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全企業が向き合うべきUXとは?意味やUIとの違いを分かりやすく解説

全企業が向き合うべきUXとは?意味やUIとの違いを分かりやすく解説

「UXという言葉を最近よく耳にするけれど、どういう意味かよく分かっていない」という方も多いのではないでしょうか。UXは「User Experience」を意味し、直訳すると「ユーザーの体験」になります。UXについて考えることは、自社製品・サービスをユーザーに選んでもらうために必須の視点なのです。

本記事では、UXとは一体何を意味しているのか、UXをなぜ重視する必要があるのか、また優れたUXを実現するためのポイントについて解説します。

目次

1.UXとは

よく耳にするようになった「UX」とは一体何でしょうか。本章ではUXやUXデザイン、UXとUIの違いについて解説します。

製品・サービスからユーザーが得る体験

UX(User Experience)とは、「製品・サービスを利用することでユーザーが得られる体験」を指し、「顧客体験」とも表現されます。

UXとは何かを理解するために、高級レストランでディナーを予約した場合を例にしてみましょう。

レストランを訪れると、給仕に恭しく出迎えられ、夜景の見えるテラスで気持ちよく席に着いた。ディナーが始まると一皿が終わるちょうど良いタイミングで次の料理が運ばれてくるため、待たされることなく次の料理に取りかかることができた。どの料理も新鮮でおいしく、おなかも心も満たされ快く思っていたところ、最後にシェフがやって来て帽子を脱いで挨拶され、丁寧な振る舞いに感激した。

どの部分がUXであるか分かるでしょうか? 正解は、「例すべて」です。UXはユーザーが実際にどんな体験をしたかのみならず、体験によって引き起こされた感情も含みます。

例に登場した顧客は、提供されたサービスに満足し、再びこのレストランを利用しようと思うでしょう。自社製品・サービスを選んでもらう上で、「どのようなUXを提供できるか」が大きく影響するのです。

UXを設計する「UXデザイン」

「UXを実現するための仕組みを考えること」をUXデザインといいます。もう少し噛み砕いて言うなら、UXデザインは「誰に・何を・どのように提供するか」を考えることです。

とあるBtoBメーカーがWeb発注サイトの立ち上げを決めた場合で考えてみましょう。顧客調査を行ったところ「もっと簡単に製品を発注したい」ニーズがあることが分かり、BtoBメーカーは発注システムを改めることでUX改善を図ることにしました。そこで下記のようなUXを考案したと仮定します。

ストーリー:発注頻度の高い顧客が、発注の度にカタログで型番を調べ発注書を起こす必要がなくなり、ワンタッチ発注できる。

体験【1】:直感的に操作できるシンプルな画面で文字表示も大きく分かりやすい
体験【2】:確認の電話を入れずとも在庫状況が一目で分かる
体験【3】:自動見積もり機能で合計金額が即座に分かる
体験【4】:分からないことがあってもチャットでサポート対応があり解決策を教えてくれる

この例でいえば「在庫状況が一目で分かる」は既存の在庫管理システムと発注システムを連動させる必要がありますし、「サポート対応」はシステム上だけでなく、社内の人員確保や体制整備が必要になります。「どのようなUXを提供するか」を考えるだけでは不十分で、それが実現可能なように施策に落とし込まなければなりません。顧客にどのようなUXを提供するかを決め、さらにどのように実現するかを設計することがUXデザインといえます。

UXとUIの違い

UXとUI(User Interface)は混同されやすいものの、別の言葉です。UXがユーザーの体験を指すのに対し、UIはユーザーが直接見たり触れたりする接点(インターフェース)を指します。UIを見たり操作したりしたときに生まれる体験や感情がUXとなるため、UIとUXは深く結びついた関係にあるのです。

▼製品におけるUXとUIの例
製品・サービス UI(ユーザーとの接点) UX(ユーザーが得る体験)
スケジュールアプリ スケジュールアプリの操作画面 アプリ利用時の操作感、便利さ、楽しさ
Webサイト WebブラウザからアクセスできるWebサイト全体 ページの移動がスムーズ、アイコンがおしゃれ、コンテンツを読んで得られた納得感
フライパン フライパンの形状 握りやすい持ち手、軽い、強火で焦げつかない、料理が楽しい
電子書籍 タブレット、操作画面 いつでも本を買える・持ち歩ける手軽さ、暗い部屋でも読めて便利、分からない言葉がすぐ分かる

2.UXを重視すべき理由

UXが頻繁に取り上げられるようになった理由として、UXの重要性が認識されるようになったことが背景にあります。本章では、UXを重視すべき理由を2つ解説します。

  • 差別化に「体験」の提供が重要になっている
  • UXが企業のブランディングにつながる

差別化に「体験」の提供が重要になっている

UXが重視されている1つめの理由は、製品・サービスのコモディティ化が進む中で、他社との差別化を図るために「どのような体験をユーザーに提供できるか」が重要になっているからです。

コモディティ化とは、機能の似通った類似製品が多く流通するようになり、製品・サービスの市場価値が下がることを指します。こうなると企業は競合他社より安く販売することで優位を取ろうとし、価格競争に陥ってしまうのです。コモディティ化から脱却するためには、自社のみが提供できる「体験(価値)」を作り出すことで、他社との差別化を図る必要があります。

