  • まだUAを活用している担当者は、1日でも早くGA4でのデータ蓄積をスタートさせる
  • GA4はUAと比較してユーザーの行動を詳細に追跡し、サイトのパフォーマンスをより正確に測定することが可能になっている
  • GA4 では「探索機能」が追加され、より多くの情報を収集してインサイトとして詳細に得られるようになっている
  • Web広告の効果が落ちてきている場合、施策の1つとしてよりライトなCV地点に切り替えてCV数を確保しつつ、CRMを強化する
  • GA4をまず触ってみる。毎日触れて操作に慣れ、見たい指標を見られるようにしておく

【取材・執筆:株式会社YOSCA、佐藤有香、編集:BeMARKE編集部】

■株式会社ゴンドラ

「カスタマーエンゲージメントの第一人者を目指します」を経営VISONに掲げ、ITのチカラで「最適な顧客接点と顧客体験」を創出し、ファンを増やしLTVを高めることで、売上の最大化を支援する。マーケティング初心者でも実践的に楽しく学べるWebマーケティングメディア 「LIFT」/の運営も行っている。

BeMARKE編集部より

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