基本ノウハウ
「リードナーチャリングがなかなかうまくいかない」と悩んでいませんか?リードナーチャリングを円滑に進めるには、MAを活用するのがおすすめです。MAを活用すればナーチャリング施策を自動化できるだけでなく、結果を見ながらより改善することも可能です。
本記事では、リードナーチャリングでMAを活用するべき理由と、実際の手順について解説します。
リードナーチャリングとは、見込み顧客(リード)に対して継続的に役立つ情報を発信し、自社との関係を維持するための取り組みです。リードナーチャリングは「見込み顧客の育成」と直訳できますが、BtoBビジネスにおいて自社の狙った通りに見込み顧客がコンテンツに触れ、購買に至るケースはほとんどないため、「育成」とは言い難いでしょう。BtoBビジネスにおいては、見込み顧客のニーズが顕在化したときに第一想起してもらうため、関係を維持する取り組みという表現がより適切です。
近年はインターネットが普及したことで、顧客自身が情報収集を行い、時間をかけて比較・検討する傾向が強くなりました。そのため早期にリードに接触し、自社製品への興味関心度合いを高めてもらうリードナーチャリングが重要になっています。
MAは、リードナーチャリングを行う上でも大きな武器になります。その具体的な理由として、以下の2つを紹介していきます。
MAを利用すれば、リードに対して的確な頻度・タイミングでのアプローチを自動で行えます。
アプローチする頻度やタイミングは、リードに与える印象を大きく左右します。例えば、購入する意思がないときのリードに対して、頻繁に商品紹介のメールマガジンを送付しても、良い印象を持たれる可能性は低いでしょう。逆に購入を検討しているときであれば、より詳しい情報について知りたくなるものです。
MAは、リードの興味関心の度合いに応じて送信する情報の内容や頻度を振り分けたり、検討段階に入ったリードを検知して営業部門に知らせたりといったアクションを自動で行ってくれます。リードの数が多くなればなるほど、MAを用いるメリットは大きくなります。
MAを活用すれば、過去の施策やその結果、必要なノウハウが組織内で適切に共有されるため、誰が担当になっても安定したアプローチを行うことが可能となり、属人化の防止にもつながります。
リードナーチャリングは中長期に渡って行う施策であるため、途中で担当者が変更になることも少なくありません。MAを使用していなかった場合、前任者が「次のアクションに進むにはまだ時間がかかる」と判断していたリードに対し、後任者が時期尚早なアプローチを行った結果、リードが離脱してしまうといった事態も起こり得ます。
ここでは、MAを利用したリードナーチャリングの流れについて、4つの段階に分けて解説していきます。
MAを利用したリードナーチャリングでは、まずリード情報を名寄せして、データベースにまとめます。リードは、問い合わせや資料のダウンロード、イベントの参加、名刺交換など、さまざまな方法で集められるため、同一人物の情報が重複して登録されるケースがあります。同一のリードに重複してメールを送るといったトラブルをなくし、その後の分析や施策を大きく効率化するためにも、名寄せを行った上で1つのデータベースにまとめる必要があるのです。
情報をデータベース化したら、リードに対して、メール配信やホワイトペーパー送付などのアプローチを開始します。
ここで重要なのが、シナリオです。リードナーチャリングにおけるシナリオとは「リードがこの行動を取ったら、自動的にこのアクションを実施する」といったルールのことを指します。MAには、メール開封後のリードの行動をトラッキングできる機能があるため「メール内のリンクから商品ページを閲覧したリードに対し、商品の詳細を紹介するメールを送信する」といったシナリオも設定可能です。
一度シナリオを設定してしまえば、リードの人数が膨大になっても、MAがリードの行動を検出し、シナリオに沿ったアプローチを実行してくれます。
ナーチャリング施策に対する見込み顧客の行動をスコアリングし、ホットリードを抽出します。ホットリードとは、受注確度の高い見込み顧客を意味します。
「メールを開封したら5点」「ホワイトペーパーをダウンロードしたら20点」といったように、ナーチャリング施策に対する見込み顧客が起こすであろう行動の点数を事前に設定します。その上で見込み顧客の実際の行動をスコアリングすることで、見込み顧客の中からホットリードを見つけられるのです。
見込み顧客の購買意欲が高まっているところで、営業からアプローチするようにすれば、売上の向上も期待できるでしょう。具体的な項目や数値は、運用で蓄積したデータを踏まえながら適宜見直すことで、より正確なスコアリングが可能になります。
スコアリングの結果から、それぞれの状況や関心度合いに応じて、次のアクションを行っていきます。
例えば、スコアが高いリードに対しては、導入事例や体験版の案内など、購入後の状態をより具体的にイメージできるようなメールを送付します。スコアの低いリードに対しては、ユーザーの業務効率化に役立つ情報や業界の最新動向などを発信し、将来的な興味関心の高まりを狙っていくと良いでしょう。
この一連の流れを繰り返すことで、常に的確な頻度・的確なタイミングで、個々のリードが必要とする情報を届けられるのです。
最後に、MAでリードナーチャリングを行うときに意識したいポイントを2点紹介していきます。
KPI(Key Performance Indicator)とは、重要業績評価指標といわれるもので、成果を定量的に測るために用いられる指標です。「いつまでに、この項目で、この数値を達成する」という形で、複数項目を設定しておくのが一般的です。
KPIの設定により成果を数値化することで、シナリオやスコア設定の修正といった戦略のブラッシュアップに役立つだけではなく、組織内の他部署に対しての情報共有がスムーズになります。
リードナーチャリングにおけるKPIでは、「メールの開封率」「ホットリードの人数」「URLのクリック率」といった項目が多く用いられます。
リードナーチャリングは、MAを使用しても最初から大きな成果が出るものではありません。特にシナリオやスコア設定といった部分は、どのサービスにもあてはまる普遍的な正解がないため、失敗と修正を繰り返すことで、少しずつ成果の出る方法に近づいていくケースが一般的です。
リードナーチャリングでは、購買意欲や属性が異なる多くのリードに対し、適切な頻度・タイミングでアプローチを続けていかなければなりません。その実現のためには、リードの行動をトラッキングし、一人ひとりにあったアクションを返してくれるMAの使用が非常に効果的です。
ただし、MAを使用しても、リードナーチャリングは初めから上手くいくものではありません。成果につなげるためには、PDCAサイクルを繰り返し回して、ブラッシュアップを重ねていく必要があります。