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顧客ロイヤルティとは?その重要性や向上のメリットを紹介

顧客ロイヤルティとは?その重要性や向上のメリットを紹介

「顧客ロイヤルティの向上が自社の課題」「ブランディングの肝は顧客ロイヤルティにある」など、顧客ロイヤルティという言葉をビジネスで多く聞くと思います。意味をなんとなく理解はできていても、顧客のどのような行動や意思表示を顧客ロイヤルティと呼んでよいのか分かりかねている方も多いでしょう。

そこでこの記事では、顧客ロイヤルティという言葉の意味や概要、ビジネスにおける必要性や顧客ロイヤルティを高めるメリットなどをご説明します。

目次

1.顧客ロイヤルティとは?

顧客ロイヤルティとは、顧客が特定の企業やその商品・サービス、あるいはブランドに対して持っている愛着や好感度(良い印象)、信頼度を表す言葉です。

顧客ロイヤルティという言葉に含まれる「ロイヤルティ」を英語に直すと「Loyalty」となり、持つ意味は「忠誠心、誠実さ」です。日本ではマーケティング用語として用いられることが多く、「顧客ロイヤルティ」という使われ方もマーケティングの世界特有のものです。

なお、ロイヤルティに似た単語で「ロイヤリティ」があります。混同されることもありますが、こちらは英語に直すと「Royalty」となり、全く異なる単語です。ちなみにロイヤリティとは「王族や王位、王族のような気品、上品さ」といった意味を持ちます。しかしビジネス用語としては「著作権料」、「商標権料」「特許料」など、知的財産に関する権利の使用料を指す場合が一般的です。

顧客ロイヤルティが重要である理由

既存顧客のロイヤルティ向上は、場合によっては新規顧客の獲得よりも重要視されます。企業が顧客ロイヤルティに重きを置く理由として、既存顧客との関係を強化する方が、新規顧客を獲得するよりも小さいコストで売上を期待できる場合があるためです。

高いロイヤルティの顧客は、「ロイヤルカスタマー」と呼ばれます。ロイヤルカスタマーはリピート(再購入や再利用)率も高く、企業に大きく貢献してくれる顧客となり得ます。

企業活動において、ビジネスの成長を継続的なものにしたり、利益をより向上させたりするためには、ロイヤルカスタマーの存在が欠かせないともいえるでしょう。

マーケティング用語として知られる「1:5の法則」と「5:25の法則」も、顧客ロイヤルティの重要性を説明する上での大きな根拠とされています。

  • 1:5の法則:既存顧客に販売するコストを1とすると、新規顧客に同じ商材を販売するには5倍のコストがかかる
  • 5:25の法則:利益を現状の25%向上させたければ、解約率を5%改善すれば良い

上記のように、新規顧客を獲得する場合は既存顧客やリピーターを育てるよりコストがかかることが一般的です。一方、ロイヤルカスタマーが多くなれば、企業・ブランドの愛好家として口コミなどでの個人的なおすすめも彼らが自発的に行ってくれるでしょう。

また、近年広まっているサブスクリプション(定期購入)型の商品・サービスの場合、ロイヤルカスタマーが多ければより長い期間利用を続けてくれることも期待できます。

こういった背景から、企業が顧客のロイヤルティを高めたり、ロイヤルカスタマーとの関係をより良くしたりすることが、ビジネスにおいてより重要視されるようになりました。

顧客ロイヤルティと顧客満足度の違いは?

顧客ロイヤルティと混同されやすい言葉には「顧客満足度」もあります。両者のいずれも、「顧客に高い好感度を持ってもらえている」ことには変わりありません。しかし、好感度を持つ対象が以下のように異なっています。

  • 顧客満足度:企業が提供する商品やサービスの内容に顧客が満足している状態
  • 顧客ロイヤルティ:顧客が企業・商品・ブランドそのものを強く信頼できている状態

顧客満足度が高い状態とは、「商品やサービスを満足して利用していただけていること」であり、顧客ロイヤルティが高い状態とは「商品やサービスを超えて、ブランドや企業自体が愛されている状態」であると考えると分かりやすいでしょう。

また顧客満足度と顧客ロイヤルティは意味合いこそ異なるものの、顧客ロイヤルティを測るために顧客満足度は欠かせない指標となるものです。次の項目では、顧客ロイヤルティを測る4つの指標についてご紹介します。

