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名寄せとは?BtoB企業が実施すべき理由と実施の流れを紹介

名寄せとは?BtoB企業が実施すべき理由と実施の流れを紹介

名寄せはSFAやCRMを用いて顧客との信頼関係を維持するために必須の作業です。昨今、多くの社員が顧客情報の入力・管理に携わっているBtoB企業にとって、名寄せの必要性が増してきていると考えられます。

そこでこの記事では名寄せの意味や名寄せが必要な状態になる理由、名寄せの流れなどについて解説します。名寄せについて基本的なことから理解したい方はぜひ参考にしてください。

目次

1.名寄せとは

名寄せとは、氏名・住所・メールアドレスなどの情報を参考に、データベース上に複数存在する同一人物もしくは同企業のデータを1つに統合する作業を指します。例えば、以下の作業が代表的です。

  • 複数のデータベースに登録されているA社のデータを1つのデータベースに統合する作業
  • 1つのデータベースにA社が「A社」と「A’社」として複数登録されているものをA社に統合する作業

昨今は、SFAやCRMといった営業支援システムの普及により、複数の担当者が同じ企業に関するデータを手軽に入力できるようになりました。その結果、同一もしくは異なるデータベース上に「同じ企業のデータが複数ある」というデータの重複に困る企業も出てきています。

名寄せは、対象となるリストの量が少なければExcelでも対応可能です。一方、リストの量が多い場合には名寄せを自動化できるツールを活用した方が、負担を軽減できたり、人為的なミスも防ぐことができたりするためおすすめです。

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2.名寄せを怠ると顧客からの信頼を失いかねない

名寄せを行わないと顧客リストのデータが重複し、正確なステータスを把握できなくなります。名寄せを怠ることで以下のような事態が起こり、顧客からの信頼を失いかねません。

  • 同じ企業に同じ内容のDM・メルマガを複数回送ってしまう
  • サービスの解約が反映されておらず、顧客向けの案内を送ってしまう
  • 既に提案済みの商品を、別の担当者が提案してしまう

これらの対応をされると、「管理が徹底されていない」「断ったはずなのにしつこい」といったイメージダウンにつながります。顧客からの信頼関係を維持し、失わないためにも、名寄せは必須だと覚えておきましょう。

3.そもそも名寄せが必要な状態になってしまう理由

データの重複がなければ名寄せをする必要はありません。しかし、下記に記載するような理由が重なって名寄せが必要になるケースが見られます。

  • 日本では漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・英語が混在しており、表記ゆれが起こりやすい
  • 手軽に入力できる営業支援システムが普及していて入力者が複数になりやすい
  • 入力ルールを整備していない
  • 入力ルールはあるものの浸透していない
  • 単純な入力ミス

表記ゆれとは「同じことを表しているものの表記が違う」という現象を指します。例えば、同じ企業名を「株式会社日本」と「(株)日本」、2パターンで表記してしまうのが表記ゆれです。

複数の担当者が別々に顧客情報を入力した場合、この表記ゆれが生じて、データが重複してしまう恐れがあります。加えて、「(株)ではなく株式会社と記載する」といった入力ルールを決めていない、または十分に浸透していないことや単純な入力ミス・スペルミスなどでもデータの重複が生じます。

4.名寄せの流れ

名寄せを実施するときの流れは、以下の4ステップです。各ステップでどのようなことを行うのか詳しく紹介します。

  • 【1】保有データの確認
  • 【2】名寄せするデータの抽出
  • 【3】データのクレンジング
  • 【4】データのマッチング

【1】保有データの確認・名寄せの方針および基準を決定

最初に、名寄せの対象となる保有データの確認と名寄せの方針・基準を決定します。保有データの確認とは、社内データベース上に散在している、既に登録されている属性情報やデータの入力状況をチェックする作業です。

保有データの確認を終えたら、名寄せの方針・基準も決めましょう。例えば、「氏名・住所・電話番号が完全一致した場合にのみ同一のデータとしてまとめる」「カタカナと英語表記が同一の場合も名寄せをする」など、名寄せの目的に応じて方針・基準を設定します。

【2】名寄せするデータの抽出

【1】で設定した名寄せの方針に沿って、名寄せするデータを各データベースより抽出していきます。このとき、注意したいのがデータベースによって項目が異なる可能性があることです。例えば、データベースによって項目が異なる例として以下が挙げられます。

  • データベースAの項目:「社名」「氏名」「住所」
  • データベースBの項目:「会社名」「名前」「都道府県・市町村・番地・ビル名」

上記のように住所を入力する項目でも、データベースAでは「住所」という項目にすべての住所を入力する仕様である一方、データベースBでは「都道府県・市町村・番地・ビル名」と項目を分けて住所を入力する仕様になっているケースがあります。項目が異なる場合は、同一の情報であることを確認した上で、どちらの形式でデータ抽出を実行するのか決定しましょう。

【3】データのクレンジング

続いて、抽出したデータに対し、データのクレンジングを実施します。クレンジングとは表記ゆれや入力漏れ、入力ミスを修正する作業です。クレンジングを実施しないと、同じデータにもかかわらず違うデータと見なされてしまい、名寄せ後も重複したデータが存在しかねません。

項目別にルールを設け、データクレンジングを実行しましょう。以下がデータクレンジング時に決めるべきルールの具体例です。

  • 郵便番号や電話番号、番地はハイフンありかなしか
  • 氏名や住所の間に空白は入れるか入れないか
  • カタカナ表記かアルファベット表記か
  • 数字や記号、アルファベットは全角文字か半角文字か

このようなルールを設定し、正確にクレンジングすることで、精度の高い名寄せを実施しましょう。

関連記事:データクレンジングとは?メリットや実施方法、注意点まで徹底解説

【4】データのマッチング

最後にデータのマッチングを行います。マッチングとは、同一だと判断した情報に同じIDを付与し、システムが同じ情報だと認識できるように紐付ける作業です。

名寄せツールを活用すれば、対象となる情報の中から会社名・住所・電話番号など、名寄せのヒントとなる要素を設定することで、自動でマッチング作業を実行してくれます。名寄せの対象となるリストが多い場合は、ツールの活用も視野に入れましょう。

マッチングを実施することで、データベース内に存在していた複数の情報をまとめることができ、重複がない状態に整えられます。

関連記事:名刺整理の方法は?おすすめ名刺管理アプリ5選と選び

5.まとめ

名寄せは、データベース上に分散する同一人物・同一企業の情報を1つにまとめる作業です。名寄せを行わないことで、同じ企業に同じ内容のメールを送ってしまうといったミスが発生する可能性があります。複数の担当者が各々で入力できる営業支援システムが普及している現在、名寄せの必要に迫られている企業は増えています。多くの顧客情報を蓄積している方は、ツールの活用も検討して、名寄せに取り掛かってみてはいかがでしょうか。


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BeMARKE編集部
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