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ポジショニング戦略とは? ポジショニングマップ作成の手順や事例を紹介

ポジショニング戦略とは? ポジショニングマップ作成の手順や事例を紹介

「競合他社と差別化した戦略を実施したいが、どうしたら良いかわからない」とお悩みではないでしょうか。

競合他社と差別化するためには、市場における自社と競合他社の立ち位置を把握する必要があります。

ポジショニング戦略は、市場での競合他社と自社の位置を把握することで、競合他社と差別化した戦略を策定を可能にします。

この記事では、ポジショニング戦略の基礎知識や手順、注意点、事例を解説します。ぜひ参考にしてください。

目次

1.ポジショニング戦略とは

ポジショニング戦略は自社の商品やサービスの市場におけるポジションを、競合他社の商品やサービスと比べて優位な場所に位置づける戦略です。この章ではポジショニング戦略とはどのようなものなのかを解説します。

自社商品を選び続けてもらうための戦略

ポジショニング戦略とは、他社との差別化によって自社商品を選び続けてもらい、売上につなげることを目的としたものです。自社商品を選んでもらうためには、自社ブランドやアイデンティティを確立させ、競合他社のものと比較されない独自の役割を築く必要があります。

STP分析の1つ

ポジショニングはSTP分析の1つの項目です。STP分析とは「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字から名付けられた分析方法です。3つの観点から自社回りの環境を調査して、商品やサービスをどのように売っていくかの戦略を立てる際に用いられます。

ポジショニング戦略を行う際は、セグメンテーションとターゲティングを先に実施しましょう。この2つによって狙うターゲット層を明確にしなければ、見当違いのターゲットに対してポジショニングしてしまい、期待した成果が出ない可能性があります。

STP分析については、「【具体例付き】BtoBのSTP分析とは?やり方や注意点を徹底解説」で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

2.ポジショニング戦略の手順

ポジショニング戦略を策定する際は、ポジショニングマップを用いる方法が一般的です。ポジショニングマップを作成し、戦略を策定する基本的な手順には大きく4つの流れがあります。ポジショニングマップを作成した上で、自社の強みを生かしつつ、他社と差別化できる戦略を検討しましょう。

手順1|セグメンテーションとターゲティングを行う
手順2|ポジショニングマップの2つの軸を決める
手順3|ポジショニングマップ内に分類し、自社のポジショニングを決定する
手順4|差別化するための施策を検討する

手順1|セグメンテーションとターゲティングを行う

自社周りの環境を調査し、ニーズが高い市場や顧客に向けて、効率的にマーケティングを実施できるようになるためにセグメンテーションとターゲティングを行います。

セグメンテーションは、顧客の属性やニーズに基づいて、市場をいくつかのグループに分類することです。セグメンテーションを行う際、BtoCは人を中心としているのに対し、BtoBの場合、「従業員数」「決裁権の有無」「事業内容」などを基にセグメントします。このように分けたセグメントから、自社が狙う市場を決めます。これがいわゆるターゲティングです。

ターゲティングは、セグメントの中から自社の商品やサービスのニーズが最もある層を見極め、狙う市場を決めることです。ターゲティングは、市場規模が十分か、一定数のターゲットが実在するか否かの観点から検討しましょう。

手順2|ポジショニングマップの2つの軸を決める

ポジショニングマップの縦軸と横軸を決定する際は、ターゲットが購入時に重視するものが何かをベースに考えましょう。例えば、MAやSFAなどのツールの選定時には価格と機能を重視することが一般的であるため、この2軸でポジショニングマップを作成できます。他にも、「スピードと品質」や「価格と品質」などでも設定できます。

手順3|ポジショニングマップ内に分類し、自社のポジショニングを決定する

決めた軸に沿ってポジショニングマップ内に、競合他社と自社を配置します。配置すると、密集している部分と空白の部分が見えてきます。空白の部分や競合の少ない部分は、競合がまだ手を出していないニーズであるため、狙うことで差別化を図ることが可能です。

また、競合他社と密集したところに自社が配置されている場合、競合の少ないところや空白部分にポジショニングできないか検討する、再度ポジショニングマップの軸を考えるといった対応も必要になるでしょう。

手順4|差別化するための施策を検討する

自社と競合他社を差別化するための施策を検討します。ポジショニングマップで自社を配置した箇所のニーズを捉えるためには、どのような施策を行うべきか考えましょう。

例えば、「価格と機能性」の2軸でMAのポジショニングマップを作成したとします。その結果、競合他社では「低価格で必要最低限の機能」と「高価格で高機能」な製品に二極化していると分かりました。自社のMAの特徴が機能性の高さであることから、できるだけ価格を下げることで差別化を図れる可能性があると分かるのです。