顧客ロイヤルティを測る指標4点

自社の顧客ロイヤルティが現在どのくらいなのか知るために必要な測定指標には、以下の4点があります。

  • 顧客満足度
  • LTV(ライフタイムバリュー)
  • NPS🄬(他者推奨意向)
  • 継続利用意向

顧客満足度

先にもご説明した顧客満足度は、商品やサービスに顧客が満足しているかどうかを知るための指標です。すでに顧客満足度の高い状態が維持されているなら、この先顧客ロイヤルティが向上し、ロイヤルカスタマーの増加も期待できるでしょう。このため、顧客満足度は顧客ロイヤルティを測る指標としても重要性が高いといえます。

LTV(ライフタイムバリュー)

LTVとは、顧客1人が取引開始から終了までの間、その生涯において企業にもたらす利益を指しています。このLTVも、顧客ロイヤルティを測る指標として重要です。LTVは、1顧客がサービスを利用した期間、使った金額、購入した回数(購入頻度)などを分析して計測します。

NPS🄬(他者推奨意向)

NPS🄬は「ネットプロモータースコア」の頭文字を取った略称で、顧客ロイヤルティを数値で表すことで指標として読み取りやすくしたものです。計測するためには、顧客に対して専用のアンケートを実施し、回答結果の分析が必要です。

NPS🄬のアンケート設問は、商品やサービスへの満足度を「1~10」の配点方式で顧客へ尋ねる仕組みとなっています。またそれに加え、「商品やサービスを他人にすすめたいかどうか」を聞く項目も設けられています。NPS🄬を実施した結果、高スコアを獲得した顧客は「自社への顧客ロイヤルティが高い」との評価が可能です。

なお、顧客ロイヤルティを測るために重要とされるNPS🄬ですが、アンケートの設問のなかでは顧客満足度と深く関連する要素も見られます。

継続利用意向

継続利用意向(顧客の商品やサービスを利用し続けたい・リピートしたい意向)も、顧客ロイヤルティを測定する際の重要な指標になります。継続利用意向から顧客ロイヤルティを測る際は、以下2つのロイヤルティについて確かめることも重要です。

  • 行動ロイヤルティ:商品やサービスを継続的に購買・利用し、他人にもすすめている状態
  • 心理ロイヤルティ:企業やブランド自体を信頼し、愛着を持っている状態

同一顧客の継続利用意向と顧客満足度を比較することで、以下のような課題が見つかることがあります。以下のような場合は、2つのロイヤルティのいずれかを高める工夫が必要であると分かります。

  • 継続利用はするが顧客満足度は高くない…心理ロイヤルティの向上が求められる
  • 顧客満足度は高いがリピートは少ない…行動ロイヤルティの向上が求められる

2.顧客ロイヤルティの向上によって期待できるメリット

ここでは、顧客ロイヤルティが向上すると、企業にとってどのような成果やメリットにつながるのかを解説します。

  • 解約や客離れの防止
  • リピート頻度の向上
  • 客単価のアップ
  • SNSなどでの拡散効果が見込める

解約や客離れの防止

顧客ロイヤルティを行動・心理の両方で高められると、顧客が継続的に商品やサービスを利用してくれるようになり、顧客にとってそれが当たり前の状態となります。また企業やブランドへの信頼度が高まることで、容易に客離れを起こすこともなくなるでしょう。

また、サブスクリプションサービスなどの場合は解約率にも顧客ロイヤルティが影響します。顧客ロイヤルティの向上によって継続利用が増え、同時に解約率を抑えることにもつながります。

リピート頻度の向上

顧客が商品の購入やサービスの利用を繰り返すことをリピートと呼びますが、顧客ロイヤルティを上げることでリピートの回数・頻度も高くなります。商品やサービスが頻繁に繰り返し購入・利用されることで、企業にとってはさらなる成果につながるでしょう。

客単価のアップ

ロイヤルティの高い顧客は、商品の購入やサービスの利用を数多く行ってくれ、客あたりの単価も高い傾向があります。顧客ロイヤルティの向上を図り、ロイヤルカスタマーの数が多くなることで、客単価の高い顧客が増えさらなる売上が期待できます。

SNSなどでの拡散効果が見込める

口コミメディアやSNSなど、インターネットによる顧客の個人的な拡散行動も、顧客ロイヤルティの向上により活発になることが予測できます。個人間における商品・サービスのおすすめや紹介活動が、新規顧客の開拓にもつながります。顧客ロイヤルティを上げることは、大きなコストを割かずに新規顧客の獲得を図ることにもなり得るでしょう。

