セミナーレポート

基礎から分かる顧客理解の重要性と進め方【セミナーレポート】

基礎から分かる顧客理解の重要性と進め方【セミナーレポート】

BeMARKEは2023年1月25日に、「BtoB企業向け マーケティング成果を最大化させる顧客理解の基本と実践」と題した4社共催セミナーを開催しました。本セミナーでは、「顧客理解」をテーマに、なぜ顧客理解が重要なのか、顧客情報や顧客データをいかにマーケティング戦略や施策企画に活用するかについて、各社のエキスパートにご講演いただきました。

株式会社才流BtoBマーケティング支援事業責任者の澤井和弘氏には、「基礎からわかる、顧客理解の重要性と進め方」と題して、マーケティング活動における顧客理解のポイントと具体的施策を紹介していただきました。

目次

【登壇者】
澤井 和弘 氏(株式会社才流 BtoBマーケティング支援事業 責任者)
求人メディア運営会社にて営業・マーケティング・新規事業の立ち上げを担当。その後、フィードフォースに入社し、マーケティングチームの立ち上げ・事業責任者などを務め、デジタルマーケティングに関するメディアへの寄稿やBtoBマーケティングに関するイベント登壇などを行う。現在はBtoBマーケティング支援事業の責任者として活動を行う。

顧客理解が必要な理由

最初に、顧客理解が必要な理由について説明します。

なぜ顧客理解が必要なのか?

デジタル化による購買プロセスの変化

デジタル化による購買プロセスの変化

近年、顧客理解の重要性が叫ばれている背景には、デジタル化による購買プロセスの変化があります。従来、見込み顧客の情報収集経路は展示会や担当営業といった、「対面」が主流でした。

しかし現在では、Webやウェビナーを通じた「非対面」での情報収集が主流になりました。The Digital Evolution in B2B Marketingの調査では「購買プロセスの57%が営業担当者に会う前に終わっている」という結果が出ています。さらに、ここ数年のコロナウイルスの影響は、この傾向に拍車をかけています。つまり、オンラインで情報収集を進めている顧客に対して、「いかに早くタッチポイントを作れるか」が商談創出の鍵となるのです。

そこで求められているポジションが、マーケターやインサイドセールスです。彼らはオンライン、オフライン問わず、見込み顧客とのコミュニケーションを通じて購買意欲を醸成します。

マーケターやインサイドセールスは、フィールドセールスよりも顧客と対面する機会が少ないため、より意識的に顧客理解をする必要があります。

顧客理解が不足しているとどうなるか

顧客理解が不足しているとどうなるか

マーケティングのご支援をしていると、顧客理解が不足しているケースが多々見受けられます。顧客理解が不足していると、どんなマーケティング施策を展開しても成果を上げづらくなります。マーケティング活動の前提として、顧客理解を徹底しましょう。

顧客理解が不足していると、次のような問題が発生します。

  • サービスサイトの内容と顧客の知りたい情報とがくい違う
  • 購買プロセスの理解不足
  • すべてのリードに商談を打診してしまう

サービスサイトの内容と顧客の知りたい情報とがくい違う

サービスサイトが理解できない

顧客理解が不足していると、サービスサイトの情報と顧客の知りたい情報とがくい違ってしまいます。なぜなら、「顧客が知りたいこと」ではなく「自分たちが伝えたいこと」を発信してしまうからです。当社がお客様を支援する際に行った見込み顧客へのユーザーテストの結果、サービスサイトを見た感想として次のような声が寄せられました。

  • サービスサイトだけではサービスの内容が理解できない。
  • サービスを導入するメリットが感じられない。
  • 料金プランの違いがわからない。

サービスサイトでは、「皆様の業務を効率化するために最適なソリューションを提供します」というような抽象的な表現をよく目にします。しかしこれでは、「サービスを導入して自社がどうなるのか」という具体的な姿がイメージできず、サービス内容が見込み顧客に伝わりません。

料金プランについても、プランごとに利用できるオプションが〇×で示してある価格表が多いのですが、「よく分からない」という声が挙がりました。

Webサイト制作サイドは、「Webサイトの内容を全部読んでもらえる」という前提でコンテンツを作りこみますが、見込み顧客は見出しやメインメッセージを中心に流し読みします。そのため、サービスサイトでは、自社のサービスの強みや他社のサービスとの差別化ポイントを、見出しやメインメッセージで分かりやすく伝える必要があります。

