基本ノウハウ
テレアポはマーケティングの概念が広がる前から、多くの企業で取り組まれている営業方法です。しかし成果が上がりにくいなどの理由から、「時代遅れの手法なのでは?」「このまま継続する必要性はあるのか」など疑問に思う方もいるでしょう。
本記事ではテレアポが時代遅れといわれる背景と、現代でも通用する理由を解説します。時代に合わせた工夫で成果を上げる方法も、あわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
テレアポが「時代遅れ」といわれる理由は、主に以下の3つです。
そもそもテレアポがどのような仕事かを知りたい方は、下記の記事を確認してください。
関連記事:「テレアポの仕事内容とは?上達するために必要な取り組みやマインドも解説」
テレアポが時代遅れといわれる理由の1つが、Webマーケティングの台頭です。インターネットの発達とともに、情報収集先は営業担当者から以下のようなWeb媒体へ移行しつつあります。
Webマーケティングでは上記のコンテンツを通して、大量の見込み顧客と接触できます。製品・サービスの購入や利用も、Webサイト上で手続きできるようになりました。
一方テレアポはアポイント獲得のために、1対1で見込み顧客に電話をかけ続ける必要があります。Webマーケティングよりも効率が悪いと感じると、「テレアポは時代遅れなのでは?」と疑問を持つのも無理はないといえるでしょう。
なおWebマーケティングの基礎知識は、以下の記事で解説しています。重要性が増している理由や進め方などを知りたい方は、あわせてチェックしてみてください。
関連記事:「Webマーケティングとは?進め方のコツから役立つ本・資格まで徹底解説【未経験・初心者マーケター必見】」
手間のわりになかなか成果を感じられない点もテレアポが時代遅れといわれる理由の1つです。テレアポでは、以下のような作業が必要になります。
アポイント獲得率は業種や商材などによって異なりますが、下表の例を見ると、テレアポによるアポイント獲得率は他の施策と比べて決して高いとはいえません。
手法 | アポイント獲得率の例 |
---|---|
テレアポ | 0.1~1.0% |
飛び込み営業 | 3% |
問い合わせフォーム営業 | 1% |
メール | 1~5% |
実際、テレアポ経験者の92.7%が「大変だった」と感じ、その理由の1位(59.0%)が「なかなか成果につながらなかったから」と答えています。※1
テレアポが時代遅れといわれる原因は、電話の時間を無駄に感じる方が増えた点にもあります。
近年では連絡やコミュニケーションを取る手段もLINEやXなどのSNSが主流になり「電話をかける」という行為自体が少なくなっています。電話はリアルタイムで時間を共有する必要がありますが、SNSであればリアルタイム・時間差ありを問わず双方向で気軽にやり取りでき、利便性が高いためです。
総務省の調査では若年層ほどSNSが多く、メールは幅広い年代で使用されているというデータが出ている一方で、電話は利用率・利用料ともに下がってきているのが現状です。
項目 | 電話の利用率※2 | 電話の利用料 | ||
---|---|---|---|---|
種類 | 携帯電話 | 固定電話 | 携帯電話 | 固定電話 |
2019年 | 18.3% | 2.4% | 103,466円 | 19,275円 |
2020年 | 16.7% | 2.4% | 104,192円 | 17,633円 |
2021年 | 15.3% | 1.8% | 103,096円 | 16,496円 |
※2平日・休日の行為者率の平均
参考:総務省|令和4年版情報通信白書第3章8節
電話を使用する機会が今後さらに少なくなると架電や着電を「面倒」「SNSで連絡したい」と感じ、テレアポを嫌がる方は企業側・顧客側双方でますます増えてくると推測されます。
時代遅れといわれながら、テレアポは現代でも積極的に利用されている手法の1つです。テレアポが現代においても通用する理由3つを解説します。
テレアポ最大のメリットは、顧客の声を直接聞ける点にあります。Webマーケティングが台頭した現代では、Web上に情報が氾濫しており、かえって自分たちに合った製品やサービスはどれかを判断しづらいと感じている顧客もいます。テレアポであれば1対1で対話ができるため、顧客の反応に合わせて細かい情報を提供できるのです。関心度が高い顧客の場合には会話で察知し、手早くクロージングに移行するといった臨機応変な対応も可能です。
テレアポの実態調査では、テレアポが非常に重要と感じている営業担当者は40.3%、やや重要という方も46.8%にのぼっています。重要だと感じる理由として「顧客の生の声を聞くことで、事業・営業改善につなげられるから」が47.4%と最も高い結果です。※3
※3参考:株式会社Scene Live|「営業パフォーマーとテレアポ」に関する実態調査
VOC(顧客の声)をすくい上げ、事業成長に生かす上でもテレアポはまだまだ重要な手法といえるでしょう。VOC分析の概要や進め方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「VOC分析とは?手法や手順を解説|BtoB企業での活用事例も」