3.顧客ロイヤルティ向上のための 4ステップ

自社の顧客ロイヤルティを高めるためにできることをご紹介します。以下4つのステップを経て、顧客に自社や自社ブランドのファンを増やすための施策を実施してみましょう。

【1】顧客に関するデータを取得する
【2】データから現状の顧客ロイヤルティを把握する
【3】達成したい顧客ロイヤルティの目標を定める
【4】具体的なプロモーション施策などに向けCXを設計

【1】顧客に関するデータを取得する

自社の利用会員リストや顧客リストから、自社の顧客の属性や購入した商品・サービス、利用期間、利用頻度などのデータを採ります。アンケートを実施して結果からデータを得るのも良いでしょう。

【2】データから現状の顧客ロイヤルティを把握する

データが得られたら、その結果から現在における自社の顧客ロイヤルティがどの程度かを割り出して把握します。全体的な顧客ロイヤルティの把握には、顧客ロイヤルティの高いユーザーと低いユーザーの傾向を調査したり、特定顧客のロイヤルティが高い理由などを分析したりします。

【3】達成したい顧客ロイヤルティの目標を定める

データとその分析結果に基づき、自社がめざす顧客ロイヤルティの目標を決めましょう。SMARTの法則(具体性・計測可能性・達成可能性・関連性・期限の5項目を根拠とする目標設定手法)などにのっとり、解決すべき課題や主要ターゲット顧客なども明確化した上で目標設定を行いましょう。

SMARTの法則の5要素は、それぞれ以下のような意味です。

  • S=Specific(分かりやすさ)
  • M=Measurable(計測できる)
  • A=Achievable(達成できる)
  • R=Relevant(関連性がある)
  • T=Time-bound(明確な期限がある)

【4】具体的なプロモーション施策などに向けCXを設計

目標を決めたら、実際に顧客ロイヤルティを上げるためのCX(顧客体験)を設計します。効果の期待できるCXを設計したら、具体的なプロモーションの計画を立てて実行に移しましょう。

4.顧客ロイヤルティ向上の成功事例

顧客ロイヤルティ向上のために施策に取り組み、成功した事例は数多くあります。その一例として、国内プロスポーツ団体の運営企業がファンの顧客ロイヤルティ向上を図った例をご紹介します。

同企業は試合の観戦チケットを販売する専用システムの運用にあたり、より熱心なファンを増やすためにCRM(顧客管理)ツールを導入しました。

チケットの販売を通じて、企業はCRMツールから得られる「チケットの購入動向に関するデータ」を分析しました。顧客の行動パターンや寄せられた要望に基づき、チケットのファンクラブ会員割引や限定先行販売などを導入したのです。他にもチケット購入時に希望座席を確保可能とするなど、座席指定を希望する熱心なファンのニーズに応え、試合観戦にまつわるサービスも拡充しました。

さらにファン層を拡大すべく、同企業はファンクラブ会員向けのサービスをより多彩にしました。そのユニークな取り組みの例としては、応援する選手を登録すると選手の活躍によってポイントが貯まる機能などが挙げられます。

また試合を離れても、ファンとの活発なコミュニケーションを図りさまざまな工夫を行い、社を挙げてファンとの関係性構築を実践しました。結果、チケットの売上は目標の数倍にも達し、新規ファンクラブ会員の獲得にも効果が得られました。

5.まとめ

顧客ロイヤルティとは、企業が顧客からどれだけの信頼を得られているかを表すものといえます。顧客の信頼度がどれくらいなのか、知ろうとすることはむずかしいと感じるかもしれません。しかし、一見推し量りにくく思える顧客ロイヤルティもさまざまな指標によって定量化や可視化が可能となっています。

顧客満足度やNPS🄬などを活用して現状の顧客ロイヤルティを把握することで、顧客が企業に対してどのような感情を持っているかまで知ることができます。それが分かることで、自社が解決すべき課題も見えてくるでしょう。

課題や目標が明らかになればそれを解決・達成するための取り組みを行うことも必要です。現状の顧客ロイヤルティをさらに高めるには、CXの設計とそれを実行するための施策が欠かせません。定期的に顧客データを精査してCXを改善し、顧客ロイヤルティを日々上向きにしていくための取り組みを続けていきましょう。


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BeMARKE編集部
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