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MAのシナリオステップを解説 シナリオの意味や例も紹介

MAのシナリオステップを解説 シナリオの意味や例も紹介

見込み顧客が購買するまでの動きに合わせて自動的にコンテンツを配信する「MAのシナリオ」。MAでマーケティング業務を自動化させたい場合、シナリオ作成は必須です。シナリオを作り、マーケティングの自動化を実現できれば、業務の効率化や購買フェーズの前進といった効果が期待できます。今回はMAにおけるシナリオの意味や設計方法、具体的なシナリオ例などについて解説します。

目次

1.MAにおけるシナリオとは

MAにおけるシナリオの意味について解説します。MAにおけるシナリオとは、「顧客が購買するまでの動きを仮定したもの」です。MAでは作成したシナリオに沿って、自動的にコンテンツを配信させることで、マーケティング業務を自動化できます。シナリオは、例えば以下のようなものが考えられます。

  • 複数回、サービス紹介ページにアクセスはあるものの購入にまで至っていない見込み顧客へは、活用事例の資料をメールで送る
  • 商品・サービスを購入してくれた既存顧客へは、1週間以内に関連商品やオプション機能のお知らせメールを送る
  • 資料請求をしたものの購買していない見込み顧客へは、セミナー案内のメールを送る

シナリオを設計し、購買までに至る各フェーズにおいて効果的な情報を効果的なタイミングで、自動で送ることで購入の可能性を高めつつ、業務の効率化を図ることができます。

MAでマーケティング業務を自動化するにはシナリオが必須

MAはただ導入すればマーケティング業務を自動化してくれるわけではありません。MAでマーケティング業務を自動化するには、シナリオ作成が必須となります。特に、多くの顧客を抱える企業では負担が大きくなりやすいため、シナリオを作りマーケティング業務の自動化、効率化がおすすめです。ただし、MA自体を活用することにシナリオが必ず必要なわけではありません。用途によっては、シナリオを作らずとも活用できるケースもあります。

2.シナリオを活用するための6ステップ

MAにおけるシナリオ設計の6ステップを解説します。今回紹介するステップを順に踏み、効果的なシナリオを設計しましょう。

  • 「誰に」アプローチするか決める
  • 「いつ」アプローチするか決める
  • 「何を」届けるか決める
  • 「どのように」届けるか決める
  • シナリオをMAに設定する
  • 実行して問題を見つけ改善する

【1】「誰に」アプローチするか決める

アプローチ対象のニーズに沿ったマーケティングを実施するため、まずは「誰に」アプローチするかを決めましょう。また最初に誰にアプローチするかを決めておかないと、その他の「いつ」「何を」「どのように」情報を届けるかを決めることができません。

そんな重要なアプローチ対象ですが、以下3つの軸を用いて決めるのが一般的です。

内容
顧客ライフサイクル顧客と自社の関係性を軸に、「新規顧客」「見込み顧客」「休眠顧客」などへ分類する。
顧客行動「資料請求をした顧客」「セミナーに参加した顧客」など、顧客の行動を軸に分類する。
顧客属性業界・年齢・性別・住まいなど属性を軸に分類する。

上記3つの軸を単独もしくは組み合わせて、分類された層がアプローチ対象となります。蓄積してきた顧客データや一般公開情報なども用いて分類し、アプローチ対象を決定しましょう。

【2】「いつ」アプローチするか決める

関心が高いうちにアプローチをして、効果を上げる可能性を高めるために、アプローチするタイミングを決めます。関心が離れてしまったタイミングでアプローチしても良い結果は望めないため、アプローチするタイミングを逃さないことが重要です。

アプローチするタイミングは以下の3つの軸を踏まえて決めるのが一般的です。

内容
特定の行動「資料をダウンロードしたとき」や「導入事例ページを見たとき」など特定の行動を起こしたタイミングでアプローチする。
時間帯「他のメールに埋もれづらい早朝」や「お昼休み後の13時頃」など、開封率の高いと思われる時間帯にアプローチする。
頻度連続して配信する場合、顧客の関心を薄れさせないように適切な頻度でアプローチする。

また、上記3つの軸と併用して、作成したカスタマージャーニーを参考に、顧客がさまざまな判断をする直前のタイミングでアプローチできれば、より大きな効果を期待できます。

【3】「何を」届けるか決める

次にアクションを誘発させるために、「何を」アプローチ対象へ届けるのか、コンテンツを決めましょう。コンテンツはアプローチする対象別に関心を持ってもらいやすいものにします。例えば、コンテンツは以下のようなものが考えられます。コンテンツは配信後も適宜見直し、より効果的な内容に修正することが大切です。

対象コンテンツ
新規顧客向けまだ商品・サービスへの理解が浅い新規顧客へは、「自社の紹介」や「商品・サービスの使用方法」など、自社に対する理解を深めつつ、信頼度を高めるコンテンツを配信する。
既存顧客向けすでに自社の商品・サービスに好意的な思いを持っている既存顧客へは「新機能の通知」「新サービスの案内」など、関係性を維持・向上させるコンテンツを配信する。
休眠顧客向け再び商品・サービスへの関心を高めてもらいたい休眠顧客へは、「商品・サービスの活用事例」や「キャンペーン情報」など、商品・サービス利用による具体的なメリットを伝えられるコンテンツを配信する。

【4】「どのように」届けるか決める

コンテンツをより効果的かつ効率的に届けるため、次に「どのように」コンテンツを届けるか、チャネル(媒体)を決めましょう。チャネルは例えば、以下のようなものがあります。

