基本ノウハウ
イベントマーケティングは販促活動の1つです。展示会やセミナーが代表例ですが、新型コロナウイルスの流行や社会情勢の変化によって、会場にたくさんの人が集まるイベントが避けられるようになりました。一方、オンライン技術を使ったイベントが注目を集め、近年のイベントマーケティングは内容が複雑化しています。この記事では、イベントマーケティングの種類と効果、そしてBtoB企業が陥りやすい課題と解決策を紹介します。手法の違いを理解して、効果的な販促につなげましょう。
イベントマーケティングとは、展示会やセミナーなどに代表されるイベントを通してリードの獲得・育成を目的としたマーケティング施策です。一般的なリード獲得から受注までの流れは下記の通りですが、イベントマーケティングでは【1】~【3】のステップを効率化し、購買意欲の高い見込み顧客を獲得することが重視される傾向にあります。
【1】お客さま情報(リード)の獲得
【2】見込み顧客の選別
【3】ナーチャリング(見込み顧客の育成)
【4】営業によるアプローチ
【5】案件受注
イベントマーケティングは、イベントベースドマーケティングとも呼ばれ、主に「オフラインイベント」を指します。近年は新型コロナウイルスの影響もあり、オンラインイベントを活用したマーケティング手法も増えています。
イベントマーケティングには多くの種類があり、目的によって使い分けることで期待する成果を得られます。ここでは、代表的な5つのイベントマーケティング手法をメリットとともに解説します。
【1】展示会
【2】セミナー・ウェビナー
【3】ミートアップ
【4】体験型イベント
【5】ユーザー交流会
展示会は、企業が運営会社に出展料を支払って参加するイベントです。運営会社が集客を担当してくれるため、自社のスタッフは出展準備に集中できます。会場で商品・サービスを実際に体験してもらえることが大きなメリットです。運営会社がホールを貸し切って行う大規模なものから、自社で用意した会議室で行う小規模なものまであります。
展示会運営会社が主催する大規模な展示会は、多数の来場者が見込まれることが魅力です。新規リードの獲得や認知を広める目的に最適といえます。ただし、来場者が多い分ニーズは多様であり、自社の商材に興味があるとは限らないことに留意してください。
小規模な展示会では、比較的少ない予算で実施できるのが魅力です。招待制の場合が多く、来場者は既存顧客が中心で、シーズンごとの新作発表をはじめとしたブランディングや関係性強化を狙えます。
セミナー・ウェビナーはノウハウや導入事例など、特定のテーマに興味関心のあるユーザーを集め実施する講演形式のイベントです。情報提供型セミナーと顧客獲得型セミナーの2タイプがあり、目的や運営方法が異なります。
情報提供型セミナーは、情報提供を通じて参加者の満足度を高めることが目的です。士業団体などが認知アップを図ったり、民間団体がエンドユーザーからの評価を高めたりするために行います。情報提供と満足度向上が目的のため、内容は主に参加者が知りたい情報を盛り込み、深いセールス活動は行いません。
一方、顧客獲得型セミナーの目的は、顧客を自社製品やサービスの販売へと誘導することです。セミナーでは専門知識や活用事例を交えて商品やサービスを紹介しますが、専門的な話題は一部にとどめ、自社商品・サービスを勧める個別相談へと誘導します。
近年は、会場に足を運ばずWeb上で行う「ウェビナー」が注目されています。場所や移動時間の制約がなく、気軽に参加できるのは大きなメリットといえるでしょう。
関連記事:【集客数UPが狙える!】ウェビナーとは?メリットや活用事例も解説
ミートアップは、共通の目的を持つ人が集まって話し合う交流会のことです。ミートアップの定義はなく、フリートークや意見・情報交換の場であったり、講師による一方通行のコミュニケーションであったりと、形態はさまざまです。
ミートアップは、企業のブランディングやリクルート活動の1つとして実施する場合が多く、セミナーよりカジュアルな親睦を深める会、というのが一般的な定義です。
体験型イベントは、参加者に自社商品・サービスを体験してもらうことで、購入後のイメージを強く持ってもらうことを狙いとするイベントです。住宅の内覧会、車の試乗会などがこれに該当します。
「買いたいけどまずは試してみたい」「高額な商品なので失敗したくない」とユーザーが感じる商品を実際に体験してもらうことで、カタログや写真だけでは伝えきれない長所をアピールするのが目的です。
自動車や住宅など、高額かつ数年~数十年単位で買い替えをしない商品を扱う企業は、体験型イベントで集客すると効果的でしょう。
