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DXの戦略の立て方とは?設計・実践のポイントを解説

DXの戦略の立て方とは?設計・実践のポイントを解説

「DXを実践しているベンチャー企業に顧客を奪われ、業績の悪化が続いている。自社も体制を整えるべきと分かっているが、DXでどう戦略を立てれば良いのか展望が見えていない」

上記のように、急速な時代の変化の波に乗れていない自覚があり、事業のあり方に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

本記事では、DXの戦略の立て方について、設計・実践のポイントを解説します。DXの戦略をどう行っていくべきか、参考に活用してください。

目次

1.DXとは

DXの戦略について触れる前に、まずはDXの定義について解説します。

顧客に新しい価値を提供する組織的な変革

DXは人によってさまざまに定義されていますが、経済産業省のDX推進指標においては下記のように定義されています。

「DX推進指標」における「DX」の定義

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

出典:DX推進指標とそのガイダンス(経済産業省ホームページ)

これは、デジタル技術とデータを基盤に、企業が顧客のニーズを理解し、他の企業にはない新しい価値(体験)を提供して顧客のニーズに応え、競争優位を獲得することと言い換えられるでしょう。

さらに、その実現のために製品・サービスのみならず、ビジネスモデル、業務内容、企業文化までも含んだ、組織全体の変革を行う必要があるとしているのです。

DXが注目される背景として、デジタル技術の発達やモバイル端末の普及、新型コロナウイルスの流行による生活様式の変化があります。顧客は気軽にWebにアクセスして情報収集が可能になり、営業が働きかける以前に意思決定を行うことが増えています。また、新型コロナウイルスの流行によって対面のビジネスが避けられるようになり、訪問営業や接待によるコネクションづくりなど、従来の営業手法は通用しなくなりつつあります。

加えて、データとデジタル技術を最大限に活用し、新しいビジネスモデルを構築した新規企業が、続々と台頭しつつあります。既存のビジネスモデル・製品・サービスでは、次第に太刀打ちできなくなるかもしれません。この変化の激しい時代で生き残っていくために、DXの重要性が増しているのです。

DXの推進には「戦略」が重要

DXを推進していくためには、DXによって何を実現しようとしているのか、戦略を持つことが重要です。なぜなら、「顧客に新しい価値を提供する」ことは生半可には実現できず、明確な指針を持ち、全社が一丸となって長期的に組織の変革に取り組む必要があるからです。

戦略を持たずにDXを推進しようとすると、手段が目的化してしまい、デジタルツールを導入することや、一部の作業をデジタル化するのみで終わってしまう可能性があります。それでは、真にDXを実践しているとはいえません。DXと戦略はセットで考え、手段が目的化しないよう展望を持ってあたる必要があります。

2.DXの戦略は全社体制で設計・実践する

DXは組織的な改革を含む取り組みであるため、全社体制で取り組む必要があります。全社体制を実現するためには、下記の2点が重要です。

  • 経営層が主導する
  • DXを推進する体制づくりを行う

経営層が主導する

DXを全社体制で進めるためには、経営層が積極的に関わり、リーダーシップを取って推進していく必要があります。

DXは組織の変革をともなうため、業務プロセスの大きな変更はもちろん、DX推進のために既存業務が廃止・統合される場合もあります。そうなると、該当の業務に従事していた現場社員から反発が出ることも予想され、一部門からの提案では受け入れられない可能性があります。経営層が自らの意思で改革を行い、また、反発がある場合には丁寧な説明を行って納得させる姿勢を示す必要があるのです。

DXを推進する体制づくりを行う

DXを全社体制で進めるためには、DXを推進する社内体制を作り上げることが大切です。具体的には、下記のような方法が挙げられます。

  • DX専門の部署を立ち上げる
  • DXに必要な人材を確保するために雇用や育成を行う
  • 社内でDX理解のための勉強会を適宜設ける

DXを進めていくためには、現場間を取り持ち、調整する役割を果たす社員の存在が欠かせません。加えて、DXを円滑に進めるために、DXの知識を保有している社員も一定数は必要です。横断的にDXを進める実働部隊としてDXの部署を作ることや、専門的な知識を持つ社員を増やすための雇用・育成を検討すると良いでしょう。

また、社員はみな当事者であるという意識を根付かせるためにも、社員の疑問に答えられるような勉強会を定期的に設け、分断を生まない施策も重要です。

3.DX戦略【設計】の3つのポイント

DXの戦略を実際に設計していく上では、下記3つのポイントを考慮しましょう。

  • DXのビジョンを策定する
  • 顧客起点で設計する
  • データを収集・活用する施策を組み込む

DXのビジョンを策定する

DXの戦略を立てる上で、最初に行うべきはビジョンを策定することです。ビジョンは、「この戦略によって自社はどこを目指しているのか?」を鮮明にします。企業の価値観が表れる部分でもあり、社員のモチベーションに影響するほか、ビジョンに応じて選択する施策も変わっていきます。全社の指標となるものなので、疎かにせず、入念に策定に取り組みましょう。

