お悩み回答
BtoBマーケティングのお悩みに回答する本企画。今回は、オフライン展示会の出展意義について、BeMARKEナビゲーターの桂木がお答えします。
来場者数の減っている展示会に出展する意味はありますか?【お悩み】
昨今リアル展示会の来場者数が復活傾向にあるといわれていますが、それでも2019年以前と比較すると6~7割程度かなと思います。このような状況でリアル展示会に出展する意味はあるでしょうか。
特に、今後の引き合い獲得方法をリアル展示会を中心としたオフライン施策で頑張るのか、デジタルマーケティングに挑戦すべきか迷っています。何かアドバイスをいただけると幸いです。
はじめに、リアル展示会の来場者数が2019年以前と比較して減少しているのは確かです。例えばJapan ITWEEK の場合、2022年春の展示会で来場者数は39173名※です。2019年以前ベースであれば1回あたり10万人程度来場していたことを鑑みると、50%にも満たない数値です。
このように来場者数が減っている中で、リアル展示会への出展をどのようにとらえるべきか、またオンライン施策へ投資すべきかについて順にお話します。
オフライン展示会自体の参加者は2019年以前と比較すると確かに減少しています。一方で、私がお話を伺った展示会出展企業様の中には、「来場者は少ないものの、昨今は強く興味を持ってもらえる企業が増えたような印象がある」とおっしゃっている方がいらっしゃいました。一見すると矛盾するような発言ですが、「とりあえず来る」層がコロナで減ってしまった一方、興味関心度の高いお客様や対面で話を聞きたいお客様が同程度あるいはやや減少する程度で済んでいることが背景にあります。結果として興味関心度の高いお客様が増えている印象を持つようになったと考えられます。
また、「以前は人の数が多く、ブース前を通る全ての人に声をかけるのは難しかったが、現在はほぼ全ての方に声をかけることができているので、成果に大きな差はない」とも伺いました。確かに営業担当者が時間内に声をかけられる人数には限度がありますから、2019年以前は飽和状態にあり、現在は適正化されているととらえることもできます。
さらに、来場者数と出展ブース数(会場の広さ)の関係性も、出展を検討する際の指標となります。来場者数の減少と同程度の比率で出展社数あるいは会場の広さが減少している場合は、1ブースあたりの来場者数は減少していないともいえます。出展を検討している展示会の主催者に、過去の来場者数と合わせブースの数や会場の広さについても問い合わせてみると、より納得のできる検討ができそうです。
一般的にいえる内容は上記の通りになります。後は自社の状況、保有している見込み顧客リストの数や、新規で展示会外から獲得できる見込み顧客リストの数、そして過去に展示会経由で獲得した見込み顧客がどの程度成果を出しているのかをデータとして整理してみると良いでしょう。過去の展示会で獲得した見込み顧客が優良で、現在アタック可能なリストが枯渇しているなら、名刺獲得数が以前より多少減ったとしても出展すべきといえます。
いきなり抜本的にデジタル改革を行うといったことはおすすめしません。デジタル改革は基本的に成果が出るまで時間がかかる施策なので、直近の見込み顧客リストの増加や商談増加、ましてや売上アップにはなかなかつながりません。その点が、発注先探しに来場している方が多い展示会と大きく異なる点です。
また、企業様の商材とデジタルマーケティングの相性によって効果も異なります。(例:産業機械を提供する製造業などは、展示会で実物を見て商談につながるケースが多い)
もし自社の商材がデジタルマーケティングと相性が良いかどうか短期間で判断したいとお考えなら、まずは2-3ヶ月程度リスティング広告などに出稿し、どの程度成果が出るものなのかを計測してからでも遅くはないと思います。そのうえで、長期的目線で大規模なデジタルマーケティング投資を検討してみると良いでしょう。