基本ノウハウ
成果が出るまでに時間が掛かるオウンドメディア運用は、KPI設定が重要と言われています。しかし、KPIをどのように設定すれば良いのか、詳しくは分かっていないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、なぜオウンドメディアにおいてKPI設定が重要なのかの理由と、KPI設定の際のポイントや具体的な設定例について解説します。
オウンドメディアの運用において成果を上げるためには、KPIの設定が重要です。
オウンドメディアは商品・サービスの認知度向上やブランディング、見込み顧客の獲得などに役立つ一方で、成果が表れるまでに時間がかかります。中長期的に取り組む必要があるオウンドメディアでは、ゴールに向けて適切なKPIを設定することで「いつ、誰が、何を、どのように行うべきか」の道筋を明確にできます。
またKPIはゴールへの個別の道筋を明らかにし達成度を可視化できるため、メンバーのモチベーションの維持にもつながるでしょう。
オウンドメディアのKPIに用いられる主な指標は以下の通りです。
KPIの指標 | 内容 |
---|---|
記事数 | オウンドメディアの立ち上げ初期に特に重要視する指標です。コンテンツを継続的に制作しながら、記事の網羅性と専門性を高められているかを確認します。 |
PV数 | ページビュー数のことで、ユーザーがどれだけページを閲覧したかを確認する数値です。記事ごとやオウンドメディア全体のPV数がどのように推移しているかを確認し、メディアの成長度合いを測ります。 |
オーガニック検索流入数 | 検索エンジン経由でのアクセス数です。SEOで狙ったキーワードで流入されているかなどを確認します。 |
SNSでのシェア数 | SNSでどれだけシェアされたかを確認します。読者の注目度や話題性を測ります。 |
CV数 | コンバージョン数のことで、問い合わせや資料請求、購入などオウンドメディア上での最終的な成果を指します。どれだけCV数を獲得できているかが、オウンドメディアの成果に直結します。 |
検索順位 | 検索エンジンでの検索順位のことで、狙ったキーワードで上位表示されているかを確認します。 |
ユニークユーザー数 | サイトに訪れたユーザー数です。1日に1人のユーザーがサイトに訪問し、5ページ閲覧した場合、ユニークユーザー数が1、PV数が5とカウントされます。 |
セッション数 | 延べ訪問者数のことで、一定の期間内にサイトに訪れたユーザーの訪問回数を表します。1日に1人のユーザーがサイトに訪問した後離脱し、1時間後に再度訪問した場合、ユニークユーザー数が1、セッション数が2とカウントされます。 |
エンゲージメント率 | GA4においてはすべてのセッションのうち「エンゲージのあったセッション数」の割合を指します。エンゲージのあったセッションとは、ユーザーが「ページに10秒以上滞在した」「複数のページを閲覧した」「CVを発生させた」のいずれかです。エンゲージメント率が高いほど、ユーザーが直帰せずコンテンツがよく読まれていると判断できます。 |
KPIを設定する際に気をつけるべき以下の3つのポイントを解説します。
KPIを設定する前に、オウンドメディアの最終目標であるKGIを明確に定めます。「成約数30件/月」「問い合わせ数50件/月」といったイメージです。
KGIから逆算してKPIを設定する上で役立つのがKPIツリーです。KPIツリーとは、KGIを実現するために構成されたKPIをツリー状に図式化したものです。KGIを達成するためには、どのような要素が必要かを検討し、KPIへと落とし込みましょう。
関連記事:KPIツリーとは?メリットや作成のポイント・注意点をどこよりも詳しく
KPIは現実的に達成しうる目標とし、なおかつ測定できる具体的な数値で設定しましょう。明らかに達成できないKPIは担当者のモチベーションをそいでしまう上、リソースなどの面で無理を通すことになり、運営にも負荷がかかってしまいます。また、具体的かつ計測可能な数値でなければKPIの達成度合いを可視化できず、施策の評価があいまいになり、改善の方針を立てづらくなります。
適切なKPI設定になっているかは、SMARTの法則に当てはめて確認しましょう。SMARTの法則は以下の通りです。
これらの要素を網羅したKPIを設定しましょう。
オウンドメディアでは中長期的な取り組みが必要ですが、年単位の長期的なKPIはもちろん、1月単位での短期的なKPIも設定するようにしましょう。短期間でKPIの達成度合いを評価することで、現行の体制に課題があれば発見し、早期に見直しを図ることができます。ただし成果が表れるまでに時間を要する指標は短期間での達成が難しいため、立ち上げ初期は制作本数など社内でコントロール可能な内容から始めると良いでしょう。
オウンドメディア運用におけるフェーズごとのKPI設定例について見ていきましょう。KPIはそれぞれのフェーズに合わせた最適な指標・数値の設定が大切です。
オウンドメディアの立ち上げ初期は、記事の制作本数など、自らのアクション次第で達成できるKPIの設定がおすすめです。
オウンドメディアは立ち上げてすぐには成果が出ないため、まずは豊富な記事数でメディアとしての下地づくりから始める必要があります。ある程度の記事数がそろった段階で、ようやく流入数やCV数など他の指標に着目できるようになります。立ち上げ初期は制作体制を整えて安定した記事数の増加に注力しましょう。
ある程度コンテンツがストックされて流入数が伸びてきたら、PV数、セッション数、UU数、エンゲージメント率、自然検索の流入数、検索順位などをKPIに設定すると良いでしょう。
立ち上げ初期はオウンドメディアの基礎づくりのためのKPIで、運用中期は流入数を伸ばすためにコンテンツの質向上も盛り込んだKPI設定といえます。新規の記事作成を中心に行いつつ、既存記事のリライトも実施しながら、より評価されやすいコンテンツを増やしていきましょう。
運用後期では、CV数や目標ページへの到達数など、商談や受注などの売上に直結しやすい数値をKPIとして設定します。
この頃になれば、立ち上げ初期の記事量産と運用中期の改善によって、集客に関する部分はある程度の数字は確保できているはずです。だからこそ、次は集客したユーザーをいかに成果へと結びつけられるかを考えていかなければなりません。
CV数や目標ページへの到達数は成果に直結する部分であるため、KPIに設定し導線を整備していきましょう。
オウンドメディアのKPI設定について解説しました。オウンドメディアはすぐに成果が表れるものではないからこそ、目標を細かく設定し、都度軌道修正していくことが大切です。本記事を参考に適切なKPI設定を行い、オウンドメディアの運用成功を目指してください。