基本ノウハウ
集客強化やブランディングなどに役立つオウンドメディアは、今やWebマーケティングにおいて不可欠な施策です。しかし、適切な運用体制を構築して戦略的に取り組まないと、成果が出ない可能性があります。
この記事では、オウンドメディアを運用する目的を改めて確認したうえで、運用の流れやポイントを解説します。オウンドメディアを成功させるためにも、ぜひ参考にしてください。
前提として押さえておきたいのは、オウンドメディアを運用する目的が事業課題の解決にある点です。
企業が描くゴールは、多くの場合「売上を伸ばすこと」に設定され、オウンドメディアもそのための事業の1つになります。「売上を伸ばす」というゴールに到達するための複数の事業のうち、オウンドメディアが果たす役割について社内で認識を合わせておく必要があるでしょう。具体的には、自社が抱えている事業課題を明確にし、課題解決のためにオウンドメディアをどう運用していくべきかを考えるのです。こうした運用目的が曖昧なままでは、手段が目的化してしまい、適切な方針を立てられなくなってしまいます。
オウンドメディアで解決できる事業課題の例は以下の通りです。
オウンドメディア運用の流れについて見ていきましょう。オウンドメディアの運用ステップ例は以下の通りです。
オウンドメディア運用のファーストステップは、戦略の立案です。主に以下のような内容を明確にして、実行計画を固めます。
最も重要なのは、戦略立案の前からリソースを確保しておくことです。いくら優れた戦略を立てられたとしても、計画通りに施策を遂行できるリソースがなければうまくいきません。リソース不足で計画が頓挫してしまうケースや、半端な施策しか取れなくなり成果を出せなかったケースは多くあります。オウンドメディアの運用では、戦略を立てる段階で兼任ではなく専任のメンバーを配置するようにしましょう。
オウンドメディアの戦略については、下記の記事でも解説しています。
関連記事:オウンドメディアの戦略とは?設計の方法と成功の3つのポイントを解説
戦略立案を終えたら、計画通り運用するためのリソース確保や体制強化を行いましょう。
オウンドメディアは複数のメンバーで運用を行う場合が多くなるはずです。継続的に制作可能な人員を確保し、役割別にアサインしたメンバーと運用目的の認識をそろえましょう。
オウンドメディアの運用計画を実行に移します。運用の具体的な内容としては、主に以下の3点が挙げられます。
オウンドメディアの立ち上げ段階では、コンテンツ制作と平行または先行してメディアサイトの構築を行います。メディアサイトはSEOで評価を得やすい構造にすることはもちろん、ユーザー視点に立った利便性の高い分かりやすいサイトにすることが大切です。
例えばコンテンツのカテゴリ分けやディレクトリの設定は基本です。大カテゴリ、中カテゴリ、小カテゴリといった階層構造を作り、内部リンクも適切に設置することで、目的のコンテンツにたどり着きやすいサイト構造となります。
メディアサイトを既に運用しているが、サイト構造に課題があり成果を出せていない場合には、設計から見直して改修を検討すると良いでしょう。
ユーザーの課題解決に役立つ有益なコンテンツを企画・制作します。ユーザーにとって有益なコンテンツが増えれば、検索エンジンから高評価を得られるため検索結果の上位に表示されやすくなるほか、ユーザーからも価値あるサイトと評価されリピーターの増加にもつながり、集客数を伸ばせるのです。
特に検索上位をねらうSEOコンテンツの制作において重要なのがキーワード選定です。オウンドメディアの方向性に沿った軸となるキーワードを決め、どのようなキーワードで検索されたときに上位表示をねらうのかを決めます。キーワードは自社の専門性から重要と思われるキーワードをピックアップするほか、ユーザーのニーズも考慮して決める必要があり、商品・サービスの典型的なユーザー像であるペルソナの作成はニーズの理解に役立つでしょう。
キーワードを選んだら、構成に沿ってコンテンツを制作します。キーワードの選定や原稿制作については下記の記事を参考にしてください。
関連記事:簡単SEOキーワード選定方法!5つの手順とおすすめツール5選
SEOライティングとは?初心者必見!プロも使う11のコツ
