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顧客ニーズとは?重要性と正しく把握する方法を解説

顧客ニーズとは?重要性と正しく把握する方法を解説

マーケティング戦略を立てるためには、まず顧客ニーズを把握する必要があります。しかし、顧客が何を求めているのかを理解するために、どのような方法があるのかまでは分かっていないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、「顧客ニーズとは何か」「なぜ顧客ニーズを知る必要があるのか」を伝えて取り組みの重要性を伝えるとともに、混同しやすいウォンツとニーズの違いや、顧客ニーズへの理解を深める方法も解説します。顧客満足度を上げられるように、顧客ニーズとは何かを知るところから始めましょう。

目次

1.顧客ニーズとは

顧客ニーズの把握は営業・マーケティング活動の根本に影響する重要な取り組みですが、そもそも顧客ニーズとは何かを定義できていない方も多いでしょう。本章では顧客ニーズの概要について、関連用語も交えて解説します。

「理想的な状態」を目指す顧客の欲求

顧客ニーズとは、顧客がこうあってほしいと考える「理想的な状態」への欲求を意味します。

顧客がとある商品・サービスを求めているとき、顧客はその商品・サービスを利用することによって実現したい理想の姿があるはずです。このとき叶えたい理想こそが顧客ニーズであり、商品・サービスはそのための手段であるといえます。例えば顧客が「10年後も健康な体を保っていたい」というニーズを持っている場合に、「ジム通い」や「食事管理」が実現の手段として選択されるイメージです。

【顧客ニーズの例】

  • 10年後も健康な体を保つ
  • 日々の趣味の時間を増やす
  • 残業をゼロにする
  • 売れ筋商品の受注を倍にする


潜在ニーズと顕在ニーズに大別できる

顧客ニーズは、潜在ニーズと顕在ニーズに分けられます。

潜在ニーズと顕在ニーズを氷山で例えた画像

潜在ニーズとは、顧客がその必要性に気づいていない状態、または意識できていない状態にあるニーズを指します。潜在ニーズを抱える顧客は、自らが真に叶えたいと思っている理想や、そのために解決すべき課題をまだ認識できていないため、理想を叶える手段である商品・サービスへの購買行動を起こしません。売上を伸ばすために、企業は顧客のニーズを顕在化させる取り組みが必要です。

一方、顕在ニーズとは、顧客が自覚している表面的なニーズを指します。ニーズが顕在化している顧客は、顧客自身が叶えたい理想や解決したい課題を自覚しており、なぜ商品・サービスが欲しいのかを説明できる状態です。条件が合えば購買に至る可能性が高く、直近の売上を伸ばしたい企業にとっては優先的に獲得したい顧客といえます。

ニーズとウォンツとの違い

「理想的な状態への欲求」を示すニーズに対し、その欲求を満たすために顧客が欲する具体的な手段・解決策をウォンツと呼びます。「十年先も健康な体を保つ」という顧客ニーズがあったとすれば、その解決のために顧客が必要とする「ジム通い」「食事管理」などの手段がウォンツにあたります。1つのニーズに対し、ウォンツは複数あるのが一般的です。

ニーズ(必要性・目的) ウォンツ(解決手段)
健康な体を保つ ジムに通う
食事を管理する
健康診断を行う
趣味の時間を増やす 最新家電で家事を節約する
スケジュール帳でスキマ時間を見つける
休みの多い仕事に転職する
営業の効率化 業務アプリの導入
営業チームの再編
職場環境の整備

ニーズとウォンツを混同したり見誤ったりすると、顧客が真に必要としている商品・サービスを提供できない可能性があるため、企業は顧客のニーズが何かを見極める必要があります。

例えば「営業管理を行うために業務アプリが欲しい」と顧客が話している場合、「営業管理」がニーズで「業務アプリ」がウォンツに思えます。しかし実際のニーズは「営業効率化による受注の拡大」で、顧客自身が真のニーズを理解・説明できていなかったというケースはよくあるのです。

また「営業効率化」というニーズに対しては「営業チームの刷新」や「職場環境の整備」など他にもさまざまなウォンツが考えられますが、ニーズを理解できていないとこうした他の選択肢が提示できなくなります。そのため顧客の真のニーズを引き出し、さらにその解決策として自社製品・サービスを提示できるようにする取り組みが重要なのです。

ニーズとウォンツの図解

ウォンツからニーズを導き出す方法としては、ウォンツに対して「なぜこれが必要なのか」を繰り返し問い続けることで、最終的に到達したい真のニーズを掴むやり方があります。

