基本ノウハウ
オウンドメディアで期待する成果を出していくためには、事前の戦略設計が重要です。しかしその重要性は理解していても、具体的なやり方までは分からないという方も多いのではないでしょうか。戦略設計は、正しい手順にしたがって作業を進めていかなければなりません。
本記事では、オウンドメディアの戦略設計の具体的な手順や、成功のためのポイントなどについて詳しく解説します。
オウンドメディアにおける戦略設計とは、運用の目的を明確にし、目的を達成するための結果目標を定め、リソースを確保しながら実行スケジュールを具体化していく一連の作業のことです。
オウンドメディアは、一般的にはコンテンツを蓄積しながら中長期的に取り組んでいく施策であり、大きな成果を生み出すためには時間やマンパワーなどの大きなコストが必要になります。戦略を持たずにオウンドメディア運用を始めた場合、一貫した方針で事を進められず不必要なコストをかけてしまったり、最初はうまくいったとしても再現性がなく継続できなかったりと、十分な成果を上げることは難しいでしょう。また戦略設計そのものが優れていても、実行のためのリソースが確保できていないと、計画通りの運用ができなくなってしまう可能性もあります。
戦略設計では、主に下記を決定します。
オウンドメディアの戦略設計で決めること | 内容 |
---|---|
目的 | 何のためにオウンドメディアを運営・設計するのか 最終的にどのような状態を目指すのか |
ターゲット | オウンドメディアのターゲットはどのような層か |
コンテンツの制作方針 | 誰にどのようなコンテンツを届けるのか |
運用体制 | 誰がどのような手順で継続的にコンテンツの制作・公開・改善を行うのか |
集客体制 | オウンドメディアにどのように集客を図るのか |
実行計画 | どのようなスケジュール・予算でコンテンツの制作・公開を行うのか |
数値目標 | オウンドメディア施策により達成すべき数値目標は何か |
KPI | 数値目標達成のために行うべき個別の数値目標・行動目標は何か |
オウンドメディアの戦略設計は、以下のような手順で行うのがおすすめです。
オウンドメディアの戦略設計では、最初にオウンドメディアの目的や目標を明確にしましょう。
オウンドメディアの主な目的として以下があります。
オウンドメディアは複数の役割を果たせる施策のため、目的も複数設定したい場合があります。こうした場合は、取り組みのフェーズを区切って個別に目的を設定してみましょう。
例えば売上に直結する「受注の拡大」が最大の目的である場合でも、「ブランディング」や「集客」も受注につなげる過程において重要です。立ち上げたばかりの最初期のフェーズでは「集客」または「ブランディング」に注力し、次のフェーズで受注拡大の施策に取り組むといったように、「そのフェーズでの目的」の設定によって施策に集中できます。また、目的は「売上○%UP」や「採用人数10人」など具体的な数値目標に落とし込むことも大切です。
目的を達成するために自社に不足しているものは何か、現状と理想の差分を考え、解決すべき課題の仮説を立てましょう。具体的には、サイト経由の売上額、CV数・訪問数などのアクセス解析結果、顧客(ターゲット)への理解を深めるためのペルソナ・カスタマージャーニーの設定、競合調査などにより現状を整理し、課題を定義します。
既にオウンドメディアを運用している企業が、思ったように成果が出ず戦略設計から見直す場合を例にしてみましょう。「オウンドメディア経由で年間1000万円の売上達成」が数値目標だが、現状は10万円の受注70件で700万円の売上であったとします。目標達成のためには追加で30件300万円の売上が必要であるため、企業は残り30件の受注が実現できていない理由はどこにあるのか、ボトルネックを探して解決策を探さなければなりません。
市場規模に対してサイトへの訪問者数が少なすぎるのかもしれませんし、流入はあっても想定よりCVに結びついていないのかもしれません。商談に持ち込んだ段階での失注が多く、見込み顧客の育成・絞り込みが十分にできていないのかもしれません。現状の課題を仮にでも設定し、その課題の解決のためにオウンドメディアをどう役立てるかの方針を固めていきましょう。
現状の課題を定義したら、課題解決のためのKPIを設定しましょう。KPI(Key Performance Indicator)は目標達成までの中間指標を指し、具体的かつ現実的な数値で定めます。
例えば「オウンドメディア経由で年間1000万円の売上達成」を全体の数値目標として掲げている場合に、「リード獲得数200件/月」「50,000PV/月」「問い合わせ率1%」などがKPIとなります。KPIを具体的に設定することで施策の成果を可視化でき、課題がどこにあるのかも把握しやすくなります。
関連記事:オウンドメディアで設定すべきKPIとは?フェーズ別設定例も紹介
KPIを定めた後は、施策の実行計画を固めます。その際、目標に対する優先度や人的・金銭的リソースなども考慮して優先順位を決めましょう。
例えばオウンドメディアの立ち上げ初期であれば、コンテンツをある程度ストックするために記事本数を増やすことに注力します。「自社商品・サービス分野の情報を網羅する記事を3ヵ月で50本作成する」などのKPIを立て、目標達成の期限から逆算し、運用体制を整える準備期間も含めてスケジュールを設定するのです。また、結果に応じて臨機応変な改善が重要になるため、計画を柔軟に修正できるよう、最初のうちは1月単位など短いスパンで施策に取り組むことをおすすめします。
オウンドメディアの戦略設計は、目的や目標を定めて課題を把握し、KPIを定めた上で実行計画を固めるという流れで行います。その際、特に以下の3点に注意して戦略設計を進めましょう。
目標は、現状の課題を解決する現実的な目標を適切に定めることが重要です。
極端な例ですが、オウンドメディアを立ち上げたばかりで「月間1億PV」といった目標を掲げても達成は難しく、無理のある目標は社員のモチベーションを低下させるおそれがあります。また、商談につなげるためにコンバージョンの獲得を目的としていたにもかかわらず、実行目標がいつまで経っても情報の薄いコンテンツの量産では、成果に結びつく目標設定とはいえません。自社の現状の課題を把握し、解決のための具体的かつ現実的な目標を段階ごとに定めるようにしましょう。
オウンドメディアで成果を上げるために、リソースを集中させましょう。
コンテンツSEO目的の記事とバズ狙いの記事を同時に作り、さらに動画コンテンツも量産していくといった施策は、リソースが限られているなかでは難しいはずです。リソースが不足している状況で複数の課題に対して同時に取り組むと、それぞれの施策の質が低下して成果につながらないリスクもあります。そのため、どの施策が最も課題解決に効果的なのかを検討し、施策の優先順位を決めた上で、その施策にリソースを集中させましょう。
オウンドメディアの運用では、ユーザーファーストの観点が何よりも重要です。ユーザーを満足させられなければ、小手先の施策を実施しても成果にはつながりません。
ユーザーがどのような悩みや課題を抱えており、何にニーズがあるのかを把握し、ユーザーに向き合ったコンテンツを制作しましょう。ユーザーのニーズを把握するためには、アンケートの実施、SNS調査、実際に顧客に話を聞くインタビューなどを利用すると良いでしょう。ニーズを押さえたユーザーのためのコンテンツはGoogleからも高く評価されやすく、運用するオウンドメディアを検索上位に表示させるSEO対策の観点からも重要といえます。
オウンドメディアの戦略設計では、目的や目標の設定が何よりも重要になります。目的と目標を明らかにした上で、課題を把握してKPIを設定し、具体的な施策へと落とし込んでいきましょう。また、限られたリソースを有効活用するためにも、優先順位の高い施策から注力して取り組みます。適切な戦略にもとづいてオウンドメディアを成長させましょう。
BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。