オウンドメディアの運用は、コンテンツの制作だけでなく集客強化の施策も重要です。検索エンジンでコンテンツが上位表示されるには一定の時間がかかるため、他の手法も活用して訪問者を増やすと良いでしょう。
代表的な集客施策としては、Web広告やSNSが挙げられます。潜在層から顕在層までアプローチできるWeb広告は、運用期間が長くなるほど広告費用がかさむ点には注意が必要なものの、成果を早く出しやすいため短期間で一定の集客が期待できます。SNSは運用によってファンを増やせればオウンドメディアの入り口として機能するほか、コンテンツの質が評価されれば拡散によって広く読者を獲得できる可能性があります。
関連記事:成果を出すオウンドメディアの集客方法とは?代表的な施策と選び方を解説
オウンドメディアの運用は日々改善を行う必要があります。アクセス解析ツールなどを利用して定期的に効果測定を行い、その結果に応じて計画を修正しながら、上記の【1】~【4】を繰り返していきましょう。
オウンドメディアは短期的に成果が出るものではなく、また最初からすべての施策が成功するとは限りません。PDCAを回し、少しずつ効果性を高めながら、最終的な目標達成を目指していくことが大切です。
オウンドメディアを運用していくためには数多くのステップを踏んでいく必要があり、それぞれの作業数も決して少なくはありません。オウンドメディア運用の際には、運営責任者やライター、エンジニアなどの人材を確保できるようにしましょう。
オウンドメディア運用の各メンバーの役割は下記のようになっています。
ポジション | 役割 |
---|---|
運営責任者 | メディア全体の管理や運用の方向性を決定する |
ライター | SEO記事などのコンテンツ制作を担当する |
デザイナー | コンテンツ内のビジュアルイメージの制作やオウンドメディアのデザインを担当する |
エンジニア | オウンドメディアのサイト構築を担当し、機能の追加や改善を行う |
アナリスト | 効果測定によってオウンドメディアの課題を明らかにし、改善策を練る |
これらの人材すべてを内製でまかなうことが難しい場合は、運用代行を活用するのも良いでしょう。
オウンドメディア運用を成功させるポイントについて、以下の3点に留意しましょう。
オウンドメディアは長期的な取り組みのため、月日が経つにつれて目の前の更新に手一杯になり、当初の目的を見失ってしまうおそれがあります。オウンドメディアの運用は、前述した通り事業課題の解決のために行います。運営自体が目的化してしまわないように、掲げた目標達成の度合いなどについて定期的な振り返りの機会を設け、チーム内で当初の目的を常に意識・共有できるようにしましょう。
運用を開始する前に、成果が出るまでに多くの時間とリソースを必要とするオウンドメディア施策の特性と、それでも実施した方が良い理由について根拠を添えて共有し、社内の理解を得ておく必要があります。
社内の理解を得て、部署を横断した協力関係を構築できていれば、成果が出るまでの期間のフォローを他の部署に依頼したり、場合によってはコンテンツ制作に協力してもらったりといった連携を取ることができます。理解が得られていない状況では、短期間での成果を求められ、プロジェクトが頓挫してしまうかもしれません。
オウンドメディア運用において、コンテンツの量は重要ですが、それ以上に大切なのは質の追求です。ユーザーや検索エンジンに選ばれるメディアになるためには、ユーザーの知見を広げる良質な内容であり、なおかつ専門性と独自性をそなえた質の高いコンテンツが必要になるからです。
量への目標を達成するために、ただコンテンツを量産するだけになってしまっているメディアも少なくありません。メディアサイトを立ち上げたばかりであればある程度のコンテンツの量は確保したいところですが、徐々に「質」を重視したコンテンツを増やせるようにしましょう。
オウンドメディアの運用に関して、その目的とするところや具体的な流れ、成功のポイントについて解説しました。オウンドメディアで期待通りの効果を出していくためには、綿密な計画と豊富なリソース、そして継続してコンテンツを制作していける体力が必要です。本記事を参考に社内の運用体制を見直し、より効果の出るオウンドメディア運用を目指しましょう。