BeMARKEが語る
BtoBマーケティング担当者がスキルアップを目指す方法の1つに、「ウェブ解析士」の資格取得があります。Webサイトのアクセス解析にとどまらない、デジタルマーケティング領域の幅広い知識を学べることもあり、実務に役立つ資格としても注目されています。
今回はウェブ解析士の資格概要やメリット、実際に取得して実務のどのような場面で役に立っているのかを、「ウェブ解析士」「上級解析士」の有資格者でもあるBeMARKEナビゲーター*の桂木圭介が解説します。
*BeMARKEナビゲーターとは
ウェブ解析士は、一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)が認定している資格です。
同協会の公式サイトでは、ウェブ解析士を「アクセス解析をはじめとしたウェブ解析データを活用し、デジタルマーケティングを通して事業の成果を導く人材、それがウェブ解析士」と説明しています。
Webマーケティングの仕事に携わりたい人や、もしくは仕事にしている人などが資格を取得していて、20221年4月末時点で累計受講者は約48,000人を数えます(同協会公式サイト)より
資格の種類 | ウェブ解析士、上級ウェブ解析士、 ウェブ解析士マスター |
資格の取得方法 | 1.任意でウェブ解析士講座を受講して認定試験を受験する。または、 2.直接認定試験を申し込み受験する。 試験合格後、2週間以内に認定レポートを提出。もしくは、協会指定の講座を受講する。 |
受験者数・合格率 | 2021年4月1日~2022年3月31日実績 ウェブ解析士認定試験 受験者数 :5,085人 合格者数:2,124人 合格率: 56.79% |
ウェブ解析士有資格者数 | ウェブ解析士:9,713人 上級ウェブ解析士:2,529人 ウェブ解析士マスター:111人 有資格者合計:12,353人(上記3資格総合) |
資格取得までの期間・学習時間の目安 | Web業界経験者:1カ月~1カ月半(学習時間:15〜30時間)
Web業界未経験者:2か月~4か月(学習時間:40~60時間) |
編集部注:ウェブ解析士協会公式サイトの情報(2022年6月時点)をもとに作成
私は2022年6月に「上級ウェブ解析士」の資格を取得しており、その1つ手前の「ウェブ解析士」は、入社1年目に取得しています。営業として何かしら自分の武器がほしいと考えていたときに、業務の中で“必要になる瞬間”(詳細後述)がいくつかあったことで取得を目指すことを決めました。
資格取得を目指すと決め、まず公式テキストを購入して勉強しました。このテキストは今でも重宝しています。普段から仕事でGoogleアナリティクスに触れていた経験も助けになって、毎日約1時間の勉強を1カ月程度続けて合格しました。
試験はまず、Web上で60分60問の4択問題があり、そこで合格すると、2週間以内に「認定レポート」の提出が求められます。このレポート作成が、初めてGoogleアナリティクスに触れる人にとっては少し難しさを感じるかもしれません。
【編集部注】協会主催の講座を受講することで、認定レポートの提出が免除される。
Google アナリティクス講座(UA)の「修了証」を提出することで、レポーティングの知識をウェブ解析士と同程度に持っていると判断し、認定レポートの提出が免除されます
(出典:ウェブ解析士協会公式サイト「ウェブ解析士認定までの流れ」
より)
「ウェブ解析士」は、初めてWebマーケティングについて学び始めた人や、初めてWebマーケティング担当になった人でも取得しやすい、初学者向けの認定資格です。Webマーケ、デジタルマーケ領域の知識を網羅的に学ぶことができます。
▼ウェブ解析士認定試験公式テキスト2022の目次
・第1章 ウェブ解析と基本的な指標
・第2章 事業戦略とマーケティング解析
・第3章 デジタル化戦略と計画立案
・第4章 ウェブ解析の設計
・第5章 インプレッションの解析
・第6章 エンゲージメントと間接効果
・第7章 ウェブサイトの解析
・第8章 ウェブ解析士のレポーティング引用元:一般社団法人ウェブ解析士協会 ウェブ解析士 公式テキスト
私はナビゲーターになる前、お客様のWebサイトの制作から運用までを行う仕事に携わっていました。お客様からの相談内容は、Webサイトに関連したものが多くなります。そこで、ご提案やアドバイスをする際に数値の根拠を求められるため、Googleアナリティクスの知識が必要でした。
現在のナビゲーターの仕事でも、例えばお客様がWeb上で狙った問い合わせを獲得できないというような課題を持っていたときに、どこにボトルネックがあるのかを解析するのに資格取得を通じて得た知識が役立てられています。
たまに、「営業担当者がウェブ解析士資格を取得しておくと役に立つのか」を聞かれますが、企業規模や営業が担う役割にもよりますね。