あくまで例ですが、こういったように自社の商材の特徴を考慮しつつ、競合に勝つための施策を考えることが重要です。

3.ポジショニング戦略の注意点

ポジショニング戦略を考える上で以下の3つの注意点を意識しなければ、十分に成果を出せるものになりません。3つのポイントを押さえ、ポジショニング戦略を成功に導きましょう。

  • 顧客のニーズがない市場もある
  • 強みを生かせないと成果が出ない
  • 成果が出ない場合は見直しが必要

顧客のニーズがない市場もある

ポジショニングマップ内に競合他社を分類した結果、自社の強みを生かせる空白があったとしても、顧客のニーズがない市場であり、売上につながらない可能性があります。

顧客のニーズがある市場かどうかを判断するために、自社の商品・サービスを利用してくれている顧客の情報や、顧客へのアンケートを調査し、どのようなニーズがあり購入したのかを明確にしましょう。それをもとにポジショニングマップの2軸を設定することが大切です。

強みを生かせないと成果が出ない

ポジショニングマップ内の競合他社がいない位置に顧客のニーズがあったとしても、自社の強みを生かせなければ成果を得られない可能性があります。それどころか、空白の市場に進出するためにブランド価値を大きく変えてしまえば、今までの顧客が離れていきかねません。

自社がどのようなブランドかを顧客情報や顧客へのアンケートを通して調査し、自社がなにを売りにしているのかを客観的に把握しましょう。その上で自社のブランドを保ちつつ、競合他社と差別化できる方法を検討する必要があります。

成果が出ない場合は見直しが必要

さまざまなことに気を配りつつポジショニング戦略を行ったとしても、思うように成果が出ない可能性もありえます。その場合は、現在のポジションに固執しすぎず、リポジショニングを実施しましょう。成果が出ない原因を発見、改善して、PDCAサイクルを回すことが重要です。

4.ポジショニング戦略の事例

BtoB企業で行われているポジショニング戦略の事例を紹介します。他の企業はどのようなポジショニング戦略を行って成果を出したのかを見ることで、自社の戦略策定に役立ててください。

  • Salesforce
  • キーエンス

Salesforce

Salesforceは業務向けのソフトウェアは買い切り型のものがほとんどだったときに、業務向けソフトウェアをSaaS商材として売り出すことで、成果を出しました。Salesforceはいまや圧倒的な世界シェアを誇る、SaaS商材形式のツールを扱う会社です。

Saleforceが出てくる以前は、業務向けのソフトウェアは買い切り型のものが多く、SaaS商材は全くありませんでした。しかし、買い切り型のソフトウェアはインストール方法が複雑であり、価格が高いという問題を抱えていたのです。Saleforceはその問題点に着目し、業務用ソフトウェアをSaaS商材として提供することで他の商品と差別化し、ソフトウェア業界の中で確固たる地位を築きました。

キーエンス

キーエンスは優れた営業力によって他社と異なるポジショニングを行い、成果を出し続けています。キーエンスは、工場における自動化を行うためのFA機器(ファクトリーオートメーション機器)を販売している企業です。

キーエンスは「顧客の本質的な課題を発見し、解決のための提案ができる営業力」が競合他社と比べて特に優れています。優れた営業力の理由は「直接営業」と「優れたヒアリング力」にあります。通常の企業は代理店や販社を経由して顧客とやり取りしますが、キーエンスは直接顧客とやり取りを行う「直接営業」によって、顧客が抱えている課題やニーズを直接聞き出せます。

また、キーエンスは顕在ニーズを解決するのではなく、その奥に隠れた大きなニーズを丁寧なヒアリングによって聞き出し、自社のFA機器でどのように解決できるかをコンサルティング営業します。

このように課題を抱えた顧客と直接やり取りし、丁寧にヒアリングすることで顧客が一番解決したいニーズを見つけた上で解決できる営業力こそ、キーエンスが競合他社と異なるポジションを築けている大きな要因といえます。

5.まとめ

ポジショニング戦略の基礎知識や、手順、注意点、事例を解説しました。ポジショニング戦略は市場内の競合他社と自社の位置を把握することで、差別化を可能にします。意味を理解した上で、正しく活用し、競合他社と差別化しつつ自社の強みを生かした戦略を実施できるように役立ててください。


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BeMARKE編集部
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