ユーザー交流会は、既存の自社商品・サービス利用者を招待して、利用者間で情報交換をする場のことです。ユーザー同士のコミュニケーションが活性化すれば、自社商品の利用頻度の増加が期待できるだけでなく、忠誠心の高いロイヤルユーザーを生み出し、別の商品の販売につなげられるでしょう。
イベントマーケティングの手法や効果はさまざまです。BtoB企業が活用して得られる効果を事例ごとに紹介します。
展示会に出展したり、イベントを企画したりして集客に成功すると、認知拡大につながります。自社商品やサービスについて、まだ知見のない来場者の目に触れる機会として活用が可能です。
大きな展示会であれば、開催期間中に数万人が来場するケースも珍しくありません。来場者全員が自社ブースを訪れなくても、パンフレットの出展企業リストには目を通してもらえます。また、ニーズが潜在的な場合でも、実際の商品やサービスを体験することで購買意欲が高くなる可能性があります。
一度に大勢の見込み顧客と接触でき、効率的に認知拡大が見込める手法は多くありません。そのため、運営会社の集客力によっては高い費用対効果が見込めるでしょう。
イベント会場で実際に商品・サービスを体験してもらうことで、見込み顧客の商材理解が深まります。商品を手にとって体感してもらうことで、より具体的な購入後のイメージを持ってもらえるでしょう。
商品ニーズが高い見込み顧客には、商品やサービスの理解度を深めてもらうチャンスとなります。商品に関して分からないことがあれば、現場にいる自社従業員が説明することで疑問を解決し、安心感にもつなげられます。
情報収集や体験のために、わざわざ会場まで足を運ぶ見込み顧客は、そもそも商品やサービスに対する興味、関心が高いと考えて良いでしょう。
関心が高い見込み顧客に対して効率の良いプル型営業が可能です。見込み顧客が情報収集している段階からイベントで接触できているため、潜在ニーズを探りつつ的を射た情報提供を行うことで受注の可能性が高くなります。
関連記事:デマンドジェネレーションとは?リードジェネレーションをはじめとする3つの要素を解説
メリットの多いイベントマーケティングですが、当然ながら課題もあります。ここでは、以下の3つについて解説します。
イベントマーケティングでは、期間中に多くの名刺を入手できます。場合によっては、名刺の数が数千枚にのぼることもあるでしょう。集めた名刺はデータ化してイベント後のフォローアップにつなげる必要がありますが、手作業でのデータ化には手間がかかります。
名刺のデータ化においては、名刺管理ツールの活用を検討しましょう。名刺管理ツールは名刺をスキャンするだけでデータ化でき、リストへの出力も簡単です。無料ツールもあるため、うまく活用すれば作業量を削減できます。
関連記事:名刺整理の方法は?おすすめ名刺管理アプリ5選と選び方
自社ブースの来場者にアンケートを記入してもらったり、ヒアリングシートに自分で記載したりして得たデータはフォローアップに活用できますが、整理に手間がかかるのが難点です。複数の訪問者に同時に対応していて、後でヒアリングシートへ記入しようと思っても、話した内容を覚えていないということもあるでしょう。
近年は、Googleフォームを使ったアンケートや、配布資料にQRコードを印刷して別途回答してもらうなど、デジタル技術を活用したアンケート方法があります。有料のアンケートツールも選択肢の1つとして検討すると良いでしょう。
「名寄せ」とは、データベースに入力されている複数の情報を、名前や住所などを元に同一人物や同一企業のデータとして1つに統合する作業のことです。
名寄せは以下のようなことが原因で発生します。
名寄せは複数の情報を照らし合わせながら行う作業で、手間と時間がかかります。データ量が少ない場合は手作業でも良いかもしれませんが、データ量が膨大になると対応が難しくなります。データ量が増えてきたと感じたら、名寄せツールの導入を検討しましょう。AI搭載のツールであれば、使うごとに精度が上がるため作業を効率化できます。
関連記事:名寄せとは?BtoB企業が実施すべき理由と実施の流れを紹介
イベントマーケティングは手法や効果が異なるため、目的を明確にして企画・参加することが大切です。新型コロナウイルスの影響でオンライン上のマーケティングが人気を集めていましたが、2023年以降はオフラインのマーケティングイベントに人気が戻るかもしれません。ここでは、イベントマーケティングの種類、効果、よくある失敗と解決策についてまとめました。これらのことを参考にして、自社に合うイベントマーケティングを実施して案件受注へとつなげましょう。
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