例えば営業と兼任して問い合わせの対応もしているような、社員数が少ない会社さんにあるようなケースです。問い合わせを増やすためにKPIとして、Webサイトを開設して目標の問い合わせ数の獲得を目指すとします。上司や事業責任者に向けて目標を達成するために必要な具体的な施策を提案する際、Webと事業戦略・マーケティングが連動した知識のもとに出した提案の方が説得力はあるでしょう。
また、営業担当者がWebサイトの制作や改善を他部署や外部に依頼する際も、知識があることで意図の部分がより正確に伝わるイメージがあります。
資格を取得してから、実務で知識やノウハウを活用してきた経験を踏まえ、私が考えるウェブ解析士資格を取得する意義やメリットを簡単にまとめてみました。
大きく2つのポイントを挙げます。社外だけでなく、社内の実務でも知識が生きます。
社外向けの提案はもちろん、社内での予算取りのためのプレゼンをする際にも、数値的な根拠が求められます。WebマーケのKPI設定の方法をはじめ、Webマーケティングに求められる知識に基づいた数値であれば、説得力が増すと思います。
また、成果を数値で可視化して説明できることも、マーケターの価値を高めますし、何より「数字で語れる」と、自信にもつながりますね。
資格を取ったあとも、経験を積む必要はありますが、Web施策のPDCAを回す力やスピードが早くなり、施策の精度を高められます。
ウェブ解析士の勉強をした場合としない場合とで想像したときに、資格を通じて体系的にWebマーケティングのことを学べるので、Webマーケティングの知識が浅いがゆえに起きる試行錯誤をしなくて済むというか、正解にたどり着くスピードが早くなるなという感覚があります。自然と次の施策に向けた改善の仕方とか、何をすれば良いのかが早く分かってPDCAのスピードが上がっていく。そうすることで成果を出すのも早くなっていけると考えています。
メリットは、先ほども少し紹介しましたが、Webマーケティングの知識を体系的に学べる点です。
公式サイトには「ウェブ解析やデジタルマーケティングの基礎的な知識から、デジタル化戦略と計画立案、KPI策定方法、具体的な設計や実装の方法、さらには最終的なレポーティングをひと通り学ぶことができる」(ウェブ解析士認定試験公式テキストの内容紹介より)とあります。
例えばWeb制作会社に勤めている方やコンサルティングを仕事としている方は、アプリマーケティングやBtoBサイト、サポートサイトなどいろいろなタイプのアプリ・サイトに向き合うことになると思いますが、それらのことも包括して勉強できるのは学びになります。
費用はそれなりにしますが、「お金をある程度かけている以上、勉強を頑張らなくては!」と、モチベーションになりました。
認定講座を受講する場合 | 認定講座を受講しない場合 |
---|---|
公式テキスト 4,400円 | 公式テキスト 4,400円 |
講座費用 11,000円 | ― ― |
試験費用(認定費用込) 17,600円 | 試験費用(認定費用込) 17,600円 |
合計 33,000円 | 合計 22,000円 |
参照:ウェブ解析士協会公式サイト「ウェブ解析士の取得にかかる費用」
また、職種を超えてメンバーと話せる“共通言語”を持てることもメリットに加えたいです。例えば、Webサイトを作って施策を動かそうとしたときに、Webディレクターやデザイナー、エンジニアと「ここはこういう目的でこういう風に作りたい。なぜなら理由は〇〇です」と言える。このメリットで言えば、Web関連の制作に関わるクリエイターの方が資格を取得するメリットにもなると思います。
実務で役立つ場面はたくさんあると思います。身近なところで1つ例を挙げると、KGIから逆算してどんなKPIを設計したら良いのかを論理立てて考えられるようになりました。
Webマーケティングのあるある課題として「適切なKPI設計の難しさ」があります。本来は実務経験から見えてくる観点で分析して、設計をしていければ良いのですが、経験が少ないとKPI設計が適切でないケースが多くなりがちです。
ウェブ解析士の資格取得に向けて勉強していく中で、このKPI設計の考え方や具体的なKPI設計例なども学ぶことができます。また、施策ごとにKPI設計を網羅的に学べるので、その点が非常に役に立ちました。
学んだ知識はBtoBマーケの現場ですぐに使うことが多かったこともあり、アウトプットを通じて、より知識が定着できていった感覚もあります。定着したことで、自信をもって「数字で語れる」シーンが増えています。これから資格の取得を検討するBtoBマーケターの方は、まず公式サイトの情報を参照して、自分の業務と学習内容とのつながりを確認するのが良いのではないでしょうか。【解説:BeMARKEナビゲーター・桂木圭介】
編集部注:情報は2022年6月末時点。ウェブ解析士に関する最新情報は公式サイトを参照してください。