チャネル概要
メール最も一般的なチャネル。低コストで多様なターゲットへアプローチできる。ただし、目に付くタイトルを付けたり、読んでもらいやすい時間帯に配信するなど、開封率を高める工夫は必須。
Webサイトターゲットに届けたいコンテンツを自由に制作できる。また自社で運用するメディア「オウンドメディア」を展開し、ブランドイメージの向上や見込み顧客の育成も可能。
Web広告まだ商品・サービスへの理解が浅い新規顧客へは、「自社の紹介」や「商品・サービスの使用方法」など、自社に対する理解を深めつつ、信頼度を高めるコンテンツを配信する。
DM検索エンジンの検索結果ページ上に広告を掲載する「リスティング広告」やWeb上に画像もしくは動画を表示させる「バナー広告」、自動的に別ウィンドウが立ち上がる「ポップアップ広告」などがある。年齢・エリアなどを設定し、ターゲットを絞って配信できる。
既存顧客向けDMは、個人宛に直接送られるパンフレットやカタログのこと。メールに比べてコストはかかるが、実物を手に取ってもらえたり、情報が形として残る点が特徴。
セミナー見込み度合いの高い顧客を対象に、購入や問い合わせへつなげるために有効。

その他、ターゲットが特定のアクションをした場合に、インサイドセールスへアラートを送り、電話でアプローチも可能です。

なお、チャネルも適宜見直しは必須です。効果測定をしつつ、最適なチャネルでアプローチするようにしましょう。

【5】シナリオをMAに設定する

【1】~【4】で作成したシナリオを、MAに設定しましょう。MAを使えば、複雑なシナリオであってもドラッグ&ドロップで簡単に作成できます。またMAではシナリオの全体像もフローチャートのように表示してくれるものもあり、視覚的にも分かりやすく、マーケティング初心者の方でも抵抗感なくMAにシナリオ設計ができるでしょう。

【6】実行して問題を見つけ改善する

想定していた結果が出ない場合には、柔軟にシナリオを変更・改善することが重要です。時間をかけて作成したシナリオであっても、うまく機能しないケースがあります。これは顧客のニーズや競合商品の性能が日々変化しており、シナリオ作成時の筋書きが現在も有効とは限らないためです。加えて、特にビジネスチャンスが突然芽生える傾向にあるBtoBビジネスにおいて、見込み顧客はシナリオ通りに動きづらいという側面もあります。こうした実情を前提に、シナリオは適宜見直しを行い、より最適なものにするよう目指しましょう。

3.MAのシナリオ例

MAの具体的なシナリオ例を2つ紹介します。自社の状況と照らし合わせながら読み進めてください。

ケース1:メールを自動配信するためのシナリオ

メールを自動配信するためのシナリオを作成・実行することで、業務の効率化が期待できます。例えば、下記は料金ページに訪問した見込み顧客へ、翌日にキャンペーン案内、さらに未開封の場合は3日後にセミナー案内のメールを自動配信するシナリオです。

なお、上記はキャンペーン案内未開封のケースですが、キャンペーン案内を開封した場合には、「資料をDMする」「(キャンペーン申し込みがなかった場合)再度別のキャンペーン案内を送る」などのシナリオが考えられます。

ケース2:顧客の態度変容を促すためのシナリオ

顧客の態度変容を促すためのシナリオを作成することで、コンバージョンに向けた顧客のフェーズを一歩前進させることができます。例えば下記はサイトに訪問したターゲットに、セミナー参加をしてもらうためのシナリオ例です。メールでお役立ち情報やセミナー案内を送り、インサイドセールスが電話することで、ターゲットの態度変容を促しています。

顧客の態度変容を実現するにはある程度の期間が必要なケースがあります。長期的な視点も持ちつつ、適宜シナリオの調整を実施しましょう。

4.BtoBマーケティングでシナリオは活用すべき?

BtoBマーケティングでMAを活用するためには、シナリオを導入すべきです。ただし、見込み顧客の育成をすべてシナリオ任せにできるわけではないため、初めはシンプルなシナリオ活用から始めてください。複雑なシナリオは、考えるだけでも相当な労力がある上に、実際にシナリオを有効化しても対象となる顧客が極めて少なく、ほとんど活用されない可能性があります。

BtoBマーケティングにおけるシナリオ設計時におさえるべきこと

BtoBマーケティングにおいて初めてシナリオ設計をする際には以下の順で考えると業務効率が上がります

【STEP1】「このケースの場合は必ずこの対応をする」と言い切れる部分からシナリオ化する

【STEP2】対応回数が多いものからシナリオ化する

シナリオの代表的な例としては以下の3つが挙げられます。

  • 資料ダウンロードしたお客さんには、直後のお礼と関連する他のコンテンツ(資料や記事)を送る
  • 問い合わせや資料ダウンロードをしてくれたら、メルマガ送信リストに自動的に追加する
  • 一度営業が接触したことのある顧客が料金ページに訪れたら、担当営業に通知を出す

ついつい、「このコンテンツを見た人には、1週間後にコンテンツAを送る。メール開封をした顧客についてはインサイドセールスに通知して、後追いをする。未開封の場合はコンテンツBを送る」などと複雑なシナリオを組みたくなってしまいますが、まずは例に挙げるようなシンプルなシナリオから試しましょう。

5.まとめ

MAのシナリオとは、顧客が購買するまでのプロセスを仮定したものです。MAでマーケティングを自動化するためにはシナリオ作成が欠かせません。

またシナリオ作成にあたっては、アプローチをするターゲットの選定やニーズに沿ったコンテンツ作りなどの作業を行います。なお、初めから完璧なシナリオ作りは難しいため、ブラッシュアップを前提にシナリオ設計をしましょう。


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BeMARKE編集部
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BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。

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