基本ノウハウ
メールマーケティングの効果を最大化するためには、クリック率の向上が不可欠です。クリック率は、ユーザーエンゲージメントやコンバージョン率改善につながる重要な指標です。本記事では、クリック率を劇的に改善するための具体的な方法10選をご紹介します。
メールマーケティングは、顧客や潜在顧客との関係構築を目的とした、メールを活用するマーケティング手法です。メールマーケティングのメリットは費用対効果の高さです。ターゲット設定を明確化した上で、メールの開封率やクリック率をリアルタイムで分析することで、施策の効果をスピーディーに把握・改善できます。
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クリック率の基本と重要性について詳しく解説します。
クリック率(CTR)は、配信したメールの総数に対して、ユーザーがメール本文中のリンクをクリックした割合を示します。具体的な計算方法は以下の通りです。
クリック率(CTR) = (クリック数 / メールの配信総数) × 100
例えば、1000通のメールを配信し、その中で20回のクリックが発生した場合、クリック率は2%となります。このように計算することで、どれだけの受信者がメール本文内のリンクに興味を持ち、行動を起こしたかを把握できます。
クリック率が重要な指標である理由は次の4つです。
このように、クリック率はメールマーケティングにおける重要な指標であり、どれだけ改善・向上できるかが成果を左右します。
ユーザーエンゲージメント向上につながる、メルマガのクリック率改善の方法10選をご紹介します。
タイトル(件名)は、受信者がメールを開封するかどうかを決定する重要な要素です。開封率を高めることでクリック率改善につながります。
受信者の興味を引く、具体的かつシンプルなタイトルを作成しましょう。特にタイトルの冒頭部分に、メリットや行動を喚起する表現を用いることが効果的です。
読者のニーズや興味を把握し、それに合わせたコンテンツを届けることでクリック率を向上させることができます。例えば新製品のお知らせや季節に合わせた特集記事、業務に役立つノウハウ情報などが効果的です。
メルマガの配信タイミングは、開封率やクリック率に大きな影響を与えます。最適な配信時間を見つけるためには、過去のデータを分析し受信者が最もアクティブな時間帯を特定することが重要です。ビジネス系のメルマガであれば通勤時間や昼休み、個人の時間を充実させる情報であれば休日や夜9時以降の時間帯が効果的な場合があります。
近年ではPCよりもスマートフォンの開封率が高い傾向にあります。そのためメルマガのデザインをモバイル最適化させることが重要です。レスポンシブデザインを採用し、画像のサイズやフォントを読みやすく調整することで、スマートフォンユーザーの体験を向上させます。
CTAは、読者に具体的な行動を促すための重要な要素です。ボタンやテキストリンクを分かりやすく設置し、受信者に何をしてほしいのかを明確に伝えましょう。例えば「今すぐ購入」「詳細はこちら」など具体的で短いフレーズを使用すると良いでしょう。
メルマガのファーストビューには、受信者に最も伝えたい要件を明示しましょう。読み手に興味を持ってもらうには、見出しや画像などを使いひと目で内容が伝わるような工夫が必要です。またクリック率を高めるためにファーストビューにCTAを置くことも重要です。
「セグメント配信」は、受信者の属性や過去の行動履歴データを活用し、個別に最適化されたメールを送る手法です。受信者一人ひとりに合わせたコンテンツを届けることで、クリック率を向上できます。
HTMLメールでは、視覚的要素を多用することでコンテンツの訴求力を高められます。図解や画像、動画などを組み合わせることで受信者の興味を喚起します。
A/Bテストの実施によって、どのようなコンテンツが効果的かを把握できます。数パターンのタイトルやCTAを用意し、テストの結果を基に最適化を行いましょう。
クリック率を向上させるためには、常にデータを分析し改善を繰り返すことが重要です。開封率、クリック率、配信停止率などの指標を定期的に確認し、効果的な施策を継続的に見直していきましょう。
メルマガのクリック率は業界によって異なります。一般的にクリック率は2%〜3%程度といわれていますが、特定の業界ではこの範囲を超えることがあります。例えば、BtoBビジネスではターゲットが具体的であるため、BtoCビジネスよりもクリック率が高い傾向があります。
米国のコンスタントコンタクト社の調査(2024年7月時点)※によると、全体平均のクリック率は2.03%とのことです。多くの業界では2%を基準にクリック率の向上を目指しているといえるでしょう。
事業の種類 | 開封率 | クリック率 |
すべての業界(全体平均) | 32.55% | 2.03% |
製造および流通 | 27.05% | 2.76% |
テクノロジーサービス | 24.82% | 2.87% |
管理およびビジネスサポートサービス(請求、電話応答、採用など) | 28.69% | 2.46% |
コンサルティングサービス(管理、マーケティング、広告、ブログ) | 28.00% | 2.63% |
住宅および建築サービス(清掃、造園、請負業者、建設など) | 36.42% | 2.46% |
健康とウェルネス(医師、在宅ケア、歯科医、メンタルケア、栄養など) | 32.96% | 1.75% |
旅行と観光(旅客輸送、宿泊施設、旅行代理店など) | 31.02% | 1.34% |
※参照:Average industry rates for email as of July 2024
各業界ごとにクリック率が異なる理由は、ターゲット層の行動や興味関心の傾向、配信タイミングなどが影響しているためです。例えばファッションや美容業界ではビジュアル要素が重視されるため、メルマガにおいても画像を多用するなど視覚的魅力の高い内容がクリック率向上につながる傾向があります。
一方BtoBビジネスやテクノロジー業界では、専門的な情報や詳細なデータが求められるため、内容の質がクリック率に直結します。業務に役立つホワイトペーパーやケーススタディがターゲット層の関心を引きやすくクリック率が高まるといえます。
近年ではPCよりスマートフォンでの開封率が高い傾向があるため、メルマガ表示をモバイル最適化することが重要です。特に小売業界などスマートフォン経由のクリックが購買行動に直結しやすい傾向にある業界では、モバイル最適化が欠かせません。
いかなる業界においても、ユーザーの興味や行動履歴に基づいてカスタマイズされたメールはエンゲージメント率が高いことから「セグメント配信」は業界を問わず有効な手法といえます。例えば、過去の購入履歴に基づいて関連商品を提案する小売業界や、特定の技術に関心があるユーザーをターゲットとするBtoB業界などがその一例です。
クリック率の計測・分析・改善を行い成果につなげるにはツール活用が欠かせません。クリック率向上に役立つツールを紹介します。
アクセス解析ツールを使用することで、メルマガのクリック率を可視化し改善のPDCAをまわしやすくなります。
GA4(Googleアナリティクス4)では、ユーザーがある行動を起こしたときに「イベント」を発生させ、そのイベントを計測できる機能があります。「拡張計測機能イベント」か「カスタムイベント」を設定することで、メルマガのクリック数やその後のユーザー行動を詳細に分析することができます。さらに、具体的なユーザーセグメント別に分析することで、クリック率向上に役立てられます。
他にも、無料で使えるアクセス解析ツールには「FC2アクセス解析」や「アクセス解析研究所」などがあります。
MAはマーケティングに関する業務を自動化し成果につなげるツールです。メール配信においては、メルマガ作成やセグメント配信、リスト管理にかかる業務を効率化しながら、クリック率など重要な指標を可視化し分析・改善に生かせます。
クリック率はメールマーケティングの成果を左右する重要な指標です。ターゲット層を明確にしメールコンテンツの質を向上させることで、クリック率の改善につながります。ツールを活用しながら効果を測定し改善を続けることで、より効果的なメールマーケティングを実現することができるでしょう。