セミナーレポート

「マーケティング4.0」の次ステージに対応するMA活用と導入のポイント【セミナーレポート】

「マーケティング4.0」の次ステージに対応するMA活用と導入のポイント【セミナーレポート】

アドビ株式会社はこのほど、「マーケティングオートメーション活用と導入検討のポイント」と題したセミナーを開催しました。本セミナーでは、アドビ株式会社 ソリューションコンサルタントの味村春菜氏が、昨今のマーケティングトレンドに触れつつ、MA導入から成果創出までのステップと、導入検討の際のポイントについて解説しています。

目次

【登壇者】
味村 春菜 氏(アドビ株式会社 ソリューションコンサルタント)

時代の変化と起こり得る課題

第一章では、「時代の変化と起こりうる課題」について解説します。

顧客自ら情報収集する時代の到来

人が1日に目にする新聞、Webニュース、TV、雑誌、SNS、駅看板、交通広告などの広告数は5,000点にのぼります。そのうち、記憶に残るのは12点程度だそうです。一方、自ら情報収集する購買者の割合は75%といわれています。

これらの数字から分かることは、企業側は数多くの広告を打っているにもかかわらず、顧客には刺さっていないということです。顧客はむしろ、自ら情報を取りに行っています。顧客起点で情報収集する時代が到来しているのです。

また、「認知」「興味」から「購入」「利・活用」までの購買プロセスにも変化が起きています。

以前は、広告を見てあるブランドに興味を持ち、ショップを訪れ、店員から商品の説明を受けたりおすすめされたりして購入するという流れでした。かつては、営業がカバーする範囲が広く、営業の頑張り次第で売り上げを伸ばせていた時代でした。

ところが現在は、顧客自らがWebサイトを閲覧したりSNSやWebサイトで動画を見たりと、「調査」「評価」を経てほぼ買いたいものが決まった状態で、店舗ないしECサイトを訪れ、購入に至るという流れです。顧客自ら調べる時代においては、営業の頑張りだけでは売り上げは伸びません。BtoCだけでなくBtoBも同様です。必要な資料をダウンロードしたり関連イベントに参加したりといった手段で、企業が自ら調査するケースが主流になっています。

したがって、情報を求めている顧客にいかに当該情報を提供できるかが勝負になります。

とはいえ、単純に情報をたれ流せば良いというわけではありません。

「マーケティング4.0」に沿った顧客へのアプローチ

ここで、マーケティングの父・フィリップ・コトラーが提唱する「マーケティング4.0」に沿って、顧客への適切なアプローチを見ていきましょう。

  • マーケティング1.0(1950年代~70年):「売り(selling)」視点での、製品中心のマーケティング。
  • マーケティング2.0(1980年~90年):「顧客」中心のマーケティング。顧客が自分に必要な商品を強く求めるようになり、個々人に合った製品ないしサービスの販売方法を展開する。
  • マーケティング3.0(2010年~2015年):「人間」中心のマーケティング。商業的なニーズにのみ注目するのではなく、社会に良い影響を与えるブランドが支持されるようになる。
  • マーケティング4.0(2016年以降):自己実現のマーケティング。顧客の状態(情報収集段階なのか、あるいは具体的に検討している段階なのかなど)を見極め、適切にアプローチする。

必要なのは顧客の検討状況を知るツール

このようなマーケティングの変遷に照らすと、一方的に情報発信するのではなく、顧客の状態に応じた適切なアプローチが必要となります。

顧客に適切なアプローチをするには、顧客の検討状況を知ることが不可欠です。しかしながら、情報収集から発注に至るまでの顧客の検討状況は、展示会やセミナー、問い合わせなどがあった場合を除き、通常はブラックボックス状態です。企業は顧客の検討状況が分からないのです。

そこで、今回提案したいソリューションが、MAの活用です。次章では、Adobe Marketo Engageの導入でどのような顧客へのアプローチが実現できるかを説明します。

Adobe Marketo Engageで何ができるか

第二章では、「Adobe Marketo Engageで何ができるか」を説明します。

顧客の状態を360度把握できる

顧客の属性、セミナー参加や電話の会話内容、営業が訪問して収集した情報など、これまでも取得できていたオフライン情報に加えて、Adobe Marketo Engageを活用するとオンライン情報も取得できるようになります。例えば、「コーポレートサイトのどのページに、いつ、何回アクセスしたか」、「企業から送付した製品紹介メールに反応したか」、「モバイルアプリをいつ閲覧したか」といった情報を取得できるようになります。

すると、情報収集から発注に至るまでの顧客の購買プロセスに存在していたブラックボックスが解消され、顧客の状態を360度把握できるようになるというわけです。

スコアリング機能で適切なアプローチを実現できる

Adobe Marketo Engageではさらに、顧客の温度感を数値化するスコアリング機能によって、適切にアプローチできる仕組みがあります。

例えば、ある顧客が2回の資料請求をしたとします。すると、スコアリングが10点になります。次に、サイトを3回閲覧すると、2点×3回で6点が加算されて16点となります。その後、展示会に参加するとさらに10点が加算され、26点になります。

続いてセミナーの案内メールを送ると、メールに反応があったか、セミナー申し込みがあったかを確認できます。セミナーまで時間があれば、その間にLINEで事例動画を紹介して視聴を促すこともできます。

また、セミナーの前日にはショートメッセージでお知らせを流すよう設定し、実際にセミナーへの参加があれば加算します。セミナー後、さらに自社訪問を行い、こうして加算されてきた点数は55点に到達します。この段階のスコアリングの点数を見ると、顧客はかなり興味を持たれている状態だと分かります。そこで、顧客とのコミュニケーション頻度を上げ、より興味の度合いを上げる仕掛けを打っていきます。

