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営業が成果を上げるには、顧客との信頼関係の構築や満足度の向上が欠かせません。これは営業職の方であれば誰しも考えることです。しかし「いい営業」とは具体的に何を指すのでしょうか?
本記事では、営業でさらに成長していきたい・成果を残していきたい方はもちろんのこと、営業部門のマネジメントをされている方、また営業が辛いと感じている方に向けて、お客様のニーズ理解から信頼の醸成、さらには自己成長につながる行動まで、営業担当者として「いい営業」を目指すためのヒントをお届けします。
こちらのグラフは株式会社セレブリックスが社内の営業職を対象にヒアリングした調査結果です。52%が「成果が上がらない時」が辛いと回答していることが分かります。
出所:営業職の52%が感じている仕事が辛い瞬間は「成果が出ないとき」。営業職を300人以上抱える営業支援の株式会社セレブリックスが調査結果を公開。|株式会社セレブリックス(PR TIMES)
営業で「成果が出ない」という辛さを感じる時、どうしても自信を失ったり、やる気を失いがちです。しかし、成果が出にくい時期にこそ前向きな学びが必要です。
成果が出ないと感じる時は、実は自分が成長する絶好の機会でもあります。うまくいかない経験が、自分には何が足りないかや、どう改善すればよいかを教えてくれるのです。もし思うような結果が出ない時は、「新しいアプローチを試すチャンスだ」ととらえてみましょう。小さな改善や新しいスキルの積み重ねが、やがて大きな成果につながります。
成果を出せる「いい営業」を考える前に、分かりやすい「ダメな営業」考えてみます。一言で表現すると顧客の信頼や満足感を犠牲にして、自己利益や短期的な成果を優先する営業スタイルのことです。具体的に4つの切り口で考えてみます。
顧客のニーズや課題を理解せず、自社の売りたい商品やサービスを押し付ける営業は、顧客に「売上のためだけに扱われている」という印象を与えます。この一方的な姿勢は、顧客に不快感や不信感を抱かせ、信頼関係の構築を阻む原因となります。
商品のデメリットを隠したり、過度に良い点を強調するのも悪い営業の典型です。不誠実な情報提供は、たとえ契約に至っても、顧客が後で気づいた時に信頼を大きく損ね、クレームや悪評につながる可能性が高まります。
顧客の意思や興味を無視して、自分の売りたいものを無理に勧める姿勢も、悪い営業の典型です。押しつけがましい態度は、顧客が営業に対して「圧力をかけられている」と感じるため、距離を置かれる原因になります。
常に学び、成長し続ける姿勢がないと、知識やスキルが時代遅れになり、顧客のニーズや市場の変化に対応できなくなります。これにより、顧客の信頼を失い、関係構築が困難になるのです。
このように“ダメな営業”は一時的な成果を得たとしても、長期的な信頼関係の構築や顧客満足の向上にはつながりません。また、コミュニケーション方法や営業担当自身のスタンスが後の中長期的な成果に大きく影響するのです。お客様の立場になり、当事者意識を持ってこの人から「買いたい」と思っていただけるように意識しなければなりません。
ここからは具体的に筆者が営業を受けた際の体験談をお話しします。筆者は会社経営を行う立場上、営業を受けることがあまりないのですが、最近立て続けに営業を受ける機会がありました。
きっかけはSalesforceからのDM。そのDMがただの手紙ではなく、かなり凝ったものでプチギフトのような小さなダンボール箱で届きました。
https://x.com/watari922/status/1722774269246251404
とても印象的だったこともあり、当社のサービス「スゴシリョ」での提供を検討しました。取引先にニーズがないか筆者のXでつぶやいて聞いてみたところ、取引先から「自分もSalesforceと同じようなDMを作りたいと思っていたんです!」という問い合わせをいただきました。
早速、提供する準備を始めるため相見積もりを行い、比較検討をしたのですが、筆者は一番高い提案をした会社が、一番魅力的に感じたのです。
「ダンボールに印刷して発送する」という、人の介在価値を発揮するのが難しい領域ですが、提案を受けるうちにこの会社への発注意思が高まりました。
私は常々、意思決定する方へ「人の魅力で意思決定をしてはいけない」と言ってきました。
サービスを使う側だった場合、どんなに営業担当者が魅力的であっても、サービスを利用する時にその営業担当者がサポートしてくれることはなく、求職者側だった場合、どんなに採用担当者が魅力的であっても、入社してその人と一緒に仕事するわけではないからです。
この体験から日頃私が営業を受けてこなかったことで、バイアスのかかった考え方を持っていたのかもしれないと思いました。
現に、いざ営業を受けてみると「人」で意思決定しそうになったからです。
では具体的に「いい営業」がどんな営業なのかを考えます。セールスハックでは優秀な営業マン・ウーマンが持っている営業スキルについてアンケートを取っています。上位の「コミュニケーション力」と「ヒアリング力」が同じコミュニケーションのスキルとするならば、優秀な営業マン・ウーマンのおよそ8割が「コミュニケーションが重要」だと考えているということになります。
出所:優秀な営業マンが持っている営業スキルとは? | セールスハックス
筆者は、実体験を踏まえ、「いい営業」の鍵は“先回り”だと考えています。
まず、先の体験談で良かった会社は事例・実績をご提出いただきました。私がXで投稿した内容を踏まえて、まさに「こういうのを作りたいんです!」というピッタリな実績が含まれていました。なおかつ先回りして大まかな見積もりまで作成していただけました。
そう言ったハード面だけでなく、購買当事者と同じ立場に立ち、必要な情報を提供すること、話す口調や、言葉の選び方といったソフト面が非常に重要になります。
一方、印象に残らなかった会社は具体的な見積もりが全く出てきませんでした。事前の情報収集はなく、オンラインでの打ち合わせ当日に「御用聞き」といったスタンスで、「何を作りたいのか」「目的は何か」とヒアリングを始めるのですが、私が答えなくても例のXのポストを調べていればすべて記載されている内容でした。
加えて、Zoomでのヒアリングに慣れていないようで、電波状況も悪く、声も小さくて何を言っているのかも分からず、テンションが下がってしまいました。
思い返せば、いい営業をしてくれた会社は、「印刷会社」としてではなく「コンテンツを一緒に作っていくパートナー」として最初から接触してくれていました。「このレベルの営業担当者がいる会社にお願いしたい」。
そうでなければ、満足できるものができそうにないな、と感じました。
「いい営業」に必要なものは、顧客の立場を理解したコミュニケーションです。本記事では具体例として「先回り」の重要性に焦点を当てて紹介しています。
私も新卒で双日の営業を担当していた際、上司からお客様を訪問する前に最新のプレスリリースをきちんと確認しておくように指導されました。
これは単に雑談の話題を準備するという意味ではなく、顧客が今何に困っているのか、何を求めているのかを予測し、そのニーズに応じた情報を先回りして提供することを指しています。
先回りして提案できるようになれば、ハード面でもソフト面でも「いい営業」ができるようになるのではないでしょうか。「いい営業」に一歩でも近づきたい方は、ぜひお試しください。
現在、BtoBマーケター・セールス担当者向けに、ノウハウやナレッジを披露していただける専門家の方を募集しています。
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