2.顧客ニーズを知る重要性

顧客ニーズを知ることは、マーケティング活動においてきわめて重要です。顧客ニーズをつかむ重要性について、以下2つの観点から解説します。

  • 顧客の購買意欲を喚起する
  • 顧客満足度を高められる

顧客の購買意欲を喚起する

マーケティングにおいて顧客ニーズをくみ取る重要な理由は、顧客に強いインパクトを与えて購買意欲を喚起するためです。ニーズを的確にとらえた商品・サービスに出会った顧客は大きな感動を覚えます。顧客に「これが欲しかった」と喜ばれる製品・サービスを開発できれば、購入のアクションにつなげられます。

顧客はどのような理想を思い描き、その実現を阻むどのような課題を抱えているのか、課題解決のためにどのような商品・サービスを欲しているのかを調査・分析し、新しい商品・サービス開発や改善のヒントにしましょう。

顧客満足度を高められる

顧客のニーズを把握できれば、広告やブランディング施策など、売上向上のための施策を顧客ニーズに沿った形に改善でき、顧客満足度を高められます。

また、差別化を図るためにも顧客が気づいていないニーズを深掘りしましょう。新規受注のみならず継続的な受注、LTVの向上にもつながります。

3.顧客ニーズを把握する手法5選

顧客ニーズを把握するための代表的な方法として、以下5つが挙げられます。

  • 営業社員のヒアリング
  • ソーシャルリスニング(SNS調査)
  • アンケート(定量・定性調査)
  • インタビュー
  • 事例の調査

営業社員のヒアリング

顧客を担当している営業社員にヒアリングを行う手法です。顧客と直接やりとりをする機会が多い営業社員は、顧客が抱えている課題や求めていることを明確に把握しているため、顧客ニーズをつかむ上でヒアリングによって得られた情報が役に立つでしょう。また、営業社員に限らずインサイドセールス部門やカスタマーサクセス部門など顧客と関わるチームが持つ顧客に関する情報は、社内で共有しやすい仕組みを作っておきましょう。

ソーシャルリスニング(SNS調査)

ソーシャルリスニングは、SNSを利用した調査方法で、ソーシャルメディア上でのユーザーの会話や意見を収集・分析することを指します。顧客が好むものや本音を知り、リアルタイムでフィードバックが得られる点がメリットです。

ソーシャルリスニングによって、SNSを利用している顧客のニーズや市場トレンドを把握できます。またSNSで自社製品・サービスの分野に関する課題や悩みが投稿されていたら、対応すべき顧客ニーズであると判断できるため、製品・サービスの改善を行う上でも役立ちます。キーワードやハッシュタグを活用して情報収集を行いましょう。

アンケート(定量・定性調査)

アンケートリサーチは、ユーザーにWebや用紙を用いたアンケートで必要な情報を回答してもらう手法です。チェック式で回答してもらう定量的な調査方法と、意見を自由に記述してもらう定性的な調査方法があります。大規模な調査を行いたい場合は調査会社への依頼も可能です。

アンケート調査は用意した設問に対するユーザーの声を把握できる一方で、「なぜそう思うのか」といったインサイトが掴みにくい、設問外の課題については見えづらいといった欠点もあります。アンケートを実施する際は、インタビューなどを組み合わせるとインサイトも掴みやすくなるでしょう。

インタビュー

インタビューは、自社製品やサービスを購入した顧客に直接ヒアリングをする手法です。自社製品を気に入って購入した顧客からであれば、購入理由や実際の感想などを尋ねやすく、比較的自由に答えてもらえます。顧客の本音をくみ取りやすい方法といえます。

アンケートとは異なり、数量や割合では把握できないデータが得られる可能性があり、顧客ニーズを理解する上で効果的です。

事例の調査

競合他社が公開している事例、またはターゲットとしている顧客が自社サイトで公開している事例がある場合に、その内容を読み込んでニーズを分析します。顧客が何に課題を感じているのか、どうやって解決に至ったのかといった情報を読み込み、自社の顧客とも照らし合わせて整理しましょう。

BtoCであれば、実際に使用した顧客の声が聞ける評価サイトや口コミサイト、BtoBであれば企業サイトなどが該当します。

4.まとめ

企業の売上や顧客が求める新商品・サービスの開発を実現させるためには、顧客ニーズの把握が重要です。「理想的な状態への欲求」であるニーズと、欲求を満たすために顧客が欲する「具体的な手段・解決策」であるウォンツの違いを理解して、顧客が本当に求めているものをくみ取りましょう。顧客のウォンツを深掘りしていくことで顧客ニーズを見つけられるだけでなく、ニーズを満たすことで顧客満足度を高められます。

顧客ニーズを把握する方法には、営業社員のヒアリングやSNSを利用したソーシャルリスニング、アンケート、インタビュー、事例の調査があります。顧客ニーズを把握する必要性を理解し、施策に反映することで顧客満足度の向上につなげましょう。


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BeMARKE編集部
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