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BtoB企業のオウンドメディアグロースで押さえるべき5つの心得

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BtoB企業のオウンドメディアグロースで押さえるべき5つの心得

「オウンドメディアを立ち上げたい」「立ち上げたものの受注につながる成果が出ない」とお悩みではありませんか? 

BtoB企業におけるオウンドメディア運用は成功の定石があり、視点を変えるだけでも、受注(成果)につながることがあります。

今回は、100サイト以上の運用経験を持ち、月間数百リードを生み出すオウンドメディアを多数支援してきたXINOBIX(シノビクス)株式会社の長屋智揮が、BtoB企業特有のオウンドメディア運用で押さえるべき5つの心得を解説します。

目次

検索数が少ない、ニッチなキーワードを侮らない

BtoB市場では、BtoCと比べてターゲットとなる顧客層が非常に限定的であり、キーワードもニッチであることが多いです。例えば、「トイレ掃除の仕方」よりも、「特定の営業支援ツールの設定方法」の方が明らかに対象が少ないことはイメージしやすいかと思います。

そのようなニッチなキーワードの検索回数は、多くても数百回程度であり、場合によっては検索回数が0回になることもあります。

このように検索回数が少ないキーワードは、一見効果が低いように思われがちです。

しかし、顧客の購買行動を理解するためには、単に検索回数だけでなく、購買フェーズごとのキーワードの成果を理解していることが重要です。

そこで、「情報収集」と「購買検討」の各フェーズにおけるキーワードの効果を比較した実データを一部改変してご紹介します。

フェーズキーワード(検索回数)ページ訪問数CV数CVR
購買検討キーワードA(150)20063%
情報収集キーワードB(1,000)80010.12%

検索回数だけを見ると、キーワードBを優先したくなりますが、実際にはキーワードAの方が20倍以上のCVRを叩き出すことがあります。

参考として、BtoBにおける購買フェーズで検索されるキーワードには、共通のパターンがあります。以下は、代表的なキーワードの型と、それぞれの商談化の期待値および狙うべきページをまとめた表です。

カテゴリキーワード商談化の期待値狙うページ
ブランド・サービス名ツール名+料金/口コミ/事例サービスLP
サービスの比較検討◯◯ツール/◯◯ソフト/◯◯代行記事
成功事例◯◯ 事例事例ページ
課題解決◯◯ できない記事
概念理解◯◯とは(一般)記事

キーワード選定において最も重要なのは、キーワードツールの検索回数だけで判断するのではなく、顧客の一連の購買行動を想定してキーワードを選ぶことです。

実際に、XINOBIXが過去に支援したサイトでは、ツール上では検索回数が0回と表示されていたにもかかわらず、「課題が深い」と考えられるキーワードを狙うことで、安定した商談獲得につながったケースがあります。

“顧客の生の声”に耳を傾け、キーワード・コンテンツのアイデアを発想する

オウンドメディアを運用する上でも、「顧客理解」は非常に重要だと考えています。

近年、さまざまな分析ツールの登場により、キーワード選定やコンテンツの企画が効率的に行えるようになりました。しかし、ツールに頼りすぎると、顧客の抱える真の悩みや、サービスを知ったきっかけ、購入に至った理由など、一連の購買行動や心理状況などの実情を把握することが難しくなります。

顧客の実情を理解するためには、顧客の生の声に耳を傾けることが不可欠です。そのため、XINOBIXでは、BtoBのコンテンツを発信する際に、以下のような手法を活用しています。

顧客の生の声を知るための方法
  • お問い合わせの文面分析
  • 営業管理ツールに入っている商談のログ
  • 営業担当の日報
  • 実際の商談への同席 or 録画の閲覧
  • 入事例インタビュー
  • 営業担当へのヒアリング

例えば、次の文章は顧客からの問い合わせを一部改変したものです。

顧客からの問い合わせ

企業名:◯◯株式会社
役職:◯◯役員
お問い合わせのきっかけ:検索

お問い合わせ内容:
弊社内で来年度に向けてオウンドメディアの立ち上げのニーズが複数あり、情報収集をしていたところ、貴社のHPを拝見して、問い合わせをさせていただきました。

これを見るだけでも、以下のようなことが分かります。

  • どのような企業の(規模、業種)
  • どのような担当者が(役職)
  • どのような課題を抱えている

実際には、過去のお問い合わせや商談ログをこのような表にまとめていき、そこから「キーワードやコンテンツのアイデア」をできる限り洗い出していきます。

実際のお問い合わせ文面(XINOBIX)|BeMARKE(ビーマーケ)