コモディティ化については、「【対策は必須!】コモディティ化とは?企業にもたらす影響や対策について解説」の記事でも詳しく解説しています。

UXが企業のブランディングにつながる

UXが重視されている2つめの理由は、良質なUXを実現することで製品・サービスの信頼感が高まり、ブランディングにつながるからです。

ブランドとは「製品・サービスに対してユーザーが思い浮かべる統一されたイメージ」といえます。例えばヤクルト製品と聞いて「乳酸菌」「健康」といったイメージが浮かぶ方は多いはずです。また、反対に「乳酸菌」「健康」という言葉からヤクルト製品を想起する人も少なからずいるでしょう。「◯◯といえばこの企業」というブランドイメージができあがれば、それだけで他社との強い差別化要因になります。

ヤクルト製品を初めて飲んだ人が「体の調子が良くなる」体験をしたら、その人にとって「健康に良い」というヤクルトのブランドイメージが強化されることになります。製品・サービスを利用して得た体験【UX】は、製品・サービスに対してユーザーが思い浮かべるイメージ【ブランド】に直結するため、ブランドとUXは近い位置にあるのです。

企業が良質なUXを提供することで、ユーザーは製品・サービスに対して好感を持ちます。良質なUXの提供が続けば、ユーザーは製品・サービスを信頼し、提供元である企業に対しても信頼感を持つようになります。UXにヤクルト製品でいう「健康に良い」といった一貫性があれば、「◯◯といえばこの企業」というブランディングを進められるのです。

3.優れたUXを実現するための3つのポイント

本章では企業が優れたUXをユーザーに提供するために、押さえておきたいポイントを3つ解説します。

  • 最も大切なのはユーザーを理解すること
  • UXデザインは一人ではなく「みんな」で行う
  • 「UIを良くすればUXも必ず良くなる」は誤解

最も大切なのはユーザーを理解すること

優れたUXを実現する上で最も大切なのは、ユーザーを理解し、ユーザーの視点に立って考えることです。ユーザーを理解できていない状況でUXをデザインしても、ユーザーが喜ぶ体験を生み出すことはできません。場合によっては、作り手の独りよがりを押し付ける結果になってしまいます。そのため、「誰に」向けた製品・サービスかを明確にし、その人が潜在的に「何を」望んでいるのかを知ることが大切です。

例えば「議事録を書き起こすため、音質の良いボイスレコーダーが欲しい」というビジネスパーソンのニーズがあったとします。ニーズをそのまま受け取れば、「クリアに音を聞き取れる高品質なボイスレコーダー」を開発することになるでしょう。しかしその表層的なニーズの奥には、忙しいビジネスパーソンの「短時間で会議の内容をまとめ、業務に生かせる状態にしたい」という真のニーズがあるかもしれません。しかし真のニーズにユーザー自身が気づいていないことは多々あるのです。

ボイスレコーダーを求めているユーザーに「会議内容が自動で書き起こされ、重要な箇所はAIが教えてくれる業務効率化アプリ」が提供されたなら、ユーザーは想定とは違う角度からの提案に驚き、感動するでしょう。企業が目指すべき優れたUXとは、ユーザーの真のニーズを理解した上で、ユーザーに新しい価値を提供できるUXなのです。

ユーザーを理解する手段としては、ペルソナカスタマージャーニーマップの作成があります。ペルソナの作り方については「ペルソナの作り方とは?BtoCとBtoBマーケティングの違いまで徹底解説【無料設定シートダウンロード】」の記事で詳しく解説しています。

UXデザインは1人ではなく「みんな」で行う

UXデザインは、担当者1人が決めるのではなく、「ユーザー」「エンジニア」「デザイナー」「マーケター」など複数のメンバーで協力して行う必要があります。なぜならUXデザインは、製品・サービスの企画開発から完成後の運用に至るまで、すべての工程に影響するからです。

ユーザーに価値ある体験を提供するためには、多角的な視点で「自社がユーザーに提供できる価値」を考えなければなりません。UXデザイナーという職種がありますが、UXデザイナーは複数のメンバーの意見を聞きながら一貫性を持ってプロジェクトを進める役割であり、1人ですべてを決めるわけではないのです。UXデザインは複数の部門で横断的に取り組みましょう。

「UIを良くすればUXも必ず良くなる」は誤解

「UIを素晴らしいものにすればUXも必ず素晴らしくなる」と認識されているケースがありますが、UIの良し悪しだけでUXの質が決まるわけではありません。UIがいかに素晴らしくても、UIを操作して得られる体験が良いものでなければ、優れたUXとはいえないのです。

例えばUIを良くするために自社ブログのデザインを一新したとしても、掲載している記事がありきたりで質が低く、ユーザーをがっかりさせてしまったら満足度は上がりません。ユーザーの目的が「必要な情報を調べること」にあった場合、UIよりもその目的の達成度がUXに影響します。UXを考えずにUI単体を良くしようとすると、UIの改善がUXに結びつかない失敗が起きる可能性があるのです。

良いUIが大切なのはもちろんですが、UIはあくまでUXを構成する要素の1つであり、UIの前にUXを考えることが重要である点を認識しておく必要があるでしょう。

4.まとめ

UXは「製品・サービスの利用によってユーザーが得る体験」を意味します。コモディティ化が進んだ市場で選ばれるためには「UX」による差別化・ブランディングが重要であること、優れたUXを実現するために3つのポイントを押さえるべきであることを解説しました。

価値ある体験を提供してユーザーに愛される製品・サービスを目指すために、UXについて考えることはどのような企業にとっても必須といえます。本記事を参考に、良質なUXの実現を目指していきましょう。


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この記事を書いた人

BeMARKE編集部
BeMARKE編集部

BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。

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