受注確率の向上からフォローアップまでを自動化できる

このように、Adobe Marketo Engageを使えば、スコアリングで顧客の温度感を把握するとともに、自動的に顧客へのアプローチの対応や頻度を変えることができます。さらに、スコアの閾値を超えたら営業にメールで通知する仕組みも用意されています。

例えば、スコアリングの点数が高まってきた顧客に対して週に1回、顧客の興味を引くような情報を届けます。メールが開封され、提案依頼の問い合わせがくれば、さらに5点加点されてスコアリングは60点に達します。このとき、60点を「受注確立の高い顧客」と定義しておけば、60点を超えた段階で営業に通知が届き、漏れなくフォローできます。

営業が提案に行く時点で、すでに顧客の興味関心や関心度合いを把握しているので、受注確率を上げる適切な提案ができるというわけです。

仮に失注してしまった場合、このようにスコアをゼロに戻すこともできます。通常はそのまま放置してしまうのですが、Adobe Marketo Engageでメール送付などを設定しておけば、再検討を促す流れを自動的に作ることができます。失注後に再びメール開封やサイト閲覧といった行動があれば、一旦ゼロに戻った顧客のスコアは再び上昇します。スコアが急激に高まると、自動的に営業に通知が届き、適切なタイミングで再度フォロー、再チャレンジで契約にこぎつけることが可能となります。

以上のとおり、Adobe Marketo Engageには、顧客の状態を把握するスコアリングの仕組みと、失注ケースのフォローアップも含めた適切なアプローチを実施するための仕組みが備わっているのです。

※セミナー当日は、第三章でAdobe Marketo Engageの操作デモが行われました。

MAの導入に向けて押さえておくべき3つのポイント

第四章では、「MAの導入に向けて必要なこと」として、MAを導入して成果を出すための準備について解説します。

ポイントは3つあります。

1.ビジネス課題を明確化する。

2.成果創出までのステップを可視化する。

3. 具体的な施策案を洗い出す。

ビジネス課題を明確化する

1つ目は、ビジネス課題を明確化することです。

あくまで各企業のビジネス課題を出発点にして、MAで課題を解決するという流れが重要です。

例えば以下のように、まずは丁寧にビジネス課題を明確化することをおすすめします。

  • 製薬会社様の課題:コロナ禍で非対面営業が増える中、売り上げをキープすること。
  • 人材派遣会社様の課題:求職者一人ひとりにマッチしたJob訴求がしたい。

MAありきで考えるのではなく、まずは自社の課題を確認しましょう

成果創出までの顧客ステージを定義し遷移条件を設定する

2つ目は、成果創出までのステップに関するポイントです。

購買プロセスは、どのような顧客ステージを定義し、どのような遷移状況を設定すれば収益を着実に達成できるのかを可視化することです。そして顧客ステージは、認知拡大や獲得、育成、商談といった「顧客の状態」をとらえたものです。

ここでは、マーケティングと営業の両方を含めたプロセスの設定がポイントになります。

最初の「認知拡大」はマーケティングプロセスですが、最終的に収益が上がるのは営業のプロセスです。よって、両方のプロセスをつなげて定義していく必要があります。

遷移条件の設定も重要です。

こちらはある電子部品会社様の購買プロセスの例です。マーケティング営業の後にインサイドセールスを配置しています。顧客ステージでは、匿名から始まって認知になり、サイトを閲覧すると見込み客となります。

見込み客となると、スコアによってコールド、ウォーム、ホットの3段階に分けて育成されます。そこから問い合わせがあれば、引き合い状態によってインサイドセールスが登場します。アポ獲得後は、営業が担当します。こちらの電子部品会社様の場合は、施策を行い評価を得て受注という流れを、顧客ステージに反映しています。

さらに、商談に至らなかったり施策段階で失注したりした顧客に対してリサイクルをかけるプロセスも定義しています。

具体的な施策案を洗い出す

3つ目は、具体的な施策案を洗い出すということです。

定義した顧客ステージに対して、それぞれどのような施策を実施するかを洗い出します。同じ電子部品会社の例をもとに、該当する顧客ステージと施策を番号でひも付けてみました。

  1. の「見込み客の獲得」は、「匿名」、「認知」のステージに該当します。

このステージで実施すべき施策を、「見込み客の統合DBの作成」、「コンテンツ拡充」など、具体的に洗い出していきます。ポイントは、MAの仕様に合わせすぎることなく、必要と思われるあらゆる施策を挙げていくことです。

例えば、(4)「営業連携」の施策の中に「インサイドセールスの組織化」があります。これは、Adobe Marketo Engageと直接的な関係はありませんが、マーケティングから営業に着実かつ良質な顧客を渡すという観点ではキーになる施策です。

以上のように、あらゆる対応施策を挙げた上で、Adobe Marketo Engageで対応する部分と他のツールや仕組みで対応する部分とを分けて検討していきましょう。

まとめ

世の中の流れに照らすと、一方的に情報を発信するのではなく、顧客の状態に応じた適切なアプローチが必要です。さらに、コロナ禍で対面営業が困難になり、一人ひとりに歩み寄ったマーケティングがより重要になりました。

現在は、「マーケティング4.0」から次のページへと移行している段階といえるでしょう。今後より顧客に寄り添っていくには、さまざまなデータを収集し、それを活用しながら改善していくテクノロジーが必要になります。

今後開催予定のセミナー一覧はこちら>>https://jp.marketo.com/events/seminar/

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