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初開催のDX展示会、フロントオフィスDXPOをレポート。ブースの様子から注目サービスまで

初開催のDX展示会、フロントオフィスDXPOをレポート。ブースの様子から注目サービスまで

2022年8月25日(木)、26日(金)の両日に、東京ビッグサイト 東7ホールで「フロントオフィスDXPO」が開催されました。

「フロントオフィスDXPO」は、マーケ・営業部門のDXを加速させる展示会で、介護・福祉業界で展示会事業やM&A仲介事業の実績を持つブティックス株式会社が、DXをテーマに初開催しました。

本記事では、展示会の開催概要と当日の様子、出展サービスから見るマーケティングサービスのトレンドについて解説します。

目次

フロントオフィスDXPO|展示会概要

会期:2022年8月25日(木)~26日(金)9:30~17:00(最終日は 16:00 まで)
会場:東京ビッグサイト 東7ホール
主催:ブティックス株式会社
構成展示会:営業DX展、マーケティングDX展、店舗DX展、集客・宣伝DX展

本展示会は、本展示会は管理部門のDX推進をテーマにした「バックオフィスDXPO」と連続して開催されました。「バックオフィスDXPO」と「フロントオフィスDXPO」に出展するそれぞれの企業が基本のブースをシェアする「シェアーブース方式」が注目を集めました。

シェアブース方式のポイントついては、出展ブースを2社でシェアする「シェアブース方式」を採用したDX推進展が開催をご参照ください。

来場動向と展示会規模の分析

出展ブース数:約220ブース※BeMARKE調べ
来場者数:非公表

会場がコンパクトかつブースの規模も小さいため、類似テーマの展示会であるJapan マーケティング WeekやJapan IT Week(※ともにRX Japan株式会社が主催)と比べると会場の雰囲気は穏やかでした。

展示会の新しい形、「シェアブース方式」

本展示会は、直前に開催されていた「バックオフィスDXPO」に出展する企業と基本のブース構造をシェアする「シェアブース方式」が採用されました。

その結果大規模展示会で見られる各社工夫を凝らしたブースではなく、最低限のボードや展示物、営業の呼び込みなどでアピールを行なっている状態でした。

この「シェアブース方式」は来場者、主催者双方にとって展示会での体験を変化させたと言えます。

※ブース比較。左:フロントオフィスDXPO、右:Japan IT Week内Web&デジタルマーケティングEXPO。株式会社シャノンのブースにて。

来場者、出展社双方の体験を変化させた「シェアブース方式」

来場者にとっては情報収集にやや時間がかかる展示会でした。サービスをアピールするブース装飾が少ないので、注意深く確認しないと興味関心に合うブースかわかりませんでした。また、ブースが小さいためふらっと立ち寄る動線がなく、気軽に展示物を見て回りにくい状況でした。

一方で展示物が限られるため、目立つ装飾やノベルティ、勧誘が極めて少なく、落ち着いて情報収集ができました。目的のブースが明確な来場者にとってはメリットのある展示会であったと言えます。

出展社にとっては、来場者への営業活動がややしにくいブース構造でした。ブースは基本枠組みが固定であり、装飾も最低限。コマ数も少なく制限されているため各社視覚的アピールが難しいように感じました。また、ブースが小さいため集客できる間口も限定されます。

その一方出展費用が35万円※からと低価格、ブース装飾で独自性を出せる範囲が限られているので、資本力を持つ企業とそうでない企業のブースの差が出にくく、相対的に資本力の小さい企業がアピールしやすい展示会だったとも言えます。

※東京展のみの出展で35万円から。出展小間スペース+ブース装飾+オンライン出展費の総額。

来場者にとっての影響出展社にとっての影響
メリット落ち着いて情報収集できる低コストで出展できる、ブースへの投資金額による差が生まれにくい
デメリットブースに立ち寄りにくい、ブースの展示内容がわかりにくい視覚的アピールが難しい、集客できる間口が狭い

フロントオフィスDXPOから見る、マーケティングサービスの動向

本展示会ではMAやSFAといったマーケティング、営業DXの代表的サービスの他に、トレンドを示す新興ツールも紹介されていました。

トレンドは、スキルの平準化と動画コンテンツの活用

マーケティング人材、営業人材をコンテンツの力で育成しスキルの平準化を図るツールが目立ちました。このようなサービスが登場している背景には、人材が不足し対面での丁寧な研修が難しい中で、短時間で効率的に育成を行いたいニーズがあるのではないでしょうか。セールスイネーブルメントが注目されている状況とも関連してます。

また、やみくもな経験に頼る育成ではなく根拠と戦略を持った再現性のある育成などが重視されている背景もあります。

オンライン商談改善ツール

特にオンライン商談改善ツールの出展数多く見られました。2020年からの外出自粛に伴い急激に広まったオンライン商談。その改善のためのソリューションが次々とリリースされている時期です。

出展サービスの例

  • ACES Meet(株式会社ACES):AIによるオンライン商談の自動文字起こし、商談中のアクションの解析や議事録作成などが特長。
  • Reflectle(Co-Growth株式会社):オンライン商談データを皆でFBすることに主眼が置かれたツールで、ユーザー動画の任意の場所にコメントを付与することが可能。
  • recit(hachidori株式会社):共有のしやすさに重点を置いた動画メッセージツールで、データアップロードの速さやコメントのしやすさが特長。

コンテンツを活用したスキル平準化ツールも登場

また、オンライン商談に限らずスキルの平準化を図るツールも紹介されていました。

出展サービスの例

  • riclink(株式会社シーズ・リンク):ホワイトペーパーや提案書などのマーケティング・営業コンテンツをマネジメントするツール。コンテンツをマネジメントすることでスキルの標準化を図る狙いがある。
  • Growth X(株式会社グロースX):マーケティング教育コンテンツ。スマホアプリで出題される教育教材で、社員の回答状況の管理も可能。

まとめ

  • フロントオフィスDXPOは小規模ながら、目的ブースが明確な状態で情報収集する来場者にとって有効。
  • 低コストで市場感を掴みたい企業にとっては出展の選択肢となる。
  • コンテンツを軸にしたスキルの平準化ツールがマーケティングサービスのトレンド。

今回が初開催のフロントオフィスDXPO。2023年夏の東京をはじめ、今後大阪、福岡での開催も予定されているとのことで、マーケター、営業担当者とサービス提供会社側との有効な接点となるのか、今後の動向に注目です。


この記事を書いた人

鈴木 彩実
鈴木 彩実 | BeMARKEマーケター/編集者

アジタスおよびグループ会社にて、SFA、MAの導入を担当し設計から社内での定着支援を担当。BeMARKEではメール配信、MA・SFAの運用、広告運用などのマーケティングを広く担当しつつ、自らコンテンツ制作も行う。さらに別事業の商談創出も兼任。自身もマーケターだからこそ語れる気づきや切り口が強み。  

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