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パイプライン管理のメリットや注意点とは?導入の手順も解説

パイプライン管理のメリットや注意点とは?導入の手順も解説

営業活動の効率化や生産性の向上には、パイプライン管理が有用であると聞いたことのある方は多いと思います。しかし、パイプライン管理がどのような手法でどう効果的なのかを知ってから検討したいという方も少なくないでしょう。また、具体的な導入ステップを知りたい方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、パイプライン管理の概要をご説明するとともに、導入のメリットや導入時の手順についてご紹介します。

目次

1.パイプライン管理とは?

パイプライン管理とは、営業活動業務の一連の流れを可視化したフローを指すものです。行動の過程を順につなげて記載するフローの形状が、パイプラインのように見えたことで「パイプライン管理」と名づけられたとされています。

初回アポイントから受注へ至るまでの流れをフローにまとめた上で、フローに沿って営業活動の成果を分析します。分析結果から目標達成度などを算出し、改善の必要が生じた場合は適宜改善対策を実施します。

パイプライン管理の必要性とその背景

パイプライン管理を導入する目的は、営業活動におけるプロセスの可視化(見える化)にあります。

例えば、特定の部署において営業の行動などに問題がないように見えるにもかかわらず、商談に時間がかかったり頻繁に失注が発生したりするとします。その課題の原因を探るためには、営業活動における具体的な行動を順序立ててさかのぼり、確かめる必要があります。そのために有効となる手段が、業務フローを可視化するパイプラインの作成です。

パイプラインに沿って確認や分析を行うことで「どの段階において課題が発生しているか」が明確に分かります。これにより原因の特定がスムーズに行え、改善への対策立案にすぐに動き出せるでしょう。また、喫緊の課題が目に見えて分かることで、それらを踏まえてKPI、KGIなどの目標を算出する際にも役立ちます。

一般的な営業におけるパイプラインの例

営業活動においてもっとも課題と感じることといえば、やはり「受注につながらず成果が上がらない」ケースでしょう。ここではこの課題を例に挙げ、一般的な営業活動におけるパイプライン管理の事例をご紹介します。

【1】課題の要因が商品やサービスにある場合

扱っている複数の商品やサービスについて、パイプライン管理によりクロージングから受注への進捗率を割り出してみましょう。特定の商品だけ受注が少なければ、その商品が受注率を引き下げている可能性があります。ここまで分かれば商品ラインアップを見直したり、プッシュする商品を別の品目にしたりするといった対策を講じることができます。

【2】課題要因が営業担当者の技能にある場合

パイプラインを確認し、すべての営業担当が同条件で営業活動を行っているのに特定の担当者だけ成果が上がっていない場合は、担当者の技能向上に向けて取り組む必要があると分かります。適切な教育・研修を実施し、スキルアップを図りましょう。

ただし、必ずしも生じた課題が営業のスキルに起因するとは限りません。社内コミュニケーションに何らかの問題があり、決裁担当者との意思疎通が滞っている可能性もあります。その場合は会議や打ち合わせによって、コミュニケーションを円滑にするよう努めるなどの対策が考えられるでしょう。

【3】見込み顧客(リード)の質が要因と思われる場合

このケースでは、パイプライン管理によってリードの獲得手段から受注率を算出します。その結果、インターネット経由の問い合わせで獲得したリードの受注率が高く、商品展示会で獲得したリードの受注率は低いと分かったとしましょう。

商品やサービス、営業の技能が横一線なのに、展示会でのリードだけ受注率が低ければ、展示会での集客活動に原因があると分かります。そうなれば展示会よりWebでの集客に重点を置いたり、展示会でのリードをじっくり育てていったりするなどの対策を採れます。

2.パイプライン管理導入のメリットと注意点

パイプライン管理の導入が営業活動にどのようなメリットをもたらすかをご紹介します。3点のメリットに加え、導入に際して注意したい点も3つご紹介しますので、導入検討時の参考にしてください。

パイプライン管理導入の3つのメリット 

パイプライン管理を導入する以下3つのメリットについて解説します。

  • 課題や解決策が早期に分かる
  • 分析結果をマーケティングに活用できる
  • 現実的な予算や目標設定ができる

課題や解決策が早期に分かる

パイプライン管理を活用することで、各営業チームの抱える課題を早期に発見できます。

例えば、特定のチームが目標をクリアできず困っているときは、パイプライン管理で得たデータを営業活動の工程別に分析します。データの分析結果より、アポからクロージングまでのステップを洗い出し、他チームと行動パターンなどの比較を行ってみると良いでしょう。目標に届かないチームの工程にどのようなボトルネックや改善点があるか、早期に見つけられます。もちろんチームの活動にとどまらず、営業担当個人の課題解決策の割り出しにも役立つでしょう。

分析結果をマーケティングに活用できる

パイプラインの分析で得られたデータは、自社のマーケティング活動に生かすことも可能です。マーケティングを複数のチャネル(広告、SNS、Webなど)で実施している場合、各チャネルのパイプラインを分析しましょう。得られた効果測定結果を基に、どのチャネルに重点を置いて展開すべきかが分かります。

なお、効果測定の際には各チャネルに分けて受注までを含めたパイプラインを分析しましょう。どのチャネルのどんなケースが受注につながっているかまでを可視化することで、営業活動の生産性を高める取り組みへも生かせるようになります。