購買プロセスの理解不足

購買プロセスが想定と違った

顧客理解の不足は、購買プロセスの理解不足にもつながります。想定した購買プロセスと実際の購買プロセスがずれると、注力する施策や訴求するポイントにずれが生じます。例えば、10~20社が類似のサービスを提供しているようなコモディティ化したツールがあるとしましょう。

一般的なBtoBの購買プロセスに当てはめて考えてみると、「検索→問い合わせ→見積もり→発注」というプロセスをイメージするはずです。ところが、実際の購買プロセスをインタビューで探ってみると、次のようなプロセスが見えてきます。

「各社のサービスサイトを見ても同じようなことが書かれていてよく分からない→セミナーや展示会で接点を持った1、2社に絞って検討→早い段階で1社に内定→社内の手続き上、相見積もりをとるために検索→問い合わせ→相見積もり・社内稟議→内定していた1社に決定」

前者のような購買プロセスを想定するならば、顕在ニーズに訴求するSEOやリスティング広告といったマーケティング活動を強化することになります。しかし、後者が見込み顧客のリアルな購買プロセスとしたなら、営業の工数は増えても受注数は伸びません。見積り作成や料金表の送付など、営業が対応すべき工数は急増するにもかかわらず、受注はあまり増えない。そんな事態に陥るので、営業の不満がたまっていきます。

後者の購買プロセスを前提に考えると、顕在層よりも潜在層向けのマーケティングを強化すべきです。顧客が検討を始める前に、いかに顧客にリーチできるかが受注の鍵を握るためです。また、類似サービスが多数あるため、自社サービスのポジショニングの明確化や差別化も重要です。

このように、顧客理解がなければ最適なマーケティング施策を実行できないのです。

すべてのリードに商談を打診してしまう

すべてのリードに商談を打診してしまう

顧客理解が不十分だと、顧客の検討フェーズを無視してすべてのリードに商談を打診してしまいます。

例えば、ホワイトペーパーなどのお役立ち資料をダウンロードした見込み顧客に対して、いきなり商談やアポを打診するのは、見込み顧客の購買プロセスを無視した営業活動です。見込み顧客としては「ホワイトペーパーをダウンロードしたらいきなりサービスの話をされた」という印象を抱くでしょう。ホワイトペーパーをダウンロードした人には、まずはノウハウ紹介セミナー、次に事例登壇セミナーと、ステップを踏みながら徐々に商談へと進んでもらう必要があります。すなわち、中間コンバージョンの設計が重要です。

顧客の購買プロセスを押さえつつ、検討フェーズに応じたコミュニケーションがとれるよう、顧客理解を深めましょう。

顧客理解がマーケティング活動の第一歩

顧客理解がマーケティング活動の第一歩

顧客理解が欠けた状態でマーケティング活動を実施すると、顧客体験を損なう行為が頻発します。

  • 自社が伝えたいことを一方的に伝えるコンテンツが量産される
  • お役立ち情報のダウンロードで商談を打診される
  • キャンペーンや新機能のお知らせだけが頻繁にメルマガで届く

など、顧客理解を欠いたマーケティング活動は枚挙にいとまがありません。

このようなマーケティング活動は、目先の受注には貢献するかもしれませんが、長期的に見れば顧客のエンゲージメントを低下させ、自社のブランドを毀損します。いずれ商談や受注は伸び悩み、マーケティングと営業の双方に悪影響があるでしょう。

「顧客理解がマーケティングの第一歩」と心得て、まずは顧客理解を徹底しましょう。

顧客理解を徹底することで生まれる変化

顧客理解を徹底することで生まれる変化

顧客理解を徹底すると、次の4つの要素が明確になります。

  • チャネル
  • コンテンツ
  • メッセージ
  • CTA(Call To Action、行動喚起)