テレアポが利用されている理由として、ターゲット企業に自社から接触を図ることができるメリットがある点も挙げられます。
例えばイベントへの出展などによって見込み顧客と接触しアポイントを獲得しようとしても、基本的にはイベント参加者にしかアプローチできません。Webマーケティングによって見込み顧客の側から問い合わせをもらうインバウンド施策も、ターゲット企業から必ずしも問い合わせがもらえるとは限らず、商談が獲得できるようになるまでには多くの工数と時間がかかります。一方、テレアポはねらっている企業に対して直接電話をかけられる上、成功すればその場でアポイントを獲得できるシンプルな手法です。
コスト面においても、イベントに参加しようとすると数十万円は見込む必要があり、Webマーケティングは施策にもよりますが最低でも月に数万円、高いと数十万から数百万円かかります。一方テレアポに必要な費用は基本的に以下の3つであり、人件費を除けば月数千円〜数万円程度です。
テレアポに従事する人数やリスト作成の手間も企業によって異なるため一概にはいえませんが、テレアポ自体は低コストで行える上に、ねらっている企業に直接接触を図れる施策であるといえます。Webマーケティングで集めた確度の高いテレアポリストから架電を行う、という流れを作れば、より効率的にアポイントを獲得できるでしょう。
時代遅れといわれながらもテレアポが現代で通用するのは、電話接触が基本の企業がまだ多く残っている点も挙げられます。
特に経営層や管理職が50代以上の場合、デジタル機器の操作に不慣れで電話接触を重視している方も少なくありません。実際下記の調査では仕事で利用しているコミュニケーションツールとして、電話はメールに次いで2位となっています。リモートワークなどで普及しつつあるビジネスチャットやWeb会議は、3位以下です。※4
※4参考:Chatwork株式会社|ビジネスコミュニケーション最新調査/日本ビジネスメール協会|ビジネスメール実態調査2023
ただし若年層はSNS慣れしており電話を煙たがる可能性があるため、担当者によって使い分けると良いでしょう。
時代遅れといわれがちなテレアポで成果を上げるコツは、以下の3つです。
なおテレアポ担当者個人のスキルアップ方法やコツについて知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「効果的なテレアポのコツ11選を解説【準備・実践・モチベーション】」
テレアポの成果を上げるためには、Webマーケティングとの併用が不可欠です。Webマーケティングでは以下を実施し、テレアポの成果を最大化します。
テレアポ時、相手は大抵「売り込まれるんだろうな」と警戒心がある状態です。知らない社名や製品・サービスを出されると、余計に警戒心が高まります。しかしWebマーケティングを通じて先に認知度を上げておくと、架電の際に話を聞いてもらいやすくなります。
Webマーケティングから資料ダウンロードやウェビナー参加など、何らかのアクションを実行済みの見込み顧客は購買意欲が高い状態です。確度の高い見込み顧客をリストに集約し抜け漏れをなくすと、機会損失を減らしながら成功率の向上も期待できます。
テレアポの成果を上げるためには、Webマーケティングとの併用で集めた情報や架電内容などを集約し、テレアポに活用することも大切です。具体的にはテレアポのタイミングを見極める、あるいはトークスクリプトを作り直す際などに利用します。
顧客情報はエクセルを使った管理方法もありますが、テレアポシステムやSFA/CRM、MAなどのツールの活用、あるいは連携がおすすめです。顧客情報や営業活動の進捗を一元管理でき、他部門と共有しやすくなります。
適宜情報をアップデートしながら、テレアポリストの精度を高めていきましょう。
テレアポ代行会社へアウトソースするのも、成果を上げる上で有効な手段の1つです。実績やノウハウが豊富なテレアポ代行会社に依頼できれば、アポイント獲得率の向上が期待できます。テレアポ業務を兼務していた営業担当者は商談に集中でき、案件化や売上拡大も期待できるでしょう。
なお代行会社によってはテレアポだけでなく、架電内容の分析やトークスクリプトの作成・改善も依頼できるところもあります。テレアポ代行会社の選び方や費用相場などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「おすすめのテレアポ代行会社13選|業務委託できる範囲から費用相場まで解説」
テレアポが時代遅れといわれる背景には、Webマーケティングの台頭やコミュニケーション手段の変化があります。特に電話離れが進む若年層では、非効率的に感じる方が多いのも事実です。
しかしテレアポは顧客の声を直接聞けるメリットがあります。電話接触が基本の企業も多く残っており、工夫次第では現代でも十分通用する手法です。
テレアポで成果を出したい方は、Webマーケティングと併用してアポイント獲得率を上げていきましょう。