現実的な予算や目標設定ができる

パイプライン管理とその分析で得られた大量のデータを基にシミュレーションを行うことで、営業担当者が活動可能な業務量と、受注率などの成果の兼ね合いを見ることができます。この手法を用いれば、現実的に達成できる目標値の最大公約数を算出し、営業目標として設定できるでしょう。

また、割り出した営業目標に基づき、営業計画の立案も可能です。計画段階から、目標と営業活動における業務量の兼ね合いを見て課題が見出せるため、先回りする形での改善対策も行えます。

パイプライン管理導入の3つの注意点

パイプライン管理を導入するにあたって、メリットだけでなく以下に挙げる3つの注意点も把握しましょう。

  • 営業担当全体で認識統一する
  • ITツールを用いてリアルタイム進捗可能とする
  • ITツールは入力作業が容易なものを選定する

営業担当全体で認識統一する

営業活動にかかわるチームのメンバー全員で情報共有を密に行い、リアルタイム性を重視しながらパイプライン管理を行いましょう。実務に携わる営業担当者のみならず、マネージャーも管理状況を把握しておくことが大切です。営業担当者サイドとマネジメントサイドで認識に相違があると、成果だけにとらわれてマネージャーが的確に指示できなくなる恐れがあります。

ITツールを用いてリアルタイム進捗可能とする

営業活動にかかわるすべての方がリアルタイムで進捗を管理できるよう、パイプライン管理に特化したITツールの活用がおすすめです。

営業向けのITツールにはさまざまなものがありますが、パイプライン管理を行うにあたってはSFAがおすすめです。SFAは営業担当者の現場業務やその進捗状況を管理するための機能を備えているため、パイプライン管理のためのツールとして活用できます。社内の基幹システムと連携可能なツールを選べば、データのマーケティングへの活用なども容易になるでしょう。

ITツールは入力作業が容易なものを選定する

SFAなどのツールを活用する場合、営業担当者が日々のデータ入力を行うことになりますが、作業の難易度が高かったり煩雑であったりすると入力が滞ってしまうことも想定されます。作業しやすいツールを選定しましょう。

また、入力を無駄な手間と感じないよう、入力が成果につながるという意識づけを行うなどの環境整備も重要です。

3.パイプライン管理を始めるステップ

実際にパイプライン管理を始める際には、どのような手順で導入を進めていけば良いのでしょうか。ここでは、社内でパイプライン管理を導入する際の具体的な4ステップをご紹介します。

  • 【STEP1】商談フェーズの細分化
  • 【STEP2】商談フェーズの定義
  • 【STEP3】ゴールの設定
  • 【STEP4】顧客数・CVRの可視化

これらの作業は個人やチーム単位で行うよりは、共通認識のもとに営業組織全体で実施すると良いでしょう。全体で情報を共有して作業を進めなければ認識のズレが生じてしまい、組織内に混乱を招くおそれがあるためです。

【STEP1】商談フェーズの細分化 

パイプライン管理を導入する際は、検討段階のうちに商談フェーズを定義付けしておくことが重要です。営業プロセスを細分化した上で、各項目を定義付けるという手順で実施しましょう。

自社の営業プロセスを「問い合わせ」「ヒアリング」「初回訪問」「決裁者へのリーチ」「提案」「合意」「受注」といったように細分化しましょう。このとき、営業サイドの行動だけをベースにしないよう注意してください。あくまで商談の主役は顧客であり、顧客が商談の中でどう行動するかを主眼に置いた細分化が重要です。

【STEP2】商談フェーズの定義

次に、上記で細分化した各項目に定義付けを行います。この段階でも、商談の主役は顧客であることをつねに意識して定義付けを行わなければなりません。例えば以下のように、フロー化した各プロセスに注釈する形で定義してみましょう。

【定義付けの例】

  • ヒアリングのフェーズの定義:BANT条件を満たしていること
  • 提案フェーズの定義:決裁者は必ず顧客であること

【STEP3】ゴールの設定 

商談フェーズで定義を設けられたら、定義に基づき次のフェーズへ向けてどう行動するかを決める必要があります。まずは、各フェーズでのゴールを明確に設定しましょう。ゴールが分かっていれば、各フェーズで設けたそのゴールへ到達するために、担当者やチームが取るべき行動を明確にできます。

【STEP4】顧客数・CVRの可視化 

各商談フェーズの定義とゴールが設定できたら、現在のフェーズにおける顧客数とCVR(コンバージョンレート)を算出します。CVRとは、顧客の次フェーズへの転換率を表す数字です。

顧客数とCVRが出たら実際に行っている営業活動と照らし合わせ、数字で表れた現状を検証しましょう。もし順調ではないと感じられるときは、商談フェーズの定義が不明瞭であることや、設定したゴールが漠然としたものであるといった課題が考えられます。

4.まとめ

パイプライン管理のメリットは、営業活動の課題を明確にでき改善がスムーズになる点や、データに基づいた論理的な目標設定に役立てられる点にあります。導入の際は営業組織単位で認識を統一し、リアルタイム進捗を行える環境を整えておくことが重要でしょう。

経験だけに頼らず、現実的な目標のもと着実に売上を伸ばすには、営業活動の現状や問題点を見える化することが欠かせません。ボトルネックを明確に把握し、早期に改善策の実行にあたるための取り組みとして、パイプライン管理はとても有用です。

精度の高いパイプライン管理のためには、SFAを活用することもおすすめです。営業活動を効率化しながら、さらなる成果を上げるためにパイプライン管理の導入を検討中であれば、SFAの活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。


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BeMARKE編集部
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