ビジョンは以下のような要素を踏まえて考えます。

  • 自社が持つ信念
  • 自社しか持っていない強みや特異性
  • 推測される未来の状況
  • 自社が将来ありたい姿

例えば、農業機械の開発、農作物の生産などを手掛けている株式会社クボタは、長期ビジョンとして「GMB2030」を掲げ、「豊かな社会と自然の循環にコミットする“命を支えるプラットフォーマー”」を目指すとしています。

これは、生きる上で不可欠な食料・水・環境を供給し、地球と人の未来を支えるという企業の信念が根底にあって作成されています。さまざまな社会課題の解決を事業に盛り込むことで、企業の事業成長が顧客の利益にもつながるというビジョンを描いているのです。

顧客起点で設計する

DXの戦略設計は、顧客起点で考える必要があります。なぜなら、DXは、顧客に優れた購買体験を提供し、顧客から求められる存在となって競争優位性を確保することが目的だからです。

単に業務スピードを上げることを目当てにツールを導入し、日々の定型業務が短縮できたとしても、その結果得られたリソースを活用して顧客に利益をもたらせないのなら、顧客の満足度向上にはつながりません。満足を得られない状況が続けば、顧客はより価値のある体験を提供してくれる競合他社へ流れてしまうでしょう。「DXによって自社が顧客に提供できるようになる新しい価値とは何か」、「顧客満足度を高められる顧客体験は何か」を考え、戦略設計を行うことが大切です。現状のビジネスモデルが顧客起点の考え方にそぐわない場合は、現状のビジネスモデルの廃止・転換も検討しましょう。

データを収集・活用する施策を組み込む

DXは、データの収集・活用を行うことが大切です。そのため、戦略設計の段階から必要なデータを利用できる状態に整理するステップを用意し、施策として盛り込む必要があります。

デジタル技術の発達により、顧客の行動データを定量的な形で収集することや、データに基づいた施策の立案は格段に行いやすくなりました。しかし、データを収集するだけでは意味がなく、必要なデータが使える状態で整理されていなければなりません。例えばSFA/CRMを導入し、顧客情報を一元化して顧客対応を充実させようと考えたとしても、名寄せがうまく行っておらずデータの正しさを担保できない状態では、SFA/CRMの活用は難しいでしょう。

また、データを継続的に活用するためには、顧客の行動データの収集を高頻度で行えるような接点や、データを統合・共有できるようなシステムが必須です。単にデータを利用するといっても、利用できる体制を整えるためには多くの準備が必要であり、DXの戦略はそういった条件を考慮に入れて設計すべきなのです。

4.DX戦略【実践】の2つのポイント

DX戦略を設計し終わったら、実際の施策に移っていくことになります。下記2ポイントを踏まえて、DXの戦略を実践してください。

  • 最初は小さな成功体験を積み重ねる
  • データ収集とCX改善の好循環を生む

最初は小さな成功体験を積み重ねる

DXの戦略を実践する場合には、まずは小規模な改革から始め、成功体験を重ねてから徐々に範囲を広げていく方法がおすすめです。

いきなり大規模なシステムの変更を行うと、トラブルが起きても修正が難しくなる場合があります。小さな変更から始めて、徐々に広げていく形を取ることで、DXに関する経験やノウハウが蓄積でき、大きな変更にも対応可能な体制を取れるようになります。

データ収集とCX改善の好循環を生む

DXの戦略を実践する場合には、収集したデータを顧客体験(CX)の改善に活用し、その結果さらにデータを収集できるような好循環を目指しましょう。

顧客から求められるために、企業は常に顧客体験の改善を進めていく必要があります。顧客体験とは、顧客が企業の製品・サービスに関心を抱き、利用に至るまでの一連の流れのことです。優れた顧客体験を提供できれば、顧客の満足度は高まり、成約率や受注率の向上につながると考えられます。

そして、顧客体験の改善のために必要なのが、継続的なデータの収集です。顧客のデータを継続的に収集し活用すれば、下記のような流れが期待できます。

  1. 顧客のデータを継続的に収集・分析する
  2. 顧客の行動の変化が分かる
  3. 顧客の持つニーズ、課題感、受注確度などが推測できる
  4. 3に基づき製品・サービスを改善する/施策に反映する
  5. 顧客体験が向上し顧客の満足度が高まる
  6. 製品・サービスが多く利用され自社ブランドの評価が高まる(⇒成約率・受注率などの向上)
  7. データが集まる

データの取得により、施策が良かったのか悪かったのか、効果の測定を行い、さらなる改善につなげていくことも可能です。こうした好循環のサイクルを実現することで、顧客が満足できる機会を提供しながら、企業としても売上を伸ばしていくという、互いに益のあるWIN-WINの関係を築くことができるのです。

5.まとめ

DXの戦略の立て方について、設計・実践のポイントを解説しました。DXの戦略をどう立て、どう進めていくかは、DXの成否を分ける非常に重要なポイントです。本記事を参考にDXに全社体制で取り組み、時代の急速な変化に置いていかれないよう、組織的な変革を実現してください。


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この記事を書いた人

BeMARKE編集部
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