このように、顧客の生のデータはキーワードのアイデアを発想する上で、非常に強力な情報です。

CVRを最大化する導線設計を行う

BtoBのオウンドメディアでよく見られる失敗の一つに、入り口(流入)と出口(コンバージョン)がずれていることで起きる、ユーザーの離脱があります。

特に複数のソリューションを提供するBtoB企業にありがちで、オウンドメディアのコンテンツがさまざまなテーマを扱っているにもかかわらず、全てのコンテンツから「お問い合わせフォーム」にのみリンクされているなどです。

このような状況を改善するためには、各記事を「ユーザーニーズ」「コンテンツ」に応じて、適切な出口(コンバージョン地点)を設定することが重要です。

ユーザーニーズオウンドメディアのKPIの設定方法が知りたい
コンテンツオウンドメディアのKPI設定ガイド
コンバージョン地点KPI設定シートのダウンロード

特にオウンドメディアのコンテンツが大量にある企業では、このような整理を行い導線を改善するだけでコンバージョン率(CVR)を向上させやすいです。

コンテンツマーケティングに投資ポートフォリオの発想を持つ

BtoBマーケティングにおいては、リードタイムが数カ月から数年におよぶことがあるため、長期的な視点に立ち、複数のコンテンツを戦略的に提供していくことが重要です。

単にSEO記事やSNS投稿といった個別の視点だけでなく、投資ポートフォリオを構築するように、コンテンツ全体を俯瞰して企画することが有効です。

コンテンツマーケティングに投資ポートフォリオの発想を持つ(XINOBIX)|BeMARKE(ビーマーケ)

効果的なコンテンツマーケティングを実現するためには、予算を組む段階で以下の4つの要素をバランスよく取り入れることが重要です。

  1. 集客の入り口(サイトへの流入を最大化するコンテンツ)
  2. 集客の出口(CVRを促すコンテンツ)
  3. ストック(トレンドに左右されず積み上がるコンテンツ)
  4. フロー(一時的に拡散し、短期的な流入を狙うコンテンツ)

これらの要素を適切に組み合わせることで、認知から検討、購買に至るまでのカスタマージャーニー全体をカバーするコンテンツポートフォリオを作成できます。

このように、コンテンツを投資のように長期的な視点で捉え、分散してポートフォリオを組むことで、持続的かつ効果的なBtoBマーケティング戦略を実現できます。

コンテンツリサイクルにより制作を効率的に

オウンドメディアで大きな成果を上げている会社の共通点は、「コンテンツのリサイクル戦略」にあると思っています。

コンテンツリサイクルとは、記事を作ったら、画像、SNS、ホワイトペーパー、メルマガ、動画など、媒体ごとのフォーマットに落とし込む「使い回し戦略」のことです。

コンテンツのリサイクル戦略(XINOBIX)|BeMARKE(ビーマーケ)

「SNS運用」「Youtube運用」など、媒体ごとに1からコンテンツ企画し、運用していると、とにかく手間やコストがかかったり、発信内容に一貫性がなかったりと、運用が大変です。

そこで、コンテンツリサイクルを見越した上で記事を作り込むことから始めると、その後の他フォーマットへの展開が楽になり、かつ次のような効果も期待できます。

  • コンテンツ制作にかかるコストを劇的に削減できる
  • 記事だけではアプローチできない層にコンテンツが届く
  • 認知段階だけでなく購買直前の見込み客にも届けられる

コンテンツリサイクル戦略を通じて、オウンドメディアの価値を効率的にフルファネルに展開できます。

弊社でもクライアントの支援で、記事→ホワイトペーパー、動画→記事などの変換を多数行ってきましたが、費用対効果が良く喜んでいただけることが多いです。

多くの場合、社内を見渡すと、リサイクルされるべきコンテンツの原石があるはずです。

最後に

今回はBtoBのオウンドメディア運用の心得について解説しました。皆様がこれからオウンドメディアの立ち上げや改善を行う際などにご活用いただけたらと思います。

オウンドメディア運用のノウハウがなく自社での立ち上げが難しい場合、体制が整備されている外部のリソースを用いて立ち上げを行うこともおすすめです。

BeMARKE編集部より

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この記事を書いた人

長屋智揮
長屋智揮 | XINOBIX株式会社 代表

2016年にXINOBIX株式会社を起業し、インド進出支援業をスタート。その後、英会話スクールの比較サイトを起業しウェブリオ(現GLASグループ)に売却。その間、複数の企業でインハウスのSEO責任者や事業部長を経験。2021年に再度当社を専業とし、現在はオウンドメディア運用やコンテンツ制作支援を行う。

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