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リードタイムの意味とは?数え方や種類を分かりやすく解説

リードタイムの意味とは?数え方や種類を分かりやすく解説

「製造リードタイム」「配送リードタイム」のように、「リードタイム」という言葉は特定のビジネスの現場でよく利用されています。本記事では、リードタイムの意味や、「リードタイムが長い」場合のデメリット、リードタイムの種類について解説します。

目次

1.リードタイムの意味とは

そもそも、リードタイムはどのような意味なのでしょうか。本章では、リードタイムの意味や納期との違い、リードタイムの数え方を説明します。

リードタイムは着手~完了の期間

リードタイム(lead time)は、特定の作業工程において着手から完了までにかかる期間を指します。下記の図に示したように、製品の開発から納品までを総合して「リードタイム」、製品の製造に着手してから完成までの期間を「製造リードタイム」と呼ぶ例が挙げられます。

一つの製品が生み出され、顧客のもとに届けられるまでには多くの工程が必要です。その工程をいかに速く、正確に、継続的に行えるかがビジネスに大きな影響を与えます。

リードタイムは「速さ」を管理する指標として用いられ、主に開発や製造、物流の現場で利用されています。また、業界・業種・工程の種類によってリードタイムの長さは異なっています。

リードタイムと納期の違い

リードタイムは期間(日数)を指し、納期は納品の期限に設定された日付を指します。

1つの製品を製造し納品するまでには、企画開発・原材料の発注・製造と多くの工程があり、そのいずれにもリードタイムがあります。納期を守るために、各工程のリードタイムを正確に把握し、納品までにかかる日数を知った上でスケジュールを立てる必要があります。

例えば、とある製品の納期を9月4日とした場合、その製品の配送リードタイム(配送指示から納品完了までにかかる期間)が3日であると分かっていれば、9月1日より前に発注の必要性があると分かります。

リードタイムの数え方

リードタイムは、基本的に会社の休業日を含まない日数(営業日)で数えます。また、リードタイムの算出には「フォワード方式」と「バックワード方式」があります。

フォワード方式は、作業の着手日から各工程にかかる日数を出し、可能な部分は工程を重複させつつ完了までに必要な全体の日数を算出する方法です。急ぎ製造が必要な状況など、無駄な時間を減らしたい場合にはフォワード方式が適しています。

バックワード方式は、作業の完了日から逆算し、各工程にどれくらいの時間をかけられるのかを算出する方法です。納期に間に合わせるためにいつから着手すべきかを把握するためには、バックワード方式が適しています。

2.リードタイムが長いデメリット

リードタイムが長い場合、主に2つのデメリットがあります。

販売機会の損失

リードタイムが長いと、顧客に製品を届けるまでの期間が長くなるため、販売機会の損失につながるリスクがあります。発注してもなかなか製品が納品されない、という状態になってしまった場合、顧客からキャンセルや競合企業への乗り換えが起き、販売の機会を失ってしまう可能性があるからです。そのため、リードタイムを短くすることによって顧客が必要なときに製品を届けられるようにし、販売機会を逃さないようにする必要があるのです。

在庫管理費用の増加

リードタイムが長いと、製造業の場合は急な出荷にも対応可能なように一度にまとまった量を製造する必要があり、在庫管理の費用が発生する恐れがあります。リードタイムが長い現場では必要なときに必要な分だけ製造するといったことができないため、倉庫に保管する在庫量が大きくなり、管理コストが増してしまうのです。リードタイムが短ければ出荷スピードを早められ、確保しておく在庫量も少なく済み、管理コストを削減できます。

3.リードタイムの種類

リードタイムは工程の所要時間を表すために利用される言葉で、もともと「◯◯リードタイム」という固有名詞があるわけではありません。しかし、現場で利用されている代表的なリードタイムは複数存在します。本章では、代表的なリードタイムの種類を解説します。

  • 開発リードタイム
  • 発注リードタイム
  • 配送リードタイム
  • 製造リードタイム
  • 営業リードタイム

開発リードタイム

開発リードタイムとは、製品の企画・開発を行い製品化するまでの期間のことです。メーカーであれば、企画・図面の作製・試作といった工程を含みます。

開発リードタイムを短縮するためには、企画段階では、市場のニーズをとらえるための調査やトレンドの把握が重要になります。試作段階では、実物の試作をコンピューターを利用した性能シミュレーションに切り替えたり、試作に入る前に3Dプリンターで見本を制作してイメージを共有したりと、試作を行う回数を減らす方法が考えられます。

発注リードタイム

発注リードタイムとは、原材料や部品などの発注を出してから納入までにかかる期間のことです。調達リードタイム、納入リードタイムと呼ばれることもあります。

製造に不可欠である原材料や部品が不足しては困るため、発注リードタイムが長いほど企業はストックを必要とし、一度に購入する量が増える傾向にあります。つまり、発注リードタイムを短縮できれば在庫量を減らし、管理コストを削減できるのです。

しかし、発注リードタイムは自社だけでは短縮できません。発注リードタイムは、発注先である取引企業の状況に大きく左右されるからです。自社の発注計画をあらかじめ伝えるなどの工夫をしながら、発注先の事情も踏まえつつ交渉する必要があります。

配送リードタイム

配送リードタイムとは、配送指示があってから顧客に納品するまでの期間のことです。出荷リードタイム、物流リードタイムと呼ばれることもあります。配送リードタイムは、納品先までの距離や輸送手段、運送業者によっても異なります。

配送リードタイムを短縮するためには、配送ルートの見直しや、契約している運送業者の変更、出荷準備にかかる時間を減らすために保管場所を整理するなどの方法が考えられます。

製造リードタイム

製造リードタイムとは、製造に着手してから完了するまでの期間のことです。生産リードタイムと呼ばれることもあります。

製造リードタイムを短縮するためには、製造の工程を細かく分解し、無駄を省いていかなければなりません。製造は複数の人間が関わり、完成するまでに複雑な工程を経ているのが一般的です。例えば、車1台を生産するためには鉄板をプレスして部品を作り、溶接し、塗装し、組み立てるといった作業が必要です。その個々の作業も、さらに細かいタスクに分解できます。そういったタスク単位で、不必要な検査や加工が発生していないかをチェックしていくことで、全体の製造リードタイムを短縮できます。

営業リードタイム

営業リードタイムとは、案件が発生してから受注するまでの期間のことです。リードタイムは製造や物流現場で利用されることの多い言葉ですが、この場合は営業活動のなかで利用されます。BtoBの取引、特に大企業相手には営業リードタイムが長くなる傾向にあります。

営業のリードタイムは、どうしても相手企業の検討期間が影響するため、自社だけで短縮するには限度があります。自社のみで可能な短縮方法としては、ツールの導入によって業務を効率化したり、相手企業の決裁担当者と早期に接触したりといった方法が考えられます。

関連記事:リードジェネレーションとは?手法やナーチャリングとの関係も解説

4.まとめ

リードタイムの意味、長い場合のデメリット、種類について解説しました。リードタイムは、なるべく短くできるよう工夫することで生産性が高まります。リードタイム短縮のために積極的な改革を行っていきましょう。


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BeMARKE編集部
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