顧客理解を徹底すると、自ずとどのようなチャネルでコミュニケーションをとるべきかが見えてきます。

次に、顧客の検討フェーズや興味・関心に合わせて、どのタイミングでどのようなコンテンツを発信すべきか分かるようになります。

顧客理解が深まれば、どのような言葉で何を伝えるべきか、どんなメッセージを伝えるべきかが明確になります。また、社内で常用されている言葉が顧客には馴染まないというケースもあります。その言葉が顧客に違和感なく伝わるかどうかも、意識してみてください。

最後に、CTAが明確になります。顧客理解を徹底すると、顧客の検討プロセスごとにどのようなコンバージョンポイントを用意すべきかが分かるようになります。

顧客理解のために明日からできること

顧客理解のために明日からできること

顧客を理解するために明日からできることは、「定性的なこと」と「定量的なこと」の大きく2つに分けられます。定性的・定量的な手段を組み合わせて、情報収集に努めましょう。

定性的なこと

  • 既存顧客へのインタビュー
  • 見込み顧客へのインタビュー など

定量的なこと

  • 問い合わせ内容や営業の商談履歴の分析
  • 受注、失注、解約理由の確認
  • 受注企業の経路分析 など

また、マーケティング担当者は普段あまりお客様の声を直接聞く機会がありません。よって、営業やインサイドセールス、カスタマーサポートなど、お客様の声に接する機会の多い部署と情報交換することもおすすめします。

見込み顧客へのインタビュー

見込み顧客へのインタビュー

顧客にインタビューするときは、次のような質問を投げかけてみましょう。

  • どのような課題を解決したかったのか?
  • どのような検討プロセスだったのか?
  • 普段はどのように情報収集しているか? など

ペルソナ作成

ペルソナ作成

インタビューなどで集めた情報は、ペルソナに落とし込んで言語化します。

ペルソナを作る際に重要なポイントは、ペルソナごとの課題を明確にすることです。BtoB顧客の大多数は、何らかの課題を解決するためにサービスを導入しています。したがって、ペルソナの属性もさることながら、そのペルソナの抱えている課題や困りごとの整理が重要です。属性や課題別にペルソナを整理しておくと、部署間の認識のずれを防ぐのにも役立ちます。例えば営業とマーケティングでリードの質をめぐって認識のずれが起きることがありますが、「部署間で共通言語を得る」という意味でもペルソナの整理をしておくと良いでしょう。

カスタマージャーニーマップの作成

カスタマージャーニーマップの作成

ペルソナの整理を終えた後は、ペルソナごとにカスタマージャーニーマップを作成します。カスタマージャーニーマップでは、検討フェーズごとのタッチポイント(接点)と、接点ごとのコンテンツを整理してみましょう。ペルソナをカスタマージャーニーマップまで落とし込めたら、あとは具体的な施策を実行していきましょう。

検討フェーズごとに施策を実施

検討フェーズごとに施策を実施

実行すべき施策は、顧客の検討フェーズによって異なります。ニーズが顕在化しているかどうかによって、実施すべき施策は異なります。顕在層向けにはリスティング広告が適していますし、潜在層向けには展示会やオウンドメディア、テレビCMやタクシー広告などが効果的です。

実施すべき施策には一定のセオリーがあるため、施策の選択はさほど難しくありません。重要なのはむしろ、「その施策を通じて何を伝えるべきか」という点です。顧客理解ができていれば、どのようなメッセージを発信すべきかは仮説が立つはずです。

マーケティングの階段設計

マーケティングの階段設計

最後に、「マーケティングの階段設計」を可視化しておきましょう。

先ほどご説明したように、資料ダウンロードからいきなり商談化を目指すことは難しいため、中間コンバージョンを設計しておくことが重要です。

「このお客様は今、階段の2段目にいると想定できるから、次は事例のセミナーに案内しよう」と円滑な流れを作っていけるよう、マーケティングの階段設計を用意し、共有しておきましょう。

まとめ

マーケティング活動を効果的かつ適切に展開するには、顧客理解が不可欠です。見込み顧客のインタビューをはじめとする情報収集から、ペルソナ作成、カスタマージャーニーマップ作成まで、顧客理解に向けた第一歩を踏み出してみてください。その上で、顧客の検討フェーズに応じた施策とコンバージョンポイントの階段設計によって、効果の最大化を目指しましょう。


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この記事を書いた人

BeMARKE編集部
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